文字の大きさ
大
中
小
642 / 877
連載
ランクアップ⑥
コメントありがとうございます。
急な温度の差が出ています、皆様ご自愛ください。
『私ハ太ッテナイッ』
ドガガガガガガッ
「ギャーッ、やめてイシスーッ」
啄木鳥みたいに壁に嘴でつつく。啄木鳥なんてかわいかもんやない。道路とかを工事するときの工具のような感じで、壁ががっつりへこむ。イ、イシスの嘴、恐ろしか。
『私ハ太ッテナイ』
凄い眼力で私をみてくる。
「はあ、そうやねぇ」
ちら、とお尻を見る。モコモコ。モコモコ。やっぱりモコモコ。
「ちょっと、お尻が」
『私ハ太ッテナイッ、カンモウキダッ』
「へー、グリフォンも換毛期なんてあるん?」
『ソウダッ』
ぷーいっ、と、明後日の方向向いて言うのはなんでやろ?
「なら後でお父さんに見てもらおうかね。あんまり体重増えてたら飛ぶの大変やろうし」
父は今入浴しているし。
『私ハ太ッテナイッ』
再び、ドガガガガガガッ。
「ギャーッ、やめてーっ」
壁紙が、いや、壁自体が凹んでいる。
「なんばしようとね、あー、あー、壁が」
母が手を拭きながらやって来て、がっちり凹んだ壁を見て、あー、と呆れている。私はかくかく然々と説明する。
『私ハ太ッテナイ』
母にも凄い眼力で訴えているが、母はどこ吹く風。じーっ、とイシスを見て、モコモコお尻を見る。
「イシス、あんたちょっと太ったねー」
むにい、とお尻の肉を摘まむ。主人の私ですらイシスのお尻をダイレクトに触ったことないのに。
あら? イシスが白目剥いてる。
「イシスさんや?」
『……………ボス部屋行ク』
「いやあのさ、壁」
イシスは聞こえてないのが、サブ・ドアの向こうへ。
なんや、悲壮な覚悟で行きます、みたいな感じなんやけど。
イシスをボス部屋に見送り、さて、壁紙、いや壁のリフォームしようと液晶画面をいじっていたら。
「あ、こら元気っ」
晃太が悲鳴をあげている。
何々?
「あっ」
「くうーん?」
イシスの嘴で捲れた壁紙の一部を咥えて引っ張ったみたい。で、ベリベリと。あー、あー、被害拡大してる。ま、ちょっと広がったくらいで変わらんかな。だって、壁自体がやられてますからね。イシスの嘴、恐ろしか。元気の口から、壁紙の一部を外す。
あー、色々有りすぎた1日やったなー、ま、いつもこんな感じやね。
「姉ちゃんっ、姉ちゃんっ」
晃太が悲鳴をあげている。
今度はなんね。ギャーッ。
『金ニナルカ?』
イシスが銀色にテラテラした鱗のでっかい蛇を咥えている。
「ぺっ、しなさいっ。元の場所に返してらっしゃいっ」
「ユイさん、あれ、高級品ですよっ、すごく高級品っ」
ホークさんが必死に止めてきた。
次の日。
朝も早くからボス部屋でちゅどんドカン。昨晩、ビアンカとルージュに左右を挟まれ、ニコニコと仲間入りと言われたイシス。やけに無表情だったなあ。
朝御飯の後に、ファングさん達が来た。リィマさんとアルスさんもちゃんと支度していた。
「じゃあ、カルーラで待っとるからね」
「うんっ」
母が昨晩作ったお弁当を渡している。片手で食べられる様に、サンドイッチだ。
「テイマーさん、本当にすまない。ケイコさん、昼飯までありがとうございます」
ファングさんが深く感謝を繰り返す。
「気にしないでください。母の手伝いは大変ですがお願いします。念のために、馬車が出るまでルージュが姿を消して近くにいますから、心配ないとは思いますが」
「何から何まですまない」
フードを被ったアルスさんとリィマさん、ファングさん達を見送る。フリンダさんもガリストさんも深く頭を下げていた。
「ルージュ、頼むね」
『任せて、今日はエビよ』
「はいはい」
ルージュが魔法で姿を消す。これで大丈夫かな。しばらく外でビアンカと、アリス見守りでシルフィ達がじゃれているのを眺める。
『ユイ、無事に出たようなのです』
広範囲に気配を感知してくれていたビアンカの言葉に、ほっとする。
時間通りに馬車が出発したね。良かった。これで、心配事が一つ減ったかな。
カルーラに到着は三日後だが、移動馬車自体に護衛冒険者パーティーが着いてる。カルーラとルーティの間は街道はあるが、結界石がない。比較的整備されているが、数日を跨ぐ移動には、必ず護衛が必要となる。開けた街道とは言えゴブリンやらウルフが襲ってくるし、何も驚異は魔物だけではない。盗賊だって出る。
金の虎はランクがBのランクが高めパーティーだし、護衛できる冒険者パーティーも最適Dランクだし、戦力的に心配ないと思う。
「姉ちゃん、アルスさん達出たな?」
ルームに入ると、晃太がメモを片手に聞いてくる。
「うん、出たみたいやね」
「そうな、良かったなあ。なら、わい、ギルドに行って来る」
「はい、いってらっしゃい」
晃太とチュアンさん、テオ君、イシスが出る頃に、ラスチャーニエ、蒼の麓、山風の皆さんが入れ替わるようにやってきた。
急な温度の差が出ています、皆様ご自愛ください。
『私ハ太ッテナイッ』
ドガガガガガガッ
「ギャーッ、やめてイシスーッ」
啄木鳥みたいに壁に嘴でつつく。啄木鳥なんてかわいかもんやない。道路とかを工事するときの工具のような感じで、壁ががっつりへこむ。イ、イシスの嘴、恐ろしか。
『私ハ太ッテナイ』
凄い眼力で私をみてくる。
「はあ、そうやねぇ」
ちら、とお尻を見る。モコモコ。モコモコ。やっぱりモコモコ。
「ちょっと、お尻が」
『私ハ太ッテナイッ、カンモウキダッ』
「へー、グリフォンも換毛期なんてあるん?」
『ソウダッ』
ぷーいっ、と、明後日の方向向いて言うのはなんでやろ?
