文字の大きさ
大
中
小
225 / 877
連載
デート?③
マルシェから帰った後は、ゲストハウスで大人しく過ごす。
お昼は屋台で購入した白パンを軽くトースターで焼き、クレイ鱒と野菜の炒め物、神器マヨネーズを挟んだ。ノワールにはさっそく高級トウモロコシ。
白パンは、ディレックスにあるロールパンとは違い、みっちりとつまった感じで、軽く焼いたのが良かったのか香ばしさがアップ。クレイ鱒と野菜の炒め物もマヨネーズにあってばっちりだ。
「これは美味しかね。このパンが食べごたえあってよかね」
母もお気に召したようだ。
「ブヒヒヒヒンッ、バリバリッ」
ノワールは豪快にトウモロコシを芯まで食べている。
食べながら、マルシェで購入した野菜やパンの話をする。
「トマト、あったけどどうする?」
「ああ、煮込みに使うけん、買っといて。マーファで、そんなにたくさん買うと怪しまれたらいかんけんね」
今、マーファには私達はいない。高齢夫婦2人だけで、マルシェで野菜やパンの大量購入は怪しまれる。週に一度孤児院に何かしら持って行っているが、それ以上の購入になると、やはり、怪しまれてルームがばれると嫌だしね。
それに野菜が苦手な子でも、母が野菜たっぷりスープを持っていくと、残さず食べるそうだ。母曰く、腕たい、と。
お昼ご飯の後はせっかくだから、手に入れた野菜や魚を使っていろいろ作る。
母はアップルシーブルーブの野菜たっぷりホイル焼きの準備に入る。私は黒玉ねぎを使ってカレーを作る。これが予備であった最後のカレーだ。いつもなら玉ねぎを一旦炒めるのだけど、小玉ねぎをまるごと鍋に入れた。ディレックスのニンジンとお肉はワイバーンを使い、炒めて鍋に投入。ローリエも2枚投入。
「ユイさん、これは何になるの?」
「カレーよ」
エマちゃんとテオ君は私の言葉に嬉しそうだ。2人は私のお手伝いしてくれている。
「灰汁が出るから、取ってくれる? 任せてもいいかな?」
「「はいっ」」
大鍋は2つ。それぞれ任せる。
「ねえ、優衣。まだディレックス使えんとよね?」
「うん。お父さんがまだダメって。どうしたん? 何か足りないのがあるん?」
「卵がねえ。このエビ、トースター焼きにしようかと思っているけど、卵ないとねえ」
「ああ、そっかあ」
たまに作ってくれるエビのトースター焼き。あれ、見た目もいいけど美味しいんだよね。確か、卵にマヨネーズに粉チーズ混ぜて焼いてるはず。
「仕方なか、別ので行こう。よし、お義兄さんから聞いたのにするかね」
ロブスターは、アクアパッツァになることに。
母がロブスターと格闘を始め、チュアンさんとマデリーンさんがお手伝いする。ホークさんとミゲル君はブラッシングしてくれている。
今日は海鮮尽くしやな。
「なあ、姉ちゃん」
「なんね?」
マッシュルームを切っていた私に、包丁を研いでいた晃太が声をかけてきた。
「直に姉ちゃんの体調は戻るやろうけど、また同じような事になるかもしれんやん?」
「まあ、そうやね」
「異世界への扉が使えんと不便やん」
「そうやね。卵がないし、いろいろ不便やね」
「異世界のメニューは使えるやん。それで行けん時に補えんかね? ほらセレクトショップダルマやっけ? あれ、お中元とかの店やろ?」
「ダリアや。確かに、そう言った店やね」
セレクトショップダリアは、インターネット上の店で、数回知り合いにお祝いとかを贈った事がある。主にお菓子しか贈らないけど、贈答用の特産野菜とか調味料、飲料水、タオルや食器、様々な物があった。卵も見たことある。結局、異世界への扉でもお金使うし、異世界のメニューでもお金が必要だから、大して変わらないか。
「なるほど、そうやね。次はセレクトショップダリアにするかね」
