雨宮課長に甘えたい

コハラ

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深夜のファミレスで

《4》

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テーブル席に戻ると、雨宮課長が「中島さんの分も取って来たよ」と言って、私の前にアイスコーヒーを置いてくれた。

「あ、すみません」

雨宮課長に気を遣わせてしまった。

お手洗いに行く前に自分の分を確保しておけば良かった。

雨宮拓海あめみやたくみ。37歳。
仕事ができて人当たりもいいから社内の評判はいい。
その上イケメンだと宣伝部の子たちも言っていた。

確かに目鼻立ちの整った精悍な顔立ちだと、雨宮課長の向かい側に座って改めて思う。

キリっとした眉に、くっきり二重の切れ長の目。通った鼻筋に薄くも厚くもない、バランスのいい唇。そしてふさふさな黒髪。

髪型は前髪をあげたビジネススタイルで、キリっとしていて、仕事ができそうな雰囲気が漂っている。

身長も高くて180㎝以上はありそう。

よりにもよってこんな容姿端麗な人にパンダ目を見られたのか。
こうして雨宮課長と向かい合っているのが気まずい。

そもそも泣いた所見られた訳だし……。
どうやって泣いた事を取り繕う? 映画に感動したと言えば誤魔化せそうだけど、全然泣く場面じゃなかったし。

「ごめん、アイスコーヒーって気分じゃなかった?」

雨宮課長が心配そうな視線を向けてくる。

「あ、いえ。いただきます」

恐縮しながらアイスコーヒーを飲むと……

えっ、何これ!?
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