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第6章 変遷する世界
168.連休の過ごし方(7)
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クルトさんは「まだ」と言ったけど、バルドルさんの後追い被害を最も迅速に抑えるには番うのが効果的だとウーガさんは断言した。
式を上げず二人だけで術式を交わすことも可能で、その場合は大臣さんにお願いしたら術式が刻まれた特殊な紙が貰えるというから、流れ的には区役所で貰った婚姻届けにその場でサインをして二人だけで提出するのと変わらない気がする。こっちの世界では証人が必要ないからね。
「とはいえ、それは二人で相談して決めればいいことなのでー。話合いが巧くいくよう願いを込めて楽しいお店に連れて行っちゃおうかな。レンは誕生日まだだけど中身大人だし大丈夫だよね?」
「……いまので大丈夫じゃなくなりました」
「どこへ行くつもりなの……!」
いやもうわざわざ大人なの確認された時点で想像はついたけど、案の定、ウーガさんに案内されたのは花街の近くにあるピンクピンクしい派手なお店で、花やハートのモチーフが随所に乱舞し、咽せ返るほど甘い匂いに満たされた道具専門のお店だった。
状態異常を起こすんじゃないかと思って警戒したけど、甘い匂いは普通のオイルだし、目がチカチカするのも装飾過多なだけで悪意のあるものではなく、花街の近くというだけで、中ではないのだ。
周りには普通の店の方が圧倒的に多く、其処自体、未成年の入店を禁止しているわけでもない。
ただ、奥の方に複数のカーテンで仕切られたスペースがあり、その内の幾つかに『成人限定』の文字が記されているだけだ。
まぁぶっちゃけアダルトショップだよね!
「ウーガ……」
「大丈夫だって、ここは輸入品も取り扱ってる帝国公認の店だから。コレの品質も保証されてるよ」
お酒を飲むようなジェスチャー付きで言うウーガさんにクルトさんは口を噤むも、俺を見て眉を八の字にした。
「……レンくん、ごめん。一度船に帰ろう。送っていくから」
「それってクルトさんは此処に用があるってことでしょう?」
「うーん……それは、まぁ」
「なら行きましょう。船から此処まで結構距離がありますし、一度戻ってからもう一回なんて手間ですもん」
「でも……」
「えっちぃの買うなら見ないようにしますし」
「買わないよ⁈」
「え。せっかくだし買おうよ」
「要らないから!」
真っ赤になるクルトさんに、ウーガさんと二人で笑う。
「少し離れて待ってます。主神様の加護もありますし大丈夫ですよ」
「そう、かなぁ……」
まだ納得しかねる様子のクルトさんに「大丈夫です」と強引に言い切って店にお邪魔する。
「いらっしゃいませー」
店内から声を掛けて来てくれたお姉さんは肌色多めの水人族だった。耳がギザギザしているのが特徴的で、今回はすぐに判った。
「あら可愛らしいお客様ね。御入用なのは装飾品かしら?」
「イヌ科の後追い関連の小道具ってあるー?」
「ちょっ……」
「あらまぁ大変。それならこちらよ、どうぞ。水人族の子用に誂えているからリス科に合うかは判らないけど……」
文句を言いたいクルトさんと、気にしないウーガさんと、慣れているらしい店員さん。
というか、本当に、よく耳だけで相手の種族が判るものだと感心する。
俺は先に言っておいた通り二人から少し離れて店内を見て回ることにした。こういうお店は入った事がないから、正直に言えばとても興味がある。
「手前に薬品関係、こっちが……贈り物かな?」
銀級ダンジョンに入場する前に、覚えなさいと渡されたレシピにあった未成年使用禁止の薬品がずらりと並び、向いの列にはガラスの置物や木工細工の箱など女性が喜びそうな小物がずらりと並んでいる。
