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5話 アキハルの想い
5
「理桜ちゃん、秋川が呼んでる!」
続けて幸介さんに言われて、私は涙に濡れたまま消毒薬の匂いがする病室に入った。
白い掛布団がかかるベッドの周りにはいろいろな医療機器が並んでいて、アキハルはそれらに繋がれていた。その姿を見てまた涙が浮かんだ。だけど、泣いている場合じゃないと思い、手の甲で涙を拭い、アキハルの近くに行った。
「泣くなよ」
私の顔を見てアキハルが言った。ベッドに横になるアキハルの顔はすごく痩せていた。
最近、アキハルが何となく痩せた気がしていたけど、さらに痩せていた。でも、私を大事そうに見る澄んだ瞳は変わっていない。どんな姿になってもアキハルが好きだ。
「嬉し涙だもん。アキハルに会えて嬉しいの」
「バカだな。俺の忠告も聞かず」
「バカなのはアキハルだよ。入院したならちゃんと教えてよ。私、彼女なんだよ」
「俺たち別れたんじゃないのか?」
私は幸介さんにもらったアキハルの手紙を突きつけた。
「読んだよ。私たち両想いだから、今度は本当の恋人になったの」
一瞬、面食らったような顔をしたアキハルが、フフッと喉を鳴らして笑った。
「そうか。俺また理桜の彼氏になったのか」
「そうだよ。そして私はアキハルの可愛い彼女」
おどけたような表情を浮かべると、アキハルが愛おしそうに目を細め、細くなった手で私の頭をポンポン、と優しく撫でてくれた。
「ああ、可愛い、可愛い彼女だよ。初恋は実のならかったけど、最後の恋は叶ったな」
その言葉で私はコートのポケットに入れたままの姉の手紙を思い出した。
「そうだ。今日、これ見つけたんだ。はい」
私は【秋川春人様】と書かれた封筒をアキハルに手渡した。
「これって、香奈の?」
「うん。今日、お姉ちゃんの遺品から出て来たの。なんか、お姉ちゃんに頼まれた気がしちゃってさ」
アキハルは懐かしそうに封筒の文字を見つめていたが、それを私に差し出した。
「理桜、読んでくれるか?」
「いいの? お姉ちゃんからのラブレターかもしれないよ」
「だから、理桜に読んでもらうんだよ。理桜、俺が一人で読む方が嫉妬するだろう?」
図星だった。
「めちゃめちゃ嫉妬する!」
「可愛いな。やっぱり嫉妬するのか」
アキハルが嬉しそうに笑う。
「なんかすごく居心地が悪いんだが。俺、席外そうか」
後ろで控えていた幸介さんが苦笑交じりに言った。
完全にアキハルと二人だけの世界になっていて、すっかり幸介さんの存在を忘れていた。
「いや、幸介も、香奈の手紙を聞いて欲しい。多分、この手紙は俺の失恋確定の手紙だと思うから」
「え? ラブレターじゃないの?」
アキハルを見ると、「読めばわかる」と言われ、私は手紙の封を切って、折り畳まれていた便せんを広げた。
続けて幸介さんに言われて、私は涙に濡れたまま消毒薬の匂いがする病室に入った。
白い掛布団がかかるベッドの周りにはいろいろな医療機器が並んでいて、アキハルはそれらに繋がれていた。その姿を見てまた涙が浮かんだ。だけど、泣いている場合じゃないと思い、手の甲で涙を拭い、アキハルの近くに行った。
「泣くなよ」
私の顔を見てアキハルが言った。ベッドに横になるアキハルの顔はすごく痩せていた。
最近、アキハルが何となく痩せた気がしていたけど、さらに痩せていた。でも、私を大事そうに見る澄んだ瞳は変わっていない。どんな姿になってもアキハルが好きだ。
「嬉し涙だもん。アキハルに会えて嬉しいの」
「バカだな。俺の忠告も聞かず」
「バカなのはアキハルだよ。入院したならちゃんと教えてよ。私、彼女なんだよ」
「俺たち別れたんじゃないのか?」
私は幸介さんにもらったアキハルの手紙を突きつけた。
「読んだよ。私たち両想いだから、今度は本当の恋人になったの」
一瞬、面食らったような顔をしたアキハルが、フフッと喉を鳴らして笑った。
「そうか。俺また理桜の彼氏になったのか」
「そうだよ。そして私はアキハルの可愛い彼女」
おどけたような表情を浮かべると、アキハルが愛おしそうに目を細め、細くなった手で私の頭をポンポン、と優しく撫でてくれた。
「ああ、可愛い、可愛い彼女だよ。初恋は実のならかったけど、最後の恋は叶ったな」
その言葉で私はコートのポケットに入れたままの姉の手紙を思い出した。
「そうだ。今日、これ見つけたんだ。はい」
私は【秋川春人様】と書かれた封筒をアキハルに手渡した。
「これって、香奈の?」
「うん。今日、お姉ちゃんの遺品から出て来たの。なんか、お姉ちゃんに頼まれた気がしちゃってさ」
アキハルは懐かしそうに封筒の文字を見つめていたが、それを私に差し出した。
「理桜、読んでくれるか?」
「いいの? お姉ちゃんからのラブレターかもしれないよ」
「だから、理桜に読んでもらうんだよ。理桜、俺が一人で読む方が嫉妬するだろう?」
図星だった。
「めちゃめちゃ嫉妬する!」
「可愛いな。やっぱり嫉妬するのか」
アキハルが嬉しそうに笑う。
「なんかすごく居心地が悪いんだが。俺、席外そうか」
後ろで控えていた幸介さんが苦笑交じりに言った。
完全にアキハルと二人だけの世界になっていて、すっかり幸介さんの存在を忘れていた。
「いや、幸介も、香奈の手紙を聞いて欲しい。多分、この手紙は俺の失恋確定の手紙だと思うから」
「え? ラブレターじゃないの?」
アキハルを見ると、「読めばわかる」と言われ、私は手紙の封を切って、折り畳まれていた便せんを広げた。
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