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勝利の要因
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トドメの一撃にと全力で振り下ろそうとした左手の方向をルシウスが片腕で弾いて変えた。城の中庭が揺れ、響く轟音。
その時俺はルシウスが真後ろにいたことに全く気づかなかった。
睨みつける俺に対していつものイケメンスマイルを送ったあと、そのまま手を振りあげ、声高々に宣言した。
「それまで!!勝者、一成!!」
俺の最後の一撃はエクスの頬をかすめ、石畳のフィールドにヒビを入れていた。
エクスは、ボロボロの顔で白目を向きながら意識を失っている。
ルシウスの宣言を聞いたと同時に体の力が抜け、エクスに覆い被さるように倒れかける。それをルシウスが抱き抱えるように支えてくれた。
「やはりあなたは化け物だった。」
「試合を止めなかったお前は悪魔だがな?」
「ふふっ。そうかもしれませんね。」
「一成さん!!」
レインが一目散に駆け出して俺に回復魔法をかける。
「まさかあのエクスを倒すなんてね。」
ニヤニヤしながらソールもこちらに向かってきた。
「かなりギリギリだった……」
「あんまり無茶しないでください……」
「いつもボロボロだよな俺……でもいつもありがとう、レイン。」
魔法を使ってくれたレインの手に俺の手が当たった。
レインは今度は恥ずかしそうに顔を伏せる。
「おやおや、私達はお邪魔ですかね?」
「そうね、ルシウス。でも良い雰囲気だけど大衆の面前って事そろそろ教えてあげたら?」
「いや、気づいた時の反応が面白そうなのでしばらくこのまま見物しましょう。」
「あんたはつくづく悪魔ね。」
「そんなことよりレインさん。死んではいないと思いますがエクスにも回復魔法をお願いしますね。」
「は、はい!」
大衆からヒューヒューと野次が飛んできたので俺はレインから離れ、とりあえずルシウスにまたデコピンした。
「いやー、お見事でしたよ一成さん!!これで正式に旅の同行をお願いできますね。」
試合後にルシウスに討伐隊の隊長室に連れ込まれた。
部屋に隊長用の大きめの机と客用の長机が用意されてはいるが、その上は大量の書類と片付けられていない飲み物や食べ物が散乱していた。
壁に沿って作られている本棚には雑に本が並べられ、上下逆さまの物や開かれたまま横積みされた物、1巻と2巻が大きく離れた場所に置いてあるものまで、考えうる限りの乱雑さが目立ってる。
どうやらルシウスは整理整頓がかなり苦手なようだ。
「お前もう少し整理しろよ。」
「そんなに汚いですかね?」
「一成もそう思うでしょ?ルシウスは何でもそのままにするから私が定期的に掃除してあげてるんだけど、1週間したら元に戻ってるのよ。」
ソールが呆れ顔で腕まくりをし、机の書類をテキパキと整理したり、本棚の本を綺麗に戻している。
それを俺も手伝おうと床に落ちていた書類を手に取るが、こっちの世界の文字が読めないから手伝いようがない。精々同じ種類の物をまとめるくらいだ。
「俺も整理整頓苦手だけど流石にここまで酷くは無いな…」
「あ、あの…」
「あー、レインは机に座ってて!今回ばかりは目が見えなくて良かったと思いなさい」
入口で立たされていたレインをソファに座らせたソールは、ルシウスに向かって。
「あんたこの書類提出期限過ぎてるじゃない!こっちの飲み物いつのヤツよ!」
と、怒鳴り散らしている。その様子に、剣聖と呼ばれるルシウスもタジタジだ。
一人暮らしをしていた時、俺の母親が部屋に来て色々言われた時を思い出し、懐かしくなった。
昨日までの頭の悪そうなソールとは打って変わって丁寧に作業を行い、20分もしないうちにあっという間に部屋が綺麗になっていった
もはやルシウスがまともに生活できてるのもソールのお陰じゃないか……?
「改めて、勝利おめでとうございます。エクスを倒すことができるとなれば帝国内で反対する人間は居ないでしょう。」
「ほんとよく勝てたわね。」
「やっぱり一成さんは凄いです。」
全員から賞賛され悪い気はしないのだが、正直あんな強さの相手に勝てたことが未だに信じられない。
「エクスは俺よりかなり強かったが、俺がなんで勝てたか分からんなー……」
空いてる適当な皿を机の上から引っ張ってきて、窓を全開にした後タバコに火をつけた。
その様子を見ていたソールが俺のタバコを指さしながら口を開いた。
「あんたが勝てた要因の一旦は間違いなく咥えてたそれよ?」
その時俺はルシウスが真後ろにいたことに全く気づかなかった。
睨みつける俺に対していつものイケメンスマイルを送ったあと、そのまま手を振りあげ、声高々に宣言した。
「それまで!!勝者、一成!!」
俺の最後の一撃はエクスの頬をかすめ、石畳のフィールドにヒビを入れていた。
エクスは、ボロボロの顔で白目を向きながら意識を失っている。
ルシウスの宣言を聞いたと同時に体の力が抜け、エクスに覆い被さるように倒れかける。それをルシウスが抱き抱えるように支えてくれた。
「やはりあなたは化け物だった。」
「試合を止めなかったお前は悪魔だがな?」
「ふふっ。そうかもしれませんね。」
「一成さん!!」
レインが一目散に駆け出して俺に回復魔法をかける。
「まさかあのエクスを倒すなんてね。」
ニヤニヤしながらソールもこちらに向かってきた。
「かなりギリギリだった……」
「あんまり無茶しないでください……」
「いつもボロボロだよな俺……でもいつもありがとう、レイン。」
魔法を使ってくれたレインの手に俺の手が当たった。
レインは今度は恥ずかしそうに顔を伏せる。
「おやおや、私達はお邪魔ですかね?」
「そうね、ルシウス。でも良い雰囲気だけど大衆の面前って事そろそろ教えてあげたら?」
「いや、気づいた時の反応が面白そうなのでしばらくこのまま見物しましょう。」
「あんたはつくづく悪魔ね。」
「そんなことよりレインさん。死んではいないと思いますがエクスにも回復魔法をお願いしますね。」
「は、はい!」
大衆からヒューヒューと野次が飛んできたので俺はレインから離れ、とりあえずルシウスにまたデコピンした。
「いやー、お見事でしたよ一成さん!!これで正式に旅の同行をお願いできますね。」
試合後にルシウスに討伐隊の隊長室に連れ込まれた。
部屋に隊長用の大きめの机と客用の長机が用意されてはいるが、その上は大量の書類と片付けられていない飲み物や食べ物が散乱していた。
壁に沿って作られている本棚には雑に本が並べられ、上下逆さまの物や開かれたまま横積みされた物、1巻と2巻が大きく離れた場所に置いてあるものまで、考えうる限りの乱雑さが目立ってる。
どうやらルシウスは整理整頓がかなり苦手なようだ。
「お前もう少し整理しろよ。」
「そんなに汚いですかね?」
「一成もそう思うでしょ?ルシウスは何でもそのままにするから私が定期的に掃除してあげてるんだけど、1週間したら元に戻ってるのよ。」
ソールが呆れ顔で腕まくりをし、机の書類をテキパキと整理したり、本棚の本を綺麗に戻している。
それを俺も手伝おうと床に落ちていた書類を手に取るが、こっちの世界の文字が読めないから手伝いようがない。精々同じ種類の物をまとめるくらいだ。
「俺も整理整頓苦手だけど流石にここまで酷くは無いな…」
「あ、あの…」
「あー、レインは机に座ってて!今回ばかりは目が見えなくて良かったと思いなさい」
入口で立たされていたレインをソファに座らせたソールは、ルシウスに向かって。
「あんたこの書類提出期限過ぎてるじゃない!こっちの飲み物いつのヤツよ!」
と、怒鳴り散らしている。その様子に、剣聖と呼ばれるルシウスもタジタジだ。
一人暮らしをしていた時、俺の母親が部屋に来て色々言われた時を思い出し、懐かしくなった。
昨日までの頭の悪そうなソールとは打って変わって丁寧に作業を行い、20分もしないうちにあっという間に部屋が綺麗になっていった
もはやルシウスがまともに生活できてるのもソールのお陰じゃないか……?
「改めて、勝利おめでとうございます。エクスを倒すことができるとなれば帝国内で反対する人間は居ないでしょう。」
「ほんとよく勝てたわね。」
「やっぱり一成さんは凄いです。」
全員から賞賛され悪い気はしないのだが、正直あんな強さの相手に勝てたことが未だに信じられない。
「エクスは俺よりかなり強かったが、俺がなんで勝てたか分からんなー……」
空いてる適当な皿を机の上から引っ張ってきて、窓を全開にした後タバコに火をつけた。
その様子を見ていたソールが俺のタバコを指さしながら口を開いた。
「あんたが勝てた要因の一旦は間違いなく咥えてたそれよ?」
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