35 / 55
しかーしっ、わしはこんなことくらいじゃ聖剣と魔剣を諦めないのじゃ!
しおりを挟む「くっ……世話になったのは事実だが、たかがチョコや飴だろ!」
「なんてこと言うんじゃっ!? 言うておくがの、その聖剣と魔剣は最高級品の砂糖と、カカオ九十九%のチョコレートという、とんでもない値段の材料費がキロ単位で掛かっておるのじゃぞっ!? 普通に、そこらの二流の剣など束で買えるわ!」
「はあっ!?」
驚愕の表情で砕け散った『レイズ・クリスタル』キャンディーを見下ろすトマス。
なんせ、ジークハルトがブラウニーを催促がてらに寄越した、国内……いや、世界でも随一の製菓材料をちょいと流用して作った逸品じゃ。
「貴様に損害賠償を請求するでな! 普通に金貨が何枚も吹っ飛ぶでの、楽しみに待っておれ!」
「そんなに高いのかよっ!?」
「当然じゃ。王族が外国から輸入させた最高級品の製菓材料じゃぞ! あと、『ビター・スクリーム』チョコレートは返してもらうからの!」
ふん、と鼻を鳴らし、トマスから無事じゃった魔剣『ビター・スクリーム』チョコレートを奪い返す。と、
「なんじゃー、犯人はやはりトマス殿であったかのー」
やれやれと言うような声がした。
「グレゴリーよ、すまぬ。魔剣は無事じゃったが、聖剣は・・・」
「あ~あ、仕方ないのー。つか、聖騎士のトマス殿を以てしても飴だとは見抜けぬ程、聖剣であった『レイズ・クリスタル』凄くね?」
「……ふむ。確かに。つか、むしろ聖騎士が飴と剣を間違う方が恥ずかしくないかのー?」
「飴なら普通、握ったときにべたべたするもんだろ! あと、甘い匂いとか全然してなかったぞ!」
「うん? おー、そーじゃそーじゃ。シス殿が、聖剣と魔剣の保護のために神聖結界を張っておったからのー。それでじゃね?」
「ああ、鞘代わりに剣に纏わせておったでのう。それで、アホアホトマスが握っても直ぐには溶けなかったんのかの?」
「……なんて無駄にハイレベルな技術で心血を、お菓子へ注ぎ込んでいるのでしょうか……」
と、心底疲れたような、呆れ混じりのクレメンスの呟きが落ちた。
こうして、美しい聖剣レイズ・クリスタル(べっこう飴)と麗しい魔剣ビター・スクリーム(ビターチョコレート)の盗難事件は、聖騎士が犯人。しかも、聖剣(飴)を砕くという、騎士にあるまじき脳筋トマスの蛮行で幕を閉じたのじゃった。
それからわしは、数日間筋肉痛で苦しんだ。
全身が痛く、熱を持ってマジ大変じゃった。
この年で身体強化を掛けた全力疾走なんぞ、するもんじゃないと心底実感したわ。
あと、なぜかクレメンスの視線がめっちゃ冷たかったのじゃ。酷い・・・
聖剣『レイズ・クリスタル』キャンディーは林で砕けたあと、精霊達に欠片すらも残さず、全て美味しく頂かれてしまったのじゃ。めっちゃ喜んで、食われてしもうたわい。
はぁ……本当に散々な目に遭ったのじゃ! あの卑しい脳筋トマスのせいでの!
ちなみに、魔剣『ビター・スクリーム』は無事じゃ。
まあ、チョコレートは賞味期限が長いからのぅ。それに、強度を維持するためにカカオ成分九十九%というとんでもなく苦いチョコレートじゃからの。
グレゴリーに言わせると、そこまでカカオが高濃度なチョコレートはもうほぼ薬なのだそうじゃ。口に入れると思わず、「苦っ!?」と言うてしまうことから苦悶の悲鳴と名付けたのじゃ。
とりあえずは、もっと研究して安価にすることが目標じゃの。
そして、魔剣は苦みの緩和じゃのう。砂糖を沢山入れても、強度が出るが……それはそれで健康にはあまり良くないのじゃ。難しい兼ね合いじゃのぅ。
しかーしっ、わしはこんなことくらいじゃ聖剣と魔剣を諦めないのじゃ!
いつしか、わしとグレゴリーの作った聖剣(飴)と魔剣|(チョコレート)で子供達に勇者と魔王ごっこをさせてあげるのじゃ!
アホアホトマスから損害賠償として、金貨を数十枚ふんだくってやったからの。第二段の材料費はこれで確保できたのじゃ!
