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閑話 次への おまけ?①
「ミズサワさん、大丈夫かな?」
見送って、ハジェルが心配そうに、誰に聞くわけではないが呟く。マアデンも心配そうだ。
「まあ、いつか来るトラブルだよ。ミズサワさん自身、ある程度は覚悟していただろうし」
そんな2人に答えているのは、ラーヴだ。シュタインはユイ達が立ち去った後をじっと見ている。
そんな中、山風のリーダーであるロッシュは、直立不動から、頭を下げている。
「ご無沙汰しています、フェリクスさん」
「久しぶりだな、ロッシュ。何年振りだ? お前が独り立ちしてからだから」
「12年です」
「もうそんなになるか」
フェリクスは深く頭を下げるロッシュに、微笑ましい笑みを浮かべる。
「あのテイマーと知り合いのようだな」
「はい」
「そうか………なあ、少し話せないか?」
「はい、構いませんが」
ならば、フェリクスが冒険者ギルドに言付けしてから、合流となる。
「リーダーッ、あのSランクのフェリクスさんと知り合いなんすかっ」
「ハジェル、語尾」
「あ、はい。知り合いなんですか?」
「俺が新人の時に面倒見てくれた人だよ」
明日のダンジョンの為の買い出しを、大急ぎで済ませ、合流地点の食堂に向かいながら、ロッシュが説明する。
フェリクスがSランクになったのは10年前。冒険者としての実績だけではなく、指導者としての多くの新人を、長くに渡り引き受けて独り立ちさせたからだ。特に優秀な冒険者を排出したので、それが認めれられてのSランクへの昇格だった。
「フェリクスさんが指導したなかで突出していたのは、ウィークスさんだな。今じゃどこかの冒険者ギルドの要職に引退してすぐに引き抜かれたってさ。短期間一緒だったが、おっかない人だった」
強面のロッシュが見せた遠い目に、日頃、げんこつを落とすリーダーの姿から、想像がつかず、えぇ~、とマアデンとハジェル。
「そうだ、全員分かっているな? 御用聞きの間で知り得た情報は、漏らしてはならない。俺達は、マーファの冒険者ギルドに信頼されたから、御用聞きに選ばれたんだからな」
「「「「はい」」」」
食堂の前で少し待つ。
「そう言えば、何でフェリクスさん、あの時、手袋取ったんすかね?」
不意にハジェルが思いだし、首を傾げている。
「ハジェル、語尾。タコを確認したんだよ。警備兵をするなら、最低限の訓練しているからあるはずだ、大なり小なりな。だが、あいつの手にはそれが無かったんだろうよ」
ロッシュが答えていると、フェリクスがパーティーメンバーを連れてやって来た。
「待たせたな」
「いいえ」
食堂に入り、席につく。
今日はフェリクスの奢りとなる。
それぞれのメンバーも自己紹介する。
こう言った繋がり、ネットワークが、冒険者達の後々の強みになる。
フェリクスが明日ダンジョンに望む山風の為に、本日は禁酒として、全員、果実のジュースとなる。始めは差し障りのない話をするかとロッシュは考えていたが、いきなりダイレクトに来た。
「で、ロッシュ、あのテイマーと知り合いだったな?」
「はい、知り合いですね」
「ちょっと、彼女と従魔について教えて貰えるか?」
やはり、そう来たか、とロッシュが構える。
「フェリクスさん。俺達がミズサワさん達と関わったのは、ほとんど御用聞きの間だけなんです。なので、お話できる事はなにも」
はっきり断るロッシュに、フェリクスは思いの外簡単に引き下がる。
「そうか、御用聞きか。なら、お前にも立場があるだろう」
その問いに、ロッシュは内心胸を撫で下ろす。
「そういえばフェリクスさんも顔見知りみたいですね」
「ん? まあな、ダンジョンで」
「どう思われましたか?」
「そうだな」
料理が運ばれてくる。薫りのいい野菜とウサギ肉の炒め物、じゃがいもと腸詰めの煮込み、たくさんの具材が挟まったパニーニ、燻製魚を出汁にしたシチュー、ボア肉の串焼きが並ぶ。始めは緊張感があったが、徐々に打ち解けていくメンバー達。
「一般的なテイマーとはちょっと違う感じはしたな。初めて会った時、彼女は従魔を庇うようにたったしな。普通は逆だろ? 初対面で、ダンジョン内、魔物にいつ襲われるか分からない状態で、な。しかもあれだけの従魔がいるのに、腰が低い。さっきの騒ぎにしても、もっと彼女が騒いでもいいようなものを、ギルド職員に任せていたし。まるで今まで、冒険者として関わったことがないのに、強い従魔を得ただけの一般人かな?」
まったく以てその通りだと思う。
