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デート?③
マルシェから帰った後は、ゲストハウスで大人しく過ごす。
お昼は屋台で購入した白パンを軽くトースターで焼き、クレイ鱒と野菜の炒め物、神器マヨネーズを挟んだ。ノワールにはさっそく高級トウモロコシ。
白パンは、ディレックスにあるロールパンとは違い、みっちりとつまった感じで、軽く焼いたのが良かったのか香ばしさがアップ。クレイ鱒と野菜の炒め物もマヨネーズにあってばっちりだ。
「これは美味しかね。このパンが食べごたえあってよかね」
母もお気に召したようだ。
「ブヒヒヒヒンッ、バリバリッ」
ノワールは豪快にトウモロコシを芯まで食べている。
食べながら、マルシェで購入した野菜やパンの話をする。
「トマト、あったけどどうする?」
「ああ、煮込みに使うけん、買っといて。マーファで、そんなにたくさん買うと怪しまれたらいかんけんね」
今、マーファには私達はいない。高齢夫婦2人だけで、マルシェで野菜やパンの大量購入は怪しまれる。週に一度孤児院に何かしら持って行っているが、それ以上の購入になると、やはり、怪しまれてルームがばれると嫌だしね。
それに野菜が苦手な子でも、母が野菜たっぷりスープを持っていくと、残さず食べるそうだ。母曰く、腕たい、と。
お昼ご飯の後はせっかくだから、手に入れた野菜や魚を使っていろいろ作る。
母はアップルシーブルーブの野菜たっぷりホイル焼きの準備に入る。私は黒玉ねぎを使ってカレーを作る。これが予備であった最後のカレーだ。いつもなら玉ねぎを一旦炒めるのだけど、小玉ねぎをまるごと鍋に入れた。ディレックスのニンジンとお肉はワイバーンを使い、炒めて鍋に投入。ローリエも2枚投入。
「ユイさん、これは何になるの?」
「カレーよ」
エマちゃんとテオ君は私の言葉に嬉しそうだ。2人は私のお手伝いしてくれている。
「灰汁が出るから、取ってくれる? 任せてもいいかな?」
「「はいっ」」
大鍋は2つ。それぞれ任せる。
「ねえ、優衣。まだディレックス使えんとよね?」
「うん。お父さんがまだダメって。どうしたん? 何か足りないのがあるん?」
「卵がねえ。このエビ、トースター焼きにしようかと思っているけど、卵ないとねえ」
「ああ、そっかあ」
たまに作ってくれるエビのトースター焼き。あれ、見た目もいいけど美味しいんだよね。確か、卵にマヨネーズに粉チーズ混ぜて焼いてるはず。
「仕方なか、別ので行こう。よし、お義兄さんから聞いたのにするかね」
ロブスターは、アクアパッツァになることに。
母がロブスターと格闘を始め、チュアンさんとマデリーンさんがお手伝いする。ホークさんとミゲル君はブラッシングしてくれている。
今日は海鮮尽くしやな。
「なあ、姉ちゃん」
「なんね?」
マッシュルームを切っていた私に、包丁を研いでいた晃太が声をかけてきた。
「直に姉ちゃんの体調は戻るやろうけど、また同じような事になるかもしれんやん?」
「まあ、そうやね」
「異世界への扉が使えんと不便やん」
「そうやね。卵がないし、いろいろ不便やね」
「異世界のメニューは使えるやん。それで行けん時に補えんかね? ほらセレクトショップダルマやっけ? あれ、お中元とかの店やろ?」
「ダリアや。確かに、そう言った店やね」
セレクトショップダリアは、インターネット上の店で、数回知り合いにお祝いとかを贈った事がある。主にお菓子しか贈らないけど、贈答用の特産野菜とか調味料、飲料水、タオルや食器、様々な物があった。卵も見たことある。結局、異世界への扉でもお金使うし、異世界のメニューでもお金が必要だから、大して変わらないか。
「なるほど、そうやね。次はセレクトショップダリアにするかね」
「酒もあるやろうし」
「あんた、それが本音やないね?」
晃太はどこふく風で包丁を研ぎ続けた。
でも晃太の言うことも一理あるか。今回異世界への扉が使えなくて、すごく不便だからね。
ルームのポイントは残約45万。まだ、少し先かな。
夕御飯の時にアルコールで、ホークさんからお願いが。
「ユイさん。俺達は戦闘奴隷ですので、アルコールは控えないといけないんです」
いざという時にアルコールで動けません、なんてしゃれにならないからと。ビアンカとルージュがいるから、そんなのが近づく前に撃退されそうだけど、ホークさんが正論なんだろう。
でも、どうしよう、出しちゃったよ八陣の生ビール。
うーん。よし。
「分かりました。では、アルコールは控えましょう。ただ、今日は勿体ないので飲んでくださいね」
それから私はホークさんと話し合い、休日を設ける事にした。勿論、移動したりダンジョン内はそうもいかないが、できるだけ週に1~2日の休みを設ける事に。その休日はアルコール解禁とすることになる。ホークさんは休日を設ける事に否定的だが、うちは、ブラックではないからね。
「たまの休息は必要です。その分しっかり働いてもらいますからね。冷蔵庫ダンジョンに行くんですから」
アルコールについても、いずれ鷹の目の皆さんのスペースに冷蔵庫を置くから、自分達で管理してもらおう。
「あと、私の気分がいい時は付き合ってくださいね。なので今日は付き合ってください」
「はい、分かりました」
よし、海鮮尽くしの夕御飯だ。
アップルシーブルーブのホイル焼き、クレイ鱒とロブスターのアクアパッツァ。黒玉ねぎのミニカレー。まだカレーは煮込みたかったけど、エマちゃんとテオ君が食べたそうだからね。ミニにして、希望がある人のみ。ノワールと仔達のご飯もオッケー。ビアンカとルージュのご飯もオッケー。
私は缶チューハイ、エマちゃんとテオ君は麦茶、晃太とチュアンさんは日本酒、マデリーンさんは白ワイン、父はノンアルコールビール、母とホークさん、ミゲル君はビール。
では。
「「「「「いただきます」」」」」
まずは、アップルシーブルーブのホイル焼きをぱくり。
うわあ、白身魚の美味しさが口一杯に広がる。淡白かなって思っていたけど、しっかり旨味が凝縮している。野菜にも旨味が移ってて美味しい、この黒玉ねぎの甘いこと。ただし、熱い。
次はアクアパッツァ。まず、魚介類のいい香りが鼻腔をくすぐる。エビがプリッとして特有の旨さが広がり、クレイ鱒も負けてない。スープにはすべての旨味が凝縮。これは、パンに付けて食べていいかも。
「魚、旨かね」
「この玉ねぎも甘かね」
両親にも好評。鷹の目の皆さんも熱い熱い言いながら、次々に食べている。
『魚も美味しいのですっ』
『エビッ、エビーッ』
ようございました。
『『おかわり』』
「早かね。まあ、よかか。今日は野菜たっぷりだし」
ビアンカとルージュにおかわり、で、アクアパッツァが失くなる。
「優衣、まだこん魚はあると?」
母がビールを飲みながら聞いてくる。
「あるんやない? 今の時期みたいやし」
私は缶チューハイを飲む。おっとビールがないね、タップタップ。
「ビアンカとルージュにもいいけど、魚は体によかけん、もう少し手に入らんね? それからこの小さな玉ねぎも美味しかけん、これも」
「分かった。買ってくるね」
明日も行ってみよう。
『ユイ、おかわりなのです』
『エビが食べたいわ』
「もうないったい。今日はそれまでよ。ダイエット中なんやから」
『『ぶーぶー』』
「ダメ」
私はビアンカとルージュのきゅるん攻撃に耐える。
「このカレーも旨かなあ」
晃太が〆にミニカレーを食べる、私も一口、おお、黒玉ねぎの柔らかく甘いこと。
「エマちゃん、テオ君、上手に出来とるよ」
「えへへ」
照れる双子、かわいかね。
『ユイッ、それ私は食べてないのですッ』
『ずるいわッ、私も食べたいわッ』
「あんだけ食べてまだ言うね」
鍋一杯あったアクアパッツァと、ホットプレートで作ったアップルシーブルーブとたっぷり野菜をたらふく食べてるのに。
「明日ね」
『………………』
『………………』
必殺技、お皿を咥えて、エアーお手、エアーおかわり炸裂。
私が必死に守っていた牙城が崩れ落ちた。
次の日。
午前中はマルシェで買い物に回る。あらかじめ釘を刺していたので、ビアンカもルージュもチョロチョロしない。
今日はチュアンさんとマデリーンさん、ミゲル君が付いてきてくれた。
商売人ってすごい、昨日は、ひーって言ってたのに。
「テイマーさんっ、活きのいいのがあがってるよっ」
「黒玉ねぎが美味しいよっ」
「このトウモロコシは最高に甘いよっ」
「ただいま焼き立てのパンですっ」
皆さん、たくましい。だけど、活気があって好きな雰囲気だ。
私はあれやこれや買い込んで、ゲストハウスに戻る。
夕方にはサエキ様がいらっしゃるから、1時間前から準備。
ビアンカとルージュ、仔達は念入りにブラッシング。鷹の目の皆さんがやってくれた。元気とコハクは鷹の目の皆さんによく懐いてる。ほのぼの。
『ねえね、ねえね』
「ヒスイ、今日はお客様来るからね。ねえねがお話ししている時は、ちょっとしー、よ」
『ねえね~』
あははははん、かわいかあ。
私と晃太の準備も済み。私はダイアナちゃんの半成人の時のワンピース。晃太はスーツだ、ただし、ジャケットなし。最近暑いしね。
時間通りに、サエキ様がいらっしゃる。
相変わらずのアジアンビューティーだ。肩のフクロウは逃げていく。いいのかね?
サエキ様は護衛の人達に、外で待つように指示。私が日差しが暑いから、中に、と言うがサエキ様はすぐに帰るからと。
ゲストハウスの応接室にご案内。マデリーンさんがあらかじめ準備をしておいたCafe&sandwich蒼空のアイスティーと、銀の槌のマンゴータルトを出してくれる。そのマンゴータルトを狙って、仔達がサエキ様に群がるので、ビアンカとルージュにゲストハウスの庭で見てもらうことにした。庭にはミゲル君とエマちゃん、テオ君が行ってくれる。ホークさんとチュアンさん、マデリーンさんはドアの外で待機している。
「ご無沙汰しています、サエキ様。後見人になっていただいたのに、ご挨拶が遅くなりました」
「いいえ、こちらが言い出した事です。貴女方の活躍は聞き及んでいますよ」
私はスラム街で、サエキ様の名前を出したことを謝罪すると、笑って許してくれた。良かった。
社交辞令の様な話を少しして、サエキ様がもうお暇しますと。本当にすぐに帰るんやね。マンゴータルトは、アイテムボックスにしまい、逃げて行ったフクロウの従魔と食べます、と。
「ああ、そうだ。明日、何か予定はありますか?」
サエキ様がそう聞いてくる。
「いえ、特には」
何もない。
アジアンビューティーは笑顔を浮かべる。大人な笑顔だなあ。
「なら、明日、私とデートしてくれませんか?」
「はい?」
お昼は屋台で購入した白パンを軽くトースターで焼き、クレイ鱒と野菜の炒め物、神器マヨネーズを挟んだ。ノワールにはさっそく高級トウモロコシ。
白パンは、ディレックスにあるロールパンとは違い、みっちりとつまった感じで、軽く焼いたのが良かったのか香ばしさがアップ。クレイ鱒と野菜の炒め物もマヨネーズにあってばっちりだ。
「これは美味しかね。このパンが食べごたえあってよかね」
母もお気に召したようだ。
「ブヒヒヒヒンッ、バリバリッ」
ノワールは豪快にトウモロコシを芯まで食べている。
食べながら、マルシェで購入した野菜やパンの話をする。
「トマト、あったけどどうする?」
「ああ、煮込みに使うけん、買っといて。マーファで、そんなにたくさん買うと怪しまれたらいかんけんね」
今、マーファには私達はいない。高齢夫婦2人だけで、マルシェで野菜やパンの大量購入は怪しまれる。週に一度孤児院に何かしら持って行っているが、それ以上の購入になると、やはり、怪しまれてルームがばれると嫌だしね。
それに野菜が苦手な子でも、母が野菜たっぷりスープを持っていくと、残さず食べるそうだ。母曰く、腕たい、と。
お昼ご飯の後はせっかくだから、手に入れた野菜や魚を使っていろいろ作る。
母はアップルシーブルーブの野菜たっぷりホイル焼きの準備に入る。私は黒玉ねぎを使ってカレーを作る。これが予備であった最後のカレーだ。いつもなら玉ねぎを一旦炒めるのだけど、小玉ねぎをまるごと鍋に入れた。ディレックスのニンジンとお肉はワイバーンを使い、炒めて鍋に投入。ローリエも2枚投入。
「ユイさん、これは何になるの?」
「カレーよ」
エマちゃんとテオ君は私の言葉に嬉しそうだ。2人は私のお手伝いしてくれている。
「灰汁が出るから、取ってくれる? 任せてもいいかな?」
「「はいっ」」
大鍋は2つ。それぞれ任せる。
「ねえ、優衣。まだディレックス使えんとよね?」
「うん。お父さんがまだダメって。どうしたん? 何か足りないのがあるん?」
「卵がねえ。このエビ、トースター焼きにしようかと思っているけど、卵ないとねえ」
「ああ、そっかあ」
たまに作ってくれるエビのトースター焼き。あれ、見た目もいいけど美味しいんだよね。確か、卵にマヨネーズに粉チーズ混ぜて焼いてるはず。
「仕方なか、別ので行こう。よし、お義兄さんから聞いたのにするかね」
ロブスターは、アクアパッツァになることに。
母がロブスターと格闘を始め、チュアンさんとマデリーンさんがお手伝いする。ホークさんとミゲル君はブラッシングしてくれている。
今日は海鮮尽くしやな。
「なあ、姉ちゃん」
「なんね?」
マッシュルームを切っていた私に、包丁を研いでいた晃太が声をかけてきた。
「直に姉ちゃんの体調は戻るやろうけど、また同じような事になるかもしれんやん?」
「まあ、そうやね」
「異世界への扉が使えんと不便やん」
「そうやね。卵がないし、いろいろ不便やね」
「異世界のメニューは使えるやん。それで行けん時に補えんかね? ほらセレクトショップダルマやっけ? あれ、お中元とかの店やろ?」
「ダリアや。確かに、そう言った店やね」
セレクトショップダリアは、インターネット上の店で、数回知り合いにお祝いとかを贈った事がある。主にお菓子しか贈らないけど、贈答用の特産野菜とか調味料、飲料水、タオルや食器、様々な物があった。卵も見たことある。結局、異世界への扉でもお金使うし、異世界のメニューでもお金が必要だから、大して変わらないか。
「なるほど、そうやね。次はセレクトショップダリアにするかね」
「酒もあるやろうし」
「あんた、それが本音やないね?」
晃太はどこふく風で包丁を研ぎ続けた。
でも晃太の言うことも一理あるか。今回異世界への扉が使えなくて、すごく不便だからね。
ルームのポイントは残約45万。まだ、少し先かな。
夕御飯の時にアルコールで、ホークさんからお願いが。
「ユイさん。俺達は戦闘奴隷ですので、アルコールは控えないといけないんです」
いざという時にアルコールで動けません、なんてしゃれにならないからと。ビアンカとルージュがいるから、そんなのが近づく前に撃退されそうだけど、ホークさんが正論なんだろう。
でも、どうしよう、出しちゃったよ八陣の生ビール。
うーん。よし。
「分かりました。では、アルコールは控えましょう。ただ、今日は勿体ないので飲んでくださいね」
それから私はホークさんと話し合い、休日を設ける事にした。勿論、移動したりダンジョン内はそうもいかないが、できるだけ週に1~2日の休みを設ける事に。その休日はアルコール解禁とすることになる。ホークさんは休日を設ける事に否定的だが、うちは、ブラックではないからね。
「たまの休息は必要です。その分しっかり働いてもらいますからね。冷蔵庫ダンジョンに行くんですから」
アルコールについても、いずれ鷹の目の皆さんのスペースに冷蔵庫を置くから、自分達で管理してもらおう。
「あと、私の気分がいい時は付き合ってくださいね。なので今日は付き合ってください」
「はい、分かりました」
よし、海鮮尽くしの夕御飯だ。
アップルシーブルーブのホイル焼き、クレイ鱒とロブスターのアクアパッツァ。黒玉ねぎのミニカレー。まだカレーは煮込みたかったけど、エマちゃんとテオ君が食べたそうだからね。ミニにして、希望がある人のみ。ノワールと仔達のご飯もオッケー。ビアンカとルージュのご飯もオッケー。
私は缶チューハイ、エマちゃんとテオ君は麦茶、晃太とチュアンさんは日本酒、マデリーンさんは白ワイン、父はノンアルコールビール、母とホークさん、ミゲル君はビール。
では。
「「「「「いただきます」」」」」
まずは、アップルシーブルーブのホイル焼きをぱくり。
うわあ、白身魚の美味しさが口一杯に広がる。淡白かなって思っていたけど、しっかり旨味が凝縮している。野菜にも旨味が移ってて美味しい、この黒玉ねぎの甘いこと。ただし、熱い。
次はアクアパッツァ。まず、魚介類のいい香りが鼻腔をくすぐる。エビがプリッとして特有の旨さが広がり、クレイ鱒も負けてない。スープにはすべての旨味が凝縮。これは、パンに付けて食べていいかも。
「魚、旨かね」
「この玉ねぎも甘かね」
両親にも好評。鷹の目の皆さんも熱い熱い言いながら、次々に食べている。
『魚も美味しいのですっ』
『エビッ、エビーッ』
ようございました。
『『おかわり』』
「早かね。まあ、よかか。今日は野菜たっぷりだし」
ビアンカとルージュにおかわり、で、アクアパッツァが失くなる。
「優衣、まだこん魚はあると?」
母がビールを飲みながら聞いてくる。
