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第1章 宿敵の家の当主を妻に貰うまで
第22話 アークゲート家の屋敷へ
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扉の敷居をまたぐように歩けば、まるで冬に室内から外に出たような肌寒さを感じた。シアの言う通りゲートを越えればそこはもう北の街だった。腕に持っていた上着を羽織る。その際に離れたシアの手が少しだけ名残惜しかった。
俺が上着を着終えるのと同時に、金の光の残滓を残しながらゲートは閉じる。シアは俺の方を向いて手を背中で組み、身を屈めて覗き込む。
「ようこそノヴァさん、アークゲート家へ」
「お……おお……」
最初の「お」は笑顔のシアへの返事。そして続いての「おお」は彼女の方を向いて、その後ろにある大きさと広さに気づいたからだ。ゲートを繋いでくれた場所は屋敷の敷地の中で、さらに屋敷の目の前だったために、右を向くだけでアークゲート家が確認できた。実家の屋敷もかなり大きいけど、アークゲート家の屋敷はそれよりもさらに巨大かつ広大だった。しかも建築の文化が違うらしく、形が少し異なっているのも興味が湧いた。
「気に入って頂けましたか?」
「ああ、すごいなこれは……外観だけでここまですごいと、中がどうなっているのかも気になるな」
年甲斐もなくワクワクしてしまうけど、大きな建物を見ると中が気になってしまうのは仕方ないと俺は思う。シアが微笑ましそうにしているのが少し恥ずかしいものの、興奮は抑えられなかった。
「では姉妹を呼ぶのは少しだけ後にして、屋敷の中を案内しましょうか」
「そういえば聞いていなかったけど、シアの姉妹って何人いるんだ?」
確か中央の帝都で初めて出会ったときは、「お姉ちゃんたち」と言っていた筈だ。つまり最低二人はいるはずで。
「上に姉が一人と、ノヴァさんが先日であったオーロラで、合計二人ですね」
けど、シアの口から出てきた姉の数は一人だった。俺の記憶と違うけど、シアはいつも通りの様子だし、嘘をつくようなことでもないように思える。俺の覚え違いだったのかもしれない。
「叔母や従妹はいますが、別の屋敷に住んでいますし、今いるのは二人だけですね」
なるほど、多分従妹の事をお姉さんとして呼んでいたのかもしれないな。
「あ、オーラは呼んできましょうか。彼女もノヴァさんに会いたがっていましたから」
そう言ってシアは何らかの魔法を行使したのだと思う。すぐに屋敷の中からメイドが駆け足で出てきた。入口の低い階段を駆け下りて、彼女は俺達の元まで駆けてくる。息一つも上がっていないメイドに対して、シアは当主らしく命令した。
「オーラを呼んできてくれますか? ノヴァさんが来たと伝えてくれれば、飛んでくるはずです」
「は、はい! かしこまりました!」
シアに対して頭を深く下げ、間髪を入れずに俺にも深く頭を下げるメイド。動きは機敏で洗練されているけど、どこか鬼気迫る様子だ。俺の実家のメイドのように誰かの陰口を言っている様子は想像もつかなかった。
「あぁ、あとユティには1時間後に応接間に来るように伝えてください」
「はい!」
去ろうとしているメイドを呼び止めてシアが追加で指示を出す。ユティというのがおそらくはシアの姉の名前なのだろう。
あまり詳しい話は聞いていないが、少なくとも俺はシアの姉に対して良い感情は持っていない。自分の兄上があんな感じだから、どうしても乱暴で粗雑な姉の像が出来上がっている。先代と共におそらくは幼き日のシアを傷つけていた可能性だってある。
「ノヴァさん」
横から声をかけられ、俺はハッとする。慌てて首を動かせば、穏やかな笑みを浮かべたシアがいた。
「中に入りましょうか。外は少し寒いですし」
「ああ、そうだな」
シアに導かれるように、俺は屋敷の中へと入る。彼女の背中はなぜかは分からないけど嬉しそうだった。
俺が上着を着終えるのと同時に、金の光の残滓を残しながらゲートは閉じる。シアは俺の方を向いて手を背中で組み、身を屈めて覗き込む。
「ようこそノヴァさん、アークゲート家へ」
「お……おお……」
最初の「お」は笑顔のシアへの返事。そして続いての「おお」は彼女の方を向いて、その後ろにある大きさと広さに気づいたからだ。ゲートを繋いでくれた場所は屋敷の敷地の中で、さらに屋敷の目の前だったために、右を向くだけでアークゲート家が確認できた。実家の屋敷もかなり大きいけど、アークゲート家の屋敷はそれよりもさらに巨大かつ広大だった。しかも建築の文化が違うらしく、形が少し異なっているのも興味が湧いた。
「気に入って頂けましたか?」
「ああ、すごいなこれは……外観だけでここまですごいと、中がどうなっているのかも気になるな」
年甲斐もなくワクワクしてしまうけど、大きな建物を見ると中が気になってしまうのは仕方ないと俺は思う。シアが微笑ましそうにしているのが少し恥ずかしいものの、興奮は抑えられなかった。
「では姉妹を呼ぶのは少しだけ後にして、屋敷の中を案内しましょうか」
「そういえば聞いていなかったけど、シアの姉妹って何人いるんだ?」
確か中央の帝都で初めて出会ったときは、「お姉ちゃんたち」と言っていた筈だ。つまり最低二人はいるはずで。
「上に姉が一人と、ノヴァさんが先日であったオーロラで、合計二人ですね」
けど、シアの口から出てきた姉の数は一人だった。俺の記憶と違うけど、シアはいつも通りの様子だし、嘘をつくようなことでもないように思える。俺の覚え違いだったのかもしれない。
「叔母や従妹はいますが、別の屋敷に住んでいますし、今いるのは二人だけですね」
なるほど、多分従妹の事をお姉さんとして呼んでいたのかもしれないな。
「あ、オーラは呼んできましょうか。彼女もノヴァさんに会いたがっていましたから」
そう言ってシアは何らかの魔法を行使したのだと思う。すぐに屋敷の中からメイドが駆け足で出てきた。入口の低い階段を駆け下りて、彼女は俺達の元まで駆けてくる。息一つも上がっていないメイドに対して、シアは当主らしく命令した。
「オーラを呼んできてくれますか? ノヴァさんが来たと伝えてくれれば、飛んでくるはずです」
「は、はい! かしこまりました!」
シアに対して頭を深く下げ、間髪を入れずに俺にも深く頭を下げるメイド。動きは機敏で洗練されているけど、どこか鬼気迫る様子だ。俺の実家のメイドのように誰かの陰口を言っている様子は想像もつかなかった。
「あぁ、あとユティには1時間後に応接間に来るように伝えてください」
「はい!」
去ろうとしているメイドを呼び止めてシアが追加で指示を出す。ユティというのがおそらくはシアの姉の名前なのだろう。
あまり詳しい話は聞いていないが、少なくとも俺はシアの姉に対して良い感情は持っていない。自分の兄上があんな感じだから、どうしても乱暴で粗雑な姉の像が出来上がっている。先代と共におそらくは幼き日のシアを傷つけていた可能性だってある。
「ノヴァさん」
横から声をかけられ、俺はハッとする。慌てて首を動かせば、穏やかな笑みを浮かべたシアがいた。
「中に入りましょうか。外は少し寒いですし」
「ああ、そうだな」
シアに導かれるように、俺は屋敷の中へと入る。彼女の背中はなぜかは分からないけど嬉しそうだった。
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