「あ、このガラスペンすごく綺麗……」
グロッド大陸からの輸入品で、なかなかの高額。
触れないように気を付けながらじっと見ていると、光の当たり具合で色が変わることに気付いた。うん、とても綺麗だ。
薬品関係は、自分が作ってパーティメンバーに販売するのに比べるとお値段がほぼ倍。こういうのは健康管理や人生設計に直結するためどの店に行っても同じくらいの価格で売られていると習ったが原価を知っている身としては高過ぎると思わざるを得ない。
俺の場合はダンジョン内で自分で素材を採取出来るから尚更だけども……。
「品質は保証しますよ?」
「えっ」
唐突に声を掛けられて顔を上げると、おじいちゃんと呼んで差し支えなさそうな年代の、白衣を着た男の人が立っていた。
動くとふわりと香る薬草の匂い。
たぶんこの店の薬師だろう。
耳は俺と同じ左右に人のそれ。人族だ。
「幾つ必要ですかな?」
「え、っと、すみません。俺も薬師で、今日は社会勉強に……」
適当に言ってしまったが嘘でもない。
他の人が作る薬品の値段なんて実際に店に来てみなければ知りようがないからだ。気を悪くさせるかなって思ったが男性は柔らかく笑んでくれた。
「そうでしたか。お一人でここまで?」
「いえ。同じパーティメンバーの……あそこにいる二人とです」
店内を見渡し、少し離れた場所にいる二人を指差す。と、慌てて此方から視線を外す客が何人かいた。
「……?」
「なるほどなるほど」
男性が頷いた。
「ではお友達の買い物が終わるまではこの老人が店内をご案内しましょう」
「え」
「花街には高額で低品質の薬を売り裁く悪い連中もいれば、花街を狩場と勘違いしている者もおりますからのぅ」
言われている意味を理解すると同時、急に方向転換して店を出て行く客がいた。遠巻きに見ている人達は獣人族で、この薬師のおじいさんと、近付いて来ようとしていたのは人族。
その違いは、やっぱり匂いがわからないことだ。
「君みたいな子が単独行動をするのは控えるべきですよ」
「はい。考えが至らなくて申し訳ありませんでした」
見知らぬ誰かが近付いてきたら、触れられた時点でいろいろと発動するため万が一にもピンチになる事は無いと思うが、心配してくれているのが判るのできちんと謝罪する。
それから、男性は並んでいる薬品を一つ一つ説明してくれた。
社会勉強と言ったのを信じてくれたらしい。
中にはオセアン大陸独特のものや、水人族にしか効果のないものもあると知り、師匠も知らないかもしれないそれらの説明はとても興味深く、すっかり聞き入ってしまった。
「はぁー……ところ変わればとは言いますけど、獣人族と水人族でこんなに違うんですね」
「わたしも君のおかげでとても楽しかった。幾つになっても学びとはいいものですね」
ふふって笑い合った視界で、店の奥にあるカーテンが揺れた。
「あの、カーテンで仕切られている部屋の向こうには何があるんですか?」
成人指定の文字がないカーテンを指差して尋ねると、薬師の男性はふふっと笑う。
「あそこは店長が針子達と作った力作の売り場です」
「力作?」
「視覚的に恋人を誘惑するための着衣と言えばお判り頂けますかな。価格は御高めですが効果はピカ一と評判ですよ」
「っ」
「君にはまだ早いと思いますが」
「そうですねっ、ええ、必要ないと思います!」
「ふぉっふぉっふぉ」
慌てて応えたら大笑いされてしまった。
それから少ししてクルトさんとウーガさんがやって来て、薬師の彼に「可愛い子を連れて来るな」「連れてきた以上は傍を離れるな」と怒られて、全員で改めて謝罪した。
「ごめんねレンくん」
「いえ、離れたのは俺ですし、一度戻ろうって言ってくれたのに強引に入ったのも自分です。こちらこそすみませんでした」
「俺もごめん」
みんなで謝罪し合って、小さく笑う。俺の規格外に慣れ過ぎたって言われたら異議ありだが、全員無事なので結果オーライだ。
