上 下
71 / 161
外交官マーノの場合。

しおりを挟む
『マーノちゃんへ。

 ごめんねー?

 君に不快な思いさせちゃうかも・・・

 その場合は君の好きに処理してOKさ!

 ボクが許可しちゃう♥️
 責任もちゃ~んと取ってあげるからねっ!
 姫にも文句は言わせないゼ!
 だから安心したまえっ☆

 PS.君が元気そうで安心したよ。

 そして、面白く育ってて嬉しいなっ♪

 ベティちゃんと仲良しさんなのかにゃー?
 仲良きことは麗しきかな♥️

 ロッドも元気そうだねっ☆

 それじゃ、アデュー☆

 道化より。』

 数日前にこの手紙が回されて来て、王都で騒ぎあった。そのときから、マーノは覚悟していた。

「ありがとうございます。道化様・・・」

※※※※※※※※※※※※※※※

 フェルヴィ商会は六代続く老舗商会で、なかなかの富豪。三十年程前に男爵位を賜った。

 マグノリアは、その五代目当主で男爵位を授与したグレイワーズ・フェルヴィの娘として生まれた。

 マグノリアの母は産後の肥立ちが悪く、マグノリアを生んでから数年後に他界。

 グレイワーズ氏は、一人娘のマグノリアを大層可愛がり・・・計算、法律、外国語、経営学、交渉術などなど商売のいろはを幼い頃から叩き込んだ。

 爵位と商会を継がせる自分の跡取りとして、女だからと手を抜くことは一切無く。
 男爵の地位と商会の財産を狙う者は多い。そんな連中へ、家や商会を乗っ取られることがないよう、マグノリアが自分で舵取りができるように、と。

 そんなマグノリアは父の期待に応え、めきめきと学習し、才媛と呼ばれる程に成長した。

 特に法律関係に強く、他国の法律も勉強して、その智識は父が舌を巻く程。
 外国へ買い付けに行くときには、父よりもマグノリアの方が取り引き先の契約に詳しくなり、「これでフェルヴィ家も安泰だ」と笑っていた。

 このときのマグノリアは、幸せに暮らしていた。

 とても幸せ、だった・・・
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,405pt お気に入り:4,027

万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,633pt お気に入り:3,455

婚約者を追いかけるのはやめました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:120pt お気に入り:5,423

腹黒上司が実は激甘だった件について。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:418pt お気に入り:139

陽のあたる場所【加筆訂正中】

BL / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:380

悪役令嬢の嫁、貰ってしまいました!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:147

処理中です...