48 / 59
オリバーのお話 その五
「とにかく酒場の仕事はやめなさい。借金のことがなければ掃除係の仕事で充分食べていけるでしょう?」
オリバーがそう言うと、彼は再び目を伏せる。
「いえ・・・・掃除係だけだとやっぱり少し厳しいっす。」
「なぜです?」
「借家住まいだし、どんなに切り詰めても3000銅はかかるので、2000銅だとちょっと・・・・」
「・・・・ちょっと待ってください。今2000銅って言いました?あなた週何日働いてるんですか?」
「?6日です。」
「時間は?」「朝の5時から夕方6時までっす。」
「・・・・は?それでたったの2000銅?」
・・・・ありえない。
掃除係だとしても王宮内での仕事だ。
それだけ働けばその倍は貰えるはず。
誰かが横からかすめているとしか思えない。
「ちなみに給料は誰から受け取ってますか?」
「アーカイル様っす。」
レオの侍従長だった男。
レオが国王になってからは王宮の使用人頭
になっていたはず。
これも調べた方がよさそうだ。
「・・・・分かりました。
あと一点、ヒート中に出歩くのはやめなさい。仕事などもってのほかです。」
これは前々から思ってたことだ。
ヒートが二日に一回の頻度なので難しいかもしれないが、オメガのヒートによる欠勤には手当が出るようになっている。
それを使えば大した給料の減額にはならないはずだ。
王宮勤めはアルファが多いし、間違いが起こらないとも限らない。
「確かにヒート中はちょっと体ダルいっすけど、僕のヒートは食いもんの匂いだけでアルファの発情は誘発しないから迷惑かけないっす。」
「そういうことを言ってるのではありません。
どんなに危険か試してみますか?」
そう言うと、オリバーはアルファのフェロモンを最大限に放出した。
彼は自分の危うさが全然分かっていない。
「っ!!あっ、えっ・・・・//」
途端に顔を紅くした彼がシャツの胸辺りを握り締める。
呼吸が浅くなり、瞳が潤む。
自分に何が起きているか分かっていないような顔で縋るようにオリバーを見た。
「分かりましたか?ヒート中のオメガはアルファのフェロモンに当てられやすいんです。」
オリバーが彼の胸辺りを軽く爪で引っ掻くと、
「ひっ、あっ」
ピクピクッと腰を震わせた内腿を擦り合わせた。
ブワッとオムライスの匂いが一気に拡がる。
「どうです?今どんな感じです?
そんな煽るような顔をしたオメガを前に、アルファが情欲をおぼえないと本気で思ってるんですか?」
シャツの上から彼の乳首を親指で押し上げる。
ぷっくりと控えめに立ちあがっているそれをクリクリといじくり回すと、彼は面白いようにピクピクッと反応した。
・・・・マズイな。
これ以上やると私も抑えが効かなくなる。
オムライスの匂いに隠れてはいるが、オメガの発情フェロモンも微弱に感じ取れる。
理性が働いているうちにオリバーは手を離し、彼から一歩下がった。
「これで理解したでしょう?これからはヒート中の外出は控えてください。あなたのためです。
それじゃあ、家まで送りますよ。」
彼は立っているのも辛いようで机にもたれ掛かり、息を乱している。
目は潤みきってきて、焦点が合っていない。白い肌が上気する様は色香を感じさせた。
しまった。完全にやりすぎた。
このまま家に帰せるか?
「ふっ、う゛っ・・・・」
オリバーが人知れず焦っていると、彼のヘーゼルの瞳から涙が溢れる。
完全に床に座り込んだ彼は脚を擦り合わせながら自身の体を抱いて体を震わせていた。
「す、すみません。やりすぎました。
大丈夫ですか?とりあえず落ち着くまで私の家に行きましょう。」
彼の肩に触れるとオリバーは自身の家に飛んだ。
あなたにおすすめの小説
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
悪役令息上等です。悪の華は可憐に咲き誇る
竜鳴躍
BL
異性間でも子どもが産まれにくくなった世界。
子どもは魔法の力を借りて同性間でも産めるようになったため、性別に関係なく結婚するようになった世界。
ファーマ王国のアレン=ファーメット公爵令息は、白銀に近い髪に真っ赤な瞳、真っ白な肌を持つ。
神秘的で美しい姿に王子に見初められた彼は公爵家の長男でありながら唯一の王子の婚約者に選ばれてしまった。どこに行くにも欠かせない大きな日傘。日に焼けると爛れてしまいかねない皮膚。
公爵家は両親とも黒髪黒目であるが、彼一人が色が違う。
それは彼が全てアルビノだったからなのに、成長した教養のない王子は、アレンを魔女扱いした上、聖女らしき男爵令嬢に現を抜かして婚約破棄の上スラム街に追放してしまう。
だが、王子は知らない。
アレンにも王位継承権があることを。
従者を一人連れてスラムに行ったアレンは、イケメンでスパダリな従者に溺愛されながらスラムを改革していって……!?
*誤字報告ありがとうございます!
*カエサル=プレート 修正しました。
王子殿下が恋した人は誰ですか
月齢
BL
イルギアス王国のリーリウス王子は、老若男女を虜にする無敵のイケメン。誰もが彼に夢中になるが、自由気ままな情事を楽しむ彼は、結婚適齢期に至るも本気で恋をしたことがなかった。
――仮装舞踏会の夜、運命の出会いをするまでは。
「私の結婚相手は、彼しかいない」
一夜の情事ののち消えたその人を、リーリウスは捜す。
仮面を付けていたから顔もわからず、手がかりは「抱けばわかる、それのみ」というトンデモ案件だが、親友たちに協力を頼むと(一部強制すると)、優秀な心の友たちは候補者を五人に絞り込んでくれた。そこにリーリウスが求める人はいるのだろうか。
「当たりが出るまで、抱いてみる」
優雅な笑顔でとんでもないことをヤらかす王子の、彼なりに真剣な花嫁さがし。
※性モラルのゆるい世界観。主人公は複数人とあれこれヤりますので、苦手な方はご遠慮ください。何でもありの大人の童話とご理解いただける方向け。
愛され少年と嫌われ少年
透
BL
美しい容姿と高い魔力を持ち、誰からも愛される公爵令息のアシェル。アシェルは王子の不興を買ったことで、「顔を焼く」という重い刑罰を受けることになってしまった。
顔を焼かれる苦痛と恐怖に絶叫した次の瞬間、アシェルはまったく別の場所で別人になっていた。それは同じクラスの少年、顔に大きな痣がある、醜い嫌われ者のノクスだった。
元に戻る方法はわからない。戻れたとしても焼かれた顔は醜い。さらにアシェルはノクスになったことで、自分が顔しか愛されていなかった現実を知ってしまう…。
【嫌われ少年の幼馴染(騎士団所属)×愛され少年】
※本作はムーンライトノベルズでも公開しています。
裏乙女ゲー?モブですよね? いいえ主人公です。
みーやん
BL
何日の時をこのソファーと過ごしただろう。
愛してやまない我が妹に頼まれた乙女ゲーの攻略は終わりを迎えようとしていた。
「私の青春学園生活⭐︎星蒼山学園」というこのタイトルの通り、女の子の主人公が学園生活を送りながら攻略対象に擦り寄り青春という名の恋愛を繰り広げるゲームだ。ちなみに女子生徒は全校生徒約900人のうち主人公1人というハーレム設定である。
あと1ヶ月後に30歳の誕生日を迎える俺には厳しすぎるゲームではあるが可愛い妹の為、精神と睡眠を削りながらやっとの思いで最後の攻略対象を攻略し見事クリアした。
最後のエンドロールまで見た後に
「裏乙女ゲームを開始しますか?」
という文字が出てきたと思ったら目の視界がだんだんと狭まってくる感覚に襲われた。
あ。俺3日寝てなかったんだ…
そんなことにふと気がついた時には視界は完全に奪われていた。
次に目が覚めると目の前には見覚えのあるゲームならではのウィンドウ。
「星蒼山学園へようこそ!攻略対象を攻略し青春を掴み取ろう!」
何度見たかわからないほど見たこの文字。そして気づく現実味のある体感。そこは3日徹夜してクリアしたゲームの世界でした。
え?意味わかんないけどとりあえず俺はもちろんモブだよね?
これはモブだと勘違いしている男が実は主人公だと気付かないまま学園生活を送る話です。
政略結婚のはずが恋して拗れて離縁を申し出る話
藍
BL
聞いたことのない侯爵家から釣書が届いた。僕のことを求めてくれるなら政略結婚でもいいかな。そう考えた伯爵家四男のフィリベルトは『お受けします』と父へ答える。
ところがなかなか侯爵閣下とお会いすることができない。婚姻式の準備は着々と進み、数カ月後ようやく対面してみれば金髪碧眼の美丈夫。徐々に二人の距離は近づいて…いたはずなのに。『え、僕ってばやっぱり政略結婚の代用品!?』政略結婚でもいいと思っていたがいつの間にか恋してしまいやっぱり無理だから離縁しよ!とするフィリベルトの話。
【完結】健康な身体に成り代わったので異世界を満喫します。
白(しろ)
BL
神様曰く、これはお節介らしい。
僕の身体は運が悪くとても脆く出来ていた。心臓の部分が。だからそろそろダメかもな、なんて思っていたある日の夢で僕は健康な身体を手に入れていた。
けれどそれは僕の身体じゃなくて、まるで天使のように綺麗な顔をした人の身体だった。
どうせ夢だ、すぐに覚めると思っていたのに夢は覚めない。それどころか感じる全てがリアルで、もしかしてこれは現実なのかもしれないと有り得ない考えに及んだとき、頭に鈴の音が響いた。
「お節介を焼くことにした。なに心配することはない。ただ、成り代わるだけさ。お前が欲しくて堪らなかった身体に」
神様らしき人の差配で、僕は僕じゃない人物として生きることになった。
これは健康な身体を手に入れた僕が、好きなように生きていくお話。
本編は三人称です。
R−18に該当するページには※を付けます。
毎日20時更新
登場人物
ラファエル・ローデン
金髪青眼の美青年。無邪気であどけなくもあるが無鉄砲で好奇心旺盛。
ある日人が変わったように活発になったことで親しい人たちを戸惑わせた。今では受け入れられている。
首筋で脈を取るのがクセ。
アルフレッド
茶髪に赤目の迫力ある男前苦労人。ラファエルの友人であり相棒。
剣の腕が立ち騎士団への入団を強く望まれていたが縛り付けられるのを嫌う性格な為断った。
神様
ガラが悪い大男。