「ところで何を買ったんですか?」
クルトが抱えている紙袋を見て言うと、視線を外された。
あ。
もしかしてアダルトグッズ的な何かだろうかと、不謹慎だとは知りつつもわくわくしてしまう。
「聞かない方がいいですか? 後追いに効果のある小道具って危ない物だったり……」
「え。いや……それで紹介された道具はほとんどが薬品で」
「薬?」
「そう。超強力な即落ちの睡眠香が一番マトモだったかな……ピマンの搾り汁を加えた催涙スプレーとか、近付くと軽い爆発が起きる魔導具とかもあったけど」
「……痴漢を撃退するんですか?」
「ね」
クルトさんが頷き、ウーガ―さんは「バルドルが痴漢……!」って笑ってる。
ちなみにピマンは唐辛子みたいな野菜だ。
「他には装着した人にしか外せない目隠しだとか、耳栓だとか……」
「へー……」
「10メートルまで鎖を伸ばせる手枷なんていうのも」
「手枷っ?」
「二人で片方ずつ手首に着けると微弱な魔力を流し続けるから常に存在を感じられるんだって。船室なら充分に端から端まで届きますよっておススメされた」
「へぇ」
「うん……」
「買った?」
「ってないよ!」
即答だった。
ウーガさんがお腹が痛いと言いながら笑っている。
「じゃあ何を買ったんですか?」
「これは……その……」
「レン、レン」
「はい」
「それ避妊薬。あの店のは品質が保証されてるから」
「えっ。あそこの薬、どれもすごく高かったですよ⁈ それに避妊薬なら俺が――」
「さすがにパーティの仲間にエッチの回数把握されるのはイヤじゃん」
あ。
思わずクルトさんを見たら、ものすごく申し訳なさそうな顔をしているからそれなら思い至らなかった俺が悪いって慌てて謝った。
そうだよね。
普通に考えて嫌だよね!
「あの、方法考えましょう! えっと……棚か、専用の鞄か用意して、ぁ……そうだ『自動販売機』! 中に常に20本くらい入れておくようにして、お金を入れたら出て来るんです! 3つのパーティどころか船の皆さんとも共用にしたら誰が何個なんて判らなくなるし……そう、俺どこでも〇ア作るんです! そしたらゲンジャルさん達もだから」
「待て待て」
「待って!」
止められて口を閉じたら、二人とも困惑気味。
「鞄か棚の案は良いと思うけど」
「どこでもド〇って、なに」
「え、っと……転移陣の扉バージョン……?」
「「……ん?」」
説明しても困惑されてしまった。
式を上げず二人だけで術式を交わすことも可能で、その場合は大臣さんにお願いしたら術式が刻まれた特殊な紙が貰えるというから、流れ的には区役所で貰った婚姻届けにその場でサインをして二人だけで提出するのと変わらない気がする。こっちの世界では証人が必要ないからね。
「とはいえ、それは二人で相談して決めればいいことなのでー。話合いが巧くいくよう願いを込めて楽しいお店に連れて行っちゃおうかな。レンは誕生日まだだけど中身大人だし大丈夫だよね?」
「……いまので大丈夫じゃなくなりました」
「どこへ行くつもりなの……!」
いやもうわざわざ大人なの確認された時点で想像はついたけど、案の定、ウーガさんに案内されたのは花街の近くにあるピンクピンクしい派手なお店で、花やハートのモチーフが随所に乱舞し、咽せ返るほど甘い匂いに満たされた道具専門のお店だった。
状態異常を起こすんじゃないかと思って警戒したけど、甘い匂いは普通のオイルだし、目がチカチカするのも装飾過多なだけで悪意のあるものではなく、花街の近くというだけで、中ではないのだ。
周りには普通の店の方が圧倒的に多く、其処自体、未成年の入店を禁止しているわけでもない。
ただ、奥の方に複数のカーテンで仕切られたスペースがあり、その内の幾つかに『成人限定』の文字が記されているだけだ。
まぁぶっちゃけアダルトショップだよね!
「ウーガ……」
「大丈夫だって、ここは輸入品も取り扱ってる帝国公認の店だから。コレの品質も保証されてるよ」
お酒を飲むようなジェスチャー付きで言うウーガさんにクルトさんは口を噤むも、俺を見て眉を八の字にした。
「……レンくん、ごめん。一度船に帰ろう。送っていくから」
「それってクルトさんは此処に用があるってことでしょう?」
「うーん……それは、まぁ」
「なら行きましょう。船から此処まで結構距離がありますし、一度戻ってからもう一回なんて手間ですもん」
「でも……」
「えっちぃの買うなら見ないようにしますし」
「買わないよ⁈」
「え。せっかくだし買おうよ」
「要らないから!」
真っ赤になるクルトさんに、ウーガさんと二人で笑う。
「少し離れて待ってます。主神様の加護もありますし大丈夫ですよ」
「そう、かなぁ……」
まだ納得しかねる様子のクルトさんに「大丈夫です」と強引に言い切って店にお邪魔する。
「いらっしゃいませー」
店内から声を掛けて来てくれたお姉さんは肌色多めの水人族だった。耳がギザギザしているのが特徴的で、今回はすぐに判った。
「あら可愛らしいお客様ね。御入用なのは装飾品かしら?」
「イヌ科の後追い関連の小道具ってあるー?」
「ちょっ……」
「あらまぁ大変。それならこちらよ、どうぞ。水人族の子用に誂えているからリス科に合うかは判らないけど……」
文句を言いたいクルトさんと、気にしないウーガさんと、慣れているらしい店員さん。
というか、本当に、よく耳だけで相手の種族が判るものだと感心する。
俺は先に言っておいた通り二人から少し離れて店内を見て回ることにした。こういうお店は入った事がないから、正直に言えばとても興味がある。
「手前に薬品関係、こっちが……贈り物かな?」
銀級ダンジョンに入場する前に、覚えなさいと渡されたレシピにあった未成年使用禁止の薬品がずらりと並び、向いの列にはガラスの置物や木工細工の箱など女性が喜びそうな小物がずらりと並んでいる。
「あ、このガラスペンすごく綺麗……」
グロッド大陸からの輸入品で、なかなかの高額。
触れないように気を付けながらじっと見ていると、光の当たり具合で色が変わることに気付いた。うん、とても綺麗だ。
薬品関係は、自分が作ってパーティメンバーに販売するのに比べるとお値段がほぼ倍。こういうのは健康管理や人生設計に直結するためどの店に行っても同じくらいの価格で売られていると習ったが原価を知っている身としては高過ぎると思わざるを得ない。
俺の場合はダンジョン内で自分で素材を採取出来るから尚更だけども……。
「品質は保証しますよ?」
「えっ」
唐突に声を掛けられて顔を上げると、おじいちゃんと呼んで差し支えなさそうな年代の、白衣を着た男の人が立っていた。
動くとふわりと香る薬草の匂い。
たぶんこの店の薬師だろう。
耳は俺と同じ左右に人のそれ。人族だ。
「幾つ必要ですかな?」
「え、っと、すみません。俺も薬師で、今日は社会勉強に……」
適当に言ってしまったが嘘でもない。
他の人が作る薬品の値段なんて実際に店に来てみなければ知りようがないからだ。気を悪くさせるかなって思ったが男性は柔らかく笑んでくれた。
「そうでしたか。お一人でここまで?」
「いえ。同じパーティメンバーの……あそこにいる二人とです」
店内を見渡し、少し離れた場所にいる二人を指差す。と、慌てて此方から視線を外す客が何人かいた。
「……?」
「なるほどなるほど」
男性が頷いた。
「ではお友達の買い物が終わるまではこの老人が店内をご案内しましょう」
「え」
「花街には高額で低品質の薬を売り裁く悪い連中もいれば、花街を狩場と勘違いしている者もおりますからのぅ」
言われている意味を理解すると同時、急に方向転換して店を出て行く客がいた。遠巻きに見ている人達は獣人族で、この薬師のおじいさんと、近付いて来ようとしていたのは人族。
その違いは、やっぱり匂いがわからないことだ。
「君みたいな子が単独行動をするのは控えるべきですよ」
「はい。考えが至らなくて申し訳ありませんでした」
見知らぬ誰かが近付いてきたら、触れられた時点でいろいろと発動するため万が一にもピンチになる事は無いと思うが、心配してくれているのが判るのできちんと謝罪する。
