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ものしりなわれらは、しってるのだ。ひとのこがすこやかにせいちょうするのに、おかしがかかせぬことを……
しおりを挟む『ふっ、いいか。チビ共。この欠食娘の憐れさは、かなりのものだぞ。聞くも涙、語るも涙な話だ。よーく聞け。この欠食娘はな……』
『けっしょくむすめは?』
『むすめはー?』
『なーに?』
『この年になるまで、菓子を殆ど食べたことが無い!』
「は?」
なにを言い出すかと思えば。そんなことと、若干呆れていると……
『うっ、うぅ……なんて、あわれな……』
『か、かわいそすぎるっ!』
『じんせい、なにをたのしみにいきればいいの~っ!?』
なんか、丸い玉が激しく明滅して子供の泣き声っぽい声が響く。
「え? ええっ!? そんなにっ!? つか、マジで泣いてるのっ!?」
『う、ひっく……ものしりなわれらは、しってるのだ。ひとのこがすこやかにせいちょうするのに、おかしがかかせぬことを……』
「えー……そう、なの?」
わたし、孤児だからあんまり一般家庭のことは知らないんだよね。
『そうなのだ! おかしをたべたことのないひとのこは、おそらへかえることがおおい。よって、われらは……おかしには、ひとのこのすこやかなせいちょうにかかせぬ、なんかすっごくすごいえいようそや、しゅくふくがこめられているとけつろんづけた!』
ぴかぴかと、明滅しながらの力強い断言。
「へー……」
まあ、お菓子には大抵、小さくとも祝福が籠められているのは確かだ。相手を害そうと考えてでも作っていない限り、手作りのお菓子には『誰かに美味しく食べてほしい』という願いが籠められているものだから。商品のお菓子でも、義務で作られたものでも、食べる相手が憎い相手でもない限りは、微細な祝福の味がする。
あ、そういう意味では……祝福は、ある種の幸運を与えるものと言える。先程から、丸い玉が言うお空へ帰る、は……還る、の方かな? は、天へ還るという意味なのだろう。
そう考えると、食事ができない子は死に直結するし。微細でも祝福の積み重ねを受けられない……お菓子などを食べられる余裕が無い子は、死ぬ確率が高くなるということ……かな?
まあ、食事の他にお菓子が食べられる余裕のある子が……食べさせてくれる誰かに庇護されているような子が、生き残る確率が高いのは当然のこと。
少々曲解が過ぎるけど、このぽわぽわ光る丸い玉達の言ってることは間違っていない。
「なあ、おい。娘っ子。さっきから、なに一人で喋ってんだ?」
低い嗄れ声が割り込んだ。
「え? あー、なんか知り合いの風の精霊と……その知り合い? が、偶々こっち来てたみたいで。なんか、わたしに話し掛けて来るもので」
『あ、とます。われらのこえ、きこえないんだった』
『ま、基本精霊術師に増幅召喚でもされない限り、魔力の弱い人間に精霊は認識できねぇからな!』
「そうか……お前、精霊の姿が見えて声が聞こえるんだな」
「? そうみたいですね」
前いたとこじゃ……風の兄貴は兎も角、ぽわぽわ光る丸い玉なんて見たことないけど。
「お前、精霊術師か? それとも……」
『うん? この欠食娘は、神罰竜が微睡む地の聖女だぞ』
「いいえ違います! わたし聖女じゃありませんから!」
『お、なんだ? とうとう辞めたのか?』
風の兄貴の問い掛けにコクコクと頷く。
そう、幼少期に孤児として治癒能力の高さで商売しようと思ったら、どこぞから現れたヒトに神殿に連れて行かれ、いつの間にか聖女という名誉職に無理矢理就けられて、かなり酷い待遇で馬車馬の如く働かされた。
劣悪な環境、粗末な食事。なんなら、その粗末な食事すら神官共の機嫌如何で抜かれるというクソみたいな劣悪さ! 更には、新しい聖女候補が現れたから? わたしの役職を解任して? けれど、新しい聖女は力を使いこなせないから、代わりに働け? 挙げ句、新しい聖女に嫉妬して、聖女の仕事を邪魔した? とか、意味不明な言い掛かりを付けて、使い潰されて擦り減ったわたしを処刑する?
という天啓を受けたので……そんな国でやってられっかよっ!! と、新しい聖女に全~部丸投げして、セルフ追放で国をほっぽって出て来た。あとは知らん!
『折角、あ~んなことにならないように! って、俺が最悪の未来視せてあげて、栄養失調治してあげたのに。聖女ちゃんさっさと国出てくんだもんなー』
――――――――
どこぞの国でセルフ追放して出奔した不憫な子視点。予測付いてた方はいると思いますが……『新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!』の聖女ちゃん。(*ノω・*)テヘ
下位精霊達は、なにげに自己肯定感つよつよ。割と精神的に無敵な幼児な感じ。(*>∀<*)
風の精霊『ふっ、いいか。チビ共。この欠食娘の憐れさは、かなりのものだぞ。聞くも涙、語るも涙な話だ。よーく聞け。この欠食娘はな……』( ・`д・´)
微精霊『けっしょくむすめは?』(੭ ᐕ))?
『むすめはー?』(´・ω・`)?
『なーに?』( ・∀・)
風の精霊『この年になるまで、菓子を殆ど食べたことが無い!』(*`▽´*)
微精霊『うっ、うぅ……なんて、あわれな……』(つд;*)
『か、かわいそすぎるっ!』( TДT)
『じんせい、なにをたのしみにいきればいいの~っ!?』。゜(゜´Д`゜)゜。
元聖女「え? ええっ!? そんなにっ!? つか、マジで泣いてるのっ!?」Σ(O_O;)
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