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エリクサー③
軍隊ダンジョンの3階ボス部屋には、スライムかゴブリンしか出ませんよ。と、いつも対応してくれる中年男性職員さん、サハーラさんが教えてくれたので、早速次の日朝から行った。
2時間で到着。
ルリとクリスとヒスイは疲れているようだったが、元気とコハクはパワーに溢れている。
ボス部屋の前には何組か並んでいて、ビアンカとルージュ、そしてノワールまで連れた私達にドン引きしていた。
最後尾に並ぶと、すぐに扉が開く。
「開きましたよ」
と、すぐ前の人が教えてくれる。
「ちょっとボス部屋に用がありまして」
「そうですか」
私達の前の人達がボス部屋に挑戦。30分程で復活する。その頃には、ルリとクリス、ヒスイも十分休めたようだ。
『私が開けるのです』
『スライムかしら?』
「ブヒヒン」
「ちょっと待ってん、私が開けるけん」
『これくらいの魔力、大丈夫なのです』
だから、心配はそこじゃないんよ。
結局、ビアンカが押し開ける。
あ、良かった、スライムだ。
あはははん、数、半端ない。
私と晃太はフライパンを振り回した。
夕方になってやっと元気とコハクが落ち着く。
緑の軍団が出てきた時は、さすがにビアンカとルージュにお願いした。ノワールも張り切って暴走するように駆けていた。
軍隊ダンジョンを出ると、案の定、元気とコハクはぱたんきゅー。なのでバギーに乗せる。
マルシェを抜けて宿に向かおうとすると、昨日のお花の女の子がいた。今日もお花売っているのか、えらかなあ、よし、買っちゃろう。
「お花、くださいな」
「あ、昨日のお姉ちゃん。あのね、先生が来たら孤児院に案内しなさいって」
「あらそう?」
昨日の事かな。まあ、どうせ、行くし、よかか。
「なら、案内してくれる?」
「うん、こっちだよ」
女の子に案内されて、マルシェを抜けて、しばらく進むと教会が。孤児院は裏に併設されている。
「こっち」
「はいはい」
敷地内に入り、孤児院の入り口に。
ここも、ずいぶんぼろぼろだな。でも、なんだろう、活気がない。今までの孤児院には、子供達の歓声があるのに。
「ちょっと待って、先生呼んでくる」
「うん」
女の子が中に入る。
「ねえ。ビアンカ、ルージュ、他に子供おらんのかね?」
『いるのです』
『ただ、ちょっと様子がおかしいわね。皆、沈んでいるわ』
「沈む?」
話していると、女の子が白髪混じりの牧師さんを連れてくる。
「ああ、貴女が噂のテイマー様ですね。昨日、この子が大金を受け取りましたが、花の代金として頂いていい額ではないので」
「あ、構いません。受け取ってください。食費にでもしてください」
私が答えると、牧師さんは深く頭を下げる。
「ありがとうございます、ありがとうございます」
「いえいえ。あの、他に子供達っていないんですか? 従魔が様子がおかしいと」
私の言葉に、牧師さんの顔色が変わる。
「どうされました?」
牧師さんは少し考えて、言葉を絞り出す。
「もうすぐ、始祖神様に召される子がおりまして、皆でその子が、迷わず安らかに道を行ける様に祈っています」
私は牧師さんにお願いして、その子の元に。晃太とビアンカとルージュには外で待ってもらう。
このタイミングで聞いたのなら、きっと意味がある。
牧師さんは奥の部屋に案内してくれる。
かなりお年を召したシスターが、ベッドサイドでお祈りしている。
「この子です」
ベッドには3歳くらいの男の子。
私はその肌色を見て絶句する。
不自然に黄色に染まった肌、本来なら艶やかなのだろうに、艶が一切見られない。微かに息はしているが、かなりか細い。
まずい、まずい、まずい。
これは、まずい。
これ、黄疸や。
私の手持ちの中で、どうにか出来るレベルじゃない。
私は『神への祈り』をしてみたが、発動しない。
シスターが祈りを捧げた私に、お礼を言ってきた。
「この子のために祈りを捧げてくださり、ありがとうございます」
「いいえ」
どうしよう、どうしよう、どうにか、どうにか出来ないか? どうにも出来ないのか?
