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グラジオラス城砦城代様へ。
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そして、更にもう一枚。
『PS.姫ってば相変わらず甘・過・ぎ♥️
うちに喧嘩売って来たの、王立騎士団の上層部だっけ? 表出歩けなくなるくらい、もっと徹底的にイジメちゃえばいいのにさ~?
今からでもボクがやろうか?
返事が無い場合はOKと見做しまーす♪』
「・・・あんの、空けがっ!!!」
姫は、ぐしゃりと手紙を握り潰すと、怒りを籠めて執務机へと叩き衝けた。
そして、道化が動く前に手を打とうと考え・・・
ふと、机に叩き衝けた手紙の裏に、なにか書かれていることに気が付いた。
『な~んてねっ☆
もう軽いイ・タ・ズ・ラ♥️
仕掛けちゃったっ☆
楽しかったゼ!
クマちゃんも大きくなったねー♪
それじゃー姫、アデュー♪』
「チッ・・・相変わらず巫山戯た奴だ」
既に動いてから手紙を寄越したのだろう道化の、ほくそ笑む顔が目に浮かび、姫は舌打ちする。
そして、執務机の上に置いてある普段使いの呼び鈴ではなく、中に仕舞ってあった音の違う呼び鈴を取り出して鳴らす。
「はいはーい、お呼びですか姫ー」
すぐさま執務室へ入って来たのはヴァルク。
「・・・別に君を呼んだワケではないのだがな?」
「あれー? 姫様不機嫌ですー? 珍しー。でもでもー、呼んだのは梟ですよねー? 俺も一応梟ですしー」
「君は、元梟だろう? ヴァルク。私が呼んだのは現役梟だ。君はお呼びでない」
「えー、姫様のいけずー」
ヴァルクが現役で梟をしていたのは、諸国漫遊城見学の旅をしていたときのこと。今は梟ではない。
「ロディウスを呼べ」
「わーお、なんか大事の予感ですねー」
へらへらと笑いながら、ヴァルクが部屋を出て行き、数分後。ドアがノックされた。
「入れ」
「失礼します。どうされましたか?姫様」
静かに執務室へ入って来たのは、中肉中背で目立たない印象の男。
「中央で道化が動いた。調べろ」
「あ~・・・道化様ですか・・・」
ロディウスは、執務机に乗ったシワシワの手紙をチラリと一瞥し、一瞬遠い目をして、
「直ちに」
姫へ一礼して部屋を出て行った。
「・・・あまり大事になってなければいいが・・・まあ、既に遅きに失しているが・・・」
そして姫は、一人溜め息を吐いた。
「そろそろ交代、か・・・」
交代予定の八年程前から準備はしていたが・・・いざ交代となる直前でこのようなことをされると、非常に心配になってしまう。
「というか、あと二年程で賢者と城代を交代予定なのだが・・・道化へ二年も任せて良いものか・・・」
とりあえず、道化の甘言には乗るなと、グラジオラス城塞及び爵位持ちの者達へ通達しなくてはいけない。
大変迷惑なことに、道化は無駄に波風を立てることをとても好むのだ。
「全く・・・」
__________
前章のクラウンとは、道化のことでした。
悪ノリ悪巫山戯が大好きな奴です。
『PS.姫ってば相変わらず甘・過・ぎ♥️
うちに喧嘩売って来たの、王立騎士団の上層部だっけ? 表出歩けなくなるくらい、もっと徹底的にイジメちゃえばいいのにさ~?
今からでもボクがやろうか?
返事が無い場合はOKと見做しまーす♪』
「・・・あんの、空けがっ!!!」
姫は、ぐしゃりと手紙を握り潰すと、怒りを籠めて執務机へと叩き衝けた。
そして、道化が動く前に手を打とうと考え・・・
ふと、机に叩き衝けた手紙の裏に、なにか書かれていることに気が付いた。
『な~んてねっ☆
もう軽いイ・タ・ズ・ラ♥️
仕掛けちゃったっ☆
楽しかったゼ!
クマちゃんも大きくなったねー♪
それじゃー姫、アデュー♪』
「チッ・・・相変わらず巫山戯た奴だ」
既に動いてから手紙を寄越したのだろう道化の、ほくそ笑む顔が目に浮かび、姫は舌打ちする。
そして、執務机の上に置いてある普段使いの呼び鈴ではなく、中に仕舞ってあった音の違う呼び鈴を取り出して鳴らす。
「はいはーい、お呼びですか姫ー」
すぐさま執務室へ入って来たのはヴァルク。
「・・・別に君を呼んだワケではないのだがな?」
「あれー? 姫様不機嫌ですー? 珍しー。でもでもー、呼んだのは梟ですよねー? 俺も一応梟ですしー」
「君は、元梟だろう? ヴァルク。私が呼んだのは現役梟だ。君はお呼びでない」
「えー、姫様のいけずー」
ヴァルクが現役で梟をしていたのは、諸国漫遊城見学の旅をしていたときのこと。今は梟ではない。
「ロディウスを呼べ」
「わーお、なんか大事の予感ですねー」
へらへらと笑いながら、ヴァルクが部屋を出て行き、数分後。ドアがノックされた。
「入れ」
「失礼します。どうされましたか?姫様」
静かに執務室へ入って来たのは、中肉中背で目立たない印象の男。
「中央で道化が動いた。調べろ」
「あ~・・・道化様ですか・・・」
ロディウスは、執務机に乗ったシワシワの手紙をチラリと一瞥し、一瞬遠い目をして、
「直ちに」
姫へ一礼して部屋を出て行った。
「・・・あまり大事になってなければいいが・・・まあ、既に遅きに失しているが・・・」
そして姫は、一人溜め息を吐いた。
「そろそろ交代、か・・・」
交代予定の八年程前から準備はしていたが・・・いざ交代となる直前でこのようなことをされると、非常に心配になってしまう。
「というか、あと二年程で賢者と城代を交代予定なのだが・・・道化へ二年も任せて良いものか・・・」
とりあえず、道化の甘言には乗るなと、グラジオラス城塞及び爵位持ちの者達へ通達しなくてはいけない。
大変迷惑なことに、道化は無駄に波風を立てることをとても好むのだ。
「全く・・・」
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前章のクラウンとは、道化のことでした。
悪ノリ悪巫山戯が大好きな奴です。
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