「ああ、一つだけ、教えてくれ、ドラゴンを倒したのは事実か? それくらいはいいだろう?」
「ここの噂はどうなっています?」
「ドラゴンを一撃で倒したフォレストガーディアンウルフがいると」
マーファから流れて少し変わってしまった内容になっている。だが、マーファでは知らない者はいない話になっている為、これくらいは大丈夫だろうとロッシュが説明。
「ちょっと違いますね。クリムゾンジャガーの援護で、フォレストガーディアンウルフが倒した、が本当です」
「そうか、やはりあのクリムゾンジャガーもヤバイやつか」
「両方ヤバいですよ。だけど、ミズサワさんの元にいれば、問題ないかと思います。ちゃんと意思疎通出来ていますし、管理もされています」
「そうか。なら彼女自身は心配ないか」
「あのフェリクスさん」
「なんだ?」
ロッシュが改まる。
「ミズサワさんへの興味は、単なる好奇心ですか?」
「それもあるが、まあ、彼女はいずれランクを上げに来るだろうからな。あの母親達もそうだが、5匹も仔がいるならいずれ狙われるだろう。そうなった時の自衛手段としてランクを上げて来るはずだ。フォレストガーディアンウルフとクリムゾンジャガー、この2体だけでもすぐ上がるだろうが、いきなり高ランクになると周りがうるさいから、段階的に上げるはず。なら、そう遠くない内に、Sランクになる可能性もあるだろう? 同じSランクとして、やって行けそうか気になってな」
Sランク冒険者。
厳しい審査の上で選ばれる。
様々な権利もあるが、それに伴う責任と義務が発生する。
今日の騒ぎの時の拘束権、必要時行政に意見をし、または求められる。ギルド内でもそうだ、Sランク冒険者の発言は、決して無下にはできない。
フェリクス自身、名誉男爵という爵位を、Sランクになった時に賜った。面倒だと思ったので、あえて誰にも言っていないため、周囲は断ったものだと勘違いしている。
「ミズサワさん、今日の件で、どうなりますかね?」
ロッシュの言葉で、他のメンバーが食事の手を止める。
「どうもならんさ。ギルドが何とかするだろう。彼女は特別貴重な存在だ。拗ねられて、2度とここには来ないなんて言われたら、痛手だからな。俺も釘を刺してきた」
「釘?」
「ああ、俺はスカイランと心中するつもりはないってな。あの騒ぎを起こした連中の裏に誰がいるなんて、考えれば直ぐに分かるからな。今頃、誰か黒幕を締め上げているだろうよ」
見送って、ハジェルが心配そうに、誰に聞くわけではないが呟く。マアデンも心配そうだ。
「まあ、いつか来るトラブルだよ。ミズサワさん自身、ある程度は覚悟していただろうし」
そんな2人に答えているのは、ラーヴだ。シュタインはユイ達が立ち去った後をじっと見ている。
そんな中、山風のリーダーであるロッシュは、直立不動から、頭を下げている。
「ご無沙汰しています、フェリクスさん」
「久しぶりだな、ロッシュ。何年振りだ? お前が独り立ちしてからだから」
「12年です」
「もうそんなになるか」
フェリクスは深く頭を下げるロッシュに、微笑ましい笑みを浮かべる。
「あのテイマーと知り合いのようだな」
「はい」
「そうか………なあ、少し話せないか?」
「はい、構いませんが」
ならば、フェリクスが冒険者ギルドに言付けしてから、合流となる。
「リーダーッ、あのSランクのフェリクスさんと知り合いなんすかっ」
「ハジェル、語尾」
「あ、はい。知り合いなんですか?」
「俺が新人の時に面倒見てくれた人だよ」
明日のダンジョンの為の買い出しを、大急ぎで済ませ、合流地点の食堂に向かいながら、ロッシュが説明する。
フェリクスがSランクになったのは10年前。冒険者としての実績だけではなく、指導者としての多くの新人を、長くに渡り引き受けて独り立ちさせたからだ。特に優秀な冒険者を排出したので、それが認めれられてのSランクへの昇格だった。
「フェリクスさんが指導したなかで突出していたのは、ウィークスさんだな。今じゃどこかの冒険者ギルドの要職に引退してすぐに引き抜かれたってさ。短期間一緒だったが、おっかない人だった」
強面のロッシュが見せた遠い目に、日頃、げんこつを落とすリーダーの姿から、想像がつかず、えぇ~、とマアデンとハジェル。
「そうだ、全員分かっているな? 御用聞きの間で知り得た情報は、漏らしてはならない。俺達は、マーファの冒険者ギルドに信頼されたから、御用聞きに選ばれたんだからな」
「「「「はい」」」」
食堂の前で少し待つ。
「そう言えば、何でフェリクスさん、あの時、手袋取ったんすかね?」
