いつかまたおなじ空のしたで

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「よし！命知らずども！最後の仕上げだ！」
私は教会の瓦礫から板を集めてそれぞれ地面に突き立てた。
「一度だけお手本をみせる！あとはみんなで相談しながら練習しろ！」
言うと私は上段に構え、一息で板に3本の焦げすじを描いて見せた。
「おー！」とか「すげー！」とか聞こえてくる。ふふふ。
「当てすぎてもだめ！当たらなくてもだめだ！間合いを見極めろ！それがきさまらときさまらの大切なものを守る境界線だと思え！！」
「はい！」うんうんいいお返事。
「当たらねー」とか、ガスっと叩いてしまって板を立て直す子もいる。
「ばかものどもが！まずはゆっくりからだ！速さだけで敵が倒せるか！正確に狙え！」
「はい！」「わかりました！」
しゅっ！おー、レヴィはなかなか良い！
さすがうちの子！
ゴーン！、、、3時の鐘が鳴った。
「そこまで！！」
鐘の音よりも私の声で皆ぴたりと手を止めてこちらに向き直る。
できた子は、、4人か、3分の1以下か、、まぁだいじょぶだ。
「きさまら！よく厳しい稽古に耐えた！今日教えた基本はこれからの自らの努力によってさらに花開くだろう！」
みんなちょっと誇らしげに見える。
「いいか！命知らずなお前たちはもういない！自らを守れ！大切なものを守るために！それを学んだお前たちは！1人の戦士だ！！」
「うおー！」とか「ありがとうございます！」
「よかったな！」とか口々にみんなにこやかだ。
恥ずかしかったけど、やってよかったかな。
「あれ？おしまいかあー？？」
声の方を見ると、ブキ屋のおじさんだ。
木剣をもって子供たちを見ながらにこにこ歩いてくる。
「あれ？お店は？」
「売り物がなくなった」
にやにやに変わった。
「は？？それは、、よかったね、、」
「姉ちゃんと嬢ちゃんのおかげ」にやり。
あー、そういう事ねー。
「なぁ、姉ちゃん、ちょっと手合わせしねぇか？」
おじさんが耳打ちする。え？まじで？
トリスをチラ見、、やれ！とばかりにうなづくトリス。
まぁいいか。
「うんうん、ちょっとだけね？」
おじさんにこそっと言う。そして子供たちに向き直る。
「みんなよく聞け！ブキ屋のおじさんと私とで！今から模擬戦を行う！これはおじさんと私からのきさまらへの贈り物だ！」
みんな緊張に身構える。
おじさんをみて、ほら！ってうながす。
「あー、ブキ屋のおじさんです。みんな買い物してくれて本当にありがとう！また来るから、その時もよろしくな！」
フランクなおじさんの挨拶が終わり2人は、私とおじさんはみんなを下がらせて教会の庭に対峙した。
「ありありでいいの？」
聞いてみた。
「もちろん！姉ちゃんのお淑やかな剣が、おじさんに通用するならな？」
「言うじゃない！」
いつの間にかレフェリーにトリスが立っている。
手には虹色のスカーフ。
みんなじっとして観ている。
高々と掲げられた虹がひらりと弧を描いて振り下ろされた！
駆け出すついでにひとつ捨てて、上段からの一撃を！って！
コォーンっ！
おじさんの初手もおんなしだった。
下段切り返し。これはお互いに間合いを取りすぎて切先が僅かに擦れるだけだった。

袈裟斬り！かち合うおじさんと私の剣。
2人が揃って目をまんまるにして鍔迫り合いをする。
周りからはなにが起こったのかわかんなかったと思う。
この動揺は私とおじさん2人だけのものだった。