12 / 28
番外
この椅子……立ち上がれないだと?!
しおりを挟む
「そもそもの前提を間違えておりましたな」
私の背後から、私の耳にそっと言葉を吹き込むように、ユリウスか囁く。
「無理に陛下に座って頂く必要はない。最初から、陛下が二度と椅子から立てないようにしてしまえば良かったのです」
(は?)
ぎょっとして、全身の毛が逆立った。無理矢理首を巡らせて、すぐ後ろにある彼の顔を仰ぎ見たけれど、彼はこちらを見ていなかった。その目線は群れなす人々の向こう、少し距離を置いて立つ人影に向けられている。
「ユリウス……いい加減にしなさい」
私は警戒しながら言った。
「いい加減に?」
気だるげな声が答える。
宰相って、こんな声を出す人だったかしら……徹底的に無表情なのはいつものことだけれど、いかにもつまらなそうな、全てに倦んだような声音は普段はあまり聞かれなかったものだ。
その声で、更に私の耳元に寄せて、
「陛下がお案じになるようなことは、何一つございません。私以外の椅子に御心を移されることもない。陛下が私の上から立たれることはもはや無いと思うと……非常に喜ばしいことですな」
低い声で囁かれ、私はヒッと声を上げそうになって、彼の上から腰を浮かせかけた。しかしどんな仕組みなのか、全く身体が持ち上がらない。磁石でくっつけられ、縫い止められたかのように動かないのだ。
「……」
冷や汗が流れた。
これは……
これは……
修羅場だわ!!!
(なんでこんな修羅場になったのかしら……どうして)
確実に魔王が降臨真っ只中の宰相の膝の上に、何かのおまけのようにくっつけられたまま、私は必死に頭を絞って考えていた。
まず、今は夜会の真っ最中である。場所は蒼湖宮。人工林に囲まれた澄んだ泉に、浮かぶように張り出した外廊、月の光が差し込むように開かれた窓を持つ伽藍。私の曽祖父の代に建てられた離宮なのだけれど、長く荒れ果てていたのを改修して、ようやく、こうしてお披露目の時が巡ってきた。
そこに諸国の客人を招いて開かれた夜会は、この国がすっかり国力を取り戻し、私の統治が揺るぎないものとなっているのを内外に見せつける機会になる、はずだった。
(はずだったんだけど……)
見せつけているのはいつものように椅子(宰相)。どうしてこうなった?
(いや、それ以前に)
怒っていたのは私の方だったはずだ。
それも、つい二十分前かそこらの話なのだけれど。美々しく贅を凝らしたドレスを纏い、今夜の主役となるべく離宮に現れた私は、人影もまばらな回廊の片隅に佇む二人を発見した。
見飽きるほど見た二人。宰相とレルゲイト将軍だ。
「いや、おかしいだろう?」
将軍の声がする。特に声をひそめるでもなく、ユリウスが答えるのが聞こえた。
「おかしい? ならば卿の鈍い頭に叩き込めるように、分かりやすい事例を出して教えてやろう。卿は最近、ご息女のために仔兎を一羽、生け捕りにして持ち帰っていたな?」
「ああ? そうだな、うちの娘は生き物が好きでな」
「料理の材料は鮮度の良さが重要ということか。いい趣味だな」
「そういう話じゃないだろうが。わざと言ってるな、こいつは!」
「脱線したな。ともあれ、想像してみろ。自分の膝の上に乗って、ふるふる震えている可哀想な兎と、すっかり気を許してくつろいでいる兎と、お前ならどちらを選ぶ」
「ええ? 何言ってるんだお前は……まあ、兎が幸せな方がいいんじゃないのか」
「私の意見は違うな。どちらもそれ相応の良さがある、だ」
(……何を言ってるの、あの男は?)
一国の宰相と将軍が頭を寄せ合って、真剣な顔で話し合っている内容が、兎。
レルゲイト将軍は常識人として、宰相の軌道修正をしてくれると期待していたのだが……今のところ、宰相の停止装置にはなり得ていないようだ。
「陛下がいずれ私という椅子に馴染まれるのは確定している。あの方は身内に甘い。家族全員を一度に失われたこともあって、半ば身内判定の我々に対して、決して冷酷になり得ない。それが問題というわけではないが……実際に私と婚姻を結ばれたら、どうなると思う」
「……いや、何となくお前の言いたいことは分かりかけてきたが……待てよ。つまり、さっき、陛下を可哀想な兎ちゃん呼ばわりしたな?」
「何か問題が?」
「不敬だってこと以外にはないが……俺は今、お前の忠誠心に疑いを抱きかけてるところだ」
「ほう? 私ほど忠義に厚い者はいないはずだが?」
「否定はできん……変態のくせに……。だが、やっぱり、忠誠を誓う相手を兎呼ばわりするお前って何なんだ。違和感だらけなんだが」
「私には無いな。私の中では問題なく繋がっている」
堂々と言い切る宰相。渋面を作りながら話の流れに乗せられている将軍。だんだん無の境地に達しつつある私。
(……何なのこれ?)