不意にハジェルが思いだし、首を傾げている。
「ハジェル、語尾。タコを確認したんだよ。警備兵をするなら、最低限の訓練しているからあるはずだ、大なり小なりな。だが、あいつの手にはそれが無かったんだろうよ」
ロッシュが答えていると、フェリクスがパーティーメンバーを連れてやって来た。
「待たせたな」
「いいえ」
食堂に入り、席につく。
今日はフェリクスの奢りとなる。
それぞれのメンバーも自己紹介する。
こう言った繋がり、ネットワークが、冒険者達の後々の強みになる。
フェリクスが明日ダンジョンに望む山風の為に、本日は禁酒として、全員、果実のジュースとなる。始めは差し障りのない話をするかとロッシュは考えていたが、いきなりダイレクトに来た。
「で、ロッシュ、あのテイマーと知り合いだったな?」
「はい、知り合いですね」
「ちょっと、彼女と従魔について教えて貰えるか?」
やはり、そう来たか、とロッシュが構える。
「フェリクスさん。俺達がミズサワさん達と関わったのは、ほとんど御用聞きの間だけなんです。なので、お話できる事はなにも」
はっきり断るロッシュに、フェリクスは思いの外簡単に引き下がる。
「そうか、御用聞きか。なら、お前にも立場があるだろう」
その問いに、ロッシュは内心胸を撫で下ろす。
「そういえばフェリクスさんも顔見知りみたいですね」
「ん? まあな、ダンジョンで」
「どう思われましたか?」
「そうだな」
料理が運ばれてくる。薫りのいい野菜とウサギ肉の炒め物、じゃがいもと腸詰めの煮込み、たくさんの具材が挟まったパニーニ、燻製魚を出汁にしたシチュー、ボア肉の串焼きが並ぶ。始めは緊張感があったが、徐々に打ち解けていくメンバー達。
「一般的なテイマーとはちょっと違う感じはしたな。初めて会った時、彼女は従魔を庇うようにたったしな。普通は逆だろ? 初対面で、ダンジョン内、魔物にいつ襲われるか分からない状態で、な。しかもあれだけの従魔がいるのに、腰が低い。さっきの騒ぎにしても、もっと彼女が騒いでもいいようなものを、ギルド職員に任せていたし。まるで今まで、冒険者として関わったことがないのに、強い従魔を得ただけの一般人かな?」
まったく以てその通りだと思う。
「ああ、一つだけ、教えてくれ、ドラゴンを倒したのは事実か? それくらいはいいだろう?」
「ここの噂はどうなっています?」
「ドラゴンを一撃で倒したフォレストガーディアンウルフがいると」
マーファから流れて少し変わってしまった内容になっている。だが、マーファでは知らない者はいない話になっている為、これくらいは大丈夫だろうとロッシュが説明。
「ちょっと違いますね。クリムゾンジャガーの援護で、フォレストガーディアンウルフが倒した、が本当です」
「そうか、やはりあのクリムゾンジャガーもヤバイやつか」
「両方ヤバいですよ。だけど、ミズサワさんの元にいれば、問題ないかと思います。ちゃんと意思疎通出来ていますし、管理もされています」
「そうか。なら彼女自身は心配ないか」
「あのフェリクスさん」
「なんだ?」
ロッシュが改まる。
「ミズサワさんへの興味は、単なる好奇心ですか?」
「それもあるが、まあ、彼女はいずれランクを上げに来るだろうからな。あの母親達もそうだが、5匹も仔がいるならいずれ狙われるだろう。そうなった時の自衛手段としてランクを上げて来るはずだ。フォレストガーディアンウルフとクリムゾンジャガー、この2体だけでもすぐ上がるだろうが、いきなり高ランクになると周りがうるさいから、段階的に上げるはず。なら、そう遠くない内に、Sランクになる可能性もあるだろう? 同じSランクとして、やって行けそうか気になってな」
Sランク冒険者。
厳しい審査の上で選ばれる。
様々な権利もあるが、それに伴う責任と義務が発生する。
今日の騒ぎの時の拘束権、必要時行政に意見をし、または求められる。ギルド内でもそうだ、Sランク冒険者の発言は、決して無下にはできない。
フェリクス自身、名誉男爵という爵位を、Sランクになった時に賜った。面倒だと思ったので、あえて誰にも言っていないため、周囲は断ったものだと勘違いしている。
「ミズサワさん、今日の件で、どうなりますかね?」
ロッシュの言葉で、他のメンバーが食事の手を止める。
「どうもならんさ。ギルドが何とかするだろう。彼女は特別貴重な存在だ。拗ねられて、2度とここには来ないなんて言われたら、痛手だからな。俺も釘を刺してきた」
「釘?」
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