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第十五章 Shrimp
しおりを挟む「ぺペンギンさん、これ食べてくれませんか?」
「何やねんこれ、ワイ、鮮魚しか食べへんで」
「はい、知ってますけど、ちょっとだけでいいので、味見程度に、お願いします」
「味見、だけ、やで」
そう言ってぺペンギンは、以前、偵察に行ったときに小料理屋で調理しているところを見ていた食べ物を見る。
天麩羅である。
ぺペンギンは衣を剥がしていくと中身だけを食べる。
「うーん、これ、ワイ好みやないわ。やっぱ、生でしょ」
「はい、済みませんが、これを、もう一回だけ食べて頂けませんでしょうか?」
「見た目、同んなじやけど?」
「済みません、もう一度だけ」
「しゃーないなぁ、これで最後やで」
そういうとぺペンギンは、またもや衣を剥がして、中身だけを食べる。
その姿をじっと涼太は見ていると、ぺペンギンの両目が潤みだした。
「何んなんこれ?これ何んなん?」
「はい、シュリンプ、海老の天麩羅です」
「天麩羅って油で揚げるやつやんな?熱かけるやつやんな?これ、さっきと全然ちゃうやん。また天国がやって来たん?新鮮なやつと殆ど変われへんやん。しかも、シュリンプちゃん、こんな美味しい子が地球の海で泳いでんの!」
ぺペンギンの心は既にエデンの園に向かって、小さな翼をはためかせて飛んでいる。
「はい、ぺペンギンさんの偵察のおかげです」
「あー、そうなん」
涼太の言う事など殆ど聞いていない。
「はい、ぺペンギンさに情報を教えてもらったんですが、衣のまぶしかた、揚げる時の温度、どれも僕と変わりません。どこが違うのだろうと考えて、違うところは揚げてからお客さんに出すまでの時間しかないって思ったんです。で暫くおいてから食べてみて分かったんです。衣に包まれた食材は、中で蒸らされてたんです。天麩羅は油でコーティングして、中身をじっくり蒸らす、そういう料理だったんです」
涼太は、勢いこんで話すが、ぺペンギンは、涼太の言うことなど聞いていない。
ひたすら海老を食べている。
ひとしきり食べ終えると、
「そうかぁ、次は煮込み料理やなぁ」
と呟いたきり、涎を垂らしながら眠ってしまった。
涼太は、ぺペンギンの口元を手ぬぐいでそっと拭いた。
やっぱり、見た目は可愛い。
「俺、明日、店で試食してもらいます」
既に寝ているぺペンギンの横で涼太は呟いた。
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