「酒もあるやろうし」
「あんた、それが本音やないね?」
晃太はどこふく風で包丁を研ぎ続けた。
でも晃太の言うことも一理あるか。今回異世界への扉が使えなくて、すごく不便だからね。
ルームのポイントは残約45万。まだ、少し先かな。
夕御飯の時にアルコールで、ホークさんからお願いが。
「ユイさん。俺達は戦闘奴隷ですので、アルコールは控えないといけないんです」
いざという時にアルコールで動けません、なんてしゃれにならないからと。ビアンカとルージュがいるから、そんなのが近づく前に撃退されそうだけど、ホークさんが正論なんだろう。
でも、どうしよう、出しちゃったよ八陣の生ビール。
うーん。よし。
「分かりました。では、アルコールは控えましょう。ただ、今日は勿体ないので飲んでくださいね」
それから私はホークさんと話し合い、休日を設ける事にした。勿論、移動したりダンジョン内はそうもいかないが、できるだけ週に1~2日の休みを設ける事に。その休日はアルコール解禁とすることになる。ホークさんは休日を設ける事に否定的だが、うちは、ブラックではないからね。
「たまの休息は必要です。その分しっかり働いてもらいますからね。冷蔵庫ダンジョンに行くんですから」
アルコールについても、いずれ鷹の目の皆さんのスペースに冷蔵庫を置くから、自分達で管理してもらおう。
「あと、私の気分がいい時は付き合ってくださいね。なので今日は付き合ってください」
「はい、分かりました」
よし、海鮮尽くしの夕御飯だ。
アップルシーブルーブのホイル焼き、クレイ鱒とロブスターのアクアパッツァ。黒玉ねぎのミニカレー。まだカレーは煮込みたかったけど、エマちゃんとテオ君が食べたそうだからね。ミニにして、希望がある人のみ。ノワールと仔達のご飯もオッケー。ビアンカとルージュのご飯もオッケー。
私は缶チューハイ、エマちゃんとテオ君は麦茶、晃太とチュアンさんは日本酒、マデリーンさんは白ワイン、父はノンアルコールビール、母とホークさん、ミゲル君はビール。
では。
「「「「「いただきます」」」」」
まずは、アップルシーブルーブのホイル焼きをぱくり。
うわあ、白身魚の美味しさが口一杯に広がる。淡白かなって思っていたけど、しっかり旨味が凝縮している。野菜にも旨味が移ってて美味しい、この黒玉ねぎの甘いこと。ただし、熱い。
次はアクアパッツァ。まず、魚介類のいい香りが鼻腔をくすぐる。エビがプリッとして特有の旨さが広がり、クレイ鱒も負けてない。スープにはすべての旨味が凝縮。これは、パンに付けて食べていいかも。
「魚、旨かね」
「この玉ねぎも甘かね」
両親にも好評。鷹の目の皆さんも熱い熱い言いながら、次々に食べている。
『魚も美味しいのですっ』
『エビッ、エビーッ』
ようございました。
『『おかわり』』
「早かね。まあ、よかか。今日は野菜たっぷりだし」
ビアンカとルージュにおかわり、で、アクアパッツァが失くなる。
「優衣、まだこん魚はあると?」
母がビールを飲みながら聞いてくる。
「あるんやない? 今の時期みたいやし」
私は缶チューハイを飲む。おっとビールがないね、タップタップ。
「ビアンカとルージュにもいいけど、魚は体によかけん、もう少し手に入らんね? それからこの小さな玉ねぎも美味しかけん、これも」
「分かった。買ってくるね」
明日も行ってみよう。
『ユイ、おかわりなのです』
『エビが食べたいわ』
「もうないったい。今日はそれまでよ。ダイエット中なんやから」
『『ぶーぶー』』
「ダメ」
私はビアンカとルージュのきゅるん攻撃に耐える。
「このカレーも旨かなあ」
晃太が〆にミニカレーを食べる、私も一口、おお、黒玉ねぎの柔らかく甘いこと。