「あるんやない? 今の時期みたいやし」
私は缶チューハイを飲む。おっとビールがないね、タップタップ。
「ビアンカとルージュにもいいけど、魚は体によかけん、もう少し手に入らんね? それからこの小さな玉ねぎも美味しかけん、これも」
「分かった。買ってくるね」
明日も行ってみよう。
『ユイ、おかわりなのです』
『エビが食べたいわ』
「もうないったい。今日はそれまでよ。ダイエット中なんやから」
『『ぶーぶー』』
「ダメ」
私はビアンカとルージュのきゅるん攻撃に耐える。
「このカレーも旨かなあ」
晃太が〆にミニカレーを食べる、私も一口、おお、黒玉ねぎの柔らかく甘いこと。
「エマちゃん、テオ君、上手に出来とるよ」
「えへへ」
照れる双子、かわいかね。
『ユイッ、それ私は食べてないのですッ』
『ずるいわッ、私も食べたいわッ』
「あんだけ食べてまだ言うね」
鍋一杯あったアクアパッツァと、ホットプレートで作ったアップルシーブルーブとたっぷり野菜をたらふく食べてるのに。
「明日ね」
『………………』
『………………』
必殺技、お皿を咥えて、エアーお手、エアーおかわり炸裂。
私が必死に守っていた牙城が崩れ落ちた。
次の日。
午前中はマルシェで買い物に回る。あらかじめ釘を刺していたので、ビアンカもルージュもチョロチョロしない。
今日はチュアンさんとマデリーンさん、ミゲル君が付いてきてくれた。
商売人ってすごい、昨日は、ひーって言ってたのに。
「テイマーさんっ、活きのいいのがあがってるよっ」
「黒玉ねぎが美味しいよっ」
「このトウモロコシは最高に甘いよっ」
「ただいま焼き立てのパンですっ」
皆さん、たくましい。だけど、活気があって好きな雰囲気だ。
私はあれやこれや買い込んで、ゲストハウスに戻る。
夕方にはサエキ様がいらっしゃるから、1時間前から準備。
ビアンカとルージュ、仔達は念入りにブラッシング。鷹の目の皆さんがやってくれた。元気とコハクは鷹の目の皆さんによく懐いてる。ほのぼの。
『ねえね、ねえね』
「ヒスイ、今日はお客様来るからね。ねえねがお話ししている時は、ちょっとしー、よ」
『ねえね~』
あははははん、かわいかあ。
私と晃太の準備も済み。私はダイアナちゃんの半成人の時のワンピース。晃太はスーツだ、ただし、ジャケットなし。最近暑いしね。
時間通りに、サエキ様がいらっしゃる。
相変わらずのアジアンビューティーだ。肩のフクロウは逃げていく。いいのかね?
サエキ様は護衛の人達に、外で待つように指示。私が日差しが暑いから、中に、と言うがサエキ様はすぐに帰るからと。
ゲストハウスの応接室にご案内。マデリーンさんがあらかじめ準備をしておいたCafe&sandwich蒼空のアイスティーと、銀の槌のマンゴータルトを出してくれる。そのマンゴータルトを狙って、仔達がサエキ様に群がるので、ビアンカとルージュにゲストハウスの庭で見てもらうことにした。庭にはミゲル君とエマちゃん、テオ君が行ってくれる。ホークさんとチュアンさん、マデリーンさんはドアの外で待機している。
「ご無沙汰しています、サエキ様。後見人になっていただいたのに、ご挨拶が遅くなりました」
「いいえ、こちらが言い出した事です。貴女方の活躍は聞き及んでいますよ」
私はスラム街で、サエキ様の名前を出したことを謝罪すると、笑って許してくれた。良かった。
社交辞令の様な話を少しして、サエキ様がもうお暇しますと。本当にすぐに帰るんやね。マンゴータルトは、アイテムボックスにしまい、逃げて行ったフクロウの従魔と食べます、と。
「ああ、そうだ。明日、何か予定はありますか?」
サエキ様がそう聞いてくる。
「いえ、特には」
何もない。
アジアンビューティーは笑顔を浮かべる。大人な笑顔だなあ。
「なら、明日、私とデートしてくれませんか?」
「はい?」
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