それから、男性は並んでいる薬品を一つ一つ説明してくれた。
社会勉強と言ったのを信じてくれたらしい。
中にはオセアン大陸独特のものや、水人族にしか効果のないものもあると知り、師匠も知らないかもしれないそれらの説明はとても興味深く、すっかり聞き入ってしまった。
「はぁー……ところ変わればとは言いますけど、獣人族と水人族でこんなに違うんですね」
「わたしも君のおかげでとても楽しかった。幾つになっても学びとはいいものですね」
ふふって笑い合った視界で、店の奥にあるカーテンが揺れた。
「あの、カーテンで仕切られている部屋の向こうには何があるんですか?」
成人指定の文字がないカーテンを指差して尋ねると、薬師の男性はふふっと笑う。
「あそこは店長が針子達と作った力作の売り場です」
「力作?」
「視覚的に恋人を誘惑するための着衣と言えばお判り頂けますかな。価格は御高めですが効果はピカ一と評判ですよ」
「っ」
「君にはまだ早いと思いますが」
「そうですねっ、ええ、必要ないと思います!」
「ふぉっふぉっふぉ」
慌てて応えたら大笑いされてしまった。
それから少ししてクルトさんとウーガさんがやって来て、薬師の彼に「可愛い子を連れて来るな」「連れてきた以上は傍を離れるな」と怒られて、全員で改めて謝罪した。
「ごめんねレンくん」
「いえ、離れたのは俺ですし、一度戻ろうって言ってくれたのに強引に入ったのも自分です。こちらこそすみませんでした」
「俺もごめん」
みんなで謝罪し合って、小さく笑う。俺の規格外に慣れ過ぎたって言われたら異議ありだが、全員無事なので結果オーライだ。
「ところで何を買ったんですか?」
クルトが抱えている紙袋を見て言うと、視線を外された。
あ。
もしかしてアダルトグッズ的な何かだろうかと、不謹慎だとは知りつつもわくわくしてしまう。
「聞かない方がいいですか? 後追いに効果のある小道具って危ない物だったり……」
「え。いや……それで紹介された道具はほとんどが薬品で」
「薬?」
「そう。超強力な即落ちの睡眠香が一番マトモだったかな……ピマンの搾り汁を加えた催涙スプレーとか、近付くと軽い爆発が起きる魔導具とかもあったけど」
「……痴漢を撃退するんですか?」
「ね」
クルトさんが頷き、ウーガ―さんは「バルドルが痴漢……!」って笑ってる。
ちなみにピマンは唐辛子みたいな野菜だ。
「他には装着した人にしか外せない目隠しだとか、耳栓だとか……」
「へー……」
「10メートルまで鎖を伸ばせる手枷なんていうのも」
「手枷っ?」
「二人で片方ずつ手首に着けると微弱な魔力を流し続けるから常に存在を感じられるんだって。船室なら充分に端から端まで届きますよっておススメされた」
「へぇ」
「うん……」
「買った?」
「ってないよ!」
即答だった。
ウーガさんがお腹が痛いと言いながら笑っている。
「じゃあ何を買ったんですか?」
「これは……その……」
「レン、レン」
「はい」
「それ避妊薬。あの店のは品質が保証されてるから」
「えっ。あそこの薬、どれもすごく高かったですよ⁈ それに避妊薬なら俺が――」
「さすがにパーティの仲間にエッチの回数把握されるのはイヤじゃん」
あ。
思わずクルトさんを見たら、ものすごく申し訳なさそうな顔をしているからそれなら思い至らなかった俺が悪いって慌てて謝った。
そうだよね。
普通に考えて嫌だよね!
「あの、方法考えましょう! えっと……棚か、専用の鞄か用意して、ぁ……そうだ『自動販売機』! 中に常に20本くらい入れておくようにして、お金を入れたら出て来るんです! 3つのパーティどころか船の皆さんとも共用にしたら誰が何個なんて判らなくなるし……そう、俺どこでも〇ア作るんです! そしたらゲンジャルさん達もだから」
「待て待て」
「待って!」
止められて口を閉じたら、二人とも困惑気味。
「鞄か棚の案は良いと思うけど」
「どこでもド〇って、なに」
「え、っと……転移陣の扉バージョン……?」
「「……ん?」」
説明しても困惑されてしまった。
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