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10話
札幌の夜【6】
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森山君の柔らかな唇に塞がれた瞬間、緊張の糸が解けた。湯煎にかけられたバターみたいに頭の奥が溶けていく。
甘い痺れが全身を支配して立ってるのもやっとだった。しがみつくように森山君の背中に腕を回して鼓動が伝わりそうな程、密着した。
森山君がくれるキスはゆっくりした動きからどんどん深くなっていく。唇を貪るような激しい動きに体の奥が熱くなる。
もっと森山君を感じたい。求められたい。
そう思った瞬間、好きだって気持ちが溢れて、うるっとした。
好き過ぎて泣けてくる。
森山君が大好き。こんなに強い気持ちになるなんて。
「嫌でしたか?」
森山君が唇を離して、心配そうにこっちを見た。
頬に流れる涙を親指で拭いてくれる。
「違うの。森山君の事が大好きだなって思ったら、涙、止まらなくなっちゃった」
森山君の瞳が大きく見開いた。
「俺の事、好きなんですか?」
「うん。大好き」
「夏目さんよりも?」
「好きな人は森山君しかいない」
次の瞬間、鼻先が潰れるぐらいギュッて抱きしめられた。
「やっぱり昨夜の言葉は夢じゃなかった」
「昨夜の言葉?」
「昨夜も葵さん、夏目さんよりも好きだって言ってくれたんです」
言われてみればそんな事を言ったような気がする。
「朝になって覚えてないって言われて、俺、地獄に突き落とされましたから」
「言ってくれればいいじゃない」
「信じてくれない気がして」
「ごめんね。森山君をいっぱい悩ませて」
森山君が眼鏡を取って、人差し指で目を拭った。
「もしかして泣かせちゃった?」
からかうような調子で言うと、森山君がこっちを見て「目にゴミが入っただけですから」と言って、またキスをくれた。
ついばむような優しいキスから、すぐに激しい口づけになっていく。もっと欲しい、もっと、もっと……。
私からも夢中になってキスをした。好きだって気持ちを伝えるように。
森山君の全てが愛しい。シトラスの香りが混ざった汗をかいた肌の匂いも、よく動く柔らかな唇も、荒々しく口の中を動き回る舌も、全力で愛しさを伝えるような抱擁も。
森山君に愛されたい。もっと強く結ばれたい。
求めるように強くセーター越しの背中を抱きしめた時、森山君がハッとしたように唇を離した。
「葵さん、お腹空いたでしょ」
えっ? 夕飯? 確かにまだだけど、急にどうしたの?
「上のレストランに行きませんか?お寿司屋さんありますよ」
森山君が距離を取るように背を向け、ドアの方に歩いた。
何だか慌てて私との距離を取ろうとしてる気がする。
「ちょっと待ってよ」
後ろから追いかけて、腕を掴んだ。
「森山君、どうしたの?」
「どうって別に」
声が沈んでる。
「ちゃんと話して。なんか森山君、私から逃げようとしてる?私の事がもう嫌になったの?」
「違いますよ」
「じゃあ、どうしたの?」
森山君がため息をついた。
「この先に進んでいいのかと思ったんです」
「どういう事?」
「シナリオの事もありますし……」
そう言って森山君は考えるように頭をかいた。
「いや、違うな。怖いんだな。本当に好きな人を抱いた事がないから。葵さんの事が好きすぎてこれ以上、どうしたらいいかわからないんです」
なんて可愛い事を言うんだろう。愛しさが込みあがってくる。
堪らず森山君に抱き着いた。
「あ、葵さん」
戸惑ったような声が頭の上でする。
「もう、感動させないでよ。また泣いちゃうでしょ」
「だって本当にそう思うから」
「森山君、大好きよ」
背伸びをして森山君の唇に短いキスをした。
「好きだから森山君に抱かれたい。ダメ?」
眼鏡の奥の瞳が驚いたように大きくなった。
「これ以上我慢できませんよ」
「何を我慢するの? 私たち好き同士なのよ」
「葵さん、もう離しませんから」
「いいよ」
頷いた瞬間、また唇を塞がれた。甘いキスに心と体が満たされていく。
森山君が大好き。愛しくて堪らない。
それから、私たちはベッドに移動した。
甘い痺れが全身を支配して立ってるのもやっとだった。しがみつくように森山君の背中に腕を回して鼓動が伝わりそうな程、密着した。
森山君がくれるキスはゆっくりした動きからどんどん深くなっていく。唇を貪るような激しい動きに体の奥が熱くなる。
もっと森山君を感じたい。求められたい。
そう思った瞬間、好きだって気持ちが溢れて、うるっとした。
好き過ぎて泣けてくる。
森山君が大好き。こんなに強い気持ちになるなんて。
「嫌でしたか?」
森山君が唇を離して、心配そうにこっちを見た。
頬に流れる涙を親指で拭いてくれる。
「違うの。森山君の事が大好きだなって思ったら、涙、止まらなくなっちゃった」
森山君の瞳が大きく見開いた。
「俺の事、好きなんですか?」
「うん。大好き」
「夏目さんよりも?」
「好きな人は森山君しかいない」
次の瞬間、鼻先が潰れるぐらいギュッて抱きしめられた。
「やっぱり昨夜の言葉は夢じゃなかった」
「昨夜の言葉?」
「昨夜も葵さん、夏目さんよりも好きだって言ってくれたんです」
言われてみればそんな事を言ったような気がする。
「朝になって覚えてないって言われて、俺、地獄に突き落とされましたから」
「言ってくれればいいじゃない」
「信じてくれない気がして」
「ごめんね。森山君をいっぱい悩ませて」
森山君が眼鏡を取って、人差し指で目を拭った。
「もしかして泣かせちゃった?」
からかうような調子で言うと、森山君がこっちを見て「目にゴミが入っただけですから」と言って、またキスをくれた。
ついばむような優しいキスから、すぐに激しい口づけになっていく。もっと欲しい、もっと、もっと……。
私からも夢中になってキスをした。好きだって気持ちを伝えるように。
森山君の全てが愛しい。シトラスの香りが混ざった汗をかいた肌の匂いも、よく動く柔らかな唇も、荒々しく口の中を動き回る舌も、全力で愛しさを伝えるような抱擁も。
森山君に愛されたい。もっと強く結ばれたい。
求めるように強くセーター越しの背中を抱きしめた時、森山君がハッとしたように唇を離した。
「葵さん、お腹空いたでしょ」
えっ? 夕飯? 確かにまだだけど、急にどうしたの?
「上のレストランに行きませんか?お寿司屋さんありますよ」
森山君が距離を取るように背を向け、ドアの方に歩いた。
何だか慌てて私との距離を取ろうとしてる気がする。
「ちょっと待ってよ」
後ろから追いかけて、腕を掴んだ。
「森山君、どうしたの?」
「どうって別に」
声が沈んでる。
「ちゃんと話して。なんか森山君、私から逃げようとしてる?私の事がもう嫌になったの?」
「違いますよ」
「じゃあ、どうしたの?」
森山君がため息をついた。
「この先に進んでいいのかと思ったんです」
「どういう事?」
「シナリオの事もありますし……」
そう言って森山君は考えるように頭をかいた。
「いや、違うな。怖いんだな。本当に好きな人を抱いた事がないから。葵さんの事が好きすぎてこれ以上、どうしたらいいかわからないんです」
なんて可愛い事を言うんだろう。愛しさが込みあがってくる。
堪らず森山君に抱き着いた。
「あ、葵さん」
戸惑ったような声が頭の上でする。
「もう、感動させないでよ。また泣いちゃうでしょ」
「だって本当にそう思うから」
「森山君、大好きよ」
背伸びをして森山君の唇に短いキスをした。
「好きだから森山君に抱かれたい。ダメ?」
眼鏡の奥の瞳が驚いたように大きくなった。
「これ以上我慢できませんよ」
「何を我慢するの? 私たち好き同士なのよ」
「葵さん、もう離しませんから」
「いいよ」
頷いた瞬間、また唇を塞がれた。甘いキスに心と体が満たされていく。
森山君が大好き。愛しくて堪らない。
それから、私たちはベッドに移動した。
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