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諜報員見習いアウル達の場合。

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「ホント、ヒドい」
「ミカのバーカバーカ」
「だって、君達二人が珍しく揃って不機嫌だったから、その理由を聞いた…らっ、ハハハハハハ…」

「「また笑ってるー!」」

「アハハハハハっ…よりにもよって、セラミレアの花畑娘と、クリストファーの顔だけバカ四男っ!ホント、お気の毒様だねっ!?それで、どうしたの?君らは」
「うわ、腹立つ」
「殴っていい?」
「ヤだよ。やめてよ?グラジオラスの君らに殴られると怪我しちゃいそうだし」

「「大丈夫。手加減はするから」」

「怪我をしない程度に、程よく痛く」
「痛みが長引くように、殴ってあげる」
「えー、そっちの方がヤだよ。それより、謝るから機嫌直してよ?早く続き、教えてよ。ね?」
「仕方ないな・・・」
「普通に、人違いでした。で、さっさとその場を立ち去ったに決まってるでしょ。絡むメリットなんか皆無なんだからさ」
「以下同文。けど、これでしばらくはジャック・スミスとハンナ・ジェーファーソンの名前と姿が使えないよ。目立ったじゃないかっ、全くもうっ!」
「ああ、それで怒ってたんだ?」

 クスリと笑う少年に、

「「っていうかさ、ミカ…いや、ミカエル・グラノワール公爵令息」」

 すっと冷える双子のユニゾン。そして、

「確認するけど、君の嫌がらせじゃないよね?」

 交互に問い質す。

「わたし達へ喧嘩を売ったのはさ?」
「うん。誓って、僕じゃないよ。多分、兄上の奥方の家じゃないかな?ごめんね。僕も、そこまでの情報はさすがに把握できなかった」

 穏やかに双子を見詰めるミカエル・グラノワールは、グラノワール公爵家の三男。
 長男次男の上の二人とは十歳以上も年が離れており、アウル達双子とは一応同級生・・・に当たる。

 そして、グラジオラスとグラノワール公爵とのやり取りの、橋渡し役の一人でもある。

「それなら、別にいいけど」
「仕方ないから許してあげよう」
「けど、ミカ。わたし達への、こういう軽い嫌がらせ程度ならかく
「グラジオラス全体へ喧嘩を売るというなら、その奥方の実家に容赦はしないよ?」
「うん。父上に伝えておくよ」
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