続・ド派手な髪の男にナンパされたらそのまま溺愛されました

かほなみり

文字の大きさ
7 / 9

しおりを挟む

「――エリカ? 寝ていたか?」

 ベルンハルトの声に、意識が戻った。
 ゆっくりと上着を取られて明るく開けた視界には、見慣れた室内とベルンハルトの顔がある。ソファに腰掛ける彼の膝の上で目を覚ました私に、彼はふっとほほ笑んだ。

「家に着いたから、もう安心するといい」

 そう言って優しく髪を梳く彼の手つきに、緊張していた身体のこわばりがほどけていく。

「――私、寝ていたみたい」
「最近忙しかったからな。今日はこのままゆっくり休もう」

 言いながら、ベルンハルトは私をぎゅうっと抱きしめる。

「ベルンハルト?」
「――間に合ってよかった」

 その言葉に、ギュッと胸が締め付けられて、彼の背中に手を回した。

「来てくれて、ありがとう」
「ああ。――あんな人間がいるなんて、近衛の質も下がったものだ」

 思い出したのか、彼からまた怒りが吹き出すのを感じた。

「私、あなたがあんなに怒っているのを初めて見たわ」
「あれでは足りないくらいだ。だが、あれ以上は君の前ではできない」

 彼の口調に気が付いて、そっと身体を離す。見上げた彼はまだ眼鏡をかけていて、髪も乱れていない、ヴィルツ補佐官のままだ。

「――もう家なのに、そのままなの?」

 私の問いに、彼は眼鏡をクイッと押し上げて目を逸らした。

「こうしていないと自制が利かない」
「自制?」
「――ゆっくり休みたいだろう」

 その言葉に、思わずふふっと笑ってしまった。

「私を膝の上に乗せているのに」

 クスクス笑う私の言葉に、彼は困ったように眉を下げた。

「それは、そうだが……」
「ねぇ、ベルンハルト。私、あなたの髪を洗いたいわ」
「髪を?」
「そう。――せっかく早く帰ってきたから、あなたとゆっくりしたい。それともあなたは職場へ戻るの?」

 言いながら彼の眼鏡をゆっくり外すと、彼は自分で前髪を崩して下ろした。少し癖のある黒髪の隙間から、青い瞳が優しく細められる。

「まさか。――あなたを置いて戻ったりはしないよ、エリカ」

 そう言って、彼は優しく唇を合わせた。

 *

「はぁ、いい気持ちだ……」

 ベルンハルトの様子に、なんだか嬉しくなる。
 湯船に浸かり、浴槽の縁に頭を載せて天井を仰ぎ見る彼は、本当に気持ちよさそうだ。

「どんどん色が落ちて来たわ。すごいのね」
「特別に用意してもらっているんだ。普通の石鹸では落ちないからね」
「すごい友人がいるのねぇ」

 なんでも学園時代の友人が、彼用に染粉と洗髪剤を開発してくれたらしい。

「さぁ、落ちたわ」

 金色と青の髪を、まだ明るいこの時間に見るのは久しぶりだ。たしかに派手だし、このせいでいろいろ苦労したようではあるけれど、きれいだなと思う。
 タオルで軽く押さえている間も、彼は目を閉じて気持ちよさそうにしている。

(なんだか、洗われている犬みたいでかわいいわね)

 その無防備な姿に、つい、ちゅっと唇にくちづけを落とした。

「!」

 ベルンハルトが驚きに目を見開いて私を見た。

「ごめんなさい、つい……、きゃあっ!?」

 シャツ姿で髪を洗っていた私を抱き寄せた彼は、そのまま浴槽に引きずり込んだ。
 ドボン! と大きな音を立てて湯が大量に外へ溢れる。
 驚く私を自分の膝の上に載せたベルンハルトは、あはは! と、笑い声を上げた。

「もう! ベルンハルトったら!」
「かわいいことをするあなたが悪い」

彼は笑いながら、私の濡れたシャツのボタンを外していく。

「シャツがびしょびしょだわ」
「濡れたシャツが透けていてやらしいね」
「ばか!」

 そんなことを言われて、顔が熱くなる。彼は笑いながら、いくつもくちづけを落として肌着まで取り払った。
 繰り返されるくちづけが、だんだん深くなっていく。
 彼の膝の上に跨って首に腕を回す私の背中を、長い指がつうっとなぞる。その刺激に小さく身体を震わせれば、さらに身体を密着するように抱きしめられた。
 触れ合う素肌が気持ちいい。
 ぬるぬると舌先を絡めて激しくくちづけをしているうちに、脚の間にゴリっと硬いものが当たった。
 その上で、自分の脚の間を擦り付けるように腰を動かせば、ベルンハルトが小さく唸り声を上げた。

