僕のフェロモンでアルファが和んでしまいます

さねうずる

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オリバーのお話 その五

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「とにかく酒場の仕事はやめなさい。借金のことがなければ掃除係の仕事で充分食べていけるでしょう?」

オリバーがそう言うと、彼は再び目を伏せる。

「いえ・・・・掃除係だけだとやっぱり少し厳しいっす。」

「なぜです?」

「借家住まいだし、どんなに切り詰めても3000銅はかかるので、2000銅だとちょっと・・・・」

「・・・・ちょっと待ってください。今2000銅って言いました?あなた週何日働いてるんですか?」

「?6日です。」

「時間は?」「朝の5時から夕方6時までっす。」

「・・・・は?それでたったの2000銅?」


・・・・ありえない。
掃除係だとしても王宮内での仕事だ。
それだけ働けばその倍は貰えるはず。
誰かが横からかすめているとしか思えない。

「ちなみに給料は誰から受け取ってますか?」

「アーカイル様っす。」

レオの侍従長だった男。
レオが国王になってからは王宮の使用人頭
になっていたはず。
これも調べた方がよさそうだ。

「・・・・分かりました。
あと一点、ヒート中に出歩くのはやめなさい。仕事などもってのほかです。」

これは前々から思ってたことだ。

ヒートが二日に一回の頻度なので難しいかもしれないが、オメガのヒートによる欠勤には手当が出るようになっている。
それを使えば大した給料の減額にはならないはずだ。

王宮勤めはアルファが多いし、間違いが起こらないとも限らない。

「確かにヒート中はちょっと体ダルいっすけど、僕のヒートは食いもんの匂いだけでアルファの発情は誘発しないから迷惑かけないっす。」

「そういうことを言ってるのではありません。
どんなに危険か試してみますか?」


そう言うと、オリバーはアルファのフェロモンを最大限に放出した。
彼は自分の危うさが全然分かっていない。


「っ!!あっ、えっ・・・・//」

途端に顔を紅くした彼がシャツの胸辺りを握り締める。
呼吸が浅くなり、瞳が潤む。
自分に何が起きているか分かっていないような顔で縋るようにオリバーを見た。


「分かりましたか?ヒート中のオメガはアルファのフェロモンに当てられやすいんです。」

オリバーが彼の胸辺りを軽く爪で引っ掻くと、

「ひっ、あっ」

ピクピクッと腰を震わせた内腿を擦り合わせた。

ブワッとオムライスの匂いが一気に拡がる。

「どうです?今どんな感じです?
そんな煽るような顔をしたオメガを前に、アルファが情欲をおぼえないと本気で思ってるんですか?」

シャツの上から彼の乳首を親指で押し上げる。
ぷっくりと控えめに立ちあがっているそれをクリクリといじくり回すと、彼は面白いようにピクピクッと反応した。


・・・・マズイな。
これ以上やると私も抑えが効かなくなる。
オムライスの匂いに隠れてはいるが、オメガの発情フェロモンも微弱に感じ取れる。

理性が働いているうちにオリバーは手を離し、彼から一歩下がった。

「これで理解したでしょう?これからはヒート中の外出は控えてください。あなたのためです。

それじゃあ、家まで送りますよ。」


彼は立っているのも辛いようで机にもたれ掛かり、息を乱している。
目は潤みきってきて、焦点が合っていない。白い肌が上気する様は色香を感じさせた。


しまった。完全にやりすぎた。
このまま家に帰せるか?


「ふっ、う゛っ・・・・」


オリバーが人知れず焦っていると、彼のヘーゼルの瞳から涙が溢れる。

完全に床に座り込んだ彼は脚を擦り合わせながら自身の体を抱いて体を震わせていた。


「す、すみません。やりすぎました。
大丈夫ですか?とりあえず落ち着くまで私の家に行きましょう。」

彼の肩に触れるとオリバーは自身の家に飛んだ。


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