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婚約者は一人娘なのに後継に選ばれない、不出来な娘なのだと解釈した。
【だって、『恥ずかしい』のでしょう?】と、
【なにを言う。『恥ずかしい』のだろう?】の続編。元婚約者視点の話です。
一応前の話を読んでなくても大丈夫……に、したつもりです。わからなかったら、上の月白ヤトヒコのリンクから飛べるので、興味があったら読んでやってください。
――――――――
俺には、婚約者がいた。
俺の家は傍系ではあるが、王族の流れを汲むもの。
王族の一員として恥ずかしくないようにと育てられ、俺も相応しくあれるようにと頑張って来た。そうやって生きて来て、十歳になる前に婚約が決められた。相手は、現王室の決めた家の娘だそうだ。
婚約が決まってから、両家で挨拶をしたのだが――――
相手は一人娘だというのに、俺の家に嫁入りするという。不思議に思ったので、それを尋ねてみた。すると、
「娘は、跡取りにできません。貴家への嫁入りが決められたので、親族から養子を取って後継に据えます」
どこか冷ややかな相手方の両親。娘……俺の婚約者になる令嬢は、うっすらと張り付けたような笑みを浮かべていた。
なぜか慌てた両親に黙っているよう言われ、居心地悪く初対面の挨拶が終わった。
それから、婚約者は一人娘なのに後継に選ばれない、不出来な娘なのだと解釈した。そして、そんな不出来な娘を俺の婚約者にした王室に腹が立った。
顔を見る度に、なぜこんな女が俺の婚約者なんだ……と思いつつ、一応婚約者なのだからとそれなりの対応をしてやっていた。それからしばらくして、婚約者の家の後継にするためと義弟ができたという。
将来も婚約者の家と繋がりを保つためにと、婚約者の義弟となった奴と仲良くしろと親に言い付けられた。なよなよした少し気の弱い奴だったが、噂によると強引に養子にされたらしい。
あの、俺に冷ややかな視線を向けた……婚約者の両親に引き取られたことに、同情する。
学園に入学して、俺はそこで彼女と出逢った。つい最近、貴族に引き取られたばかりだという元平民の令嬢。
元平民だからか、婚約者とは全然違う無邪気な笑顔。気安い態度で、けれど優しい言葉で俺を労ってくれた。そんな彼女に好意を抱いたのは、俺だけではなかったようで……今は友人だが、いずれ俺の側近になる予定の二人も彼女に好意を抱いているらしい。そして、婚約者の義弟も。
元平民である彼女のことが気に食わない連中が、彼女に嫌がらせをしたり陰口を言ったり、偶に面と向かってイヤミを言うことがある。
彼女は、それに傷付きながらも健気に耐えていた。そんな様子が、いじらしくて……彼女を守ってやらねば、と強く決意した。
そんな俺達のことを――――婚約者は、いつからか彼女の父親が俺を見ていたように冷ややかな視線を向けて来るようになっていた。それがまた腹立たしい。後継になれない程に不出来な女のクセに! と。
ある日のこと。
偶々廊下を歩いて擦れ違っただけの彼女に、婚約者がなにかをしたらしい。
「貴様! 彼女になにかすることは許さんぞ!」
可哀想に……震えている彼女を抱き寄せて庇うと、
「全く……彼女を脅して彼の愛が手に入るとでも? そのような浅ましい心をしているから、余計に彼に嫌われるというのに。そんなことも判らないのですか?」
一緒にいた友人が婚約者に軽蔑を露わにして言った。
全くその通りだ。醜い嫉妬をしたところで、俺が婚約者のことを好きになることなどないというのに……そう思っていると、婚約者は冷たい視線を向けて俺達に言った。
「いえ、そもそも彼とは単なる政略の婚約者ですので。羽目を外さなければ、如何様にして頂いても結構です。どこぞの女性に複数で侍っていようが、個人資産でどれだけ貢いでいようが、特に興味はありません。但し、公費や交際費を流用しているのであれば、横領を疑われますわね」
「お、横領っ!? そ、そんなことはしていないっ!?」
だ、大丈夫だ。少しドキッとしたが、婚約者への費用は……まだ、俺の個人予算で補填できる範囲だ。後で戻しておけばいいだけだ。
「それと、過度な身体接触は困りますわ。変な病気でも移されては堪りませんもの」
「な、な、なにを言っているんだっ!?」
「口付けでも、病気は移りますもの。無論、それ以上の行為なら尚更。常識でしょう?」
女のクセになんてとんでもないことを言うのだと二の句が継げないでいると、
「彼女を侮辱するなっ!?」
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