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秋のグーテオークション②
野外会場はすぐ近く。広い公園で、中央に舞台があり、周りを運動会のテントが囲む。
人もすごい。
私達が行くと、しん、となったり、囁かれたけど気にしない。だって。
『いいにおいがするのです』
『甘い香りもするわ』
巨体2匹がのしのし。やめて。屋台の女の子、真っ青やん。こっちが気になる。私が小さくロールパン一個と呟くと、しぶしぶ戻ってきた。
小さい子がわんわん言ってる。飛び出そうとして母親が抱えてる。うちのビアンカとルージュは大丈夫ですよー。
サエキ様に身なりの良さそうな数人が会釈している。釣られて周りの人達も。
「ミズサワ殿、何か気になるものは?」
「あ、そうですね。何か食べ物を買いたいです。ゲストハウスに残ってくれている皆さんにお土産を」
『ユイ、あそこのがいいのです』
『あっちが甘そうよ』
「はいはい」
私とビアンカとルージュのやり取りに、サエキ様はクスクス笑う。
「では、まず、あそこから見ますか?」
「はい」
サエキ様に連れられて行ったのは、真っ青になってた女の子の屋台だ。数人で店番していて、同じ制服だ。
テーブルを見ると、焼き菓子が並んでいる。
『ユイ、ユイ』
『甘そうよ』
「はいはい、ふんがふんが言わんで」
女の子達は、落ち着いたのか、並んでお辞儀している。後ろにいた引率の先生らしき女性も、美しくお辞儀。
「いらっしゃいませ、サエキ様、テイマー様、どうぞご覧ください」
班長らしき女の子が挨拶。中学生くらいなのに、しっかりしてるわ。
「彼女達はミーミル学院の生徒ですよ」
ミーミル学院とは、王立学園の次に位置する学校。こちらは幅広く学生がいて、学科も幅広いそうだ。王立学園の次だからと言っても、もちろん入試は難しい。
「これは皆さんが?」
焼いたのかな?
「私達は販売担当になります。予算の管理、材料の仕入れ、お菓子の作成は他の学科の生徒達と共同で行いました」
しっかりしてるー。
「こちらもチャリティーですか?」
「はい、純粋な売り上げは、すべて寄付させていただきます」
ならば、買いましょう。ビアンカとルージュの鼻息で、私の耳元の皮膚がそのうちふやけそう。
「ビアンカ、ルージュ、どれがいる?」
『『全部っ』』
サエキ様が噴き出す。
ビアンカとルージュの声が分からない女の子達はきょとんとしている。
焼き菓子は、マドレーヌやパウンドケーキ、スコーンみたいね。素朴な感じで好き。あ、クッキーもある。
女の子達は、一生懸命に説明してくれた。かわいかやん。
「じゃあ、ここら辺から、ここら辺までください」
大人買いしてみた。
「ありがとうございますっ」
女の子総出で包んでくれた。晃太がアイテムボックスに。ビアンカとルージュが必死に視線で追うので、スコーンを一つずつ。丸飲みやねん、味わわんね、もう。
支払いはカード、いや、途中で思いとどまり、現金にして班長さんに渡す。
「え?」
「沢山ありがとう。頑張ってね」
班長さんが瞬きしている。おつりの準備をしようとして、私はそっとお断り。
渡したのは大金貨だ。売り上げは寄付になるからね。
女の子達は一斉にお辞儀して、見送ってくれた。
「太っ腹ですね」
「ビアンカとルージュが優秀なので」
「次も食べ物の屋台で?」
「はい。お願いします」
次の屋台は、素朴な焼き菓子ではなく、がちのホールケーキサイズだ。見た目も綺麗。あれは確か外国のケーキで、クグロフだっけ? オレンジのタルトやブルーベリーのタルト、チェリータルト、色々なパイやかわいかマカロンも並ぶ。
「いらっしゃいませ、サエキ様、テイマー様。どうぞご覧ください」
対応したのは二十歳前後の若いシェフ達。血走ったビアンカとルージュに引きぎみ。
「こちらは職人ギルドの新人達の屋台ですよ」
「なるほど、凝ってますね」
やはり、学生と本職さんの差かな。額も当然高いけど。
「ビアンカさん、ルージュさん」
『ふごーっ、ユイ、食べたいのですっ』
『ふごーっ、ふごーっ、肉の匂いもするわっ』
「はいはい」
若いシェフの皆さんも熱心に説明してくれる。パイの中身は様々で、ハーブで臭い消しをしたお肉だったり、カボチャやリンゴ、アーモンドや胡桃のパイだと。よし、神様にもお土産や。
クグロフを3つ。タルトやパイはそれぞれ2つずつ購入。
『食べたいのですう』
『一口、ユイ、一口』
首筋べたべたしてきた。もう、かわいかね。
ミートパイを追加で2つ購入して、パクパクごっくん。ちょっとお二人さん、これ、そこそこの額なんですが。まあ、よかか、元は2人が稼いだお金だし、今日だけね。大金貨でお支払い、と。
手芸品をじっくり見たかったけど、食欲に歯止めの効かない2人に急かされ、革のシンプルな小銭入れを5つ購入。寄付用ね。あのかわいか刺繍のポーチとか、ハンカチとかみたいのに。
次に訪れたのは、しっかりベテランのシェフさん達が並ぶ。奥はカフェスペース。あああああ、お茶したか。えーっと、並んでいるケーキ、やない。
「ミズサワ殿、こちらは城のシェフ達の屋台です。奥のカフェでは新人のメイドやフットマン達が担当しています」
「なるほど」
お茶したかけど、諦める。だってホークさん、こういった場所では、絶対一緒に食べたりしないもんね。帰ってゆっくり食べよう。
ケーキやない、これ、キッシュや。後は、あ、ケークサレや。伯父さんがよく持たせてくれたから、知ってる。へー、色々ある。後はサンドウィッチやカヌレ、色とりどりのジャムクッキーがズラリ。うん、美味しそう。こちらのシェフさん達も熱心に説明してくれる。
『ふごーっ』
『ふごーっ』
「はいはい」
再び大人買いする。
もうよかかな? これで帰れば、お昼かな?
『ふごーっ、ユイ、待ってなのですーっ』
『あらあら、人気ね、ビアンカ』
あー、小さい子どもがビアンカのお尻辺りにしがみついてる。母親らしき女性がすっ飛んできて、平謝りしていった。
他には食べ歩きできるクレープやフランクフルトやホットドッグの店があった。こちらは行列の為に諦める。
それからゲストハウスに戻る。馬車の中で、サエキ様とお話。
「明日、こちらを出ます」
「はい。出発は予定通りです」
何かって? フェリアレーナ様の輿入れの護衛だ。先に私達がトッパに入り待つ。
ガーガリア妃がアルティーナに戻るという知らせは、瞬く間にユリアレーナ内を駆け抜けた。ちょうど冷蔵庫ダンジョンにいたから私は知らないけど、両親の話からかなりの騒ぎになったそうだ。
これでやっとガーガリア妃も、お母さんの元で、静養できる。誰も事情を知らないから、ガーガリア妃に対しては辛辣だったそうだ。
「貴女の身の心配はしていませんが、対人戦になるでしょう」
人、そう、フェリアレーナ様を襲うのは、人だ。
急に、体の奥底が冷えていく。ホークさんと今回の件で、色々話したけど、現実味が深くなってきた。
ふう、とサエキ様は、息をつく。
「出来れば生け捕りにしてもらえますか? 襲撃犯達は、おそらく日に当たれないような事をしてきたはず。すべての埃という埃を叩き出したいので」
生け捕り。なんだか、ちょっと軽くなる。生け捕りね、生け捕り。
「ただし。貴女方の命が最優先です。そして、フェリアレーナ様、同行する従者、マーファの騎士達の命です。いいですね? 生け捕りは出来ればで構いませんからね。優先事項を誤らないように」
言われて、冷えた奥底を引き締める。
「はい」
人もすごい。
私達が行くと、しん、となったり、囁かれたけど気にしない。だって。
『いいにおいがするのです』
『甘い香りもするわ』
巨体2匹がのしのし。やめて。屋台の女の子、真っ青やん。こっちが気になる。私が小さくロールパン一個と呟くと、しぶしぶ戻ってきた。
小さい子がわんわん言ってる。飛び出そうとして母親が抱えてる。うちのビアンカとルージュは大丈夫ですよー。
サエキ様に身なりの良さそうな数人が会釈している。釣られて周りの人達も。
「ミズサワ殿、何か気になるものは?」
「あ、そうですね。何か食べ物を買いたいです。ゲストハウスに残ってくれている皆さんにお土産を」
『ユイ、あそこのがいいのです』
『あっちが甘そうよ』
「はいはい」
私とビアンカとルージュのやり取りに、サエキ様はクスクス笑う。
「では、まず、あそこから見ますか?」
「はい」
サエキ様に連れられて行ったのは、真っ青になってた女の子の屋台だ。数人で店番していて、同じ制服だ。
テーブルを見ると、焼き菓子が並んでいる。
『ユイ、ユイ』
『甘そうよ』
「はいはい、ふんがふんが言わんで」
女の子達は、落ち着いたのか、並んでお辞儀している。後ろにいた引率の先生らしき女性も、美しくお辞儀。
「いらっしゃいませ、サエキ様、テイマー様、どうぞご覧ください」
班長らしき女の子が挨拶。中学生くらいなのに、しっかりしてるわ。
「彼女達はミーミル学院の生徒ですよ」
ミーミル学院とは、王立学園の次に位置する学校。こちらは幅広く学生がいて、学科も幅広いそうだ。王立学園の次だからと言っても、もちろん入試は難しい。
「これは皆さんが?」
焼いたのかな?
「私達は販売担当になります。予算の管理、材料の仕入れ、お菓子の作成は他の学科の生徒達と共同で行いました」
しっかりしてるー。
「こちらもチャリティーですか?」
「はい、純粋な売り上げは、すべて寄付させていただきます」
ならば、買いましょう。ビアンカとルージュの鼻息で、私の耳元の皮膚がそのうちふやけそう。
「ビアンカ、ルージュ、どれがいる?」
『『全部っ』』
サエキ様が噴き出す。
ビアンカとルージュの声が分からない女の子達はきょとんとしている。
焼き菓子は、マドレーヌやパウンドケーキ、スコーンみたいね。素朴な感じで好き。あ、クッキーもある。
女の子達は、一生懸命に説明してくれた。かわいかやん。
「じゃあ、ここら辺から、ここら辺までください」
大人買いしてみた。
「ありがとうございますっ」
女の子総出で包んでくれた。晃太がアイテムボックスに。ビアンカとルージュが必死に視線で追うので、スコーンを一つずつ。丸飲みやねん、味わわんね、もう。
支払いはカード、いや、途中で思いとどまり、現金にして班長さんに渡す。
「え?」
「沢山ありがとう。頑張ってね」
班長さんが瞬きしている。おつりの準備をしようとして、私はそっとお断り。
渡したのは大金貨だ。売り上げは寄付になるからね。
女の子達は一斉にお辞儀して、見送ってくれた。
「太っ腹ですね」
「ビアンカとルージュが優秀なので」
「次も食べ物の屋台で?」
「はい。お願いします」
次の屋台は、素朴な焼き菓子ではなく、がちのホールケーキサイズだ。見た目も綺麗。あれは確か外国のケーキで、クグロフだっけ? オレンジのタルトやブルーベリーのタルト、チェリータルト、色々なパイやかわいかマカロンも並ぶ。
「いらっしゃいませ、サエキ様、テイマー様。どうぞご覧ください」
対応したのは二十歳前後の若いシェフ達。血走ったビアンカとルージュに引きぎみ。
「こちらは職人ギルドの新人達の屋台ですよ」
「なるほど、凝ってますね」
やはり、学生と本職さんの差かな。額も当然高いけど。
「ビアンカさん、ルージュさん」
『ふごーっ、ユイ、食べたいのですっ』
『ふごーっ、ふごーっ、肉の匂いもするわっ』
「はいはい」
若いシェフの皆さんも熱心に説明してくれる。パイの中身は様々で、ハーブで臭い消しをしたお肉だったり、カボチャやリンゴ、アーモンドや胡桃のパイだと。よし、神様にもお土産や。
クグロフを3つ。タルトやパイはそれぞれ2つずつ購入。
『食べたいのですう』
『一口、ユイ、一口』
首筋べたべたしてきた。もう、かわいかね。
ミートパイを追加で2つ購入して、パクパクごっくん。ちょっとお二人さん、これ、そこそこの額なんですが。まあ、よかか、元は2人が稼いだお金だし、今日だけね。大金貨でお支払い、と。
手芸品をじっくり見たかったけど、食欲に歯止めの効かない2人に急かされ、革のシンプルな小銭入れを5つ購入。寄付用ね。あのかわいか刺繍のポーチとか、ハンカチとかみたいのに。
次に訪れたのは、しっかりベテランのシェフさん達が並ぶ。奥はカフェスペース。あああああ、お茶したか。えーっと、並んでいるケーキ、やない。
「ミズサワ殿、こちらは城のシェフ達の屋台です。奥のカフェでは新人のメイドやフットマン達が担当しています」
「なるほど」
お茶したかけど、諦める。だってホークさん、こういった場所では、絶対一緒に食べたりしないもんね。帰ってゆっくり食べよう。
ケーキやない、これ、キッシュや。後は、あ、ケークサレや。伯父さんがよく持たせてくれたから、知ってる。へー、色々ある。後はサンドウィッチやカヌレ、色とりどりのジャムクッキーがズラリ。うん、美味しそう。こちらのシェフさん達も熱心に説明してくれる。
『ふごーっ』
『ふごーっ』
「はいはい」
再び大人買いする。
もうよかかな? これで帰れば、お昼かな?
『ふごーっ、ユイ、待ってなのですーっ』
『あらあら、人気ね、ビアンカ』
あー、小さい子どもがビアンカのお尻辺りにしがみついてる。母親らしき女性がすっ飛んできて、平謝りしていった。
他には食べ歩きできるクレープやフランクフルトやホットドッグの店があった。こちらは行列の為に諦める。
それからゲストハウスに戻る。馬車の中で、サエキ様とお話。
「明日、こちらを出ます」
「はい。出発は予定通りです」
何かって? フェリアレーナ様の輿入れの護衛だ。先に私達がトッパに入り待つ。
ガーガリア妃がアルティーナに戻るという知らせは、瞬く間にユリアレーナ内を駆け抜けた。ちょうど冷蔵庫ダンジョンにいたから私は知らないけど、両親の話からかなりの騒ぎになったそうだ。
これでやっとガーガリア妃も、お母さんの元で、静養できる。誰も事情を知らないから、ガーガリア妃に対しては辛辣だったそうだ。
「貴女の身の心配はしていませんが、対人戦になるでしょう」
人、そう、フェリアレーナ様を襲うのは、人だ。
急に、体の奥底が冷えていく。ホークさんと今回の件で、色々話したけど、現実味が深くなってきた。
ふう、とサエキ様は、息をつく。
「出来れば生け捕りにしてもらえますか? 襲撃犯達は、おそらく日に当たれないような事をしてきたはず。すべての埃という埃を叩き出したいので」
生け捕り。なんだか、ちょっと軽くなる。生け捕りね、生け捕り。
「ただし。貴女方の命が最優先です。そして、フェリアレーナ様、同行する従者、マーファの騎士達の命です。いいですね? 生け捕りは出来ればで構いませんからね。優先事項を誤らないように」
言われて、冷えた奥底を引き締める。
「はい」
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