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この一日で、俺と篤紀は恋人と呼べる関係になった。
休日の間は、田知花さんはやってこない。
だけど、今日は、特別らしい。
「隼人様のお部屋にあった物を全て移動してまいりました。
ご安心ください。
可能な範囲でできる配慮は全てしておきました」
俺は、それをただ、呆然と見ているだけで
「あぁ、ご苦労様。
ありがとう、とっても助かったよ。
これで、安心だよ。
父にも伝えておいて」
―!?
横で会話をただ、耳から耳に流している俺には、その会話をよく理解できないでいた。
会話は終わり、田知花さんは、篤紀の父親の元に行くと言って、出ていった。
「…寮から全部持ってきたのは、見ていたらわかる。
けど、どうして篤紀のお父さんが出てくるんだ?」
俺の存在を絶対に好ましく思わない立場の人間だ。
俺の不安を感じ取ったのか、篤紀が俺を抱きしめながら
「…もしかして、親が心配?
大丈夫。
俺の親は、隼人の事も、知ってるよ?」
!?
篤紀が、そんな冗談を軽々と言うわけでもない。
だから、それを嘘だということはできなかった。
篤紀は、俺を抱きしめたまま、怪我をした場所を指で撫でる。
「通学中に、すごく一生懸命に頑張っている人を見つけた。
誰にも頼ることもなく、必死になっている姿は、とても輝いて見えたんだ。
学校に行っても、ライバルの駆け引きに巻き込まれ、打算が働いた人づきあいや学校生活にうんざりしていた俺にとって、隼人は、すごく輝いて見えていたんだ。
父もね、学校でも駆け引きの話をするより、隼人の事を聞いている方が新鮮だったみたい。
少しずつ、俺の心の変化に気付いたのも、父。
俺の父はね、人間が好きなんだって、よく言ってるんだ。
だから、失敗をすることも、挫折することも、それは、人間だからできる。
機械は、人間の成功のみを詰め込まれた物だから、面白みがないって。
だから、息子が、同性に心を惹かれていると気づいたことに、すごく理解をしてくれた。
だけど、生半可な感情ではないことだけは、確認されたよ。
世の中は、そんなに甘くはないからね。
俺が、大学に入って、就職するまでに、母や妹も、徐々に気づいたみたい。
異性の事なんか、興味がないからね。
だからと言って、他の男の人に目が行くわけでもない。
はは、今じゃ、片思いをし続けている一途な息子だって思われてる。
だから、田知花が父に報告したら、もしかしたら、お祝いとかされるかもしれないよ?」
篤紀の話は、あまりにも俺に都合が良すぎて、でも、それを穏やかな表情で話をする彼。
休日の間は、田知花さんはやってこない。
だけど、今日は、特別らしい。
「隼人様のお部屋にあった物を全て移動してまいりました。
ご安心ください。
可能な範囲でできる配慮は全てしておきました」
俺は、それをただ、呆然と見ているだけで
「あぁ、ご苦労様。
ありがとう、とっても助かったよ。
これで、安心だよ。
父にも伝えておいて」
―!?
横で会話をただ、耳から耳に流している俺には、その会話をよく理解できないでいた。
会話は終わり、田知花さんは、篤紀の父親の元に行くと言って、出ていった。
「…寮から全部持ってきたのは、見ていたらわかる。
けど、どうして篤紀のお父さんが出てくるんだ?」
俺の存在を絶対に好ましく思わない立場の人間だ。
俺の不安を感じ取ったのか、篤紀が俺を抱きしめながら
「…もしかして、親が心配?
大丈夫。
俺の親は、隼人の事も、知ってるよ?」
!?
篤紀が、そんな冗談を軽々と言うわけでもない。
だから、それを嘘だということはできなかった。
篤紀は、俺を抱きしめたまま、怪我をした場所を指で撫でる。
「通学中に、すごく一生懸命に頑張っている人を見つけた。
誰にも頼ることもなく、必死になっている姿は、とても輝いて見えたんだ。
学校に行っても、ライバルの駆け引きに巻き込まれ、打算が働いた人づきあいや学校生活にうんざりしていた俺にとって、隼人は、すごく輝いて見えていたんだ。
父もね、学校でも駆け引きの話をするより、隼人の事を聞いている方が新鮮だったみたい。
少しずつ、俺の心の変化に気付いたのも、父。
俺の父はね、人間が好きなんだって、よく言ってるんだ。
だから、失敗をすることも、挫折することも、それは、人間だからできる。
機械は、人間の成功のみを詰め込まれた物だから、面白みがないって。
だから、息子が、同性に心を惹かれていると気づいたことに、すごく理解をしてくれた。
だけど、生半可な感情ではないことだけは、確認されたよ。
世の中は、そんなに甘くはないからね。
俺が、大学に入って、就職するまでに、母や妹も、徐々に気づいたみたい。
異性の事なんか、興味がないからね。
だからと言って、他の男の人に目が行くわけでもない。
はは、今じゃ、片思いをし続けている一途な息子だって思われてる。
だから、田知花が父に報告したら、もしかしたら、お祝いとかされるかもしれないよ?」
篤紀の話は、あまりにも俺に都合が良すぎて、でも、それを穏やかな表情で話をする彼。
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