「エマちゃん、テオ君、上手に出来とるよ」
「えへへ」
照れる双子、かわいかね。
『ユイッ、それ私は食べてないのですッ』
『ずるいわッ、私も食べたいわッ』
「あんだけ食べてまだ言うね」
鍋一杯あったアクアパッツァと、ホットプレートで作ったアップルシーブルーブとたっぷり野菜をたらふく食べてるのに。
「明日ね」
『………………』
『………………』
必殺技、お皿を咥えて、エアーお手、エアーおかわり炸裂。
私が必死に守っていた牙城が崩れ落ちた。
次の日。
午前中はマルシェで買い物に回る。あらかじめ釘を刺していたので、ビアンカもルージュもチョロチョロしない。
今日はチュアンさんとマデリーンさん、ミゲル君が付いてきてくれた。
商売人ってすごい、昨日は、ひーって言ってたのに。
「テイマーさんっ、活きのいいのがあがってるよっ」
「黒玉ねぎが美味しいよっ」
「このトウモロコシは最高に甘いよっ」
「ただいま焼き立てのパンですっ」
皆さん、たくましい。だけど、活気があって好きな雰囲気だ。
私はあれやこれや買い込んで、ゲストハウスに戻る。
夕方にはサエキ様がいらっしゃるから、1時間前から準備。
ビアンカとルージュ、仔達は念入りにブラッシング。鷹の目の皆さんがやってくれた。元気とコハクは鷹の目の皆さんによく懐いてる。ほのぼの。
『ねえね、ねえね』
「ヒスイ、今日はお客様来るからね。ねえねがお話ししている時は、ちょっとしー、よ」
『ねえね~』
あははははん、かわいかあ。
私と晃太の準備も済み。私はダイアナちゃんの半成人の時のワンピース。晃太はスーツだ、ただし、ジャケットなし。最近暑いしね。
時間通りに、サエキ様がいらっしゃる。
相変わらずのアジアンビューティーだ。肩のフクロウは逃げていく。いいのかね?
サエキ様は護衛の人達に、外で待つように指示。私が日差しが暑いから、中に、と言うがサエキ様はすぐに帰るからと。
ゲストハウスの応接室にご案内。マデリーンさんがあらかじめ準備をしておいたCafe&sandwich蒼空のアイスティーと、銀の槌のマンゴータルトを出してくれる。そのマンゴータルトを狙って、仔達がサエキ様に群がるので、ビアンカとルージュにゲストハウスの庭で見てもらうことにした。庭にはミゲル君とエマちゃん、テオ君が行ってくれる。ホークさんとチュアンさん、マデリーンさんはドアの外で待機している。
「ご無沙汰しています、サエキ様。後見人になっていただいたのに、ご挨拶が遅くなりました」
「いいえ、こちらが言い出した事です。貴女方の活躍は聞き及んでいますよ」
私はスラム街で、サエキ様の名前を出したことを謝罪すると、笑って許してくれた。良かった。
社交辞令の様な話を少しして、サエキ様がもうお暇しますと。本当にすぐに帰るんやね。マンゴータルトは、アイテムボックスにしまい、逃げて行ったフクロウの従魔と食べます、と。
「ああ、そうだ。明日、何か予定はありますか?」
サエキ様がそう聞いてくる。
「いえ、特には」
何もない。
アジアンビューティーは笑顔を浮かべる。大人な笑顔だなあ。
「なら、明日、私とデートしてくれませんか?」
「はい?」
お昼は屋台で購入した白パンを軽くトースターで焼き、クレイ鱒と野菜の炒め物、神器マヨネーズを挟んだ。ノワールにはさっそく高級トウモロコシ。
白パンは、ディレックスにあるロールパンとは違い、みっちりとつまった感じで、軽く焼いたのが良かったのか香ばしさがアップ。クレイ鱒と野菜の炒め物もマヨネーズにあってばっちりだ。
「これは美味しかね。このパンが食べごたえあってよかね」
母もお気に召したようだ。
「ブヒヒヒヒンッ、バリバリッ」