「はぁ……っ、エリカ」
「なあに?」

 ぷっと音を立てて唇を離す。けれど、お互いの熱い呼気が混じり合う距離で、複雑に虹彩を光らせる彼の瞳を覗き込んだ。

「大丈夫?」

 彼の気遣うような声音に首を傾げる。

「なにが?」
「――あの騎士のことで、そんな気分にはならないんじゃないかって」

 そう言われて、彼がなにを自制しているのかやっと分かった。
 心配そうに私の瞳を覗く彼に、愛しさがこみ上げて、ちゅっとひとつ、くちづけを贈る。

「あなたとあの騎士は、まったく違うわ」
「そうだけど」
「今日の一件で、たとえ一時的でもあなたとの触れ合いがイヤになんてならないわ。むしろ、もっとあなたに触れてほしいと思ってる」
「アイツに触られた?」

 ベルンハルトの声が低くなった。
 その様子に、ふっと笑って頬を両手で包み込むと、彼は目を閉じて頬を摺り寄せる。

「いいえ。あなたが来てくれたから大丈夫よ。でも……」

 親指で彼の唇をそっと撫でると、閉じていた目を開けて、強い輝きを放った瞳が私を射抜いた。

「――上書きして? あんなことなんて忘れるくらい、あなたが私のことを気持ちよくして」

 そう囁けば、彼は大きく口を開けて、私を飲み込むように唇を食んだ。

 *

「――っ、あっ、ああっ! あんっ、ベルンハルト……っ!」

 散々浴槽で身体を突き上げられて、湯がぬるくなったからと彼は私を担いだまま寝室へ移動した。
 まだ明るい日が差し込む寝室のベッドで、背後から身体を貫かれて喘ぐ。

「エリカ……っ、ここ、気持ちいい、ね……っ!」

 ゴツン! と奥を穿たれて、息が止まる。彼の怒張がゴリゴリと私の中を擦って何度も往復する。
 手首を掴まれて身動きが取れない私は、されるがままにだらしなく口を開けてずっと嬌声を上げている。

「あっ、あっ! ヤ……っ、待ってダメ……っ!」
「いいよイッて、エリカ……!」

 チカチカと目の前に星が飛んで、ぎゅうっとお腹が痙攣する。中にいる彼をきつく締め付けて、また視界が白く飛んだ。
 びくびくと震える身体から昂ぶりをずるりと抜いた彼は、私をひっくり返して仰向けにした。まだ身体がひくひくと痙攣していて、つま先まで甘い痺れが走っていて辛い。

「――ま、まって……っ、まだ……!」
「大丈夫、そのまま感じてて」

 抵抗しようとのろのろ首を振る私に、彼はちゅっとくちづけを落とした。そうして、一気に身体を貫く。

「~~っ!!」

 身体をのけ反らせる私の脚を押さえつけながら、彼はギリッと歯を食いしばった。

「~~っ、入れただけでイッた? 気持ちいいね……っ!」
「あぁっ!」

 ガツガツと奥を何度も奥を抉られて、脚の間が信じられないほど濡れている。
 ずっとつま先まで痺れていて、身体に力が入らない。

「エリカ、ずっとイッてる? 中がうねって……っ、絡みついてすごい……っ」

 動きを止めたベルンハルトが、ふーっと息を吐きだして天井を仰いだ。
 しっとりと汗ばむ肌、上下する胸筋を見上げて、ぞくりと身体の奥が震える。私の中に埋まったままの彼を無意識に締め付ければ、ピクリと身体を揺らした彼がこちらを見下ろした。

「よさそうだね、エリカ」
「んあ、あ、待ってダメ……」
「ダメじゃないよ、ホラ、もっと感じて」
「あっ、そこ……っ」
「ここ? ざらざらして気持ちいいね」

 昂ぶりの傘の部分が、ゴリゴリと私のいいところを擦る。
 その気持ちよさに、私の中が大きくうねって彼を締め付けた。吸い付いて、絡みつき、離さない。

「ああっ、いい! あんっ、すごい……っ、イイ……!」
「はぁ……、すごい、あなたの中は気持ちいいね……っ」

 覆いかぶさって首筋をぬるりと舐めあげられるだけで、高ぶって敏感になった身体がビクビクと震える。その度に、身体の中を埋め尽くす彼の昂ぶりを締め付けた。

「ベルンハルト……っ、もっと、まだ……っ!」

 手を伸ばしてくちづけをせがめば、すぐに分厚い舌が口内を満たす。
 舌先を絡め合って吸い付いて、このまま食べられてしまいたいほど気持ちいい。
 
「エリカ……、好きだよ、愛してる……!」

 大きな手が私の手に重なり、指を絡めてぎゅっと握る。それだけで、心と身体が満たされていく。
 彼のことが好きで、愛おしくて仕方ない。

「わ、私も……っ!」

 私も、愛してる。
 その気持ちを伝えられたか分からない。
 激しく腰を振りながら、うわ言のように私の名前を何度も呼ぶ彼に翻弄される。
 私はただ、ずっと喘ぎ続けた。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件

水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。 以後、 寝室は強制統合 常時抱っこ移動 一秒ごとに更新される溺愛 妻を傷つける者には容赦なし宣言 甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。 さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――? 自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。 溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

鉄壁騎士様は奥様が好きすぎる~彼の素顔は元聖女候補のガチファンでした~

二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中
恋愛
令嬢エミリアは、王太子の花嫁選び━━通称聖女選びに敗れた後、家族の勧めにより王立騎士団長ヴァルタと結婚することとなる。しかし、エミリアは無愛想でどこか冷たい彼のことが苦手であった。結婚後の初夜も呆気なく終わってしまう。 ヴァルタは仕事面では優秀であるものの、縁談を断り続けていたが故、陰で''鉄壁''と呼ばれ女嫌いとすら噂されていた。 しかし彼は、戦争の最中エミリアに助けられており、再会すべく彼女を探していた不器用なただの追っかけだったのだ。内心気にかけていた存在である''彼''がヴァルタだと知り、エミリアは彼との再会を喜ぶ。 そして互いに想いが通じ合った二人は、''三度目''の夜を共にするのだった……。

絶体絶命!!天敵天才外科医と一夜限りの過ち犯したら猛烈求愛されちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
絶体絶命!!天敵天才外科医と一夜限りの過ち犯したら猛烈求愛されちゃいました

契約妻に「愛さない」と言い放った冷酷騎士、一分後に彼女の健気さが性癖に刺さって理性が崩壊した件

水月
恋愛
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件の旦那様視点短編となります。 「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。

元遊び人の彼に狂わされた私の慎ましい人生計画

イセヤ レキ
恋愛
「先輩、私をダシに使わないで下さい」 「何のこと?俺は柚子ちゃんと話したかったから席を立ったんだよ?」 「‥‥あんな美人に言い寄られてるのに、勿体ない」 「こんなイイ男にアピールされてるのは、勿体なくないのか?」 「‥‥下(しも)が緩い男は、大嫌いです」 「やだなぁ、それって噂でしょ!」 「本当の話ではないとでも?」 「いや、去年まではホント♪」 「‥‥近づかないで下さい、ケダモノ」 ☆☆☆ 「気になってる程度なら、そのまま引き下がって下さい」 「じゃあ、好きだよ?」 「疑問系になる位の告白は要りません」 「好きだ!」 「疑問系じゃなくても要りません」 「どうしたら、信じてくれるの?」 「信じるも信じないもないんですけど‥‥そうですね、私の好きなところを400字詰め原稿用紙5枚に纏めて、1週間以内に提出したら信じます」 ☆☆☆ そんな二人が織り成す物語 ギャグ(一部シリアス)/女主人公/現代/日常/ハッピーエンド/オフィスラブ/社会人/オンラインゲーム/ヤンデレ

【完結】大学で人気の爽やかイケメンはヤンデレ気味のストーカーでした

あさリ23
恋愛
大学で人気の爽やかイケメンはなぜか私によく話しかけてくる。 しまいにはバイト先の常連になってるし、専属になって欲しいとお金をチラつかせて誘ってきた。 お金が欲しくて考えなしに了承したのが、最後。 私は用意されていた蜘蛛の糸にまんまと引っかかった。 【この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません】 ーーーーー 小説家になろうで投稿している短編です。あちらでブックマークが多かった作品をこちらで投稿しました。 内容は題名通りなのですが、作者的にもヒーローがやっちゃいけない一線を超えてんなぁと思っています。 ヤンデレ?サイコ?イケメンでも怖いよ。が 作者の感想です|ω・`) また場面で名前が変わるので気を付けてください

コワモテ軍人な旦那様は彼女にゾッコンなのです~新婚若奥様はいきなり大ピンチ~

二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中
恋愛
政治家の令嬢イリーナは社交界の《白薔薇》と称される程の美貌を持ち、不自由無く華やかな生活を送っていた。 彼女は王立陸軍大尉ディートハルトに一目惚れするものの、国内で政治家と軍人は長年対立していた。加えて軍人は質実剛健を良しとしており、彼女の趣味嗜好とはまるで正反対であった。 そのためイリーナは華やかな生活を手放すことを決め、ディートハルトと無事に夫婦として結ばれる。 幸せな結婚生活を謳歌していたものの、ある日彼女は兄と弟から夜会に参加して欲しいと頼まれる。 そして夜会終了後、ディートハルトに華美な装いをしているところを見られてしまって……?

処理中です...