いつかまたおなじ空のしたで

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落ち込んでる私に「まあまあ」なんて宥める風に言いながら、店主はレヴィの首飾りに食いついてきた。
「それもファングボアとウルフの牙だな！細工も細かくて素晴らしいじゃないか！」
ん？牙の細工って私のつくった人形の事かな？
レヴィに戦いかたを習いたいと言われてからしばらくした頃の事、両手持ちに慣れてきたので私の動きを短剣二刀流用に直して稽古をしていた時だった。
2人で相談して片方で受け流しもう片方で攻撃を与えるのが1番だと決まった。
受け流しはイノシシの鼻先を短剣の腹で撫でてやればいい。
はずだったけど、、。
木剣じゃなくて刃のついた短剣で敵の動きをいなすのはレヴィにはなかなかにむつかしい事だった。
2回に１回は短剣をかじられてしまう。そうするとイノシシの牙は売り物にならない。装飾品にしろ防具にしろ傷があっては価値がさがってしまうからだ。
落ち込むレヴィを元気つけたくて、私は「傷あり」の牙に顔と手足を掘り込んで簡易的な人形のようにした。バキバキに砕けていない分だけだけど。
「レヴィちゃん、レヴィちゃん、私、キバちゃん。仲良くしてね！」
ちょこちょこと動かしながら牙人形を見せたらレヴィは思いのほか喜んで、日に日に増えていく牙人形を首飾りやアクセサリーにしたいと言い出した。
逆さまになっちゃうけど、足の方に紐を通す穴を開けて、綺麗めな石も間に入れたりして、、今ではレヴィお気に入りの首飾りとしてアクセサリーになっていた。
ぱっと見、、ちょっと狩猟民族に見えなくもない。いわゆるトロフィーだ。
そんな事を思い返していると視線を感じた。
うずくまり頭を抱えた私を、4人が見下ろしていたのだった。
「！！！」
じー、、、
「な、、なにかな、、？」
レヴィが首飾りを外して茶化す。
「リーナ、私たちのこと紹介してよー」
しかたない、私はちょっと端折って説明した。
「というわけで、コリコリと削って人形にしたんですよ、、」
店主は「ほうほう」なんて言いながら聞いていたが。
「こういった工芸品は土産にいいんだよなー！」
なんて言いだした。
そこにロドリーさんが割って入る。
「リーナさん、商業組合に登録しましょう！特許を取れば幾らか入ってきますから！」
店主ははっとして「やられた！」という顔をした。
「いやいやロドリーさんには敵わないよなー」
そのあと私は何枚かのデザイン画を描いてロドリーさんに渡した。自分は目立ちたくないからあとの手続きはロドリーさんに丸投げだ。
「特許料はどうしましょう？振り込みますか？」
ロドリーさんがきいてくるけど口座なんかない。
「また会った時にもらうから、ロドリーさん持っててよ」
またも丸投げだ。
「はあ、わかりましたはい」
苦笑いするロドリーさんと宿屋に戻りながら、ちらちらと胸元の首飾りをみたり触ったりしてるレヴィが可愛くて仕方なかった。