ノワールは豪快にトウモロコシを芯まで食べている。
食べながら、マルシェで購入した野菜やパンの話をする。
「トマト、あったけどどうする?」
「ああ、煮込みに使うけん、買っといて。マーファで、そんなにたくさん買うと怪しまれたらいかんけんね」
今、マーファには私達はいない。高齢夫婦2人だけで、マルシェで野菜やパンの大量購入は怪しまれる。週に一度孤児院に何かしら持って行っているが、それ以上の購入になると、やはり、怪しまれてルームがばれると嫌だしね。
それに野菜が苦手な子でも、母が野菜たっぷりスープを持っていくと、残さず食べるそうだ。母曰く、腕たい、と。
お昼ご飯の後はせっかくだから、手に入れた野菜や魚を使っていろいろ作る。
母はアップルシーブルーブの野菜たっぷりホイル焼きの準備に入る。私は黒玉ねぎを使ってカレーを作る。これが予備であった最後のカレーだ。いつもなら玉ねぎを一旦炒めるのだけど、小玉ねぎをまるごと鍋に入れた。ディレックスのニンジンとお肉はワイバーンを使い、炒めて鍋に投入。ローリエも2枚投入。
「ユイさん、これは何になるの?」
「カレーよ」
エマちゃんとテオ君は私の言葉に嬉しそうだ。2人は私のお手伝いしてくれている。
「灰汁が出るから、取ってくれる? 任せてもいいかな?」
「「はいっ」」
大鍋は2つ。それぞれ任せる。
「ねえ、優衣。まだディレックス使えんとよね?」
「うん。お父さんがまだダメって。どうしたん? 何か足りないのがあるん?」
「卵がねえ。このエビ、トースター焼きにしようかと思っているけど、卵ないとねえ」
「ああ、そっかあ」
たまに作ってくれるエビのトースター焼き。あれ、見た目もいいけど美味しいんだよね。確か、卵にマヨネーズに粉チーズ混ぜて焼いてるはず。
「仕方なか、別ので行こう。よし、お義兄さんから聞いたのにするかね」
ロブスターは、アクアパッツァになることに。
母がロブスターと格闘を始め、チュアンさんとマデリーンさんがお手伝いする。ホークさんとミゲル君はブラッシングしてくれている。
今日は海鮮尽くしやな。
「なあ、姉ちゃん」
「なんね?」
マッシュルームを切っていた私に、包丁を研いでいた晃太が声をかけてきた。
「直に姉ちゃんの体調は戻るやろうけど、また同じような事になるかもしれんやん?」
「まあ、そうやね」
「異世界への扉が使えんと不便やん」
「そうやね。卵がないし、いろいろ不便やね」
「異世界のメニューは使えるやん。それで行けん時に補えんかね? ほらセレクトショップダルマやっけ? あれ、お中元とかの店やろ?」
「ダリアや。確かに、そう言った店やね」
セレクトショップダリアは、インターネット上の店で、数回知り合いにお祝いとかを贈った事がある。主にお菓子しか贈らないけど、贈答用の特産野菜とか調味料、飲料水、タオルや食器、様々な物があった。卵も見たことある。結局、異世界への扉でもお金使うし、異世界のメニューでもお金が必要だから、大して変わらないか。
「なるほど、そうやね。次はセレクトショップダリアにするかね」
「酒もあるやろうし」
「あんた、それが本音やないね?」
晃太はどこふく風で包丁を研ぎ続けた。
でも晃太の言うことも一理あるか。今回異世界への扉が使えなくて、すごく不便だからね。
ルームのポイントは残約45万。まだ、少し先かな。
夕御飯の時にアルコールで、ホークさんからお願いが。
「ユイさん。俺達は戦闘奴隷ですので、アルコールは控えないといけないんです」
いざという時にアルコールで動けません、なんてしゃれにならないからと。ビアンカとルージュがいるから、そんなのが近づく前に撃退されそうだけど、ホークさんが正論なんだろう。
でも、どうしよう、出しちゃったよ八陣の生ビール。
