ホワイトストーン2

福猫

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第3話

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ー隆義の家ー

「リビングで待っててくれ」

「わかった」

白い鳥がリビングに向かうと隆義は龍太をお姫様抱っこしたまま寝室に向かい中に入りベッドに近づき仰向けで寝かせた。

隆義は全裸姿の龍太の身体に魔法で足首まで長い白い服を着せその場を離れリビングに向かった。

「龍太が目を覚めしたら白い森林に連れて帰れ」

そう言って隆義がソファーに座ると白い鳥が魔法の力で腰まで長い白い髪に足首まで長い服姿の人間に変身し口を開いた。

「今も変わらず龍太のこと好きか?」

「答えないとダメか」

「あぁ、聞きたい」

「お前の言う通り今も変わらず龍太のこと好きだ」

「安心して龍二と龍生の元に逝けるよ」

「シロ、お前」

「……」

微笑みながら白い鳥、シロは白い羽を撒き散らしながらその場から姿を消した。

ー寝室ー

目を覚ましていた龍太は身体を起こし涙を流した。

「シロのバカ」

「起きてたのか」

「……」

涙を流しながら龍太が見つめると隆義はベッドに近づき龍太を抱きしめた。

ー悪魔の国ー

岩山に聳え立つ城の近くに人間姿の白い鳥、シロは険しい顔で城を見つめその後、城に向かって歩き始めた。

その光景を腰まで長い白と黒の髪に足首まで長い白と黒の服姿の悪魔の男、アンナが部屋で1人、水晶で見つめていた。

「龍太じゃないのか」

そう言ってアンナは部屋を出ていき城から外に出た。

そしてアンナは近づいてくるシロを見つめた。

「……」

シロはアンナに築き立ち止まった。

「何しに来たんだ」

「お前が連れ去った人間を助けに来た」

「隆義に似た男のことか」

「それとお前が身体を乗っ取った男もだ」

「愛する男の為に命をかけて人間を助けに来るとはお前は良い鳥だ」

「お前の命を奪えば龍太はもっと喜ぶ」

そう言ってシロは魔法で剣を出現させ掴み構えた。

「俺と戦うきか」

「そのつもりで来たんだ」

「お前、俺に負ける良いのか?」

「俺はお前に負けない」

そう言ってシロは剣でアンナに向かっていき戦いが始まった。

その頃、本宮は地下の部屋で蓮司と共に眠っていた。

「うう…」

目を覚ました本宮は身体を起こし倒れている蓮司に目線を向けた。

「蓮司…」

本宮は倒れている蓮司に近づき身体に触れながら声をかけた。

「おい、蓮司、起きろ」

「……」

「蓮司、起きろ」

「うう…」

ゆっくり蓮司が目を覚ますと本宮が口を開いた。

「蓮司、起きろここから脱出するぞ」

「本宮!」

身体を起こし蓮司はまわりを見て驚いた。

「ここは何処だよ」

「蓮司、ここから脱出するぞ」

「あぁ」

蓮司と本宮は立ち上がりドアに近づいた。

本宮はゆっくりドアを開きまわりを見渡し口を開いた。

「階段がある、おそらくこの部屋は地下だろ」

「出て大丈夫なのか?」

「今のところは大丈夫だ、行くぞ」

そう言って本宮が先に部屋を出て階段をあがっていくと蓮司も部屋を出て階段をあがった。

その後、本宮と蓮司はキョロキョロしながらゆっくり廊下を歩き玄関の前に着いた。

そしてドアを開き外に出た本宮と蓮司はアンナに命を奪われ姿が消えていく人間姿の白い鳥、シロの姿に驚いた。

「部屋から出れないように結界を張ったのに出られたんだね」

そう言ってアンナは振り返り本宮と蓮司を見つめた。

「あんたの目的は何だ」

本宮が問いかけるとアンナは答える前に逃げる蓮司に向かって剣を放ち放たれた剣は蓮司の背中に突き刺され蓮司はそのまま倒れた。

「蓮司!」

本宮が驚いた顔で蓮司を見つめるとアンナは本宮に近づいた。

「……」

本宮は蓮司から目線をアンナに向け見つめた。

アンナは少し微笑み口を開いた。

「お前は逃さない」

「……」

「お前は隆義に似ている、お前を使えば龍太はお前を助けるためにここに来る」

「……」

「だからお前は逃さない」

そう言ってアンナは本宮の唇を奪った。

「……」

本宮は倒れた。

アンナは本宮をお姫様抱っこし地下の部屋に向かった。

ー隆義の家ー

「……」

ベッドに座りながら隆義は泣き疲れて眠っている龍太の姿を見つめていた。

そして隆義は龍太の頬に触れその後、ゆっくり顔を近づけ唇を重ねた。

「……」

「……」

龍太が目を覚ますと隆義は唇を離し龍太と隆義は見つめ合った。

「龍太…」

「隆義…」

龍太が口にしたその時、アンナの声が聞こえた。

「声を出すな」

「……」

「隆義に築かれないように聞け」

「龍太?」

「何」

「誰かと交信してるのか?」

「そんなのしてないよ」

そう言って龍太は隆義とキスをしながら声を聞いた。

「隆義に似た男を助けたかったら龍太、1人で俺の城に来い、隆義がついてきたら似た男の命を奪う、良いな」

「……」

交信が切れると龍太は唇を離しベッドからおりた。

「龍太、どうした」

隆義もベッドからおりると龍太は隆義を見つめ口を開いた。

「隆義」

「何?」

「何でもない、暫らく眠ってて」

「え?」

驚いた顔で見つめると隆義は龍太に唇を奪われ眠らされ床に倒れた。

龍太は隆義を仰向けでベッドに寝かせ口を開いた。

「1時間後に目を覚ますからそれまでゆっくり寝てて」

そう言って龍太はホワイトストーンを使ってその場から姿を消し悪魔の国に姿を現した。

その後、龍太は岩山に聳え立つ城に向かって歩き始めた。
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