「なら後でお父さんに見てもらおうかね。あんまり体重増えてたら飛ぶの大変やろうし」
父は今入浴しているし。
『私ハ太ッテナイッ』
再び、ドガガガガガガッ。
「ギャーッ、やめてーっ」
壁紙が、いや、壁自体が凹んでいる。
「なんばしようとね、あー、あー、壁が」
母が手を拭きながらやって来て、がっちり凹んだ壁を見て、あー、と呆れている。私はかくかく然々と説明する。
『私ハ太ッテナイ』
母にも凄い眼力で訴えているが、母はどこ吹く風。じーっ、とイシスを見て、モコモコお尻を見る。
「イシス、あんたちょっと太ったねー」
むにい、とお尻の肉を摘まむ。主人の私ですらイシスのお尻をダイレクトに触ったことないのに。
あら? イシスが白目剥いてる。
「イシスさんや?」
『……………ボス部屋行ク』
「いやあのさ、壁」
イシスは聞こえてないのが、サブ・ドアの向こうへ。
なんや、悲壮な覚悟で行きます、みたいな感じなんやけど。
イシスをボス部屋に見送り、さて、壁紙、いや壁のリフォームしようと液晶画面をいじっていたら。
「あ、こら元気っ」
晃太が悲鳴をあげている。
何々?
「あっ」
「くうーん?」
イシスの嘴で捲れた壁紙の一部を咥えて引っ張ったみたい。で、ベリベリと。あー、あー、被害拡大してる。ま、ちょっと広がったくらいで変わらんかな。だって、壁自体がやられてますからね。イシスの嘴、恐ろしか。元気の口から、壁紙の一部を外す。
あー、色々有りすぎた1日やったなー、ま、いつもこんな感じやね。
「姉ちゃんっ、姉ちゃんっ」
晃太が悲鳴をあげている。
今度はなんね。ギャーッ。
『金ニナルカ?』
イシスが銀色にテラテラした鱗のでっかい蛇を咥えている。
「ぺっ、しなさいっ。元の場所に返してらっしゃいっ」
「ユイさん、あれ、高級品ですよっ、すごく高級品っ」
ホークさんが必死に止めてきた。
次の日。
朝も早くからボス部屋でちゅどんドカン。昨晩、ビアンカとルージュに左右を挟まれ、ニコニコと仲間入りと言われたイシス。やけに無表情だったなあ。
朝御飯の後に、ファングさん達が来た。リィマさんとアルスさんもちゃんと支度していた。
「じゃあ、カルーラで待っとるからね」
「うんっ」
母が昨晩作ったお弁当を渡している。片手で食べられる様に、サンドイッチだ。
「テイマーさん、本当にすまない。ケイコさん、昼飯までありがとうございます」
ファングさんが深く感謝を繰り返す。
「気にしないでください。母の手伝いは大変ですがお願いします。念のために、馬車が出るまでルージュが姿を消して近くにいますから、心配ないとは思いますが」
「何から何まですまない」
フードを被ったアルスさんとリィマさん、ファングさん達を見送る。フリンダさんもガリストさんも深く頭を下げていた。
「ルージュ、頼むね」
『任せて、今日はエビよ』
「はいはい」
ルージュが魔法で姿を消す。これで大丈夫かな。しばらく外でビアンカと、アリス見守りでシルフィ達がじゃれているのを眺める。
『ユイ、無事に出たようなのです』
広範囲に気配を感知してくれていたビアンカの言葉に、ほっとする。
時間通りに馬車が出発したね。良かった。これで、心配事が一つ減ったかな。
カルーラに到着は三日後だが、移動馬車自体に護衛冒険者パーティーが着いてる。カルーラとルーティの間は街道はあるが、結界石がない。比較的整備されているが、数日を跨ぐ移動には、必ず護衛が必要となる。開けた街道とは言えゴブリンやらウルフが襲ってくるし、何も驚異は魔物だけではない。盗賊だって出る。
金の虎はランクがBのランクが高めパーティーだし、護衛できる冒険者パーティーも最適Dランクだし、戦力的に心配ないと思う。
「姉ちゃん、アルスさん達出たな?」
ルームに入ると、晃太がメモを片手に聞いてくる。
「うん、出たみたいやね」
「そうな、良かったなあ。なら、わい、ギルドに行って来る」
「はい、いってらっしゃい」
晃太とチュアンさん、テオ君、イシスが出る頃に、ラスチャーニエ、蒼の麓、山風の皆さんが入れ替わるようにやってきた。
感想 854
あなたにおすすめの小説
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます 〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯
鳳凰院暁月刃夜婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます
〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯一の調香師でした〜
☆あらすじ☆
王太子から婚約破棄され、家族にも見捨てられた公爵令嬢リリアーナ。
妹をいじめた悪女。
匂いしか分からない無能令嬢。
王妃にふさわしくない女。
夜会場でそう笑われた彼女は、すべてを失った――はずだった。
けれどリリアーナの嗅覚は、ただ香りを嗅ぎ分けるだけのものではない。
人の嘘。
隠された悪意。
病の兆し。
呪いの残り香。
そして、運命の匂いまで嗅ぎ分ける、王国唯一の異能だった。
公爵家を出たリリアーナは、亡き祖母が残した王都の端の小さな香水店「夜明けの瓶」を開く。
最初は誰にも見向きされない店だった。
けれど、眠れない少女を救い、毒を盛られた貴婦人を助け、夫婦の嘘をほどいていくうちに、店は王都中の秘密が集まる場所になっていく。
そんな彼女の前に現れたのは、冷血公爵と恐れられる辺境公爵ヴァルト。
彼は王宮由来の呪いに蝕まれていた。
リリアーナは彼の呪いを解くため、契約婚約を結ぶことになる。
不器用すぎる公爵に守られ、時に振り回されながら、彼女は王宮に隠された大きな嘘へと近づいていく。
なぜ王太子は婚約破棄を急いだのか。
なぜ妹は姉を憎み続けるのか。
なぜ王宮には、焦げた薔薇の匂いが漂っているのか。
無能と捨てられた令嬢は、もう誰かの言いなりにはならない。
「私は、私の鼻で生きていきます」
香水店から始まる、婚約破棄令嬢の逆転恋愛ファンタジー。
ざまぁあり、契約婚約あり、冷血公爵の不器用な溺愛あり。
最後には、彼女を捨てた者たちが気づくことになる。
本当に失ってはいけなかったのは、彼女だったのだと。
王妃教育を辞退したら「困る」と国王陛下が直接迎えに来ました ~婚約破棄された私に、王太子ではなく国王陛下が求婚してきます〜
由香【全一話完結】
王太子の心変わりによって婚約を破棄された侯爵令嬢リリアーナ。
十年以上受け続けた王妃教育も辞退し、ようやく自由になれると思っていた。
ところが数日後、侯爵家を訪れたのは国王陛下本人。
「王妃教育を辞退されると困る。私の妃になってほしい」
努力を踏みにじった王太子はすべてを失い、選ばれたのは誠実に生きてきた彼女だった。
これは、年上国王に溺愛されながら、世界一幸せな王妃になるまでの逆転ラブストーリー。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
聖女って無給で無休なんですか?じゃあやらないです
こじまき異世界に聖女として召喚されたイラストレーターのチヒロ。しかし聖女には給料も休みもないことを知って「じゃあやらないです」と聖女就任を断る。
「国と人を救う崇高な仕事には、私どもからの感謝を捧げよう」
「心底いらないです」
異世界でまで、やりがい搾取されてたまるかよ。
※小説家になろうにも投稿しています
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまうリリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、悪役令嬢として断罪された少女が、「誰かの物語の脇役」ではなく、自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
妹を踏みにじった奴らに、復讐の花束を
楠ノ木雫 妹を傷つけたやつは誰だ。
隣国に嫁いだこの国の王女であり双子の妹でもあるクラリスが2年後に亡き人となって帰ってきた。死因すら伝えられず嫁ぎ先の墓にも入れてもらえずに隣国の使者が連れてきた。
この事実に信じられずにいると、クラリスが帰ってくる半年前に戻っていた。
一体隣国でクラリスの身に何があったのか。
絶対に、もうクラリスのあんな姿を見たくない。堅く決意し使節団の使者として隣国に乗りこむ事になった。
※一話で過激なシーンがあります。
【第1回新エンタメ小説大賞】にエントリー中です。
【完結済】ワザと醜い令嬢をしていた令嬢一家華麗に亡命する
satomi醜く自らに魔法をかけてケルリール王国王太子と婚約をしていた侯爵家令嬢のアメリア=キートウェル。フェルナン=ケルリール王太子から醜いという理由で婚約破棄を言い渡されました。
もう王太子は能無しですし、ケルリール王国から一家で亡命してしまう事にしちゃいます!