81 / 179
ヴァンパイア編。
74.天気が荒れそうだ。
しおりを挟む
先程、スティング達の戦闘地点で爆発と強い魔力の放出があった。
スティング。クレア。レオンハルト。
彼らが無事であることを祈りたい。
そして、準備を進める。
奴を、屠る為の準備を。
※※※※※※※※※※※※※※※
移動する為に飛んだけど・・・
なんだか、空模様が不穏だ。
分厚い雲が空を覆って来ている。
生ぬるい風と冷たい風とが渦巻く空気。
天気が荒れそうだ。
まあ、天気が荒れたとしても、雲の上を飛んで行けば問題無いんだけどね。
雲の上は晴れてるし。
問題は・・・
さっきの戦闘の影響かどうか、だ。
意識が飛んだから、どの程度まで影響を及ぼしたのか把握ができてない。
とりあえず、炎を出さなかった僕は偉いと思う。炎を出していたら・・・軽く焦土を作っていただろうからね。そんなことをしたら、アークに嫌われちゃうかもしれない。
「はぁ…アーク…」
どこにいるのかな?
まあ、この辺りにいないのは判ってるけど。
狼共め・・・
「それにしても・・・」
なんかこう、身体の中に違和感がある。
あの弾けた弾丸、あれがまだ身体の中に入って・・・いや、出てないのかな?
「取り出すの、面倒だな・・・」
自分で自分の身体開いて掻き回すとか・・・再生力が高いと、身体に異物が入ったときに面倒だ。
身体の中に手を突っ込んで、取り出せるまで『それ』を探して身体を自分で、ぐちゃぐちゃと掻き混ぜる。あれって相当痛いし、心底気持ち悪いんだ…
異物が小さければ、位置を特定して血液操作で出せないこともないけど・・・どっちみち、身体に穴を空けないといけない。
痛いことに変わりないし。
しかも、頭とか・・・厭過ぎる。
想像するだけで、ぞっとする。
なんかもう・・・色々と憂鬱だ。
本当に、今回は調子が悪い。
運も悪い気がする。
悪いことが重なるというか・・・
起きてから、ときどき胸が痛む。
身体に問題は無い筈なのに・・・原因不明だ。
幻痛か? それもなにか違う気がする。
昔の、ふとしたことが思い浮かぶ。
混血のガキとか・・・
攻撃に切れがないような気がする。
道に迷うし、どこに行きたいかわからない。
ぼんやりするし、モヤモヤする。
とっさのときの判断力の低下。
やる気が起きない。無論、アーク探しは別で。
基本的に食事の必要が無いのに、喉が渇く。
更には、ルージュエリアルに出会すし。
運が悪いのもあるけど・・・
もしかしたら、アレかもしれない・・・
突然の動悸や目眩。
認知力、判断力の低下・・・
食事の必要が無いのに食事をせびるようになる。
そのうち、自分がなにをしているのかもわからなくなって、徘徊するという・・・
老化現象に、僕は直面しているというのか?
僕は、老いているのか?
なんか、へこむ・・・
昔の、元仲間だった奴が老いて逝ったのを見たことがある。僕を殺そうと躍起になっていたクセに、歳を経って行くごとに耄碌して、僕が誰かも、自分がなにであったのかさえも忘れて、段々と動かなくなって風化して、やがて大地と一体になったモノ。
そんな奴を、思い出す。
僕も、いつかはあんな風になるのだろうか?
早く安全な場所探そう。
そして・・・もう、寝ようかな。
今回は、ダメージを負い過ぎた。
なんか、一番のダメージは老化疑惑・・・
精神的に、一番キた・・・
そんなことを考えていたとき。
カッ!! と、空に走った閃光を、当たる前に炎で流す。炎は、電気を通すからね。遅れて轟音が鳴り響き、ビリビリと大気が震える。
「雷・・・ホント、嫌な奴だな。君は」
振り返ると、
「手前ぇ程じゃねぇ。糞爺」
背中に翼膜を生やした銀色の髪、銀灰色の瞳の男が、敵意の籠った低い声で言う。
「ローレル・・・」
ここ千年程の付き合いになる・・・僕を殺そうとする、僕の子孫。
まあ、僕もコイツを殺そうとしているからね。互いに互いを目障りだと思っている…敵だ。
「くたばれ」
バヂィィッッ!! と、電撃を纏ったナイフが空中に数十本現れ、僕へと飛んで来た。
それを、避ける。と、やっぱり簡単には行かない。案の定、追尾して来た。
叩き落として…も、無駄だな。
よく見ると、ナイフに深紅の石が付いている。
ローレルの血だろうな。
アイツの血、乗っ取るのが面倒なんだ。
何度もやり合っているうちに、生意気にも僕の操血に抵抗できるようになりやがった。
飛んで来るナイフを避けて高速で飛んでいると、雷がゴロゴロと僕を狙う。
それを炎で散らし、ついでに業火でナイフを蒸発させる。溶かすだけじゃ、まだ向かって来るかもしれないから。ナイフを減らして行くことにする。が、蒸発させて減らして行くも、ナイフが追加されてなかなか減らない。
バリバリ、バチバチ、ゴロゴロと・・・
雷の刺すような閃光と轟音とで、目と耳が痛い。
耳が馬鹿になっている。
鼓膜が破れては再生する痛み。
何度も何度も、鬱陶しい。
炎の熱と、上空の冷気との気温差で対流が激しくなって、益々雲が活性化する。
そして、ローレルの武器が増えて行くワケだ。かといって、防がないワケにはいかない。
雷は、当たると痛いんだ。直撃すると血液が沸騰して、筋肉や内臓が焼ける。
僕でも、ダメージを食らう。
炎で散らして、なんとか直撃は避けているけど…実は少しビリビリと感電している。
炎は、電気を通すんだ・・・
腕がビクビクと痙攣している。痛い。
場所が悪い。
上空では、ローレルの方が有利だ。
スティング。クレア。レオンハルト。
彼らが無事であることを祈りたい。
そして、準備を進める。
奴を、屠る為の準備を。
※※※※※※※※※※※※※※※
移動する為に飛んだけど・・・
なんだか、空模様が不穏だ。
分厚い雲が空を覆って来ている。
生ぬるい風と冷たい風とが渦巻く空気。
天気が荒れそうだ。
まあ、天気が荒れたとしても、雲の上を飛んで行けば問題無いんだけどね。
雲の上は晴れてるし。
問題は・・・
さっきの戦闘の影響かどうか、だ。
意識が飛んだから、どの程度まで影響を及ぼしたのか把握ができてない。
とりあえず、炎を出さなかった僕は偉いと思う。炎を出していたら・・・軽く焦土を作っていただろうからね。そんなことをしたら、アークに嫌われちゃうかもしれない。
「はぁ…アーク…」
どこにいるのかな?
まあ、この辺りにいないのは判ってるけど。
狼共め・・・
「それにしても・・・」
なんかこう、身体の中に違和感がある。
あの弾けた弾丸、あれがまだ身体の中に入って・・・いや、出てないのかな?
「取り出すの、面倒だな・・・」
自分で自分の身体開いて掻き回すとか・・・再生力が高いと、身体に異物が入ったときに面倒だ。
身体の中に手を突っ込んで、取り出せるまで『それ』を探して身体を自分で、ぐちゃぐちゃと掻き混ぜる。あれって相当痛いし、心底気持ち悪いんだ…
異物が小さければ、位置を特定して血液操作で出せないこともないけど・・・どっちみち、身体に穴を空けないといけない。
痛いことに変わりないし。
しかも、頭とか・・・厭過ぎる。
想像するだけで、ぞっとする。
なんかもう・・・色々と憂鬱だ。
本当に、今回は調子が悪い。
運も悪い気がする。
悪いことが重なるというか・・・
起きてから、ときどき胸が痛む。
身体に問題は無い筈なのに・・・原因不明だ。
幻痛か? それもなにか違う気がする。
昔の、ふとしたことが思い浮かぶ。
混血のガキとか・・・
攻撃に切れがないような気がする。
道に迷うし、どこに行きたいかわからない。
ぼんやりするし、モヤモヤする。
とっさのときの判断力の低下。
やる気が起きない。無論、アーク探しは別で。
基本的に食事の必要が無いのに、喉が渇く。
更には、ルージュエリアルに出会すし。
運が悪いのもあるけど・・・
もしかしたら、アレかもしれない・・・
突然の動悸や目眩。
認知力、判断力の低下・・・
食事の必要が無いのに食事をせびるようになる。
そのうち、自分がなにをしているのかもわからなくなって、徘徊するという・・・
老化現象に、僕は直面しているというのか?
僕は、老いているのか?
なんか、へこむ・・・
昔の、元仲間だった奴が老いて逝ったのを見たことがある。僕を殺そうと躍起になっていたクセに、歳を経って行くごとに耄碌して、僕が誰かも、自分がなにであったのかさえも忘れて、段々と動かなくなって風化して、やがて大地と一体になったモノ。
そんな奴を、思い出す。
僕も、いつかはあんな風になるのだろうか?
早く安全な場所探そう。
そして・・・もう、寝ようかな。
今回は、ダメージを負い過ぎた。
なんか、一番のダメージは老化疑惑・・・
精神的に、一番キた・・・
そんなことを考えていたとき。
カッ!! と、空に走った閃光を、当たる前に炎で流す。炎は、電気を通すからね。遅れて轟音が鳴り響き、ビリビリと大気が震える。
「雷・・・ホント、嫌な奴だな。君は」
振り返ると、
「手前ぇ程じゃねぇ。糞爺」
背中に翼膜を生やした銀色の髪、銀灰色の瞳の男が、敵意の籠った低い声で言う。
「ローレル・・・」
ここ千年程の付き合いになる・・・僕を殺そうとする、僕の子孫。
まあ、僕もコイツを殺そうとしているからね。互いに互いを目障りだと思っている…敵だ。
「くたばれ」
バヂィィッッ!! と、電撃を纏ったナイフが空中に数十本現れ、僕へと飛んで来た。
それを、避ける。と、やっぱり簡単には行かない。案の定、追尾して来た。
叩き落として…も、無駄だな。
よく見ると、ナイフに深紅の石が付いている。
ローレルの血だろうな。
アイツの血、乗っ取るのが面倒なんだ。
何度もやり合っているうちに、生意気にも僕の操血に抵抗できるようになりやがった。
飛んで来るナイフを避けて高速で飛んでいると、雷がゴロゴロと僕を狙う。
それを炎で散らし、ついでに業火でナイフを蒸発させる。溶かすだけじゃ、まだ向かって来るかもしれないから。ナイフを減らして行くことにする。が、蒸発させて減らして行くも、ナイフが追加されてなかなか減らない。
バリバリ、バチバチ、ゴロゴロと・・・
雷の刺すような閃光と轟音とで、目と耳が痛い。
耳が馬鹿になっている。
鼓膜が破れては再生する痛み。
何度も何度も、鬱陶しい。
炎の熱と、上空の冷気との気温差で対流が激しくなって、益々雲が活性化する。
そして、ローレルの武器が増えて行くワケだ。かといって、防がないワケにはいかない。
雷は、当たると痛いんだ。直撃すると血液が沸騰して、筋肉や内臓が焼ける。
僕でも、ダメージを食らう。
炎で散らして、なんとか直撃は避けているけど…実は少しビリビリと感電している。
炎は、電気を通すんだ・・・
腕がビクビクと痙攣している。痛い。
場所が悪い。
上空では、ローレルの方が有利だ。
1
あなたにおすすめの小説
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
【完結】カミに愛されし聖女との婚約を破棄するっ!?
月白ヤトヒコ
ファンタジー
国王である父は敬虔で、神へとよく祈っていることは知っていた。
だが、だからと言ってこの暴挙はどうかしていると言わざるを得ない。
父はある日突然、城へと連れて来た女性をわたしの婚約者へ据えると言い出した。
「彼女は、失われしカミを我が身へと復活せしめるという奇跡を起こせし偉大なる女性だ。公爵とも既に話は付いている。彼女を公爵家の養女とし、お前と婚姻させる。これは、彼女を教会から保護する為に必要な処置だ。異論は認めぬ!」
それまで賢君とは及ばずも暴君ではなかった父の豹変。なにか裏があると思ったわたしは、ぽっと出の神に愛されし聖女とやらを調べ――――
中毒性や依存性の見られると思しき、怪しい薬を作っていることが判明。
わたしは、彼女との婚約を破棄することにした。
という感じの、多分ギャグ。
ゆるゆる設定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる