文字の大きさ
大
中
小
625 / 877
連載
開花④
「晃太、大丈夫な?」
「………………わい、もう、ノワールいやや」
撃沈している晃太。
ルーティのダンジョン初日、ノワールに初めて騎乗した晃太がダメージを負った。デリケートな問題なので、当たらんでおこう。
「なんでホークさんは無事なんやっ」
変なクレームを出す晃太。ホークさんは困った顔してノワールのブラッシングしている。
色々ダメージ食らった晃太だけど、やはりノワールで広大にあちこち目視出来たのが、マッピングに効果があったみたい。その日から、夜中、自室に籠って作図をしている。
晃太は次の日からノワールではなく、オシリスに変更して、上空からフィールドを確認している。細かい所は、徒歩で移動して近くで確認している。ある程度の情報を得たらルームで作図を集中している。
時折薬草採取グループが情報を持ってくるし、フィールド爆走組からも情報が来るしね。
「きゅうん、きゅうん」
ウインディが私の足元に走ってくる。よしよし、もふもふ。アリスのスパルタ指導で半泣きだ。以前ルージュが使った黒いバスケットボールでの訓練だ。シルフィはわんわん言って黒いバスケットボールと戯れている。姉妹でこうも違うかね。イフリィとノームは黒いバスケットボールに遊ばれている。ほのぼの。
「わふんっ」
アリスがウインディを連れていく。
「きゅーんっ、きゅーんっ」
頑張ってウインディ。
さ、私は魔境のシヴァ達の誘導だね。錆び落としのお母さんウルフ達も待っているしね。
ルームを開けようとしたら、冒険者の皆さんが訓練していた所から悲鳴があがる。
「うわああぁぁぁっ」
ハジェル君の悲鳴だ。
えっ、どうしたんやろっ。
慌てて向かうと、ハジェル君が両手を押さえて倒れている。
「えっ、ハジェル君っ」
本当にどうしたんやろっ。
ロッシュさん達も駆けつけている。ヒーラーであるチュアンさんも駆け寄ってる。私も駆け寄ると、ハジェル君は両手に切り傷が出来ている。ざっくり斬れてるっ。
「ど、どうしたんっ」
「い、痛いっす…………」
見ただけで痛そうなのは分かる。チュアンさんが治療を初めて、フリンダさんも加わる。すー、と切り傷が塞がっていく。
「ううっ、痛いっす」
切り傷が塞がったが、急速にふさぐと痛みが残るって言ってた。
「時期に痛みが引くから、しばらく待て」
「他にキズはない?」
チュアンさんとフリンダさんが確認している。
「はいっす…………」
「ハジェル語尾、ありがとうございます」
ロッシュさんがチュアンさんとフリンダさんにお礼を言ってる。
「ハジェル君どうしたん?」
私は腕を庇うようにしていたハジェル君に聞く。
「いつもみたいに、魔力を流しながら弓を引いていたら、急に魔力が流れて、噴き出した感じで」
ハジェル君が座り直す。
「多分、コントロール出来なくって、気がついたら。こうなっていたっす」
「なんでケガする程の魔力が出たかね?」
「さあ? ああ、痛いっす」
腕を庇うハジェル君。心配そうに転がった弓を拾うのはマアデン君だ。
「君、もしかしたら、属性魔法が発現したんじゃないか?」
話を聞いていたエリアンさんが思案顔だ。
「え? 属性? でも、俺、調べてもらった時はなかったっす」
「たまにいるんですよ。無属性魔法の発現と同時に属性魔法を発現する事がね。特にエルフの血筋を引く混血児は、その発現率が高い。痛みが引いたらケルン殿に、調べて貰った方がいいでしょう」
エリアンさん曰く、純粋な人族なら千人に一人。だけど、エルフや魔族の血筋があると、その可能性が百人に二、三人の割引で出るって。フェリクスさんもそのパターンだったみたい。もともと闇属性があったが、無属性を発現させた時に、土属性も同時に発現したって。ロッシュさんが真剣にエリアンさんの話を聞いてる。ケルンさんは薬草採取部隊として、出てるし。
「ハジェル、立てるか?」
シュタインさんも心配そうだ。ハジェル君もうんうん唸っている。どうしよう、アリスに呼びに言って貰おうかな?
「うーん、うーん」
唸るハジェル君。
大丈夫かな? エリクサーを取り出してみると。
「あれ?」
と、すっとんきょうな声を上げるハジェル君。
「どうしたん、エリクサー飲む?」
「あ、大丈夫っす、なんか痛みがすーっと引いて、流石治療魔法っすね」
と、笑顔を見せるハジェル君。痛みが引いたんや、良かった良かった。
今度顔を見合わせるのはチュアンさんとフリンダさんだ。
「そんなに急激に引くわけないが」
「ええ、結構深いキズだったし」
よく分からない様子の2人。
治療魔法が効いただけやないんかね?
エリアンさんが思案顔だ。
ぱんっ、ぼんっ、ぼんっ、ぱんっ。
次はなんやっ。
弾けるような音が響く。
振り返ると、黒いバスケットボールが次々に破裂している。
なんや、なんや。
シルフィがわんわん吠えると、黒いバスケットボールが真っ二つ。イフリィがわんわん吠えると、真っ赤な赤い炎が黒いバスケットボールを直撃。ノームがわんわん吠えると土の塊が黒いバスケットボールを直撃。
ま、まさか、まさか。
「きゅうーんっ」
逃げるウインディが情けない声を上げると、水の塊が黒いバスケットボールを直撃している。
アリスが感慨無量の顔で、シルフィ達を見守っている。そうか、そろそろシルフィ達も生後一年かあ。兄妹揃って……………あ、土煙がっ。
キキキキキィィィィィッ。
ド派手なカーアクションばりの動きで急停車したのはアレスだ。
「げふふっ」
『娘よ、息子よっ、力が覚醒したのだなっ』
げふふっ、げふふっ。
「………………わい、もう、ノワールいやや」
撃沈している晃太。
ルーティのダンジョン初日、ノワールに初めて騎乗した晃太がダメージを負った。デリケートな問題なので、当たらんでおこう。
「なんでホークさんは無事なんやっ」
変なクレームを出す晃太。ホークさんは困った顔してノワールのブラッシングしている。
色々ダメージ食らった晃太だけど、やはりノワールで広大にあちこち目視出来たのが、マッピングに効果があったみたい。その日から、夜中、自室に籠って作図をしている。
晃太は次の日からノワールではなく、オシリスに変更して、上空からフィールドを確認している。細かい所は、徒歩で移動して近くで確認している。ある程度の情報を得たらルームで作図を集中している。
時折薬草採取グループが情報を持ってくるし、フィールド爆走組からも情報が来るしね。
「きゅうん、きゅうん」
ウインディが私の足元に走ってくる。よしよし、もふもふ。アリスのスパルタ指導で半泣きだ。以前ルージュが使った黒いバスケットボールでの訓練だ。シルフィはわんわん言って黒いバスケットボールと戯れている。姉妹でこうも違うかね。イフリィとノームは黒いバスケットボールに遊ばれている。ほのぼの。
「わふんっ」
アリスがウインディを連れていく。
「きゅーんっ、きゅーんっ」
頑張ってウインディ。
さ、私は魔境のシヴァ達の誘導だね。錆び落としのお母さんウルフ達も待っているしね。
ルームを開けようとしたら、冒険者の皆さんが訓練していた所から悲鳴があがる。
「うわああぁぁぁっ」
ハジェル君の悲鳴だ。
えっ、どうしたんやろっ。
慌てて向かうと、ハジェル君が両手を押さえて倒れている。
「えっ、ハジェル君っ」
本当にどうしたんやろっ。
ロッシュさん達も駆けつけている。ヒーラーであるチュアンさんも駆け寄ってる。私も駆け寄ると、ハジェル君は両手に切り傷が出来ている。ざっくり斬れてるっ。
「ど、どうしたんっ」
「い、痛いっす…………」
見ただけで痛そうなのは分かる。チュアンさんが治療を初めて、フリンダさんも加わる。すー、と切り傷が塞がっていく。
「ううっ、痛いっす」
切り傷が塞がったが、急速にふさぐと痛みが残るって言ってた。
「時期に痛みが引くから、しばらく待て」
「他にキズはない?」
チュアンさんとフリンダさんが確認している。
「はいっす…………」
「ハジェル語尾、ありがとうございます」
ロッシュさんがチュアンさんとフリンダさんにお礼を言ってる。
「ハジェル君どうしたん?」
私は腕を庇うようにしていたハジェル君に聞く。
「いつもみたいに、魔力を流しながら弓を引いていたら、急に魔力が流れて、噴き出した感じで」
ハジェル君が座り直す。
「多分、コントロール出来なくって、気がついたら。こうなっていたっす」
「なんでケガする程の魔力が出たかね?」
「さあ? ああ、痛いっす」
腕を庇うハジェル君。心配そうに転がった弓を拾うのはマアデン君だ。
「君、もしかしたら、属性魔法が発現したんじゃないか?」
話を聞いていたエリアンさんが思案顔だ。
「え? 属性? でも、俺、調べてもらった時はなかったっす」
「たまにいるんですよ。無属性魔法の発現と同時に属性魔法を発現する事がね。特にエルフの血筋を引く混血児は、その発現率が高い。痛みが引いたらケルン殿に、調べて貰った方がいいでしょう」
エリアンさん曰く、純粋な人族なら千人に一人。だけど、エルフや魔族の血筋があると、その可能性が百人に二、三人の割引で出るって。フェリクスさんもそのパターンだったみたい。もともと闇属性があったが、無属性を発現させた時に、土属性も同時に発現したって。ロッシュさんが真剣にエリアンさんの話を聞いてる。ケルンさんは薬草採取部隊として、出てるし。
「ハジェル、立てるか?」
シュタインさんも心配そうだ。ハジェル君もうんうん唸っている。どうしよう、アリスに呼びに言って貰おうかな?
「うーん、うーん」
唸るハジェル君。
大丈夫かな? エリクサーを取り出してみると。
「あれ?」
と、すっとんきょうな声を上げるハジェル君。
「どうしたん、エリクサー飲む?」
「あ、大丈夫っす、なんか痛みがすーっと引いて、流石治療魔法っすね」
と、笑顔を見せるハジェル君。痛みが引いたんや、良かった良かった。
今度顔を見合わせるのはチュアンさんとフリンダさんだ。
「そんなに急激に引くわけないが」
「ええ、結構深いキズだったし」
よく分からない様子の2人。
治療魔法が効いただけやないんかね?
エリアンさんが思案顔だ。
ぱんっ、ぼんっ、ぼんっ、ぱんっ。
次はなんやっ。
弾けるような音が響く。
振り返ると、黒いバスケットボールが次々に破裂している。
なんや、なんや。
シルフィがわんわん吠えると、黒いバスケットボールが真っ二つ。イフリィがわんわん吠えると、真っ赤な赤い炎が黒いバスケットボールを直撃。ノームがわんわん吠えると土の塊が黒いバスケットボールを直撃。
ま、まさか、まさか。
「きゅうーんっ」
逃げるウインディが情けない声を上げると、水の塊が黒いバスケットボールを直撃している。
アリスが感慨無量の顔で、シルフィ達を見守っている。そうか、そろそろシルフィ達も生後一年かあ。兄妹揃って……………あ、土煙がっ。
キキキキキィィィィィッ。
ド派手なカーアクションばりの動きで急停車したのはアレスだ。
「げふふっ」
『娘よ、息子よっ、力が覚醒したのだなっ』
げふふっ、げふふっ。
感想 854
あなたにおすすめの小説
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます 〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯
鳳凰院暁月刃夜婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます
〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯一の調香師でした〜
☆あらすじ☆
王太子から婚約破棄され、家族にも見捨てられた公爵令嬢リリアーナ。
妹をいじめた悪女。
匂いしか分からない無能令嬢。
王妃にふさわしくない女。
夜会場でそう笑われた彼女は、すべてを失った――はずだった。
けれどリリアーナの嗅覚は、ただ香りを嗅ぎ分けるだけのものではない。