「ともあれ、そういうことだ。陛下が私に完全に気を許して馴染まれるまで、今の威嚇し怯え震えている陛下を丸ごと、じっくりと堪能させて頂くまでのことだ」
「お前、言い方が何かおかしいぞ」
レルゲイト将軍は気が抜けた感じで突っ込みを入れたけれど、
(違う、そうじゃない!)
できればもっと鋭く、痛いところを的確に突くような突っ込みを入れてもらいたい。
「じっくりねっとりとあらゆる角度から鑑賞させて頂くとでも言えば納得するか、卿は」
「悪化させるな!」
「他に言いようがない」
「あるだろう」
ああ、やっぱり将軍に任せておいては駄目だ。将軍では狂人相手は荷が重い。
私は深く息を吸い込み、足を踏み出して、
「ユリウス、レルゲイト将軍。貴方がたはこんなところで──」
「女王陛下!」
傍らから飛び込んできた弾むような声が、私の台詞を途中で遮った。
(ん?)
気勢を削がれて、私は振り返った。益体もない話に没頭していた二人も、こちらに視線を向けている。私たちの視線の先にいたのは、綺麗な赤髪をした小柄な少年で、ここ一番のおめかしをして来ましたと言わんばかりに綺羅びやかな礼服を纏っていた。
「ジュリオ公子」
私が呼び掛けると、その目が嬉しそうに輝いた。
私の従妹で、よく文を交わし合っているイネスの弟。つまり彼は私の従弟で、大陸の端、かなり離れたところにある大公国の第三公子だ。十歳になったばかりの少年。
そしてこの彼が、宰相に魔王を降臨させ、私に散々な悪夢を見させることになった人物だ。
私の背後から、私の耳にそっと言葉を吹き込むように、ユリウスか囁く。
「無理に陛下に座って頂く必要はない。最初から、陛下が二度と椅子から立てないようにしてしまえば良かったのです」
(は?)
ぎょっとして、全身の毛が逆立った。無理矢理首を巡らせて、すぐ後ろにある彼の顔を仰ぎ見たけれど、彼はこちらを見ていなかった。その目線は群れなす人々の向こう、少し距離を置いて立つ人影に向けられている。
「ユリウス……いい加減にしなさい」
私は警戒しながら言った。
「いい加減に?」
気だるげな声が答える。
宰相って、こんな声を出す人だったかしら……徹底的に無表情なのはいつものことだけれど、いかにもつまらなそうな、全てに倦んだような声音は普段はあまり聞かれなかったものだ。
その声で、更に私の耳元に寄せて、
「陛下がお案じになるようなことは、何一つございません。私以外の椅子に御心を移されることもない。陛下が私の上から立たれることはもはや無いと思うと……非常に喜ばしいことですな」
低い声で囁かれ、私はヒッと声を上げそうになって、彼の上から腰を浮かせかけた。しかしどんな仕組みなのか、全く身体が持ち上がらない。磁石でくっつけられ、縫い止められたかのように動かないのだ。
「……」
冷や汗が流れた。
これは……
これは……
修羅場だわ!!!
(なんでこんな修羅場になったのかしら……どうして)
確実に魔王が降臨真っ只中の宰相の膝の上に、何かのおまけのようにくっつけられたまま、私は必死に頭を絞って考えていた。
まず、今は夜会の真っ最中である。場所は蒼湖宮。人工林に囲まれた澄んだ泉に、浮かぶように張り出した外廊、月の光が差し込むように開かれた窓を持つ伽藍。私の曽祖父の代に建てられた離宮なのだけれど、長く荒れ果てていたのを改修して、ようやく、こうしてお披露目の時が巡ってきた。
そこに諸国の客人を招いて開かれた夜会は、この国がすっかり国力を取り戻し、私の統治が揺るぎないものとなっているのを内外に見せつける機会になる、はずだった。
(はずだったんだけど……)
見せつけているのはいつものように椅子(宰相)。どうしてこうなった?
