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冷たい雨に濡れて。
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早生蜜柑から少し色づいた蜜柑になり始めると、雨も冷たくて手がかじかんで来る。
そんな秋の終わりに僕は本格的な自立の為に冒険者稼業を始めた。
実は誘拐犯捕縛の賞金を僕は半額貰えた。
直接の捕縛は兵士の方々なので、そちらに半額渡される。
半額は多いと思ったが、何より拐われた子供達の救出を評価して貰った様だ。
制圧時に人質が殺されては身も蓋もないかららしい。
なので冒険者の装備を買うことが出来たのだ。
この賞金は50万円相当。
ただし、宿代は朝飯付きで1500円の世界だ。
まあ風呂は無く井戸の側で男は身体を拭く。
女子は湯をタライに貰う。
トイレは共同のポットン。
冒険者が相手なので昼飯や夕飯は屋台。
帰らない事が有るからだ。
それでも2500円もかからない。
そしてユウちゃんに教わったのだが、Uちゃんには食事が付いていて、それだけを召喚出来るらしいのだ。
レトルトのミリ飯かと思ったら、給食のトレーみたいなのにご飯かパン、ドリンクか汁物、そして漬物と惣菜。
普通に食事だったし、なんと言っても和食は有難い。
だがしかし、剣や皮鎧は高かった。
安く仕上げたのに占めて35万円相当。
子爵様に剣だけは鍛造にしろと言われて買ったのが、日本円で30万相当のショートソード。
いやいや、一番安くてこれだから。
驚いたのは山歩き用の靴と皮鎧が5万相当で済んだ事だよ。
需要は多いので沢山作られるらしいのだ。
一週間子爵様にお世話に成って、今日からは薬草採取とか町の雑用とか荷物運びで稼ぐから、宿に泊まって行動する。
町の雑用はもっと小さい子供達の仕事と成り、僕は弱いが魔物のいる草原や森の入り口で薬草を採取する。
ギルドの資料室で本を見て勉強はしたが、本番と成ると出来るかな。
取り敢えず町の外に出てみる。
ひと丘越えると草原が続いていた。
この辺から兎や蛇、時には山羊や牛の魔物が出るそうだ。
魔物と言っても牛や山羊の類いは大人しく、近付かなければ大丈夫だとか。
兎は短くて可愛い角が有るけど、まあかすり傷程度は負う事も有るから、気を付けろって言われた。
蛇は嫌いだけどこの辺には毒蛇はいないらしい。
良かった。
疲れた。
薬草採取をなめていた。
全く見つからない。
やっとのこさ5本見つけたら帰る時間に成ってたよ。
トホホ。
ギルドで換金したらおそらく日本円だと300円。
ヤバいぞ生活出来るかな。
ギルドのお姉さんに慣れたらもっと取れますよって言われたけど、全く取れる気はしないのだが。
子爵邸を出る時にモルトパーク様に貰ったリュックが有難かったなあ。
息子さんのお下がりだそうだ。
今日はギルドのお姉さんに紹介して貰った安宿に泊まるよ。
食事は抜きにして貰い1000円相当だ。
これでも個室だから良かったよ。
でもベッドは堅いなあ。
晩と朝はUちゃんのご飯で済ます。
便利だなあ。
翌日ギルドに草原に行くと言ったら止められた。
「どうかしました?」
「マリフ君往復6日の旅とか出来るかな?」
「出来ますけど」
「1日銀貨4枚なんだけど・・・」
銀貨4枚は日本円の4000円くらいかな。
日本だと安いけどこの世界だと標準だ。
「あっ、食事は付くし馬車に乗るからそんなに疲れないからね」
「でもお仕事は何ですか」
「う~ん雑用ね。テント張ったりでしょ、料理の手伝いとか、後は荷物の積み降ろしかな。魔物はちゃんと大人の護衛がいるから大丈夫よ」
「僕はテント張った事無いです」
「それは周りの人が教えてあげる様にって言っておくわ」
「それなら出来るかと思います」
「料理の経験は・・・」
「手伝い程度ですけど」
「まあ野営料理だしねえ」
「荷物の積み降ろしはそんなに重く無いからね」
「落としたりしたら怖いな」
「麦は大人が担ぐから、君には綿花をお願いするわ。軽いからね」
「それは助かります」
「ようボウズ。よろしくな」
「その方が護衛のリーダーでアルバさんよ」
「よっよろしくお願いしまッフ・・・」
「噛んだな」
「噛んだわね」
顔を真っ赤にした僕の頭をアルバさんはくしゃくしゃと撫で回した。
紹介して貰ったその日の午前中に馬車3台で町を出て海岸線の街道を進む。
宿を1日毎の更新にして良かった。
出る時に気づいたよ。
危ない危ない。
7日とか取ってたらパアに成ってた。
昼は各自個人の携帯食を食べるが、食べない人もいる。
あるいはごく軽いものを口にする。
大体堅パンに水とかだ。
僕はおにぎり二つ食べたけど、凄く珍しそうな顔をされた。
因みに水筒にはお茶が入っている。
いやUちゃんの品をペットボトルから竹筒水筒に移しただけとも言う。
この世界と前世は植生が少し似ている。
魔物も盗賊も出ぬまま初日の野営を迎えた。
勿論心の中で出ない様に祈ってたけどね。
流石に討伐経験が無いから怖い。
人攫いの時も内心ビクビクだったから。
僕は夕飯の野菜の皮剥きとか下処理専門。
そんなに料理が得意な訳では無いので。
食事は簡単なスープと黒パンだった。
皆スープにパンを浸けて食べてたので僕も真似をした。
黒パンは堅くてパサパサだが保存に向く。
旅行中はほぼこのパンだそうだ。
兵舎の牢屋宿でも子爵邸でも白パンだったので、余りの堅さに驚いた。
夜は2班に別れて交代で見張りをした。
初めての夜警に緊張する。
一寸寒いから町でマントを買っておこう。
2日目は村に寄って塩等必要物資を降ろす。
マントを売っていたので直ぐに買った。
そして直ぐに出発したら昼の休憩。
やわらに出立したらまたものんびりとした時間。
はい、僕もそう思ってましたよ。
でもねそれでは物語的に欠けると神様の思し召しなのか、ステッペンウルフの群れの登場ですわ。
いやあ~、初の魔物との対戦なんですが。
「マリフは馬車の中にいろ!、いちおう剣は構えとけよ」
まあそうなりますよね。
わかってましたよ。
真っ青な顔して膝ガクブルの少年では役には立てません。
馬車の小窓から外を見て剣をいちおう構えてるつもりでは有ります。
折に触れ小雨が降って来ました。
寒さと緊張で身体が萎縮します。
「なんだあー、数が多くねえかこれ」
「群れの大移動にぶっつかったな」
「なんて間が悪いんだ。しかも街道に出てきゃあがって」
ステッペンウルフとの戦いがあちこちで始まりました。
数が多くて苦戦中です。
『主様・・・何時でも召喚を唱える用意をして下さい。召喚と同時に機銃掃射いたします』
「人は大丈夫なの?」
『主様私は神のスキルです。決して人には当てませんのでお任せを』
「わかった。何時でも合図してね」
『了解です』
『召喚の合図を!!』
「しょっ召喚!」
バリバリバリ!。
「ギャウン、ギャッ、ギャウッ、ギャオーン」
「えっ!何?、あれ」
ブロロロ~、グオオオ~ン。
バリバリバリ、パラララッ。
ギャウッ、キャンッ、ギャウンッ、キャイーン。
キャンキャワンキャン。
「深追いはするな!、逃げる奴はほっとけ」
「怪我人はいるかあ~」
「・・・送還」
「助かったのか・・・でもあれは何だ?」
「神の助けか」
「空飛ぶゴーレム?」
「町に着いたら直ぐにギルドに報告だな。にしても本当に助かった」
ウルフ襲撃の後で急いで町へ向かった一行。
ステッペンウルフの倒した数は40頭にものぼった。
僕は道すがら町の近くに有った湖を見つめていた。
「これは・・・飛んでイスタン、いや飛んで来れるな」
『主様はもしかして心臓に毛が生えてません?。こんな時に左様な冗談を・・・』
「いや、生えてはいないと思うよ」
『天然かよ』
「あっ、敬語が・・・」
そんな秋の終わりに僕は本格的な自立の為に冒険者稼業を始めた。
実は誘拐犯捕縛の賞金を僕は半額貰えた。
直接の捕縛は兵士の方々なので、そちらに半額渡される。
半額は多いと思ったが、何より拐われた子供達の救出を評価して貰った様だ。
制圧時に人質が殺されては身も蓋もないかららしい。
なので冒険者の装備を買うことが出来たのだ。
この賞金は50万円相当。
ただし、宿代は朝飯付きで1500円の世界だ。
まあ風呂は無く井戸の側で男は身体を拭く。
女子は湯をタライに貰う。
トイレは共同のポットン。
冒険者が相手なので昼飯や夕飯は屋台。
帰らない事が有るからだ。
それでも2500円もかからない。
そしてユウちゃんに教わったのだが、Uちゃんには食事が付いていて、それだけを召喚出来るらしいのだ。
レトルトのミリ飯かと思ったら、給食のトレーみたいなのにご飯かパン、ドリンクか汁物、そして漬物と惣菜。
普通に食事だったし、なんと言っても和食は有難い。
だがしかし、剣や皮鎧は高かった。
安く仕上げたのに占めて35万円相当。
子爵様に剣だけは鍛造にしろと言われて買ったのが、日本円で30万相当のショートソード。
いやいや、一番安くてこれだから。
驚いたのは山歩き用の靴と皮鎧が5万相当で済んだ事だよ。
需要は多いので沢山作られるらしいのだ。
一週間子爵様にお世話に成って、今日からは薬草採取とか町の雑用とか荷物運びで稼ぐから、宿に泊まって行動する。
町の雑用はもっと小さい子供達の仕事と成り、僕は弱いが魔物のいる草原や森の入り口で薬草を採取する。
ギルドの資料室で本を見て勉強はしたが、本番と成ると出来るかな。
取り敢えず町の外に出てみる。
ひと丘越えると草原が続いていた。
この辺から兎や蛇、時には山羊や牛の魔物が出るそうだ。
魔物と言っても牛や山羊の類いは大人しく、近付かなければ大丈夫だとか。
兎は短くて可愛い角が有るけど、まあかすり傷程度は負う事も有るから、気を付けろって言われた。
蛇は嫌いだけどこの辺には毒蛇はいないらしい。
良かった。
疲れた。
薬草採取をなめていた。
全く見つからない。
やっとのこさ5本見つけたら帰る時間に成ってたよ。
トホホ。
ギルドで換金したらおそらく日本円だと300円。
ヤバいぞ生活出来るかな。
ギルドのお姉さんに慣れたらもっと取れますよって言われたけど、全く取れる気はしないのだが。
子爵邸を出る時にモルトパーク様に貰ったリュックが有難かったなあ。
息子さんのお下がりだそうだ。
今日はギルドのお姉さんに紹介して貰った安宿に泊まるよ。
食事は抜きにして貰い1000円相当だ。
これでも個室だから良かったよ。
でもベッドは堅いなあ。
晩と朝はUちゃんのご飯で済ます。
便利だなあ。
翌日ギルドに草原に行くと言ったら止められた。
「どうかしました?」
「マリフ君往復6日の旅とか出来るかな?」
「出来ますけど」
「1日銀貨4枚なんだけど・・・」
銀貨4枚は日本円の4000円くらいかな。
日本だと安いけどこの世界だと標準だ。
「あっ、食事は付くし馬車に乗るからそんなに疲れないからね」
「でもお仕事は何ですか」
「う~ん雑用ね。テント張ったりでしょ、料理の手伝いとか、後は荷物の積み降ろしかな。魔物はちゃんと大人の護衛がいるから大丈夫よ」
「僕はテント張った事無いです」
「それは周りの人が教えてあげる様にって言っておくわ」
「それなら出来るかと思います」
「料理の経験は・・・」
「手伝い程度ですけど」
「まあ野営料理だしねえ」
「荷物の積み降ろしはそんなに重く無いからね」
「落としたりしたら怖いな」
「麦は大人が担ぐから、君には綿花をお願いするわ。軽いからね」
「それは助かります」
「ようボウズ。よろしくな」
「その方が護衛のリーダーでアルバさんよ」
「よっよろしくお願いしまッフ・・・」
「噛んだな」
「噛んだわね」
顔を真っ赤にした僕の頭をアルバさんはくしゃくしゃと撫で回した。
紹介して貰ったその日の午前中に馬車3台で町を出て海岸線の街道を進む。
宿を1日毎の更新にして良かった。
出る時に気づいたよ。
危ない危ない。
7日とか取ってたらパアに成ってた。
昼は各自個人の携帯食を食べるが、食べない人もいる。
あるいはごく軽いものを口にする。
大体堅パンに水とかだ。
僕はおにぎり二つ食べたけど、凄く珍しそうな顔をされた。
因みに水筒にはお茶が入っている。
いやUちゃんの品をペットボトルから竹筒水筒に移しただけとも言う。
この世界と前世は植生が少し似ている。
魔物も盗賊も出ぬまま初日の野営を迎えた。
勿論心の中で出ない様に祈ってたけどね。
流石に討伐経験が無いから怖い。
人攫いの時も内心ビクビクだったから。
僕は夕飯の野菜の皮剥きとか下処理専門。
そんなに料理が得意な訳では無いので。
食事は簡単なスープと黒パンだった。
皆スープにパンを浸けて食べてたので僕も真似をした。
黒パンは堅くてパサパサだが保存に向く。
旅行中はほぼこのパンだそうだ。
兵舎の牢屋宿でも子爵邸でも白パンだったので、余りの堅さに驚いた。
夜は2班に別れて交代で見張りをした。
初めての夜警に緊張する。
一寸寒いから町でマントを買っておこう。
2日目は村に寄って塩等必要物資を降ろす。
マントを売っていたので直ぐに買った。
そして直ぐに出発したら昼の休憩。
やわらに出立したらまたものんびりとした時間。
はい、僕もそう思ってましたよ。
でもねそれでは物語的に欠けると神様の思し召しなのか、ステッペンウルフの群れの登場ですわ。
いやあ~、初の魔物との対戦なんですが。
「マリフは馬車の中にいろ!、いちおう剣は構えとけよ」
まあそうなりますよね。
わかってましたよ。
真っ青な顔して膝ガクブルの少年では役には立てません。
馬車の小窓から外を見て剣をいちおう構えてるつもりでは有ります。
折に触れ小雨が降って来ました。
寒さと緊張で身体が萎縮します。
「なんだあー、数が多くねえかこれ」
「群れの大移動にぶっつかったな」
「なんて間が悪いんだ。しかも街道に出てきゃあがって」
ステッペンウルフとの戦いがあちこちで始まりました。
数が多くて苦戦中です。
『主様・・・何時でも召喚を唱える用意をして下さい。召喚と同時に機銃掃射いたします』
「人は大丈夫なの?」
『主様私は神のスキルです。決して人には当てませんのでお任せを』
「わかった。何時でも合図してね」
『了解です』
『召喚の合図を!!』
「しょっ召喚!」
バリバリバリ!。
「ギャウン、ギャッ、ギャウッ、ギャオーン」
「えっ!何?、あれ」
ブロロロ~、グオオオ~ン。
バリバリバリ、パラララッ。
ギャウッ、キャンッ、ギャウンッ、キャイーン。
キャンキャワンキャン。
「深追いはするな!、逃げる奴はほっとけ」
「怪我人はいるかあ~」
「・・・送還」
「助かったのか・・・でもあれは何だ?」
「神の助けか」
「空飛ぶゴーレム?」
「町に着いたら直ぐにギルドに報告だな。にしても本当に助かった」
ウルフ襲撃の後で急いで町へ向かった一行。
ステッペンウルフの倒した数は40頭にものぼった。
僕は道すがら町の近くに有った湖を見つめていた。
「これは・・・飛んでイスタン、いや飛んで来れるな」
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