早速材料のお取り寄せじゃ♪
♩*。♫.°♪*。♬꙳♩*。♫
実はこんな感じで、無駄にちょーハイレベルな技術と魔術とでべっこう飴とチョコレートで剣を作っていました。(*ノω・*)テヘ
チョコレートは温度管理がめっちゃシビアなので、錬金術や薬作りの得意なグレゴリーが魔剣を制作担当。
表面を鏡のようにしたのは、ザッハトルテ(濃厚なチョコケーキ)にするみたいな艶々チョコのコーティング。本場ドイツやオーストリアでは、高級なザッサトルテは真っ黒い鏡のような表面をしているそうです。
ロマ爺は精霊召喚で温度、湿度管理の補助をしつつ、べっこう飴を制作担当。
デカいべっこう飴とチョコなのに気泡やすが全く入らないよう、水と地、火の上位精霊を扱き使いました。(((*≧艸≦)ププッ
実物大の剣を模しているので、数キロの重量のべっこう飴とカカオ99%な艶々コーティングされたビターチョコ。普通に全部食おうと思ったら身体壊します。(*`艸´)
グレゴリーとロマ爺は、チョコや飴の結晶構造に魔術を仕込んだりなどの発見をしているので、実はなにげに大発明だったりします。
水晶や天然石、ガラスなどに魔術を籠めたり刻んだりすることは割とよくされていましたが、回復や治癒、解毒、解呪などの魔力を籠め、一旦取り出して使用する……よりは、食べちゃえばすぐ体内に作用するお菓子の方が魔力のロスが少なくて効率が良いという感じでしょうか。あと、食べれば効くのでめっちゃシンプルで判り易い。薬感覚で使えます。ꉂ(ˊᗜˋ*)
精霊『ああっ!? にぃにとねぇねたちのちからとロマンシスのまりょくのこもったあめ、こわしたっ!?』Σ(*゜Д゜*)
『はやいものがちー!』ε=(ノ≧▽≦)ツ
『きゃーっ!?』♪o((〃∇〃o))((o〃∇〃))o♪
『うまうま~♡』゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜
『ちょこれーともおいしそう……』(*´﹃`*)ジュルリ…
書いてる奴は眼痛&片頭痛持ちなのですが、ちょっと目の調子が悪いので、次の話は書けたら更新になります。(´-ω-)人
164
あなたにおすすめの小説
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
『これも「ざまぁ」というのかな?』完結 - どうぞ「ざまぁ」を続けてくださいな・他
こうやさい
ファンタジー
短い話を投稿するのが推奨されないということで、既存のものに足して投稿することにしました。
タイトルの固定部分は『どうぞ「ざまぁ」を続けてくださいな・他』となります。
タイトルやあらすじのみ更新されている場合がありますが、本文は近いうちに予約投稿されるはずです。
逆にタイトルの変更等が遅れる場合もあります。
こちらは現状
・追放要素っぽいものは一応あり
・当人は満喫している
類いのシロモノを主に足していくつもりの短編集ですが次があるかは謎です。
各話タイトル横の[]内は投稿時に共通でない本来はタグに入れるのものや簡単な補足となります。主観ですし、必ず付けるとは限りません。些細な事に付いているかと思えば大きなことを付け忘れたりもします。どちらかといえば注意するため要素です。期待していると肩透かしを食う可能性が高いです。
あらすじやもう少し細かい注意書き等は公開30分後から『ぐだぐだ。(他称)』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/628331665/878859379)で投稿されている可能性があります。よろしければどうぞ。
URL of this novel:https://www.alphapolis.co.jp/novel/628331665/750518948
【完結】徒花の王妃
つくも茄子
ファンタジー
その日、王妃は王都を去った。
何故か勝手についてきた宰相と共に。今は亡き、王国の最後の王女。そして今また滅びゆく国の最後の王妃となった彼女の胸の内は誰にも分からない。亡命した先で名前と身分を変えたテレジア王女。テレサとなった彼女を知る数少ない宰相。国のために生きた王妃の物語が今始まる。
「婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?」の王妃の物語。単体で読めます。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
断罪イベントの夢を見たから、逆ざまあしてみた
七地潮
ファンタジー
学園のパーティーで、断罪されている夢を見たので、登場人物になりきって【ざまぁ】してみた、よくあるお話。
真剣に考えたら負けです。
ノリと勢いで読んでください。
独自の世界観で、ゆるふわもなにもない設定です。
なろう様でもアップしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる