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隠れて護衛⑤
明日かあ。夕御飯の後片付けしながら思う。
上手くいくかやはり心配。皿を片付けながら、明日を思う。
「優衣? 大丈夫ね?」
母が心配そうに聞いてくる。
「うん」
私は短く答える。明日のフェリアレーナ様の件を知っていたからだ。
「大丈夫よ、ビアンカとルージュがおるしね」
大丈夫。ビアンカとルージュなら、大丈夫や。当の本人達は、心配のしの字もない。
『ユイ、心配ないのです。雷で失神させるのです』
『闇魔法で拘束すればいいんでしょ? 大丈夫よ、人の体くらい弾けさせるわよ』
感電死と内臓破裂という物騒なワードが浮かぶ。
「手加減、してよ」
『大丈夫なのですよ』
『それくらいできるわ』
私は自分にも言い聞かせる。大丈夫、きっと手加減する。うん、きっと。
私は片付けた後に、鷹の目の皆さん、ビアンカとルージュの後を追う皆さんの携帯品の確認。
晃太がアイテムボックスからポーションを取り出す。買い取りに出さずにとっといて良かった。
上級ポーションと解毒ポーション、魔力回復ポーション。アイテムボックスのあるホークさんとマデリーンさんが詰め、マジックバッグのあるチュアンさんも詰める。ミゲル君には私のBサイズのマジックバッグを貸し出し詰める。それから私の解毒の指輪と、晃太の魔力消費を軽減する指輪をマデリーンさんに渡す。エリクサーがあれば安心なんだけど、もうない。あれから上級ポーションは出るが、エリクサーは出ない。年に数本しか出ない貴重品だから、高望みはダメよね。出来るだけの事だ。後は晃太が向かう前に、ギリギリまで支援するくらいだ。
よし、これくらいかな。
次の日、お地蔵様にお祈り。
ビアンカとルージュをお守りください。フェリアレーナ様と、従者の皆さん、マーファの騎士の皆さん、そして鷹の目の皆さんをお守りください。
お祈り。
心配する両親と、へっへと尻尾を振る花を見送る。
よし、準備はいいかな。
本日は全員で出掛けるので、ノワールも連れていく。
「ブヒヒンッ」
久しぶりの外で楽しそうだ。
街の外に出る時に、既にビアンカとルージュと仔達が毎日散歩しているので、慣れたものだ。トッパの門番さんが、
「お散歩ですか? おや、魔法馬の足、調子がいいようですね」
と、にこやかに言われた。元気とコハクがご挨拶にいく。
「はい、ずいぶんいいようなので、少し走らせようかと思って。ずっと倉庫内にいたので」
「そうですか、お気をつけて」
元気とコハクをもふもふしてから、見送ってくれた。
ゾロゾロとトッパの街を出て、街道近くの草原に日除けの幕を張り、シートを敷く。襲撃場所からかなり離れているが、ビアンカとルージュの足なら直ぐに駆け付けられる。それにビアンカは先に森に潜んで待つと。バレないか心配したが、そこは魔の森の守護者、フォレストガーディアンウルフ。気配を消して近付くなんて朝飯前。
『私か、ルージュ並の気配感知がなければ無理なのですよ』
あ、なら、大丈夫やね。
仔達が無邪気に遊んでいるのを、いつもはほのぼのと見ていられるのに、心がざわついて仕方ない。
『ねえね~』
ゴロゴロと撫でていたヒスイが喉を鳴らす。よしよし。ルリとクリスはシートの上で丸くなって寝ている。元気とコハクは駆け回って遊んでる。
そっと時間を確認する。
フェリアレーナ様の輿入れ行列がトッパに入るのは、14時頃で、そのままトッパで一泊する予定。サエキ様がそう言ってた。
あの襲撃場所を通るのは、逆算して13時過ぎ。
ビアンカ、お腹すかせてないかな?
