もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
104 / 876
連載

馬車の旅②

 戦闘しています、ご注意ください。




 翌日、ノワールを宿に残し、冒険者ギルドに向かう。
 スカイランの道中、気を付けることがないか聞こうと思って。ビアンカとルージュがいれば、2人より強い魔物は来ない。
 ……………ビアンカとルージュより、強い魔物なんて、滅多に来ないだろうけど。
 何も脅威は、魔物だけではない。盗賊とか出てくることだってある。
 ギルドに入るとざわざわされた。まあ、仕方ないね。
 相談窓口に行くと、さっ、と熊の職員さんが出てきた。
「ミズサワ様、お久し振りです」
「お久し振りです」
 私が用件を伝える。
「スカイランまでの道中ですね? 最近まで中継地点となるノータ付近で盗賊が出没していましたが、先月討伐されましたからしばらくは安全ですよ。まあ、ミズサワ様の従魔なら、問題ございませんよ」
 スカイランまでアルブレンから街道に沿って、2ヶ月弱。大きな宿場街は3つ。一番大きな街が、ノータだ。アルブレンからスカイランまで、直線距離にすれば2ヶ月もかからないが、魔の森があるため結界石を有した街道を通らなくてはならない。ノワールの馬車では直線コースは、魔の森を抜けられないから、無理だ。
「すぐにスカイランに?」
「ええ、明日には出ようかと思って」
「そうですか、あの実は一つお願いがありまして、良かったら引き受けて頂けるとありがたいのですが」
「なんですか?」
 あのゴブリンの巣があった魔の森で、最近、巨体の猪が出て、冒険者の方に犠牲者が出たそうだ。
「本来なら複数の高ランクの冒険者パーティーに依頼したいのですが、あいにく、確保出来なくて」
 あの金の虎の皆さんは、別の街に移動しておらず、どうしようかと悩んでいる所に、私達が帰って来た。
「キングボアの更に上位種かと思います。何とか、お願い出来ませんか?」
「そう、ですねえ。ビアンカ、ルージュ、どうにかなる?」
『キングボアくらいなら、なんともないのです』
『ユイ、お肉、焼いて』
「そう来ましたか。大丈夫みたいですよ」
「ありがとうございます、ミズサワ様」
 ならば早速、行くことに。
 森の中ならビアンカなら分かると。
 皆で森に入り、ビアンカを先頭に進む。
 元気とコハクはピクニック気分で、飛んだり跳ねたりしている。ルリとクリスとヒスイも遊びながら付いてくる。
『ユイ、そろそろやつのテリトリーなのです』
 匂いを嗅いでいたビアンカが注意をしてきた。
「そうね。晃太、元気達とルームに入っといて」
「ん」
 ルームを開けて、晃太達が中に入る。閉める前に、晃太が支援をかけてくれる。
『私がヤルのです』
『私がヤルわ』
 ビアンカとルージュが、どっちが猪を倒すかで揉めている。ちょっぴり殺気だってる。怖かあ。
「どっちでもよかやん。2人で共同でやればよかやん」
『嫌、なのです』
『私がしたいわ』
 揉めに揉めて、ビアンカとルージュが共同で倒す事に。
『お肉をキズつけないようにするのです』
『そうね。焼き肉ね』
「はいはい」
 猪がビアンカとルージュを前に出てくることはない。なので、私が囮になる。もちろん、ルージュが光の塊を出してくれる。本日はスイカサイズ。1個でゴブリン何匹分だろう?
『ユイ、私達は気配をこれから消すのです』
『心配しないで、すぐに近くにいるから』
「お願いね」
 念のために、フライパンを持つ。大きな猪に歯が立つとは思えないけどね。晃太が防御力をあげてくれている。
 恐る恐る進む。いつものビアンカとルージュの姿が見えないから、不安でたまらない。
  がさがさっ
 あ、目が合った。
 で、デカかあッ。二階建ての家並みの背丈に、牙なんて、私の足より太かよ。見上げるような体躯。白地に茶色のラインが入っている。
 あれよ、トラックみたいよ。
 え? これ、人が倒せるの?
「グルルルルルッ」
 ひーっ。
 猪は前肢で地面を蹴っている。
 あはははん、戦闘体勢ね。
  ごうんっ
 猪の足元の地面が1メートル程陥没。私の後ろから、閃光が走り、猪の脳天を直撃。黄色の目が、上転する。
 ………………………
 え、終わっちゃった?
『お肉なのです』
『お肉、ユイ、焼き肉にして』
「……………はいはい」
 ルームから出てきた晃太に、アイテムボックスに入れてもらい、アルブレンに戻る。
 昼前に出たので、夕方前には帰り着く。屋台でビアンカとルージュが寄り道。たくさん買ったし、帰りも寄るのでお願いすると快く引き受けてくれた。
 ギルドに着くと、窓口に熊の職員さん、ウルススさんが出てきた。猪の時に、別の職員さんから呼ばれていて、初めて名前が発覚。
「ミズサワ様、どうされました?」
「頼まれた猪、倒して来ました」
 ぴく、とウルススさんの眉が動く。
「では、倉庫に」
 お久し振りの解体主任さんに、ご挨拶。
 晃太がアイテムボックスから猪を出すと、歓声が上がる。
「静かにしろッ」
 解体主任さんが、ピシッ、と注意すると静かになる。なんだか孤児院の子供達を思い出す。
「ホワイトキングボアだな。肉はどうする?」
『『焼き肉焼き肉焼き肉』』
「美味しいところは?」
「もも、バラだな。ヒレもうまいぞ」
 よし。
「なら全部ください」
「ミズサワ様、少しギルドに回して頂けませんか?」
 解体を無料で、明日までにしてくれると言ってくれたので、半分引き取りになる。
「では、ミズサワ様、こちらに」
 ウルススさんと応接室に向かう。
「ありがとうございますミズサワ様、こんなに早く解決していただけるとは」
「ビアンカとルージュが頑張ってくれただけなので」
 ウルススさんが書類を出す。
 依頼主は冒険者ギルド。
 確認して、サインと魔力を流す。
「明日、成功報酬と共に皮、牙、残りの肉の買い取りを含めてお支払でよろしいですか?」
「はい」
 牙は工芸品、革は柔らかく丈夫で、上質な鎧やブーツになると。特に白い革鎧は女性冒険者に人気だそうだ。
『ユイ、焼き肉は明日なのです?』
『ユイ、エビも焼いて』
「はいはい、明日ね」
 帰ったら、ディレックスで買い物しなくては。
 ウルススさんに挨拶して、屋台に寄って買い物をする。
 宿に戻り、ルージュの魔法のカーテンを広げてもらい、ルームを開ける。サブ・ドアを開けて、両親と花を入れる。
「くうん、くうん」
 花が尻尾をくねらせて私と晃太の足元に、くねくね。かわいかあ。
 両親もルームに入って来て、夕御飯の準備をする。
「で、明日、猪のお肉で焼き肉になったんよ」
「そうね。なら、準備せんとね」
 夕御飯後、母とディレックスでお買い物。
 野菜になめ茸、魚介類、ウインナーを大量に購入する。
 孤児院の炊き出しの為の材料もかごに。肉団子のシチューが大好評で、次々に材料を入れる。次に人気なのは、貝柱のシチューだそうだ。母がいく日を皆楽しみにしていると。今、孤児達は二手に分かれて生活しているので、それぞれ週に1回に鍋を持って行っている。
 お会計を済ませて出る。
 それから明日の焼き肉の準備をある程度して、両親と花がサブ・ドアの向こう、マーファに戻った。
感想 851

あなたにおすすめの小説

「三番以下を取りなさい」と五年言われ続けたので、公開試験で本気を出しました

歩人
ファンタジー
王立魔法学院、入学時首席のリュシエンヌは、婚約者レイナルト公爵令息から五年間「女は三番以下を取れ」と命じられてきた。学院の序列は国家序列の縮図。レイナルトは常に一位に居続けた。婚約披露を控えた十九歳の春、レイナルトが新しい婚約者を連れて告げる。「お前では並び立てぬ。学力も身分も、足りなすぎる」——リュシエンヌは微笑んで、その翌日の年次公開試験で、五年封じてきた本気を出した。国王臨席の場で、史上最高点。魔法局長官が教授陣に命じる。「過去五年間の彼女の実測点と、もし本気で受けていたら出せた推計点を、公表したまえ」。教授陣は震える手で数字を並べた。レイナルトの「首席」は、全て彼女が譲った場所だった。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

夫の不倫相手に「妻の座を譲れ」と言われたので、譲る代わりに全部置いていきます 〜行き先は老舗旅館。追いかけてきても、もう遅いです〜 

なつめ
恋愛
夫の愛人に「妻の座を譲れ」と言い渡された主人公は、怒鳴り返すこともしがみつくこともせず、ただ静かに頷いた。 家のこと、食事のこと、社交のこと、義実家のこと、会社の裏方のこと。 誰も価値を知らなかった“妻の座”の中身を、そっくりそのまま置いて家を出る。 向かった先は、かつて傷ついた自分を受け入れてくれた老舗旅館。 再建に奔走する若旦那とともに働く中で、主人公は初めて「役に立つから愛される」のではなく、「あなた自身がいてほしい」と言われる温かさを知っていく。 一方、主人公を軽んじた元夫の家では、生活も体裁も仕事もじわじわと崩壊を始める。 これは、何も持たずに出ていったはずの女が、自分の人生を取り戻し、最後には新しい恋と居場所を手に入れる再生の物語。

見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです

珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。 その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。 それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。

夫が私にそっくりな下の娘ばかりをかわいがるのですけど!

山科ひさき
恋愛
「子供達をお願い」 そう言い残して、私はこの世を去った。愛する夫が子供達に私の分も愛情を注いでくれると信じていたから、不安はなかった。けれど死後の世界から見ている夫は下の娘ばかりをかわいがり、上の娘をないがしろにしている。許せない。そんな時、私に不思議な声が呼びかけてきて……。

「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」と追放された令嬢——王宮の食器が一枚も焼けなくなった

歩人
ファンタジー
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」——王宮御用達の食器を焼く伯爵令嬢エルザは、婚約者の第二王子に手の荒れを嗤われて追放された。十二歳から十年間、王宮の全ての食器を手ずから焼いてきた。彼女の食器は特殊な土と焼成技術で魔力を通し、毒に触れると色が変わる。料理の温度も保つ。追放から三ヶ月後、晩餐会で新しい食器を使ったところ、毒が検知されず隣国の大使が倒れた。外交問題に発展する中、第二王子が「食器くらい誰でも焼ける」と窯に立った結果、出来上がったのは歪んだ灰色の皿だった。

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※

私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです

天宮有
恋愛
 子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。  数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。  そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。  どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。  家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。