公爵令嬢に転生した魔王様の平和を望むセカンドライフ

白波ハクア

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第69話 魔法のお勉強

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 私は忙しい。
 時間が無いからと、魔法具の製作ばかりをやっているわけにはいかない。


「それじゃ、特訓を始めるわよ」

「「おねがいします!」」


 元気な声が、中庭に響く。

 今日は晴天。
 双子に稽古を施すには絶好の日だ。


「それじゃあ、まずは基礎知識から覚えていきましょう」

 本来、二人に魔法のことを教えるのは誕生日を過ぎてからということになっていた。
 だが、いつ命を狙われるかもわからない以上、力を付けるのは早めにやっておいた方が良いということになり、コンコッドの授業が終わった後の残った時間に、少しづつ基礎を教えていこうということになったのだ。



「魔法を操るには、まず最初に魔力を感じなければいけないわ」

「シェラローズさま、まりょくって、なに?」

 バッと手を挙げ、ティナは首を傾げた。


「…………うん。まぁそうなるわよね」

 双子は魔法に関わったことがないはずだ。
 それを引き起こす元となる魔力を知るわけがない。

 しかし、どうやって説明したものか……。


「魔力というのは、二人の中にも流れているのよ」

「わたしたちの?」

「なかにも?」

「ええ。今日はそれを感じ取れるまで、少しづつ魔力に慣れていきましょう」

「「はーい!」」


 魔力には二種類ある。

 一つが体内に宿る魔力。
 もう一つが大気中に漂う魔力だ。

 これらは使い分けが大切となる。


 まず体内の魔力だ。
 魔法を学ぶ者は、まず最初にこちらから勉強することになる。

 理由は単純で、大気中のものよりも、体内に宿るものの方が魔力を感じ取りやすいからだ。
 魔法はまず魔力を感じ取れなければ、何もかもが不可能となる。いきなり魔法を使おうとするのではなく、自分の力に触れることが、偉大なる魔法を学ぶ第一歩となるのだ。


「目を閉じて、自分の体に集中してみて。胸に手を当てて念じるの。そうしたらポカポカした光が見えてくる。それが魔力の源よ」

「…………うーん……」

「…………わからない」

「まぁ、そうよねぇ」

 いきなりやってみろと言って、出来るとは思わない。
 私の場合は気が付いたら魔力を自由に操れていた、いわゆる『天才気質』というものだったので、そこら辺の苦労はわからない。だから配下が言っていたことを思い出し、双子が魔力を感じられるように私も出来る限りの助力をしている。


「二人とも、これを見て」

 私は両手を突き出し、その手に魔力を集合させる。

 すると──


「ひかった!」

「まほう!」

 反応がいちいち面白くて、私は微笑んだ。
 久しぶりに目にする魔法に瞳を輝かせ、嬉しそうに尻尾を振っている姿はとても可愛いが、残念ながらこれは魔法とは呼べない。


「これが魔力よ。私の手を握ってみなさい」

「ポカポカ!」

「あったかい!」

「これが魔力よ。二人の中にも必ず、これに似たものがあるわ。感覚が掴めたら同じものを探してみなさい」


 実はこれ、とても難易度は高い。
 普通は視認できない魔力を無理矢理、可視化させているのだ。

 消費魔力は凄まじいし、細かな制御も必要となる。
 これを可能にするためには、回数を重ねて慣れる以外に方法はない。

 私が本気を出せば、一年間は可視化させたままにすることが可能だが、この時代の普通の魔法使いは可視化させることも不可能だろう。



 ちなみに、双子には魔力の可視化を習得してもらう。

 一番身近に魔力を感じられて、なおかつ精密な制御を学べるのだ。これ以上に基礎を学ぶ方法は他にない。

 制御を誤ってしまえば、魔力が暴走して爆発するが……そこは私が双子の魔力に干渉して抑え込めばいいだけの話だ。何も心配することはない。


「──あ!」

 と、その時、ティアが驚いたような声を発した。

 耳がピコンと伸びたが、すぐにそれはシュンと垂れ下がった。


「ティア。どうしたの?」

「……ポカポカ、みつけたの……でも、どこかにいっちゃった」

「…………え?」

 やってみろと言ってから、まだ数分しか経っていない。
 それなのに、もう魔力を見つけ出しただと?


 ──これは面白い。
 私は内心、ほくそ笑む。


「その調子で魔力を探し続けなさい。大丈夫。焦らず、ゆっくりと自分の中身を見続けるの。そしたらまた必ず魔力を感じられるわ」

「うんっ!」

 よく出来ましたと頭を撫でたら、ティアは嬉しそうに頷き、はにかんだ。尻尾もブンブンと大きく揺れて、ちょっとだけ風が巻き起こっている。


「……むぅ、ティアばかり、ズルい」

「ティナも出来たら撫でてあげるわ。だから頑張って」

「ティナもまけないもん! シェラローズさまにナデナデしてもらうのは、わたしなの!」

「ティアだってまけない。ティナより、いっぱいナデナデしてもらうの!」


 ──あれ? 目的変わっていないか?

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