軽くおにぎりでお昼を済ませ、後は待つしかない。
「ビアンカ、腹、すいとらんかね?」
晃太も同じ心配をしている。腹が減ってはなんとかだけど。マジックバッグにおにぎりを入れて持たせる案もあったが、残念なことに不採用。理由は、ビアンカとルージュはマジックバッグに物は入れられても、中身を出せない。何度か練習したが、出来ず、負けず嫌いに躍起になってしていたら、父が止めてきた。
「壊れるばい、これ以上無理したら」
貴重なSサイズのマジックバッグ。しぶしぶ諦めていた。
『ビアンカなら、腹を満たす分の獲物くらい獲れるわよ』
「まあ、そうやね」
ドラゴンも熊も一撃やしね。
チラチラと自分の懐中時計を見ながら過ごす。
もしかしたら、諦めていてくれたりしたのかな?
なんて、思っていたら。
アォォォォォォーン……………
狼の遠吠えが響く。ビアンカだ。
来た。
『ユイッ、私も行くわッ』
「気をつけてねっ、人命最優先ッ」
毎度お馴染み光のリンゴが現れて、ルージュが体勢を低くし、飛び出していく。
見送る後ろで、晃太がアイテムボックスから馬車を出し、ノワールにホークさんとチュアンさんが繋げていく。そして晃太は支援魔法を連発する。魔力枯渇し魔力回復ポーションを煽って、再びギリギリまで支援魔法を連発。ノワールの馬車が繋がり、素早く馭者台にホークさんが飛び乗り、馬車にはチュアンさん達が乗り込む。
「エマ、テオ、何かあればユイさん達を守るんだぞッ」
「「はいっ」」
「ユイさん、コウタさんが回復したら手筈通りにッ」
「はいっ」
ホークさんは手綱を操り、ノワールが爆走開始する。あっという間に見えなくなった。
私達はトッパに戻り、警備の人に連絡だ。今はフェリアレーナ様の輿入れで厳戒態勢が敷かれている。トッパ近くで誰かが襲撃なんてことがあれば、総出で対応だ。それに、私の言葉は誰も疑わないはず。ビアンカとルージュ、フォレストガーディアンウルフとクリムゾンジャガーの主人やしね。
「従魔が誰か襲われているのを察知して、救助に向かいました」
なんて言ったら、即対応してくれる。
ホークさんのアドバイスです。
「クウーン」
「クウーン」
慌ただしくルージュと鷹の目の成人組が行ってしまい、ルリとクリスが不安そうだ。よしよし。大丈夫やからね。魔力枯渇した晃太は座り込んでいる為、少し休憩して、トッパに向かう。元気がペロペロ。いや、ベロベロ。元気君や、晃太休ませて。シートに横たわると、顎を腹にのせてる。枕か?
「なんね、心配してくれとるとね?」
「ふんふんっ」
晃太が寝たまま元気を撫でる。ああ、いつもとおかしいから、元気なりに心配したのかね。ルリとクリスもベロベロ。大型犬が3匹群がり、足先しか見えない。知らない人が見たら、事件な感じだ。
しばらくして晃太が起き上がる。晃太にも魔力回復Sがあるからね。
「晃太、歩ける? 肩、貸そうか?」
「よか。少し魔力回復したけん、歩けるよ。はよ、トッパに行かんと」
「そやな。皆、行くよ」
幕とシートを片付けて、トッパに戻る。
ルージュの光のリンゴが私達の周囲を漂いながら付いてくる。
草原から街道にもう少しで入る頃、空気が変わる。
「ワンワンッ」
「グルルルゥゥゥゥ」
元気が吠え、コハクが唸り声を上げる。
「ど、どうしたね」
元気とコハクの視線の先は森。見ると、ルリもクリスもヒスイも背中の毛が総立ちしている。
これは、由々しき事態や。まさか、魔物? ここら辺は、森と言っても、魔の森と呼ばれる場所ではない。魔の森と呼ばれる域はまだ奥で、ここら辺は地元の人も山菜を採りにくるくらいだ。そう聞いたのに。
