41 / 212
30
しおりを挟む朝起きるとレヴィと目が合った。昨日の事を考えながら眠った私は今日は寝覚めがいい、レヴィに思い切り抱きついておはようをした。レヴィもにこにこだ。
トリスはといえばすでに支度を終えて食堂でお茶を飲んでいた。
「おはようー」
機嫌がいい2人を見てトリスも上機嫌なようだ。
どすどすとロドリーさんが起きてきて「おはやいですなはいー」なんて言っている。
ここの店主はおやじさんで、奥さんと娘さんが給仕をしていた。
「辺境な町なもんでね!朝なんてこんなもんだよ!」
奥さんが大皿のサラダに炒め物とスープ、それとパンをドカドカともってくる。
え!??こんなに?
昨日の夕飯はなんかかしこまった料理でたような気がしますけど、、なんて思ったけど、食べたら美味しいから!これはこの量終わるよ!
「はぁ、、ごちそうさま、、」
「はいよ!おそまつさま!」
食べ切った私たちをみて奥さんも嬉しそうだ。
「おばさん、犬の毛皮とか売りたいんだけど、道具屋さんてあるかな?」
私がきくと
「そういうのはロドリーのだんなにきいとくれな!」
言われてしまった、確かにそうだ。
「ロドリーさん、いいお店ありますか?」
「もちろんですはいー、後でご一緒しましょう!」
ありがたい。
「よろしくおねがいしますね」
トリスもつけくわえる。
「ありがとう!それじゃあ後で!」
部屋で売る物を選別して食堂におりるとロドリーさんはすでに待っていた。
「お待たせしました」
トリスが優雅に謝罪する、私たちも慌てて「お待たせしました!」なんて言う。
「いえいえ、このくらいしかご恩返しは出来ませんからはい」
ロドリーさんは変わらない。こんなんでほんとうにやりての商人なんだろうか?なんて疑ってしまう。
小さな町といってもここは割と賑やかだった。もうすぐ先が魔族領だという事もあってか人がたまっているんだろうと思う。
ほどなくロドリーさんご贔屓の道具屋についた。
カランカラン。ドアに付けられたベルが店内に来客を伝える。
「いらっしゃい!」
店主と思しき初老の男がこちらに目を向けて言った。
「こんにちはー」
ロドリーさんがカウンターに向かって言うと、それを見て初老の男の表情が柔らかくなった。
「ロドリーさん、いらっしゃい!お速いおつきですなー」
1日早い計算らしい。やっぱり店主だった男はこちらに目を向けて尋ねてくる。
「そちらは?」
「素材をお持ちだそうで、買い取りをお願いできますか?」
ロドリーさんが通訳してくれた。
「これです」
レヴィが売り物として選り分けた物をポーチから出す。
カウンターに出したのはイノシシと犬の毛皮、あと牙だ。
「ほうほう!これはファングボアとシルバーウルフ!なかなかのもんじゃないか!」
ロドリーさんが「さすがですはいー」なんて付け加えて言う。
は?イノシシと犬じゃ?
「えっと、イノシシと犬の素材ですけど、、?」
ファングボアって魔獣じゃない?そんなのいなかったはずだけど、、。
前の街の道具屋でだってイノシシと犬だって言ってたし。
「いやいや違いますよ!?この牙、内側にスジがありますでしょう?これはファングボアの牙です。毛皮も間違いありませんよ?はいー」
え、、、
「こちらの毛皮も、毛が白い部分が多いでしょう?これは冬毛に変わりかけたシルバーウルフの特徴ですよ!はいはいー!」
なんてこと、、街の道具屋はそういう事知らなくて、私たちがイノシシと犬って言ったからそれで買い取りをしたんだ、、。
「んー、、これほどだと、、買い取りはこのくらいになるな!」
カウンターに出された銀貨を見て私たちはちょっと目眩がした気がした。
剥ぎ取りに失敗した毛皮も片方がちょっと欠けた牙もある、、路銀の足しにくらいに思っていた買い取り額は、、前の街の3倍だった。
がっくりと肩を落とす私に店主が言う。
「まあまあ、嬢ちゃん!これだけの腕なんだから剥ぎ取りが上手になれば、、、そうだな、5割り増しの値段になるよ!」
まじか。私は座り込んでしまった。
後から聞いた話では、トリスとレヴィはそんな私を見ている事しか出来なかったらしい。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌
紫南
ファンタジー
十二才の少年コウヤは、前世では病弱な少年だった。
それは、その更に前の生で邪神として倒されたからだ。
今世、その世界に再転生した彼は、元家族である神々に可愛がられ高い能力を持って人として生活している。
コウヤの現職は冒険者ギルドの職員。
日々仕事を押し付けられ、それらをこなしていくが……?
◆◆◆
「だって武器がペーパーナイフってなに!? あれは普通切れないよ!? 何切るものかわかってるよね!?」
「紙でしょ? ペーパーって言うし」
「そうだね。正解!」
◆◆◆
神としての力は健在。
ちょっと天然でお人好し。
自重知らずの少年が今日も元気にお仕事中!
◆気まぐれ投稿になります。
お暇潰しにどうぞ♪
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる