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ヤバいクラスメイト
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「上条純一です。これから高校生として頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします」
私は教壇の前で何の面白もない挨拶をした。
他の生徒達は死んだ魚のような目で私を見ている。
そんな目で私を見るな!
面白くないのは自分が一番分かっている。
私は軽くお辞儀をしそそくさと自分の席に戻った。
地獄のような時間だった。
大体、心で思っていなくても表面上は笑顔でいたらどうなんだ?
せめて私だけでも暖かく見守ってあげよう。
後ろの席の女の子が自己紹介をするために教壇へと向かった。
私はその女の子に向かって満面の笑みを向けてあげた。
それから1人、また1人と自己紹介を終えていく。後、何人続くんだろう? とっくに笑顔を辞めた私は死んだ魚のような目でそんな事を考えていた。
すると、突如周りがザワザワし始めた。
ある男が教壇へと移動しているところだった。
髪は肩まで伸びておりシャツの裾はだらしなく外に出されている。
しかも猫背だ。
本人はカッコつけているつもりだろうがその姿はどこからどう見ても異様だ。
男は教壇の前まで来ると自己紹介を始めた。
「中井大成です。俺はたくさん友達を作って可愛い彼女も作って薔薇色の学園生活を送りたいと思います。よろしく」
そして中井君はズボンのポケットからスマホを取り出し上に掲げた。
「まずはラインから交換しましょう。特に女子の皆さんから交換したいです!」
中井を見る生徒の様子は今までと明らかに違った。
特に女の子達は目に恐怖の色を浮かべている。
「誰か交換する人はいませんか―」
「中井! いい加減にしろ!」
中井君の自己紹介は担任の怒号によって強制終了させられた。
あいつとだけは絶対に関わらないでおこう。
私はそう心に誓った……はずだったのだが。
「上条が一緒で嬉しいよ」
「そだね」
私は愛想笑いをしながら返事をした。
何でこんなに嬉しそうなんだろう?」
大体、こいつ、やけに馴れ馴れしい。
直接会話をするのはこれが初めてだというのに。
「ねえ、中井君」
「中井君なんて呼び方やめてくれよ。大成でいいぜ! 上条!」
自分は上の名前で呼んでるくせに私には下の名前で呼ぶように強要してくる。
まあ、下の名前で呼ばれても困るのだが……
「じゃあ、中井って呼ぶよ」
「本当は下の名前で呼んで欲しいけどまあ、いいや」
中井は渋々ながら了承した。
「中井もあの先輩に連れてこられたの?」
「そうだよ。廊下でボーっとしてたところを連れてこられたんだ。こいつと一緒に」
「こいつと一緒?」
私は中井の隣にいるチンパンジーの様な男に気付いた。
そういえば1年生が2人いるってねずみ男が言ってたな。
中井に気を取られていたのとこの男が全く喋らなかったために存在を忘れていた。
「お前もちゃんと挨拶しろ」
中井に促されチンパンジー男は口を開いた。
「三島直人」
ただ一言そう言うとチンパンジー男改め三島は再び口を閉ざした。
「ごめんよ。こいつ中学からの同級生でさ。昔から変な奴なんだ。悪気はないから許してやってくれ」
中井がすまなそうに詫びた。
「何言ってんだ! 俺は変じゃないぞ! 俺はすごいんだ!」
三島が大声で反論する。
「急に大きな声を出すな! お前はどこからどう見ても変な奴だよ!」
「変な奴じゃない! 俺はすごいんだ! 変なのはお前だ!」
「違う! お前だ!」
「お前だ!」
「お前だ!」
2人は言い争いを始めた。
私はその様子を冷たい目で見ていた。
正直言ってどうでもいい。
やっぱり理学部はなしだなあ。
窓から見える運動場を眺めながら私はそう思った。
私は教壇の前で何の面白もない挨拶をした。
他の生徒達は死んだ魚のような目で私を見ている。
そんな目で私を見るな!
面白くないのは自分が一番分かっている。
私は軽くお辞儀をしそそくさと自分の席に戻った。
地獄のような時間だった。
大体、心で思っていなくても表面上は笑顔でいたらどうなんだ?
せめて私だけでも暖かく見守ってあげよう。
後ろの席の女の子が自己紹介をするために教壇へと向かった。
私はその女の子に向かって満面の笑みを向けてあげた。
それから1人、また1人と自己紹介を終えていく。後、何人続くんだろう? とっくに笑顔を辞めた私は死んだ魚のような目でそんな事を考えていた。
すると、突如周りがザワザワし始めた。
ある男が教壇へと移動しているところだった。
髪は肩まで伸びておりシャツの裾はだらしなく外に出されている。
しかも猫背だ。
本人はカッコつけているつもりだろうがその姿はどこからどう見ても異様だ。
男は教壇の前まで来ると自己紹介を始めた。
「中井大成です。俺はたくさん友達を作って可愛い彼女も作って薔薇色の学園生活を送りたいと思います。よろしく」
そして中井君はズボンのポケットからスマホを取り出し上に掲げた。
「まずはラインから交換しましょう。特に女子の皆さんから交換したいです!」
中井を見る生徒の様子は今までと明らかに違った。
特に女の子達は目に恐怖の色を浮かべている。
「誰か交換する人はいませんか―」
「中井! いい加減にしろ!」
中井君の自己紹介は担任の怒号によって強制終了させられた。
あいつとだけは絶対に関わらないでおこう。
私はそう心に誓った……はずだったのだが。
「上条が一緒で嬉しいよ」
「そだね」
私は愛想笑いをしながら返事をした。
何でこんなに嬉しそうなんだろう?」
大体、こいつ、やけに馴れ馴れしい。
直接会話をするのはこれが初めてだというのに。
「ねえ、中井君」
「中井君なんて呼び方やめてくれよ。大成でいいぜ! 上条!」
自分は上の名前で呼んでるくせに私には下の名前で呼ぶように強要してくる。
まあ、下の名前で呼ばれても困るのだが……
「じゃあ、中井って呼ぶよ」
「本当は下の名前で呼んで欲しいけどまあ、いいや」
中井は渋々ながら了承した。
「中井もあの先輩に連れてこられたの?」
「そうだよ。廊下でボーっとしてたところを連れてこられたんだ。こいつと一緒に」
「こいつと一緒?」
私は中井の隣にいるチンパンジーの様な男に気付いた。
そういえば1年生が2人いるってねずみ男が言ってたな。
中井に気を取られていたのとこの男が全く喋らなかったために存在を忘れていた。
「お前もちゃんと挨拶しろ」
中井に促されチンパンジー男は口を開いた。
「三島直人」
ただ一言そう言うとチンパンジー男改め三島は再び口を閉ざした。
「ごめんよ。こいつ中学からの同級生でさ。昔から変な奴なんだ。悪気はないから許してやってくれ」
中井がすまなそうに詫びた。
「何言ってんだ! 俺は変じゃないぞ! 俺はすごいんだ!」
三島が大声で反論する。
「急に大きな声を出すな! お前はどこからどう見ても変な奴だよ!」
「変な奴じゃない! 俺はすごいんだ! 変なのはお前だ!」
「違う! お前だ!」
「お前だ!」
「お前だ!」
2人は言い争いを始めた。
私はその様子を冷たい目で見ていた。
正直言ってどうでもいい。
やっぱり理学部はなしだなあ。
窓から見える運動場を眺めながら私はそう思った。
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