私が死んであなたがほかの人と幸せになるくらいなら呪い殺してこちらに来てもらう所存ですのであしからず

かほなみり

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「アデル」
「ん?」
 こちらを見た彼の唇に、ちゅっとくちづけをする。
 突然のことに、彼はそのまま固まった。
「さ、さっき、その、くちづけを全然しなかったから……!」
(は、恥ずかしい! なにを言ってるの私!)
 素直に、したかったって言うだけでいいんじゃないだろうか!
 そもそも私からしたのは初めてなのだから、せめてなにか反応がほしい。
「あ、アデル? ねぇ、どうして黙って……、んんっ!?」
 固まって動かなかった彼に突然唇を塞がれた。
 激しく唇を食んで、すぐに分厚い舌が入り込む。口内を満たした舌に歯列をなぞられ、上顎を擦られて、つま先にビリビリと痺れが走る。
 上から覆い被さって圧し掛かる彼は、逃すまいと押さえつけるように私の頭を抱え込んだ。
 息が苦しくても顔すら逸らせなくて、くちづけで溺れそうだ。
(~~っ、く、苦しい……!)
 たまらず、バチン! と、彼の胸を叩けば、やっとほんの少しだけ唇が離れた。
「はぁっ、はぁ……っ、ア、アデル……!」
「――もう、なんなのカタリーナ、どうしてそんなにかわいいことするの」
「え?」
「言ったでしょ、媚薬はあなたの香水に含まれているだろうって」
「え? ええ」
「俺はね、それを口で摂取したんだよ。こうやって」
「あんっ」
 突然、べろりと首筋を舐められて思わず声が出てしまった。
「――っ、カタリーナ、そんなかわいい声出さないで」
「だ、だってあなたが……、え?」
 下腹部にゴリっと硬いものが当たって思わず息を呑む。
(いつの間に?)
 アデルの顔をそっと覗き込めば、彼の青い瞳が薄暗い室内でギラリと光った。
「あなたは経皮吸収だから、効果が出るのに時間がかかったかもしれないけど、俺は直接口にしたんだ。少量だからまだ耐えられるんだけど……、はぁ……っ」
 眉間に皺を寄せて苦し気に目を閉じた彼の色気がすごい。本人には申し訳ないけれど、とんでもなく眼福だ。
(でもどういうこと? アデルも媚薬の効果が出てるってこと?)
「アデル、苦しい? 大丈夫?」
「んー、だいじょうぶ……」
(なにその甘えた言い方! 絶対いつもと違うわ!)
 色気駄々洩れなのにかわいいとかはもう反則ではないだろうか。
 浅い呼吸を繰り返すアデルは、呻き声を上げて私の肩口に顔を埋めた。
「アデル、こっちを見てちょうだい」
「ん~、ダメかな、ちょっと待って……」
 そんなことを言いながら、まったく顔を上げる気配がない。
(こうなったら……!)
 私に覆い被さる身体の隙間に手を差し込んで、思いっきり彼の昂ぶりに触れた。
「!? ちょ、カタリーナ!?」
「がっ、我慢しないで、アデル! 辛いのは私だって分かっているから!」
(はは、はじめて触ったわ!)
 昂ぶりを目で見るのと触れるのではなんだか違う。掌で握りこめば、硬さがグッと増してびくびくと震えるのが分かった。
 アデルが慌てて私の手首を掴んでシーツに押さえつける。
 けれど、掌には生々しい感覚が残っている。
「ビクビク動いて違う生き物みたいだったわ……!」
 その言葉に、アデルが盛大に吹き出した。
「ぶふっ! カタリーナ……っ! 笑わせないでくれ!」
 思ったことが声に出ていたみたいで、アデルは身体を震わせて笑いだした。
「ご、ごめんなさい、初めてで……」
「ふっ、ふふっ、それはそうだよ、触らせたことないから」
 ひととおり笑った彼は、はぁっと息を吐きだして顔を上げた。
「俺の婚約者は大胆なことをする人だなぁ」
 そういう彼の瞳はギラギラと強く光った。この表情を私は知っている。
 彼が私を、すごく求めているときの顔だ。
「カタリーナ、身体、辛くない?」
「す、少しだるいけど大丈夫よ」
「本当に?」
 言いながら、アデルはちゅっ、と首筋にくちづけを落として、ぬるりと舐め上げた。
「あっ」
「首が弱いよね、カタリーナ。気持ちいい?」
「んっ、気持ちいい……」
(じゃなくて! 違うわ、今は私のことはいいの!)
 慌てて首筋や胸元にくちづけを落とす彼の肩を叩く。
「ま、待って! 私はいいから、あなたが……」
「ダメだよ、言ったでしょ。俺はあなたを気持ちよくしたいって」
「でも……!」
「大丈夫。少量だし、理性が切れそうなほどじゃないから。ただちょっと、収まらないというか」
 そう言って、彼は私の脚を大きく開いて昂ぶりをグイっと擦り付けた。
「!」
(か、硬い……!)
 いつも思うことだけれど、こんな凶暴なものがどうやって身体の中に入るのだろう。
 ゆるゆると腰を動かされて、彼の昂ぶりが私の敏感な蕾の上を往復する。
 その刺激に甘い声が上がるのを聞いて、アデルはごくりと喉を鳴らした。
 大きな掌が胸を鷲掴みにして捏ねる。柔らかさを確かめるようにゆっくりと、円を描くように揉みしだいて、時折指先が先端を弾く。
 我慢できずに声を上げれば、首筋や鎖骨に舌を這わせていた彼は、そのままつうっ、と肌をなぞって、胸の先端を口に含んだ。
「あぁっ!」
 先端をきつく吸い上げられて、唇で扱かれる。激しく舌先で弾かれて、全身に甘い痺れが駆け抜けた。
 両手で胸を揉みしだかれながら、甘噛みされて吸い付かれて、やがて目の前でチカチカと星が明滅する。
「ア、アデル……!」
 縋るように彼の頭を抱き込めば、脚の間にある彼の昂ぶりがさらに硬さを増した。
「かわいいね、カタリーナ」
 ゆるゆると押し付けられた腰は動きを止めないまま、上も下も責められてくらくらする。やがて、脚の間から水音が響いてきた。
「感じてる。よかった」
 言いながら、アデルは身体を起こして私を見下ろした。
 薄暗い室内で、鍛え上げられた肉体がしっとりと汗ばんでいる。浅い呼吸を繰り返し、胸筋が上下するのを見上げて、期待にお腹の奥がきゅんと疼いた。
「アデル……」
「ん? なあに、その顔。ほしい?」
「んっ、あっ!」
 私の片脚を持ち上げた彼は、こちらを見つめながら舌を伸ばして内腿を舐め上げた。
 舌先がくるくると肌を舐めるのを見つめて、羞恥と同時にお腹の奥が切なく震える。
 必死に両手を伸ばす私に、彼は優しく覆い被さった。
「ん? どうしてほしい?」
 吐息が混じる距離で囁く彼の熱が、触れていなくても伝わってくる。
「教えて、カタリーナ」
(私の薬って、まだ抜けていないのかしら……!)
 そうじゃなければ、こんなにも彼を欲しいと思わない、きっと。
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