うーん。よし。
「分かりました。では、アルコールは控えましょう。ただ、今日は勿体ないので飲んでくださいね」
それから私はホークさんと話し合い、休日を設ける事にした。勿論、移動したりダンジョン内はそうもいかないが、できるだけ週に1~2日の休みを設ける事に。その休日はアルコール解禁とすることになる。ホークさんは休日を設ける事に否定的だが、うちは、ブラックではないからね。
「たまの休息は必要です。その分しっかり働いてもらいますからね。冷蔵庫ダンジョンに行くんですから」
アルコールについても、いずれ鷹の目の皆さんのスペースに冷蔵庫を置くから、自分達で管理してもらおう。
「あと、私の気分がいい時は付き合ってくださいね。なので今日は付き合ってください」
「はい、分かりました」
よし、海鮮尽くしの夕御飯だ。
アップルシーブルーブのホイル焼き、クレイ鱒とロブスターのアクアパッツァ。黒玉ねぎのミニカレー。まだカレーは煮込みたかったけど、エマちゃんとテオ君が食べたそうだからね。ミニにして、希望がある人のみ。ノワールと仔達のご飯もオッケー。ビアンカとルージュのご飯もオッケー。
私は缶チューハイ、エマちゃんとテオ君は麦茶、晃太とチュアンさんは日本酒、マデリーンさんは白ワイン、父はノンアルコールビール、母とホークさん、ミゲル君はビール。
では。
「「「「「いただきます」」」」」
まずは、アップルシーブルーブのホイル焼きをぱくり。
うわあ、白身魚の美味しさが口一杯に広がる。淡白かなって思っていたけど、しっかり旨味が凝縮している。野菜にも旨味が移ってて美味しい、この黒玉ねぎの甘いこと。ただし、熱い。
次はアクアパッツァ。まず、魚介類のいい香りが鼻腔をくすぐる。エビがプリッとして特有の旨さが広がり、クレイ鱒も負けてない。スープにはすべての旨味が凝縮。これは、パンに付けて食べていいかも。
「魚、旨かね」
「この玉ねぎも甘かね」
両親にも好評。鷹の目の皆さんも熱い熱い言いながら、次々に食べている。
『魚も美味しいのですっ』
『エビッ、エビーッ』
ようございました。
『『おかわり』』
「早かね。まあ、よかか。今日は野菜たっぷりだし」
ビアンカとルージュにおかわり、で、アクアパッツァが失くなる。
「優衣、まだこん魚はあると?」
母がビールを飲みながら聞いてくる。
「あるんやない? 今の時期みたいやし」
私は缶チューハイを飲む。おっとビールがないね、タップタップ。
「ビアンカとルージュにもいいけど、魚は体によかけん、もう少し手に入らんね? それからこの小さな玉ねぎも美味しかけん、これも」
「分かった。買ってくるね」
明日も行ってみよう。
『ユイ、おかわりなのです』
『エビが食べたいわ』
「もうないったい。今日はそれまでよ。ダイエット中なんやから」
『『ぶーぶー』』
「ダメ」
私はビアンカとルージュのきゅるん攻撃に耐える。
「このカレーも旨かなあ」
晃太が〆にミニカレーを食べる、私も一口、おお、黒玉ねぎの柔らかく甘いこと。
「エマちゃん、テオ君、上手に出来とるよ」
「えへへ」
照れる双子、かわいかね。
『ユイッ、それ私は食べてないのですッ』
『ずるいわッ、私も食べたいわッ』
「あんだけ食べてまだ言うね」
鍋一杯あったアクアパッツァと、ホットプレートで作ったアップルシーブルーブとたっぷり野菜をたらふく食べてるのに。
「明日ね」
『………………』
『………………』
必殺技、お皿を咥えて、エアーお手、エアーおかわり炸裂。
私が必死に守っていた牙城が崩れ落ちた。
次の日。
午前中はマルシェで買い物に回る。あらかじめ釘を刺していたので、ビアンカもルージュもチョロチョロしない。
今日はチュアンさんとマデリーンさん、ミゲル君が付いてきてくれた。
商売人ってすごい、昨日は、ひーって言ってたのに。
「テイマーさんっ、活きのいいのがあがってるよっ」
「黒玉ねぎが美味しいよっ」
「このトウモロコシは最高に甘いよっ」
「ただいま焼き立てのパンですっ」
皆さん、たくましい。だけど、活気があって好きな雰囲気だ。
私はあれやこれや買い込んで、ゲストハウスに戻る。
夕方にはサエキ様がいらっしゃるから、1時間前から準備。
ビアンカとルージュ、仔達は念入りにブラッシング。鷹の目の皆さんがやってくれた。元気とコハクは鷹の目の皆さんによく懐いてる。ほのぼの。
『ねえね、ねえね』
「ヒスイ、今日はお客様来るからね。ねえねがお話ししている時は、ちょっとしー、よ」
『ねえね~』
あははははん、かわいかあ。
私と晃太の準備も済み。私はダイアナちゃんの半成人の時のワンピース。晃太はスーツだ、ただし、ジャケットなし。最近暑いしね。
時間通りに、サエキ様がいらっしゃる。
相変わらずのアジアンビューティーだ。肩のフクロウは逃げていく。いいのかね?
サエキ様は護衛の人達に、外で待つように指示。私が日差しが暑いから、中に、と言うがサエキ様はすぐに帰るからと。
ゲストハウスの応接室にご案内。マデリーンさんがあらかじめ準備をしておいたCafe&sandwich蒼空のアイスティーと、銀の槌のマンゴータルトを出してくれる。そのマンゴータルトを狙って、仔達がサエキ様に群がるので、ビアンカとルージュにゲストハウスの庭で見てもらうことにした。庭にはミゲル君とエマちゃん、テオ君が行ってくれる。ホークさんとチュアンさん、マデリーンさんはドアの外で待機している。
「ご無沙汰しています、サエキ様。後見人になっていただいたのに、ご挨拶が遅くなりました」
「いいえ、こちらが言い出した事です。貴女方の活躍は聞き及んでいますよ」
私はスラム街で、サエキ様の名前を出したことを謝罪すると、笑って許してくれた。良かった。
社交辞令の様な話を少しして、サエキ様がもうお暇しますと。本当にすぐに帰るんやね。マンゴータルトは、アイテムボックスにしまい、逃げて行ったフクロウの従魔と食べます、と。
「ああ、そうだ。明日、何か予定はありますか?」
サエキ様がそう聞いてくる。
「いえ、特には」
何もない。
アジアンビューティーは笑顔を浮かべる。大人な笑顔だなあ。
「なら、明日、私とデートしてくれませんか?」
「はい?」
感想 854
あなたにおすすめの小説
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます 〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯
鳳凰院暁月刃夜婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます
〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯一の調香師でした〜
☆あらすじ☆
王太子から婚約破棄され、家族にも見捨てられた公爵令嬢リリアーナ。
妹をいじめた悪女。
匂いしか分からない無能令嬢。
王妃にふさわしくない女。
夜会場でそう笑われた彼女は、すべてを失った――はずだった。
けれどリリアーナの嗅覚は、ただ香りを嗅ぎ分けるだけのものではない。
人の嘘。
隠された悪意。
病の兆し。
呪いの残り香。
そして、運命の匂いまで嗅ぎ分ける、王国唯一の異能だった。
公爵家を出たリリアーナは、亡き祖母が残した王都の端の小さな香水店「夜明けの瓶」を開く。
最初は誰にも見向きされない店だった。
けれど、眠れない少女を救い、毒を盛られた貴婦人を助け、夫婦の嘘をほどいていくうちに、店は王都中の秘密が集まる場所になっていく。
そんな彼女の前に現れたのは、冷血公爵と恐れられる辺境公爵ヴァルト。
彼は王宮由来の呪いに蝕まれていた。
リリアーナは彼の呪いを解くため、契約婚約を結ぶことになる。
不器用すぎる公爵に守られ、時に振り回されながら、彼女は王宮に隠された大きな嘘へと近づいていく。
なぜ王太子は婚約破棄を急いだのか。
なぜ妹は姉を憎み続けるのか。
なぜ王宮には、焦げた薔薇の匂いが漂っているのか。
無能と捨てられた令嬢は、もう誰かの言いなりにはならない。
「私は、私の鼻で生きていきます」
香水店から始まる、婚約破棄令嬢の逆転恋愛ファンタジー。
ざまぁあり、契約婚約あり、冷血公爵の不器用な溺愛あり。
最後には、彼女を捨てた者たちが気づくことになる。
本当に失ってはいけなかったのは、彼女だったのだと。
王妃教育を辞退したら「困る」と国王陛下が直接迎えに来ました ~婚約破棄された私に、王太子ではなく国王陛下が求婚してきます〜
由香【全一話完結】
王太子の心変わりによって婚約を破棄された侯爵令嬢リリアーナ。
十年以上受け続けた王妃教育も辞退し、ようやく自由になれると思っていた。
ところが数日後、侯爵家を訪れたのは国王陛下本人。
「王妃教育を辞退されると困る。私の妃になってほしい」
努力を踏みにじった王太子はすべてを失い、選ばれたのは誠実に生きてきた彼女だった。
これは、年上国王に溺愛されながら、世界一幸せな王妃になるまでの逆転ラブストーリー。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
聖女って無給で無休なんですか?じゃあやらないです
こじまき異世界に聖女として召喚されたイラストレーターのチヒロ。しかし聖女には給料も休みもないことを知って「じゃあやらないです」と聖女就任を断る。
「国と人を救う崇高な仕事には、私どもからの感謝を捧げよう」
「心底いらないです」
異世界でまで、やりがい搾取されてたまるかよ。
※小説家になろうにも投稿しています
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまうリリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、悪役令嬢として断罪された少女が、「誰かの物語の脇役」ではなく、自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
妹を踏みにじった奴らに、復讐の花束を
楠ノ木雫 妹を傷つけたやつは誰だ。
隣国に嫁いだこの国の王女であり双子の妹でもあるクラリスが2年後に亡き人となって帰ってきた。死因すら伝えられず嫁ぎ先の墓にも入れてもらえずに隣国の使者が連れてきた。
この事実に信じられずにいると、クラリスが帰ってくる半年前に戻っていた。
一体隣国でクラリスの身に何があったのか。
絶対に、もうクラリスのあんな姿を見たくない。堅く決意し使節団の使者として隣国に乗りこむ事になった。
※一話で過激なシーンがあります。
【第1回新エンタメ小説大賞】にエントリー中です。
【完結済】ワザと醜い令嬢をしていた令嬢一家華麗に亡命する
satomi醜く自らに魔法をかけてケルリール王国王太子と婚約をしていた侯爵家令嬢のアメリア=キートウェル。フェルナン=ケルリール王太子から醜いという理由で婚約破棄を言い渡されました。
もう王太子は能無しですし、ケルリール王国から一家で亡命してしまう事にしちゃいます!