晃太が再び魔力回復ポーションを飲み、エマちゃんとテオ君がナイフを抜いた。
私は武器用のフライパンをアイテムボックスから出して、握り締めた。
上手くいくかやはり心配。皿を片付けながら、明日を思う。
「優衣? 大丈夫ね?」
母が心配そうに聞いてくる。
「うん」
私は短く答える。明日のフェリアレーナ様の件を知っていたからだ。
「大丈夫よ、ビアンカとルージュがおるしね」
大丈夫。ビアンカとルージュなら、大丈夫や。当の本人達は、心配のしの字もない。
『ユイ、心配ないのです。雷で失神させるのです』
『闇魔法で拘束すればいいんでしょ? 大丈夫よ、人の体くらい弾けさせるわよ』
感電死と内臓破裂という物騒なワードが浮かぶ。
「手加減、してよ」
『大丈夫なのですよ』
『それくらいできるわ』
私は自分にも言い聞かせる。大丈夫、きっと手加減する。うん、きっと。
私は片付けた後に、鷹の目の皆さん、ビアンカとルージュの後を追う皆さんの携帯品の確認。
晃太がアイテムボックスからポーションを取り出す。買い取りに出さずにとっといて良かった。
上級ポーションと解毒ポーション、魔力回復ポーション。アイテムボックスのあるホークさんとマデリーンさんが詰め、マジックバッグのあるチュアンさんも詰める。ミゲル君には私のBサイズのマジックバッグを貸し出し詰める。それから私の解毒の指輪と、晃太の魔力消費を軽減する指輪をマデリーンさんに渡す。エリクサーがあれば安心なんだけど、もうない。あれから上級ポーションは出るが、エリクサーは出ない。年に数本しか出ない貴重品だから、高望みはダメよね。出来るだけの事だ。後は晃太が向かう前に、ギリギリまで支援するくらいだ。
よし、これくらいかな。
次の日、お地蔵様にお祈り。
ビアンカとルージュをお守りください。フェリアレーナ様と、従者の皆さん、マーファの騎士の皆さん、そして鷹の目の皆さんをお守りください。
お祈り。
心配する両親と、へっへと尻尾を振る花を見送る。
よし、準備はいいかな。
本日は全員で出掛けるので、ノワールも連れていく。
「ブヒヒンッ」
久しぶりの外で楽しそうだ。
街の外に出る時に、既にビアンカとルージュと仔達が毎日散歩しているので、慣れたものだ。トッパの門番さんが、
「お散歩ですか? おや、魔法馬の足、調子がいいようですね」
と、にこやかに言われた。元気とコハクがご挨拶にいく。
「はい、ずいぶんいいようなので、少し走らせようかと思って。ずっと倉庫内にいたので」
「そうですか、お気をつけて」
元気とコハクをもふもふしてから、見送ってくれた。
ゾロゾロとトッパの街を出て、街道近くの草原に日除けの幕を張り、シートを敷く。襲撃場所からかなり離れているが、ビアンカとルージュの足なら直ぐに駆け付けられる。それにビアンカは先に森に潜んで待つと。バレないか心配したが、そこは魔の森の守護者、フォレストガーディアンウルフ。気配を消して近付くなんて朝飯前。
『私か、ルージュ並の気配感知がなければ無理なのですよ』
あ、なら、大丈夫やね。
仔達が無邪気に遊んでいるのを、いつもはほのぼのと見ていられるのに、心がざわついて仕方ない。
『ねえね~』
ゴロゴロと撫でていたヒスイが喉を鳴らす。よしよし。ルリとクリスはシートの上で丸くなって寝ている。元気とコハクは駆け回って遊んでる。
そっと時間を確認する。
フェリアレーナ様の輿入れ行列がトッパに入るのは、14時頃で、そのままトッパで一泊する予定。サエキ様がそう言ってた。
あの襲撃場所を通るのは、逆算して13時過ぎ。
ビアンカ、お腹すかせてないかな?
軽くおにぎりでお昼を済ませ、後は待つしかない。
「ビアンカ、腹、すいとらんかね?」
晃太も同じ心配をしている。腹が減ってはなんとかだけど。マジックバッグにおにぎりを入れて持たせる案もあったが、残念なことに不採用。理由は、ビアンカとルージュはマジックバッグに物は入れられても、中身を出せない。何度か練習したが、出来ず、負けず嫌いに躍起になってしていたら、父が止めてきた。
「壊れるばい、これ以上無理したら」
貴重なSサイズのマジックバッグ。しぶしぶ諦めていた。
『ビアンカなら、腹を満たす分の獲物くらい獲れるわよ』
「まあ、そうやね」
ドラゴンも熊も一撃やしね。
チラチラと自分の懐中時計を見ながら過ごす。
もしかしたら、諦めていてくれたりしたのかな?
なんて、思っていたら。
アォォォォォォーン……………
狼の遠吠えが響く。ビアンカだ。
来た。
『ユイッ、私も行くわッ』
「気をつけてねっ、人命最優先ッ」
毎度お馴染み光のリンゴが現れて、ルージュが体勢を低くし、飛び出していく。
見送る後ろで、晃太がアイテムボックスから馬車を出し、ノワールにホークさんとチュアンさんが繋げていく。そして晃太は支援魔法を連発する。魔力枯渇し魔力回復ポーションを煽って、再びギリギリまで支援魔法を連発。ノワールの馬車が繋がり、素早く馭者台にホークさんが飛び乗り、馬車にはチュアンさん達が乗り込む。
「エマ、テオ、何かあればユイさん達を守るんだぞッ」
「「はいっ」」
「ユイさん、コウタさんが回復したら手筈通りにッ」
「はいっ」
ホークさんは手綱を操り、ノワールが爆走開始する。あっという間に見えなくなった。
私達はトッパに戻り、警備の人に連絡だ。今はフェリアレーナ様の輿入れで厳戒態勢が敷かれている。トッパ近くで誰かが襲撃なんてことがあれば、総出で対応だ。それに、私の言葉は誰も疑わないはず。ビアンカとルージュ、フォレストガーディアンウルフとクリムゾンジャガーの主人やしね。
「従魔が誰か襲われているのを察知して、救助に向かいました」
なんて言ったら、即対応してくれる。
ホークさんのアドバイスです。
「クウーン」
「クウーン」
慌ただしくルージュと鷹の目の成人組が行ってしまい、ルリとクリスが不安そうだ。よしよし。大丈夫やからね。魔力枯渇した晃太は座り込んでいる為、少し休憩して、トッパに向かう。元気がペロペロ。いや、ベロベロ。元気君や、晃太休ませて。シートに横たわると、顎を腹にのせてる。枕か?
「なんね、心配してくれとるとね?」
「ふんふんっ」
晃太が寝たまま元気を撫でる。ああ、いつもとおかしいから、元気なりに心配したのかね。ルリとクリスもベロベロ。大型犬が3匹群がり、足先しか見えない。知らない人が見たら、事件な感じだ。
しばらくして晃太が起き上がる。晃太にも魔力回復Sがあるからね。
「晃太、歩ける? 肩、貸そうか?」
「よか。少し魔力回復したけん、歩けるよ。はよ、トッパに行かんと」
「そやな。皆、行くよ」
幕とシートを片付けて、トッパに戻る。
ルージュの光のリンゴが私達の周囲を漂いながら付いてくる。
草原から街道にもう少しで入る頃、空気が変わる。
「ワンワンッ」
「グルルルゥゥゥゥ」
元気が吠え、コハクが唸り声を上げる。
「ど、どうしたね」
元気とコハクの視線の先は森。見ると、ルリもクリスもヒスイも背中の毛が総立ちしている。
これは、由々しき事態や。まさか、魔物? ここら辺は、森と言っても、魔の森と呼ばれる場所ではない。魔の森と呼ばれる域はまだ奥で、ここら辺は地元の人も山菜を採りにくるくらいだ。そう聞いたのに。
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