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しおりを挟むデューイが町長なのかと思ったら、町長は変わってなかった。
町長は、アメリアからのこの町に対する扱いにそもそも不満があったらしい。
ランジー領での出来事を聞いてここぞとばかりに中立を宣言したという訳だ。
魔王ならいざ知らず、1人で領都を壊滅させる力を持った魔族がいる事はすでに周知の事実だった。逃げた兵士か誰かが報告したんだと思う、私の事を。
身バレは困る。
変身ブレスレットについて今後どうしたら良いかトリスに相談しなきゃならなくなってしまった。
今の私の風体は間違いなくアメリアにも伝わっているだろうから。
まずはまだ石の中にいる2人を出してあげなきゃならない。アゲハみたいに1か月でぐちる人もいるくらいだもんね。
2年とかパンチされるかも、、。
レヴィと相談して、私は早々に町を出てお城に向かう事にした。
まずは道中急ぐのに馬車を買う事にした。
馬車屋さんは現在だった。
「お嬢様にはこちらがお似合いかと?」
私を覚えていた馬車屋さんはちょっと豪華な馬車を薦めてくるけど、乗り心地の方が大事だ。
「過度な装飾は好みませんの。乗り心地重視でお値段関係なく見繕っていただけます?」
私のお嬢様が炸裂する。
レヴィはいつも通り寡黙な戦士だ。
「は、、承知しました。では馬をお選びください」
店主は店員らしき男に何か告げると私達を厩に促した。
馬達は前と変わらず元気そうだった。メンバーは変わっているけれど、ちゃんと世話してもらっているのがわかる。
「1番の売れ残りはどの子かしら?」
私はまた「ジェシー」みたいな賢い馬が良いと思って聞いてみた。
「売れ残り、、でございますか?、、」
戸惑いながら店主の案内について行くと厩の裏に連れて行かれた。
そこには魔鋼の首輪と足枷の着けられたバイコーンが1人いて、店主を見た途端に鼻息荒く檻の中で暴れ回った。
鞭や刃物の痕が身体中にある。
飼い慣らそうとして鞭を振るわれて、飼い慣らせないと判ると「稽古」の相手にでもされたんだろう。
さすが人族だ。従えられないなら要らないっていう事か。くそう。
「この子ですの?」
店主がビクッとする。
「お嬢様が聞いている」
レヴィの低い声は久しぶりだ。
「あ、はい。売れ残りと申されましたので、、」
たしかにそう言った。けどバイコーンは思いもよらない答えだったからちょっとびっくりだった。
「檻を開けていただけるかしら?」
また店主がビクッとなる。
「あの?中に、、お入りになるのでしょうか?」
「この子はおいくら?」
入らなきゃ首輪とかはずせないじゃんか。私はそんな事より値段をどうするか気になった。
「非常に珍しい種類ですので、、」
「そちらの言い値で結構ですわ」
言うが早いか私は剣で檻を斬ってついでに首輪と足枷も斬り外す。
びっくりするバイコーンと店主。
ぶるるっと身体を揺すって脚を踏み締めて身体の調子を確かめるバイコーン。
私が剣を納めて手を出すとぺろりと舐めた。
よし。
鬣を指ですくと気持ち良さそうに目を閉じた。
「馬車の用意はすぐに出来まして?」
目を丸くしていた店主に私は突っ込んだ。
「あ?あっ!はい直ぐに!」
たたっと走ってどこかに行っちゃった。
私はレヴィと2人でしばらくバイコーンをなでなでしたりくすぐったりしていた。
名前決めないとね。
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