人の嘘。
隠された悪意。
病の兆し。
呪いの残り香。
そして、運命の匂いまで嗅ぎ分ける、王国唯一の異能だった。
公爵家を出たリリアーナは、亡き祖母が残した王都の端の小さな香水店「夜明けの瓶」を開く。
最初は誰にも見向きされない店だった。
けれど、眠れない少女を救い、毒を盛られた貴婦人を助け、夫婦の嘘をほどいていくうちに、店は王都中の秘密が集まる場所になっていく。
そんな彼女の前に現れたのは、冷血公爵と恐れられる辺境公爵ヴァルト。
彼は王宮由来の呪いに蝕まれていた。
リリアーナは彼の呪いを解くため、契約婚約を結ぶことになる。
不器用すぎる公爵に守られ、時に振り回されながら、彼女は王宮に隠された大きな嘘へと近づいていく。
なぜ王太子は婚約破棄を急いだのか。
なぜ妹は姉を憎み続けるのか。
なぜ王宮には、焦げた薔薇の匂いが漂っているのか。
無能と捨てられた令嬢は、もう誰かの言いなりにはならない。
「私は、私の鼻で生きていきます」
香水店から始まる、婚約破棄令嬢の逆転恋愛ファンタジー。
ざまぁあり、契約婚約あり、冷血公爵の不器用な溺愛あり。
最後には、彼女を捨てた者たちが気づくことになる。
本当に失ってはいけなかったのは、彼女だったのだと。
王妃教育を辞退したら「困る」と国王陛下が直接迎えに来ました ~婚約破棄された私に、王太子ではなく国王陛下が求婚してきます〜
由香【全一話完結】
王太子の心変わりによって婚約を破棄された侯爵令嬢リリアーナ。
十年以上受け続けた王妃教育も辞退し、ようやく自由になれると思っていた。
ところが数日後、侯爵家を訪れたのは国王陛下本人。
「王妃教育を辞退されると困る。私の妃になってほしい」
努力を踏みにじった王太子はすべてを失い、選ばれたのは誠実に生きてきた彼女だった。
これは、年上国王に溺愛されながら、世界一幸せな王妃になるまでの逆転ラブストーリー。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
聖女って無給で無休なんですか?じゃあやらないです
こじまき異世界に聖女として召喚されたイラストレーターのチヒロ。しかし聖女には給料も休みもないことを知って「じゃあやらないです」と聖女就任を断る。
「国と人を救う崇高な仕事には、私どもからの感謝を捧げよう」
「心底いらないです」
異世界でまで、やりがい搾取されてたまるかよ。
※小説家になろうにも投稿しています
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまうリリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、悪役令嬢として断罪された少女が、「誰かの物語の脇役」ではなく、自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
妹を踏みにじった奴らに、復讐の花束を
楠ノ木雫 妹を傷つけたやつは誰だ。
隣国に嫁いだこの国の王女であり双子の妹でもあるクラリスが2年後に亡き人となって帰ってきた。死因すら伝えられず嫁ぎ先の墓にも入れてもらえずに隣国の使者が連れてきた。
この事実に信じられずにいると、クラリスが帰ってくる半年前に戻っていた。
一体隣国でクラリスの身に何があったのか。
絶対に、もうクラリスのあんな姿を見たくない。堅く決意し使節団の使者として隣国に乗りこむ事になった。
※一話で過激なシーンがあります。
【第1回新エンタメ小説大賞】にエントリー中です。
【完結済】ワザと醜い令嬢をしていた令嬢一家華麗に亡命する
satomi醜く自らに魔法をかけてケルリール王国王太子と婚約をしていた侯爵家令嬢のアメリア=キートウェル。フェルナン=ケルリール王太子から醜いという理由で婚約破棄を言い渡されました。
もう王太子は能無しですし、ケルリール王国から一家で亡命してしまう事にしちゃいます!