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開花⑪
「助かる、本当に助かる、ありがとうテイマーさん」
心から安堵したように繰り返すファングさん。
「いいんですよ、これくらい。ルーティにいる間はルームに避難してもらいましょう。ダンジョン内ならさすがに見つからないでしょうし」
私達が行くのは難度が高い階層で、気軽に行けないからね。
「後は、ルーティから出る時さえ気を付ければいいだけですね。まあ、隠れる手段はいくらでもありますよ。いざとなればルージュの魔法で誤魔化せる?」
『任せて、あの2人の認識を薄くするんでしょ? やりようはあるわ』
頼もしい。
「もしもの時はお願いね」
とりあえず、これでよかね。
ファングさんは何度も感謝の言葉を繰り返した。
「テイマーさん、俺は一旦宿に戻る。フリンダとガリストが心配しているだろうから」
「そうですね。明日、こちらに来てください、顔を見ないと心配でしょう」
「ああ、そうだな、本当にありがとうテイマーさん、感謝します」
帰りしな、ファングさんがアルスさんとリィマさんの所に。
「アルス、今日から何日かテイマーさんとこのコテージに、リィマと泊まりだ、いいな?」
「えっ? ファングは?」
アルスさんはこてん、と首を傾げる。リィマさんは少し肩の力が抜けた感じだ。
「ユイちゃんとこいるならファングも一緒がいい。フリンダもガリストも一緒がいい」
いつも「ユイちゃんとこいくっ」って言うのは、金の虎は皆さんが一緒が前提やったんかな。
「いいかアルス、これは練習だ」
「練習?」
「俺達は冒険者で、お前は?」
「えっと、冒険者」
「そうだ」
戸惑うアルスさんに、ファングさんは静かに諭すように話を続ける。
「俺達はパーティーを組んでいる、だから一緒に行動しているが、いつ何時、離れ離れになる可能性がある。今まではそんなトラブルはなかったろ? 何でだと思う?」
「ええっと、分からない……………」
言葉が尻すぼみになり、しゅん、と不安そうな顔になるアルスさん。不謹慎やけど、かわいかなあ。母性本能がつつかれそう。
「運が良かっただけだ。もし、人混みに紛れて離れた時、もし、ダンジョン内ではぐれた時。色んな場合がある。今回はリィマと2人だけで、別の町にいなくてはならない、俺達が迎えに来るまで、身動き取れない場合だ」
「じゃあ、明日ファングが迎えに来てくれるの?」
「明日は様子を見に来るだけだ。ちゃんと、アルスがフリンダにいつも言われていることが出来ているか、チェックするからな」
ファングさんは腰に手を当て、むんっ、みたいな顔をする。
アルスさんは、こてん、+にハテナマークが浮かんでる。
「宿で朝起きたら?」
人差し指を立てて、ファングさんがヒントを出す。
「歯を磨いて、えっと、顔を洗う?」
「そうだ。飯を食う時は?」
「お祈りと、ちゃんと噛む、えーっと、口の中に入っている時は次を入れない」
「そうだ。明日、出来ているかチェックするからな。ぐずぐず寝過ごすなよ。リィマの言うこと聞いて、テイマーさんに迷惑かけるなよ」
………………………ファングさんが、アルスさんのお父さんに見えてきた。
「出来るな?」
「う、うん。明日、来てくれる?」
「必ず来る。フリンダもガリストも来るからな」
くしゃ、とアルスさんの頭を撫でるファングさん。アルスさんはくすぐったそうに笑う。
「リィマ」
「あ、ああ」
まだ固い表情のリィマさんに、ファングさんは肩にそとごつい手を乗せる。
「大丈夫だ」
そう、一言。
だけどリィマさんは、その一言に、ぐ、と唇を噛み締める。不安と安堵が混ざってどっちの顔が出ていいのか分からない感じ。
それから金の虎が使用しているコテージに向かい、液晶画面の操作者を変更する。ファングさんからリィマさんへ変更よし。
そのままリィマさんとアルスさんはコテージに。何やらリィマさんが私に言いたげな顔やけど、もう遅いし、明日ゆっくり話せばよか。
「リィマさん。お疲れでしょう? 明日、ゆっくり話しましょう。ほら、アルスさんも寝る準備ばせんといかんやろうし」
「あ、ああ、そうだね」
リィマさん、固い顔のままやなあ。アルスさんと自分にひどいことをしようとした父親が同じ町にいるんや、気が休まらないわなあ。
「リィマさん。ここは安全ですからね。ビアンカやルージュ達に分からずこのルームに入れませんから」
「そ、そうだね。そうだね」
「さあ、リィマさん、休んでください。明日、9時くらいにこっちに来てくださいね」
こくん、とうなずくリィマさん。
私は宿の玄関までファングさんを見送る。
「ルージュ、悪かけど、ファングさんが宿に戻るまで付いてってくれる?」
『いいわよ。明日はエビね』
「よかたい」
ルージュが魔法で姿を消したのに、初見のファングさんはびっくり。
「ドラゴンくらい平気ですよ」
「あ、いや、そうだな、ルーティ半壊くらいさせらるよな」
あはは、と乾いた顔のファングさん。
すぐに真面目な顔になる。
「テイマーさん、本当に感謝します」
「いいんですって。事情が事情ですから。ここにいれば、リィマさんとアルスさんは安全です。ファングさん達も気をつけてください。何かあればビアンカやルージュが助けに行きますから」
「ありがとうテイマーさん」
ファングさんは深々と頭を下げて、夜道を帰って行った。
心から安堵したように繰り返すファングさん。
「いいんですよ、これくらい。ルーティにいる間はルームに避難してもらいましょう。ダンジョン内ならさすがに見つからないでしょうし」
私達が行くのは難度が高い階層で、気軽に行けないからね。
「後は、ルーティから出る時さえ気を付ければいいだけですね。まあ、隠れる手段はいくらでもありますよ。いざとなればルージュの魔法で誤魔化せる?」
『任せて、あの2人の認識を薄くするんでしょ? やりようはあるわ』
頼もしい。
「もしもの時はお願いね」
とりあえず、これでよかね。
ファングさんは何度も感謝の言葉を繰り返した。
「テイマーさん、俺は一旦宿に戻る。フリンダとガリストが心配しているだろうから」
「そうですね。明日、こちらに来てください、顔を見ないと心配でしょう」
「ああ、そうだな、本当にありがとうテイマーさん、感謝します」
帰りしな、ファングさんがアルスさんとリィマさんの所に。
「アルス、今日から何日かテイマーさんとこのコテージに、リィマと泊まりだ、いいな?」
「えっ? ファングは?」
アルスさんはこてん、と首を傾げる。リィマさんは少し肩の力が抜けた感じだ。
「ユイちゃんとこいるならファングも一緒がいい。フリンダもガリストも一緒がいい」
いつも「ユイちゃんとこいくっ」って言うのは、金の虎は皆さんが一緒が前提やったんかな。
「いいかアルス、これは練習だ」
「練習?」
「俺達は冒険者で、お前は?」
「えっと、冒険者」
「そうだ」
戸惑うアルスさんに、ファングさんは静かに諭すように話を続ける。
「俺達はパーティーを組んでいる、だから一緒に行動しているが、いつ何時、離れ離れになる可能性がある。今まではそんなトラブルはなかったろ? 何でだと思う?」
「ええっと、分からない……………」
言葉が尻すぼみになり、しゅん、と不安そうな顔になるアルスさん。不謹慎やけど、かわいかなあ。母性本能がつつかれそう。
「運が良かっただけだ。もし、人混みに紛れて離れた時、もし、ダンジョン内ではぐれた時。色んな場合がある。今回はリィマと2人だけで、別の町にいなくてはならない、俺達が迎えに来るまで、身動き取れない場合だ」
「じゃあ、明日ファングが迎えに来てくれるの?」
「明日は様子を見に来るだけだ。ちゃんと、アルスがフリンダにいつも言われていることが出来ているか、チェックするからな」
ファングさんは腰に手を当て、むんっ、みたいな顔をする。
アルスさんは、こてん、+にハテナマークが浮かんでる。
「宿で朝起きたら?」
人差し指を立てて、ファングさんがヒントを出す。
「歯を磨いて、えっと、顔を洗う?」
「そうだ。飯を食う時は?」
「お祈りと、ちゃんと噛む、えーっと、口の中に入っている時は次を入れない」
「そうだ。明日、出来ているかチェックするからな。ぐずぐず寝過ごすなよ。リィマの言うこと聞いて、テイマーさんに迷惑かけるなよ」
………………………ファングさんが、アルスさんのお父さんに見えてきた。
「出来るな?」
「う、うん。明日、来てくれる?」
「必ず来る。フリンダもガリストも来るからな」
くしゃ、とアルスさんの頭を撫でるファングさん。アルスさんはくすぐったそうに笑う。
「リィマ」
「あ、ああ」
まだ固い表情のリィマさんに、ファングさんは肩にそとごつい手を乗せる。
「大丈夫だ」
そう、一言。
だけどリィマさんは、その一言に、ぐ、と唇を噛み締める。不安と安堵が混ざってどっちの顔が出ていいのか分からない感じ。
それから金の虎が使用しているコテージに向かい、液晶画面の操作者を変更する。ファングさんからリィマさんへ変更よし。
そのままリィマさんとアルスさんはコテージに。何やらリィマさんが私に言いたげな顔やけど、もう遅いし、明日ゆっくり話せばよか。
「リィマさん。お疲れでしょう? 明日、ゆっくり話しましょう。ほら、アルスさんも寝る準備ばせんといかんやろうし」
「あ、ああ、そうだね」
リィマさん、固い顔のままやなあ。アルスさんと自分にひどいことをしようとした父親が同じ町にいるんや、気が休まらないわなあ。
「リィマさん。ここは安全ですからね。ビアンカやルージュ達に分からずこのルームに入れませんから」
「そ、そうだね。そうだね」
「さあ、リィマさん、休んでください。明日、9時くらいにこっちに来てくださいね」
こくん、とうなずくリィマさん。
私は宿の玄関までファングさんを見送る。
「ルージュ、悪かけど、ファングさんが宿に戻るまで付いてってくれる?」
『いいわよ。明日はエビね』
「よかたい」
ルージュが魔法で姿を消したのに、初見のファングさんはびっくり。
「ドラゴンくらい平気ですよ」
「あ、いや、そうだな、ルーティ半壊くらいさせらるよな」
あはは、と乾いた顔のファングさん。
すぐに真面目な顔になる。
「テイマーさん、本当に感謝します」
「いいんですって。事情が事情ですから。ここにいれば、リィマさんとアルスさんは安全です。ファングさん達も気をつけてください。何かあればビアンカやルージュが助けに行きますから」
「ありがとうテイマーさん」
ファングさんは深々と頭を下げて、夜道を帰って行った。
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