どうにか、あっ。
「外にいる弟を呼んでください」
「はい?」
「急いでッ」
牧師さんはあわてて晃太を呼びに行く。
「あの…………」
シスターが心配そうに聞いてくる。
「少しだけ、私にチャンスをください」
私の答えに、シスターは首を傾げる。
晃太が牧師さんに連れられて、部屋に入って来る。
晃太も男の子の顔色を見て、言葉を失う。
「すみません、アイテムボックスの中を見るので、少しだけ席を外して頂けませんか?」
「あの、テイマー様?」
牧師さんが訝しげな顔だ。
「お願いします。時間がありません」
「……………分かりました。シスターアマーベル、出ましょう」
「はい、分かりました」
高齢シスターと牧師さんが退室する。
「どうするんね姉ちゃん」
「晃太、エリクサーば出しといて」
あらゆる呪い、病気、体の欠損を癒す、エリクサー。
そう、1本だけ、ある。
冷蔵庫ダンジョンで出てきた、たった1本。
「ちょっとルーム開けるけん、誰もこの部屋に入らんようにしといて」
「いいけど」
私はルームを開けて、サブ・ドアを開ける。
「くうんくうん」
花がわがままボディを、くねらせる。かわいか、なのだが、今はそんなことを言ってられない。
両親も入って来る。
「あら、晃太は?」
母が首を傾げる。
「ちょっとね、お父さん、来てん」
「ん?」
「早く」
戸惑いながら、スリッパを履いた父を誘導する。
ドアの向こうに。父はベッドの上の男の子に絶句する。
「こん子、見て」
「………………末期肝臓ガン、多臓器不全、余命3時間」
余命3時間。
「姉ちゃん、どうするん?」
晃太はかなり焦って聞いてくる。手には中級エリクサー。
「お父さん、これでこん子治せる?」
「ちょっと待ってな………3割くらい身体に吸収されたら完治するな。身体が光れば、完治の印や」
「分かったありがとお父さん。悪かけど、今日はマーファにこのまま帰って」
「分かった」
父とルームに入る。
ルームの窓から見ていた母の顔色が悪い。
「あの子、どうしたんね?」
「末期肝臓ガン、今から何とかする」
マーファに両親と花を見送り、私はダッシュでディレックスに。
目的の物を手に入れて、支払い、ルームを出る。
「姉ちゃん、どうするんよ?」
「さあ、足掻くよ」
私は懐中電灯とスポイトを晃太に見せた。
2時間で到着。
ルリとクリスとヒスイは疲れているようだったが、元気とコハクはパワーに溢れている。
ボス部屋の前には何組か並んでいて、ビアンカとルージュ、そしてノワールまで連れた私達にドン引きしていた。
最後尾に並ぶと、すぐに扉が開く。
「開きましたよ」
と、すぐ前の人が教えてくれる。
「ちょっとボス部屋に用がありまして」
「そうですか」
私達の前の人達がボス部屋に挑戦。30分程で復活する。その頃には、ルリとクリス、ヒスイも十分休めたようだ。
『私が開けるのです』
『スライムかしら?』
「ブヒヒン」
「ちょっと待ってん、私が開けるけん」
『これくらいの魔力、大丈夫なのです』
だから、心配はそこじゃないんよ。
結局、ビアンカが押し開ける。
あ、良かった、スライムだ。
あはははん、数、半端ない。
私と晃太はフライパンを振り回した。
夕方になってやっと元気とコハクが落ち着く。
緑の軍団が出てきた時は、さすがにビアンカとルージュにお願いした。ノワールも張り切って暴走するように駆けていた。
軍隊ダンジョンを出ると、案の定、元気とコハクはぱたんきゅー。なのでバギーに乗せる。
マルシェを抜けて宿に向かおうとすると、昨日のお花の女の子がいた。今日もお花売っているのか、えらかなあ、よし、買っちゃろう。
「お花、くださいな」
「あ、昨日のお姉ちゃん。あのね、先生が来たら孤児院に案内しなさいって」
「あらそう?」
昨日の事かな。まあ、どうせ、行くし、よかか。
「なら、案内してくれる?」
「うん、こっちだよ」
女の子に案内されて、マルシェを抜けて、しばらく進むと教会が。孤児院は裏に併設されている。
「こっち」
「はいはい」
敷地内に入り、孤児院の入り口に。
ここも、ずいぶんぼろぼろだな。でも、なんだろう、活気がない。今までの孤児院には、子供達の歓声があるのに。
「ちょっと待って、先生呼んでくる」
「うん」
女の子が中に入る。
「ねえ。ビアンカ、ルージュ、他に子供おらんのかね?」
