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第3章
もうどうでもいいや
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「キール様っ、大丈夫ですか?」
「ああ、問題ない。既に治っている」
「よかっ……」
安心したと同時に私の目からぽろり、涙がこぼれ落ちた。
「今度はこの前と逆の立場になったな」
キール様はそう笑って、私の頭を撫でてくれた。
それからギュッと抱きしめてくれたから、私は彼の胸の中で安堵の涙を流した。
「それにしても酷い惨状になっちまったな」
バレアさんは半壊した塔を見上げながらそう呟いた。
「これは全部あいつが?」
「ああ。素手で壁ぶっ壊して回って、さらに瓦礫を投げまくって気付けばあれよ」
「ならば暴走したまま力任せに暴れられていたら、もっと厄介なことになっていたかもな」
「確かにな、素手で岩を壊しまくってたからな。あの天啓もやっかいだったが、やっぱ人間らしさってのはちっとくらいあったほうが与し易いもんだ」
二人が肩を並べて、そんな会話をしている。
その関係はまるで長年の親友のように見えて。だから思い切って聞いてみた。
「キール様とバレアさんってどんな関係なんですか? 前はキール様と呼んでいたのに、今はなんだかとても気安そうです」
「ん? 前も言ったが俺とキール様は色々あんだよ」
「バレア、もうリアには全部話したよ」
「なんだよ、それを先に言っとけ! ならいいか。バカ弟子、俺は……リディアの兄だ」
リディアさんといえば、キール様の……?。
「元婚約者さん?」
「ああ、そうだ。こいつのせいで妹が……ってな怨恨は数百年前に精算済みさ。キールはそう思ってないみたいだが」
「あれは私の罪だからな。永遠に消すことはできん」
「じゃあまだ思ってるのか? 死にたいって」
「……ああ」
そうか、まだキール様は死にたかったのか。
最近はそう思わないかもなんていっていたのに。
やっぱり私のことなんて——。
「今はリアと同じ時間を生きて、そして普通の人間としての寿命を全うしたい、とそう思っている」
「なるほどな、そりゃ良い答えだ」
「キール様っ」
私は思わず抱きついてしまった。
涙で服を汚してしまったけど、この前は私が汚されたんだからおあいこだ。
「と、なると俺ももっと頑張らなきゃなあ」
「頑張るって……ぐすっ、何をですか?」
「バレアは天啓を研究しているんだ。その為に自分から不死になったような男だ」
「時間が必要だったからな。最初はキールの天啓を取り上げて殺すためだった。でもな、この男は逆に死にたいって宣いやがった」
「リディアさんへの贖罪として……?」
キール様はしばらく考えたように黙り込んで、やがて口を開いた。
「それもあるが、どちらかといえば楽になりたかったんだろう。罪の意識に苛まれたまま生きる永遠は辛すぎるからな」
「だから今度は俺が殺してやらなきゃって気持ちになってな。それで研究を続けていたんだ」
「成果は……あったんですか?」
「成果ならさっき見せたろう? 俺はもともと天啓なんて持ってねえ」
「じゃああの炎って……?」
「あれはバレアが作った天啓だぞ、リア。人工天啓とでもいえばいいか」
そこまで研究が進んでいるのか。
じゃあ、あとはキール様から天啓を取り上げれば……。
「ただな、人に天啓を与えることはできても消すことが出来ねえ。いや、方法は分かってんだが……」
「方法というのは?」
「なんていうか天啓を打ち消す理論自体はもう完成してんだ。結局ありゃ呪いみたいなものだから解呪してやればいい」
キール様もチェリエの天啓を呪いと表現していた。
やはり本質はそういうもの、ということなのだろうか。
「では何が問題なんですか?」
「材料が足りないんだ。霊樹の雫ってやつが必要なんだがなぁ、こいつが手に入らん」
「霊樹の雫……」
「場所まで分かっているんだが……歯がゆいもんだ」
場所まで分かっているなら取りに行けばいいのに。
それが出来ない理由って一体なんなんだろう。
と、考えていたらバレアさんがパチンと手を叩いた。
「よし! ここはひとつバカ弟子とメリンダに行ってきてもらうか!」
「おいっ、バレア! 何を言っているんだ」
「だって、あそこは女しか入れない国だぜ?」
「今までに何人送ったと思っているんだ? 誰一人帰って来ないじゃないか。そんなところにリアを——」
「行きますっ!」
私は思わずキール様を遮って宣言してしまった。
「だってそれがあればキール様が望んでいるように私と同じ時間を歩めるようになるんですよね?」
「リア……それはそうかもしれないが……」
それに、チェリエにかけられたあの呪いのような天啓だって消してあげられる。
もしかしたら私のこの天啓はそのために貰ったんじゃないか、ってなぜかそう思えた。
だから私は——。
城に入ると、ペタペタという元気な足音が聞こえてきた。
その横には好々爺然としたシュバルトさんが控えている。
「良かった。チェリエ、無事だったのね!」
「リアせんせーとメリンダっ! と、あとキールと知らないおっじさーん」
「知らないおじさんって……おい、またあれが起きたのか?」
「ああ、ついこの間な」
「そうか……。もし本当に女神ってやつがいんなら相当に性格悪いぜ。なんとかしてやりてぇな」
バレアさんは、渋い顔をしてからため息を吐いた。
「シュバルトもチェリエの護衛ご苦労」
「いえ、私は何もしておりません。むしろ城を壊されても手を出せないのは、些か大変でしたが。ところで戦場のほうはどうなりましたか?」
「あちらもリアのお陰で大勝だ。そのうちメルクリアから和睦の使者が来るだろう」
「それは重畳でございます。あとはシェリングフォードの出方次第ですか」
「いや、それも問題ないだろう。そもそも謀反の気配ありというのは既に王家側と共有している。今頃証拠を消そうと躍起になっているだろうが……あれだけ派手に装備品を横流ししていたら足がつかないわけもない」
「では反逆罪でよくて伯爵家は取り潰しでしょうかね」
シュバルトさんはそういって私にちらりと視線をくれた。
これからあのミザリィに罰が下ることを教えてくれたのだろう。
良ければ取り潰しということは、悪ければ連座で処刑もあり得るということだ。
ミザリィが処刑されれば溜飲が下がるかといえば……正直良くわからない。
彼女から逃げるようにこっちに来て、色んな事を知って、やらなきゃいけないこともできて。
それまでは恐怖とか怒りとか色々あったのに、なんかそれどころじゃなくなっちゃった。
結局メリンダも死ななかったし、私も壁の花をやめた。
だからあの子のことは……もうどうでもいいや。
——————————
次話で終わります。
「ああ、問題ない。既に治っている」
「よかっ……」
安心したと同時に私の目からぽろり、涙がこぼれ落ちた。
「今度はこの前と逆の立場になったな」
キール様はそう笑って、私の頭を撫でてくれた。
それからギュッと抱きしめてくれたから、私は彼の胸の中で安堵の涙を流した。
「それにしても酷い惨状になっちまったな」
バレアさんは半壊した塔を見上げながらそう呟いた。
「これは全部あいつが?」
「ああ。素手で壁ぶっ壊して回って、さらに瓦礫を投げまくって気付けばあれよ」
「ならば暴走したまま力任せに暴れられていたら、もっと厄介なことになっていたかもな」
「確かにな、素手で岩を壊しまくってたからな。あの天啓もやっかいだったが、やっぱ人間らしさってのはちっとくらいあったほうが与し易いもんだ」
二人が肩を並べて、そんな会話をしている。
その関係はまるで長年の親友のように見えて。だから思い切って聞いてみた。
「キール様とバレアさんってどんな関係なんですか? 前はキール様と呼んでいたのに、今はなんだかとても気安そうです」
「ん? 前も言ったが俺とキール様は色々あんだよ」
「バレア、もうリアには全部話したよ」
「なんだよ、それを先に言っとけ! ならいいか。バカ弟子、俺は……リディアの兄だ」
リディアさんといえば、キール様の……?。
「元婚約者さん?」
「ああ、そうだ。こいつのせいで妹が……ってな怨恨は数百年前に精算済みさ。キールはそう思ってないみたいだが」
「あれは私の罪だからな。永遠に消すことはできん」
「じゃあまだ思ってるのか? 死にたいって」
「……ああ」
そうか、まだキール様は死にたかったのか。
最近はそう思わないかもなんていっていたのに。
やっぱり私のことなんて——。
「今はリアと同じ時間を生きて、そして普通の人間としての寿命を全うしたい、とそう思っている」
「なるほどな、そりゃ良い答えだ」
「キール様っ」
私は思わず抱きついてしまった。
涙で服を汚してしまったけど、この前は私が汚されたんだからおあいこだ。
「と、なると俺ももっと頑張らなきゃなあ」
「頑張るって……ぐすっ、何をですか?」
「バレアは天啓を研究しているんだ。その為に自分から不死になったような男だ」
「時間が必要だったからな。最初はキールの天啓を取り上げて殺すためだった。でもな、この男は逆に死にたいって宣いやがった」
「リディアさんへの贖罪として……?」
キール様はしばらく考えたように黙り込んで、やがて口を開いた。
「それもあるが、どちらかといえば楽になりたかったんだろう。罪の意識に苛まれたまま生きる永遠は辛すぎるからな」
「だから今度は俺が殺してやらなきゃって気持ちになってな。それで研究を続けていたんだ」
「成果は……あったんですか?」
「成果ならさっき見せたろう? 俺はもともと天啓なんて持ってねえ」
「じゃああの炎って……?」
「あれはバレアが作った天啓だぞ、リア。人工天啓とでもいえばいいか」
そこまで研究が進んでいるのか。
じゃあ、あとはキール様から天啓を取り上げれば……。
「ただな、人に天啓を与えることはできても消すことが出来ねえ。いや、方法は分かってんだが……」
「方法というのは?」
「なんていうか天啓を打ち消す理論自体はもう完成してんだ。結局ありゃ呪いみたいなものだから解呪してやればいい」
キール様もチェリエの天啓を呪いと表現していた。
やはり本質はそういうもの、ということなのだろうか。
「では何が問題なんですか?」
「材料が足りないんだ。霊樹の雫ってやつが必要なんだがなぁ、こいつが手に入らん」
「霊樹の雫……」
「場所まで分かっているんだが……歯がゆいもんだ」
場所まで分かっているなら取りに行けばいいのに。
それが出来ない理由って一体なんなんだろう。
と、考えていたらバレアさんがパチンと手を叩いた。
「よし! ここはひとつバカ弟子とメリンダに行ってきてもらうか!」
「おいっ、バレア! 何を言っているんだ」
「だって、あそこは女しか入れない国だぜ?」
「今までに何人送ったと思っているんだ? 誰一人帰って来ないじゃないか。そんなところにリアを——」
「行きますっ!」
私は思わずキール様を遮って宣言してしまった。
「だってそれがあればキール様が望んでいるように私と同じ時間を歩めるようになるんですよね?」
「リア……それはそうかもしれないが……」
それに、チェリエにかけられたあの呪いのような天啓だって消してあげられる。
もしかしたら私のこの天啓はそのために貰ったんじゃないか、ってなぜかそう思えた。
だから私は——。
城に入ると、ペタペタという元気な足音が聞こえてきた。
その横には好々爺然としたシュバルトさんが控えている。
「良かった。チェリエ、無事だったのね!」
「リアせんせーとメリンダっ! と、あとキールと知らないおっじさーん」
「知らないおじさんって……おい、またあれが起きたのか?」
「ああ、ついこの間な」
「そうか……。もし本当に女神ってやつがいんなら相当に性格悪いぜ。なんとかしてやりてぇな」
バレアさんは、渋い顔をしてからため息を吐いた。
「シュバルトもチェリエの護衛ご苦労」
「いえ、私は何もしておりません。むしろ城を壊されても手を出せないのは、些か大変でしたが。ところで戦場のほうはどうなりましたか?」
「あちらもリアのお陰で大勝だ。そのうちメルクリアから和睦の使者が来るだろう」
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ミザリィが処刑されれば溜飲が下がるかといえば……正直良くわからない。
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それまでは恐怖とか怒りとか色々あったのに、なんかそれどころじゃなくなっちゃった。
結局メリンダも死ななかったし、私も壁の花をやめた。
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次話で終わります。
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