(いや、それ以前に)
怒っていたのは私の方だったはずだ。
それも、つい二十分前かそこらの話なのだけれど。美々しく贅を凝らしたドレスを纏い、今夜の主役となるべく離宮に現れた私は、人影もまばらな回廊の片隅に佇む二人を発見した。
見飽きるほど見た二人。宰相とレルゲイト将軍だ。
「いや、おかしいだろう?」
将軍の声がする。特に声をひそめるでもなく、ユリウスが答えるのが聞こえた。
「おかしい? ならば卿の鈍い頭に叩き込めるように、分かりやすい事例を出して教えてやろう。卿は最近、ご息女のために仔兎を一羽、生け捕りにして持ち帰っていたな?」
「ああ? そうだな、うちの娘は生き物が好きでな」
「料理の材料は鮮度の良さが重要ということか。いい趣味だな」
「そういう話じゃないだろうが。わざと言ってるな、こいつは!」
「脱線したな。ともあれ、想像してみろ。自分の膝の上に乗って、ふるふる震えている可哀想な兎と、すっかり気を許してくつろいでいる兎と、お前ならどちらを選ぶ」
「ええ? 何言ってるんだお前は……まあ、兎が幸せな方がいいんじゃないのか」
「私の意見は違うな。どちらもそれ相応の良さがある、だ」
(……何を言ってるの、あの男は?)
一国の宰相と将軍が頭を寄せ合って、真剣な顔で話し合っている内容が、兎。
レルゲイト将軍は常識人として、宰相の軌道修正をしてくれると期待していたのだが……今のところ、宰相の停止装置にはなり得ていないようだ。
「陛下がいずれ私という椅子に馴染まれるのは確定している。あの方は身内に甘い。家族全員を一度に失われたこともあって、半ば身内判定の我々に対して、決して冷酷になり得ない。それが問題というわけではないが……実際に私と婚姻を結ばれたら、どうなると思う」
「……いや、何となくお前の言いたいことは分かりかけてきたが……待てよ。つまり、さっき、陛下を可哀想な兎ちゃん呼ばわりしたな?」
「何か問題が?」
「不敬だってこと以外にはないが……俺は今、お前の忠誠心に疑いを抱きかけてるところだ」
「ほう? 私ほど忠義に厚い者はいないはずだが?」
「否定はできん……変態のくせに……。だが、やっぱり、忠誠を誓う相手を兎呼ばわりするお前って何なんだ。違和感だらけなんだが」
「私には無いな。私の中では問題なく繋がっている」
堂々と言い切る宰相。渋面を作りながら話の流れに乗せられている将軍。だんだん無の境地に達しつつある私。
(……何なのこれ?)
「ともあれ、そういうことだ。陛下が私に完全に気を許して馴染まれるまで、今の威嚇し怯え震えている陛下を丸ごと、じっくりと堪能させて頂くまでのことだ」
「お前、言い方が何かおかしいぞ」
レルゲイト将軍は気が抜けた感じで突っ込みを入れたけれど、
(違う、そうじゃない!)
できればもっと鋭く、痛いところを的確に突くような突っ込みを入れてもらいたい。
「じっくりねっとりとあらゆる角度から鑑賞させて頂くとでも言えば納得するか、卿は」
「悪化させるな!」
「他に言いようがない」
「あるだろう」
ああ、やっぱり将軍に任せておいては駄目だ。将軍では狂人相手は荷が重い。
私は深く息を吸い込み、足を踏み出して、
「ユリウス、レルゲイト将軍。貴方がたはこんなところで──」
「女王陛下!」
傍らから飛び込んできた弾むような声が、私の台詞を途中で遮った。
(ん?)
気勢を削がれて、私は振り返った。益体もない話に没頭していた二人も、こちらに視線を向けている。私たちの視線の先にいたのは、綺麗な赤髪をした小柄な少年で、ここ一番のおめかしをして来ましたと言わんばかりに綺羅びやかな礼服を纏っていた。
「ジュリオ公子」
私が呼び掛けると、その目が嬉しそうに輝いた。
私の従妹で、よく文を交わし合っているイネスの弟。つまり彼は私の従弟で、大陸の端、かなり離れたところにある大公国の第三公子だ。十歳になったばかりの少年。
そしてこの彼が、宰相に魔王を降臨させ、私に散々な悪夢を見させることになった人物だ。
7
あなたにおすすめの小説
「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)
透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。
有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。
「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」
そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて――
しかも、彼との“政略結婚”が目前!?
婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。
“報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです
みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。
時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。
数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。
自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。
はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。
短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました
を長編にしたものです。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる