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休暇は終わっても
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それからしばらくして、休暇を終えたリアンは執務に復帰した。全然時間が足りないと最後まで文句を言っていたけれど、迎えに来た文官の青白い顔を見て抵抗を諦めていた。
「……もしかして、あなたエディ?」
「はい。ご無沙汰しておりますエラ王太子妃殿下。お元気そうでよかった」
青白い顔の文官は、あの庭で一緒に駆け回った赤い髪のエディ。そばかすは消えて、その代わり青白くなった気がする。でも面影の残るその顔を見て嬉しくなった私は、エディに抱き着こうと両手を広げると、リアンに全力で止められた。
「貴女の国の挨拶は、私だけにしてくれ」
口を尖らせそう言うリアンをエディは笑った。
「殿下は王太子妃殿下が初恋なんですよ。当時から俺たちは随分牽制された」
「俺たち?」
「ロブは覚えてますか?」
「もちろんだわ」
「今は殿下の近衛騎士をしています。一際でかい身体で目立つはずですが、まだ挨拶をさせてもらえないと嘆いていました」
「……私、見たかもしれないわ」
湖の対岸で手を振っていた騎士ではないだろうか。そう思ってリアンの顔を見上げると、フイっと視線を逸らされた。ひどいわ、教えてくれないなんて!
そんな私たちを見てエディは「変わらないですね」と笑いながら、容赦なくリアンを引っ張って行った。
*
リアンはその後、私の条件を忠実に守り、公務は私と共に行い側妃を召し抱えることはなかった。
子どもは男の子三人、女の子が二人。
他国との交流も増え国交に力を入れたリアンが国王に即位すると、私を他国へ嫁いでいった姉たちと再会させてくれた。
そしてもちろん、海にも連れて行くという条件も、忠実に守ってくれたのだった。
「……もしかして、あなたエディ?」
「はい。ご無沙汰しておりますエラ王太子妃殿下。お元気そうでよかった」
青白い顔の文官は、あの庭で一緒に駆け回った赤い髪のエディ。そばかすは消えて、その代わり青白くなった気がする。でも面影の残るその顔を見て嬉しくなった私は、エディに抱き着こうと両手を広げると、リアンに全力で止められた。
「貴女の国の挨拶は、私だけにしてくれ」
口を尖らせそう言うリアンをエディは笑った。
「殿下は王太子妃殿下が初恋なんですよ。当時から俺たちは随分牽制された」
「俺たち?」
「ロブは覚えてますか?」
「もちろんだわ」
「今は殿下の近衛騎士をしています。一際でかい身体で目立つはずですが、まだ挨拶をさせてもらえないと嘆いていました」
「……私、見たかもしれないわ」
湖の対岸で手を振っていた騎士ではないだろうか。そう思ってリアンの顔を見上げると、フイっと視線を逸らされた。ひどいわ、教えてくれないなんて!
そんな私たちを見てエディは「変わらないですね」と笑いながら、容赦なくリアンを引っ張って行った。
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リアンはその後、私の条件を忠実に守り、公務は私と共に行い側妃を召し抱えることはなかった。
子どもは男の子三人、女の子が二人。
他国との交流も増え国交に力を入れたリアンが国王に即位すると、私を他国へ嫁いでいった姉たちと再会させてくれた。
そしてもちろん、海にも連れて行くという条件も、忠実に守ってくれたのだった。
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みんなの感想(6件)
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幸せになって良かった(*´-`)
ただ裏事情がとても気になり酷い扱いを
受け殿下が秘密裏に悪い奴らを処分したんだろうけどそこが知りたかった
ななし様
お読みいただきありがとうございます😊
ヒーローの裏の顔はヒロインの知らない一面なので、表に出る機会がありませんでした!
きっとこれからも、そんな一面は見せないように気を使うヒーローなんだと思います😌
本当に面白かったです。長編にしてほしかったぐらいです。
また新しい作品を楽しみにしてます。
hikarukoさま
お読みいただきありがとうございます!😊
二人が出会った子供時代のお話も楽しそうですよね。
また次が書けるように頑張ります!
面白かったですヽ(=´▽`=)ノ
裏側に何があったかは分からないけど、そこも良いのかも♡これで十分です♡ステキなお話でした♡
ごんさん様
お読みいただきありがとうございます!😊
色々想像していただいて、二人の幸せを祈ってくださいませ🥰