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連載
覚醒⑦
焼き肉を片付けながら後片付けをして、お風呂に入る。
エマちゃんとテオ君は焼き肉でお腹一杯になり、夏のフルーツもりもりパンケーキのハーフを、半分こにして食べてた。満足してくれたようで良かった。
チュアンさんとエマちゃんとテオ君は、花と仔達を中庭で、寝る前の本日最後の遊びに付き添ってくれる。
明日は父も休みだし、のんびり片付ける。明日の朝御飯はパンだね。向こうでは基本的に仕事の日は朝はご飯なのだが、私も晃太も寮に入っていたので、不規則だった。今は父の出勤に応じて朝御飯が変わる。出勤日はご飯、休みはパンだ。それにいま鷹の目の皆さんがいる。元々がパンが主食だったから、いきなりすべてご飯にシフトチェンジはきついかなって。お昼もご飯とパンを半々にしている。
明日は首都で買った白いパンに、屋台飯のクレイ鱒と野菜炒めを挟もう。後はもへじ生活のスープが何種類かあったから選んでもらって、と。
「ねえ、優衣」
「ん? なん?」
朝御飯メニューを考えていたら、母が言いにくそうに切り出してきた。
「実はな、マーファで優衣の変な噂が流れとるんよ」
「噂?」
「不特定多数の男性に、従魔を理由に関係を迫っているって」
「はあぁ? なにそれ?」
母から出た言葉に私は思わず反論するよう声を荒げる。
「確かに御用聞きや依頼の冒険者の人と歩いているから勘違いされるかも知れんけど。関係なんか迫っとらんよ」
「分かっとうよ。お母さんもお父さんもそんなの信じとらん。それに、こん噂は、故意に流されたみたいで、冒険者ギルドマスターやハルスフォン様が介入してくれとう」
それを聞いて、私は脱力する。
「ああ、結局いろんな所に迷惑をかけたんやね」
「やけどな優衣、こん噂を流した人達は明らかに悪意を持って流しとる。イザベラ様から被害届を出さないかって言われたけど、当事者の優衣が知らんところで被害届を出してもおかしい気がするんよ。実際にはお父さんもお母さんも何か被害を受けた訳やないし。それにその人達は、ギルドマスターがお灸を据えとるはずや」
「そうな」
私は考える。
いつかこんなことになるんじゃないかって。ビアンカとルージュがいるだけで、私は一般人だし、きちんと冒険者している人達からしたら、苦々しい存在だったろう。私がどうこう言われるのは、構わないし、両親はちゃんと私を信じてくれている。ただ問題は、いろんな所にお手数かけてると言うこと。ああ、申し訳がなか。
「分かった。もし、私がマーファに帰ってもそれでもいちゃもん付けたら、サエキ様の名前だして黙ってもらうよ。おそらくこれで黙るはずやし」
そうしよう。
「で、お母さんの作業はどんな感じなん?」
母は今、ハルスフォン様のお孫さん、タチアナちゃんとリザベルちゃんの衣装を作っている。セザール様とフェリアレーナ様の結婚式のね。ぺんたごんで手に入れた、女の子のドレス、みたいな冊子を購入して参考にしている。
「デザインは決まったよ。10歳未満の子は、特に衣装の規定はないって聞いたから、えーっと、これ」
母がアイテムボックスから出したのは、白いエプロンに水色のドレスのデザイン。
有名なやつー。
まあ、でも、似合うね。タチアナちゃんもリザベルちゃんも金髪だったし、これ着たらリアルにア◯スだ。
「かわいかやん」
「そうやろ。髪に可愛くリボンで飾ったらよかろう?」
「いいんやない」
うーん、女の子は夢がある。かわいかお洋服、夢がある。
「何をみてるんですか?」
そこにタオルを肩にかけたミゲル君が、興味津々に来た。
「あのね、お母さんが頼まれてる女の子用のドレスのデザインを見とるんよ」
「へー、可愛いですね。ケイコお母さん、裁縫も凄いですね」
「ミシンがあるけんね」
「ああ、向こうの魔道具。あれ見たとき衝撃でした」
そう電気ミシンで、応急措置のホークさんとチュアンさんのトランクスを作った時、一番食いついてきたのがミゲル君だった。
「ミゲル君、興味ある?」
「え、まあ、そうですね。一応元仕立屋の子供ですから」
「そうなん」
ミゲル君の生家はパーカーさんの様な仕立屋さんで、一家全員針子さんかテーラーさんだと。ミゲル君も始めはテーラー見習いとしてやっていたけど、どうしても他の世界が見たくなり家出同然で冒険者になった。見習いをしていたので、鷹の目の皆さんの服のほつれなどはすべてミゲル君が対応していると。
「運良く先代のリーダーが引き受けてくれて。本当に先代リーダーには感謝してます。引き受けてくれなかったら、家に戻らざるを得なかったし」
「ミゲル君、おうちの人と上手くいってなかったの?」
「いえ、そうじゃなくて、なんと言うか、頑固なんですよ。仕立屋以外は認めないみたいで。それが嫌で嫌で。俺、ねーちゃんいるんですけど、別の仕事に就きたかったのに泣く泣く針子してるんです。で、俺も外の世界見に行きたいなら出てけって言われて、飛び出しちゃったんです」
ミゲル君のお姉さんはギルドで事務系の仕事がしたかったそうで、独学で勉強していて合格までしていたそうだ。それでも許されなかったそうで。
「うち、ひいばーちゃんがドワーフなんです。だから、頑固で。自分の血筋はすべて針仕事って聞かないんですよ」
ミゲル君の家族が営む仕立屋さんの長である、そのひいお婆さんの言うことは絶対らしい。まあ、安定した手に職、と思っての事だろうけどね。
「もう冒険者なんだって思ってますけど、ちょっとかじってますからダメですね。思わず見ちゃいますもん」
「別に良くない? 二足のわらじって言葉あるし」
母が日本の諺を出す。
「わらじ?」
うん、分かってない。
「別に冒険者だからって、仕立屋の仕事をしたらいけないってことはないんよ。ミゲル君、本当は仕立屋の仕事が嫌いな訳ではないんやろ? 好きならやればよかやん」
「でも、俺、戦闘奴隷ですし」
「空いた時間に無理がないようにしたら? そうや、まず、時間のある時お母さんの手伝いばしてくれる? これならどうかね?」
「そうやね。裁断とか手伝ってくれる?」
ミゲル君に迷いの表情。
「えっと、リーダー…………」
ホークさんにお伺いを立ててる。
「いいぞ」
オッケー出ました。
「じゃあ。ケイコお母さん、お願いしますっ」
嬉しそうなミゲル君。
こうして母の弟子一号が誕生した。
「ねえ、ミゲル君。家出したとは言え、他の家族と連絡取ってる?」
「いいえ。手紙も出したことないし」
「マーファに着いたら出しなさい」
「いや、今さら何を書いたらいいか…………」
「元気にやってます、くらいでよかけん、書きなさい」
「…………はい」
他に家族に連絡を取りたいか確認する。
ホークさんとエマちゃん、テオ君にはすでに家族とか親族は他にはいない。チュアンさんも身寄りがなく、育ててくれた修道院のシスターさんくらいしか連絡する相手はいない。マデリーンさんにはお姉さん夫婦がいるので、手紙の希望があり。
ミゲル君とマデリーンさんは共にシーラの首都出身だそうだ。
元々先代リーダーさん、そしてマデリーンさんのお姉さんはサブ・リーダーさん。二人は夫婦で、引退後シーラでギルドで働いているそうだ。
なら、いつかシーラに行くかね。ダンジョンあるしね。
いくら家出したとはいえ、きっと心配しているはずやろうしね。
エマちゃんとテオ君は焼き肉でお腹一杯になり、夏のフルーツもりもりパンケーキのハーフを、半分こにして食べてた。満足してくれたようで良かった。
チュアンさんとエマちゃんとテオ君は、花と仔達を中庭で、寝る前の本日最後の遊びに付き添ってくれる。
明日は父も休みだし、のんびり片付ける。明日の朝御飯はパンだね。向こうでは基本的に仕事の日は朝はご飯なのだが、私も晃太も寮に入っていたので、不規則だった。今は父の出勤に応じて朝御飯が変わる。出勤日はご飯、休みはパンだ。それにいま鷹の目の皆さんがいる。元々がパンが主食だったから、いきなりすべてご飯にシフトチェンジはきついかなって。お昼もご飯とパンを半々にしている。
明日は首都で買った白いパンに、屋台飯のクレイ鱒と野菜炒めを挟もう。後はもへじ生活のスープが何種類かあったから選んでもらって、と。
「ねえ、優衣」
「ん? なん?」
朝御飯メニューを考えていたら、母が言いにくそうに切り出してきた。
「実はな、マーファで優衣の変な噂が流れとるんよ」
「噂?」
「不特定多数の男性に、従魔を理由に関係を迫っているって」
「はあぁ? なにそれ?」
母から出た言葉に私は思わず反論するよう声を荒げる。
「確かに御用聞きや依頼の冒険者の人と歩いているから勘違いされるかも知れんけど。関係なんか迫っとらんよ」
「分かっとうよ。お母さんもお父さんもそんなの信じとらん。それに、こん噂は、故意に流されたみたいで、冒険者ギルドマスターやハルスフォン様が介入してくれとう」
それを聞いて、私は脱力する。
「ああ、結局いろんな所に迷惑をかけたんやね」
「やけどな優衣、こん噂を流した人達は明らかに悪意を持って流しとる。イザベラ様から被害届を出さないかって言われたけど、当事者の優衣が知らんところで被害届を出してもおかしい気がするんよ。実際にはお父さんもお母さんも何か被害を受けた訳やないし。それにその人達は、ギルドマスターがお灸を据えとるはずや」
「そうな」
私は考える。
いつかこんなことになるんじゃないかって。ビアンカとルージュがいるだけで、私は一般人だし、きちんと冒険者している人達からしたら、苦々しい存在だったろう。私がどうこう言われるのは、構わないし、両親はちゃんと私を信じてくれている。ただ問題は、いろんな所にお手数かけてると言うこと。ああ、申し訳がなか。
「分かった。もし、私がマーファに帰ってもそれでもいちゃもん付けたら、サエキ様の名前だして黙ってもらうよ。おそらくこれで黙るはずやし」
そうしよう。
「で、お母さんの作業はどんな感じなん?」
母は今、ハルスフォン様のお孫さん、タチアナちゃんとリザベルちゃんの衣装を作っている。セザール様とフェリアレーナ様の結婚式のね。ぺんたごんで手に入れた、女の子のドレス、みたいな冊子を購入して参考にしている。
「デザインは決まったよ。10歳未満の子は、特に衣装の規定はないって聞いたから、えーっと、これ」
母がアイテムボックスから出したのは、白いエプロンに水色のドレスのデザイン。
有名なやつー。
まあ、でも、似合うね。タチアナちゃんもリザベルちゃんも金髪だったし、これ着たらリアルにア◯スだ。
「かわいかやん」
「そうやろ。髪に可愛くリボンで飾ったらよかろう?」
「いいんやない」
うーん、女の子は夢がある。かわいかお洋服、夢がある。
「何をみてるんですか?」
そこにタオルを肩にかけたミゲル君が、興味津々に来た。
「あのね、お母さんが頼まれてる女の子用のドレスのデザインを見とるんよ」
「へー、可愛いですね。ケイコお母さん、裁縫も凄いですね」
「ミシンがあるけんね」
「ああ、向こうの魔道具。あれ見たとき衝撃でした」
そう電気ミシンで、応急措置のホークさんとチュアンさんのトランクスを作った時、一番食いついてきたのがミゲル君だった。
「ミゲル君、興味ある?」
「え、まあ、そうですね。一応元仕立屋の子供ですから」
「そうなん」
ミゲル君の生家はパーカーさんの様な仕立屋さんで、一家全員針子さんかテーラーさんだと。ミゲル君も始めはテーラー見習いとしてやっていたけど、どうしても他の世界が見たくなり家出同然で冒険者になった。見習いをしていたので、鷹の目の皆さんの服のほつれなどはすべてミゲル君が対応していると。
「運良く先代のリーダーが引き受けてくれて。本当に先代リーダーには感謝してます。引き受けてくれなかったら、家に戻らざるを得なかったし」
「ミゲル君、おうちの人と上手くいってなかったの?」
「いえ、そうじゃなくて、なんと言うか、頑固なんですよ。仕立屋以外は認めないみたいで。それが嫌で嫌で。俺、ねーちゃんいるんですけど、別の仕事に就きたかったのに泣く泣く針子してるんです。で、俺も外の世界見に行きたいなら出てけって言われて、飛び出しちゃったんです」
ミゲル君のお姉さんはギルドで事務系の仕事がしたかったそうで、独学で勉強していて合格までしていたそうだ。それでも許されなかったそうで。
「うち、ひいばーちゃんがドワーフなんです。だから、頑固で。自分の血筋はすべて針仕事って聞かないんですよ」
ミゲル君の家族が営む仕立屋さんの長である、そのひいお婆さんの言うことは絶対らしい。まあ、安定した手に職、と思っての事だろうけどね。
「もう冒険者なんだって思ってますけど、ちょっとかじってますからダメですね。思わず見ちゃいますもん」
「別に良くない? 二足のわらじって言葉あるし」
母が日本の諺を出す。
「わらじ?」
うん、分かってない。
「別に冒険者だからって、仕立屋の仕事をしたらいけないってことはないんよ。ミゲル君、本当は仕立屋の仕事が嫌いな訳ではないんやろ? 好きならやればよかやん」
「でも、俺、戦闘奴隷ですし」
「空いた時間に無理がないようにしたら? そうや、まず、時間のある時お母さんの手伝いばしてくれる? これならどうかね?」
「そうやね。裁断とか手伝ってくれる?」
ミゲル君に迷いの表情。
「えっと、リーダー…………」
ホークさんにお伺いを立ててる。
「いいぞ」
オッケー出ました。
「じゃあ。ケイコお母さん、お願いしますっ」
嬉しそうなミゲル君。
こうして母の弟子一号が誕生した。
「ねえ、ミゲル君。家出したとは言え、他の家族と連絡取ってる?」
「いいえ。手紙も出したことないし」
「マーファに着いたら出しなさい」
「いや、今さら何を書いたらいいか…………」
「元気にやってます、くらいでよかけん、書きなさい」
「…………はい」
他に家族に連絡を取りたいか確認する。
ホークさんとエマちゃん、テオ君にはすでに家族とか親族は他にはいない。チュアンさんも身寄りがなく、育ててくれた修道院のシスターさんくらいしか連絡する相手はいない。マデリーンさんにはお姉さん夫婦がいるので、手紙の希望があり。
ミゲル君とマデリーンさんは共にシーラの首都出身だそうだ。
元々先代リーダーさん、そしてマデリーンさんのお姉さんはサブ・リーダーさん。二人は夫婦で、引退後シーラでギルドで働いているそうだ。
なら、いつかシーラに行くかね。ダンジョンあるしね。
いくら家出したとはいえ、きっと心配しているはずやろうしね。
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