『いるのです』
『ただ、ちょっと様子がおかしいわね。皆、沈んでいるわ』
「沈む?」
話していると、女の子が白髪混じりの牧師さんを連れてくる。
「ああ、貴女が噂のテイマー様ですね。昨日、この子が大金を受け取りましたが、花の代金として頂いていい額ではないので」
「あ、構いません。受け取ってください。食費にでもしてください」
私が答えると、牧師さんは深く頭を下げる。
「ありがとうございます、ありがとうございます」
「いえいえ。あの、他に子供達っていないんですか? 従魔が様子がおかしいと」
私の言葉に、牧師さんの顔色が変わる。
「どうされました?」
牧師さんは少し考えて、言葉を絞り出す。
「もうすぐ、始祖神様に召される子がおりまして、皆でその子が、迷わず安らかに道を行ける様に祈っています」
私は牧師さんにお願いして、その子の元に。晃太とビアンカとルージュには外で待ってもらう。
このタイミングで聞いたのなら、きっと意味がある。
牧師さんは奥の部屋に案内してくれる。
かなりお年を召したシスターが、ベッドサイドでお祈りしている。
「この子です」
ベッドには3歳くらいの男の子。
私はその肌色を見て絶句する。
不自然に黄色に染まった肌、本来なら艶やかなのだろうに、艶が一切見られない。微かに息はしているが、かなりか細い。
まずい、まずい、まずい。
これは、まずい。
これ、黄疸や。
私の手持ちの中で、どうにか出来るレベルじゃない。
私は『神への祈り』をしてみたが、発動しない。
シスターが祈りを捧げた私に、お礼を言ってきた。
「この子のために祈りを捧げてくださり、ありがとうございます」
「いいえ」
どうしよう、どうしよう、どうにか、どうにか出来ないか? どうにも出来ないのか?
どうにか、あっ。
「外にいる弟を呼んでください」
「はい?」
「急いでッ」
牧師さんはあわてて晃太を呼びに行く。
「あの…………」
シスターが心配そうに聞いてくる。
「少しだけ、私にチャンスをください」
私の答えに、シスターは首を傾げる。
晃太が牧師さんに連れられて、部屋に入って来る。
晃太も男の子の顔色を見て、言葉を失う。
「すみません、アイテムボックスの中を見るので、少しだけ席を外して頂けませんか?」
「あの、テイマー様?」
牧師さんが訝しげな顔だ。
「お願いします。時間がありません」
「……………分かりました。シスターアマーベル、出ましょう」
「はい、分かりました」
高齢シスターと牧師さんが退室する。
「どうするんね姉ちゃん」
「晃太、エリクサーば出しといて」
あらゆる呪い、病気、体の欠損を癒す、エリクサー。
そう、1本だけ、ある。
冷蔵庫ダンジョンで出てきた、たった1本。
「ちょっとルーム開けるけん、誰もこの部屋に入らんようにしといて」
「いいけど」
私はルームを開けて、サブ・ドアを開ける。
「くうんくうん」
花がわがままボディを、くねらせる。かわいか、なのだが、今はそんなことを言ってられない。
両親も入って来る。
「あら、晃太は?」
母が首を傾げる。
「ちょっとね、お父さん、来てん」
「ん?」
「早く」
戸惑いながら、スリッパを履いた父を誘導する。
ドアの向こうに。父はベッドの上の男の子に絶句する。
「こん子、見て」
「………………末期肝臓ガン、多臓器不全、余命3時間」
余命3時間。
「姉ちゃん、どうするん?」
晃太はかなり焦って聞いてくる。手には中級エリクサー。
「お父さん、これでこん子治せる?」
「ちょっと待ってな………3割くらい身体に吸収されたら完治するな。身体が光れば、完治の印や」
「分かったありがとお父さん。悪かけど、今日はマーファにこのまま帰って」
「分かった」
父とルームに入る。
ルームの窓から見ていた母の顔色が悪い。
「あの子、どうしたんね?」
「末期肝臓ガン、今から何とかする」
マーファに両親と花を見送り、私はダッシュでディレックスに。
目的の物を手に入れて、支払い、ルームを出る。
「姉ちゃん、どうするんよ?」
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私は懐中電灯とスポイトを晃太に見せた。
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