ヴァンパイアハーフだが、血統に問題アリっ!?

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
137 / 179
ヴァンパイア編。

128.随分と最悪な目覚めもあったものだ。

しおりを挟む
 走った閃光・・・雷、がっ!?

 顔面に突き刺さり、皮膚を焼き、眼球を、血液を沸騰させて蹂躙するっ!!!

「あ゛あ゛あ゛ぁぁァぁあアぁっ!?!?」

 脳髄が焼かれる激痛に、のたうち回る。

 雷、雷、雷・・・

 こっ、の……痛み、はっ!?!?

 早くっ、早く早く、再…生っ、をっ!?

 焼けた脳髄、脳幹、悩の再生・・・

 ・・・・・・・・・
 ・・・・・・
 ・・・

「っ……っ!?!? ・・・・・・は、ぁぁ・・・」

 頭蓋が焼ける激痛と、自分の絶叫とで目を覚ますとは、随分と最悪な目覚めもあったものだ。

 なんか知らないけど、頭と顔面が焼かれたらしい。痛む顔面の再生を急ぐ。

「・・・ああ、クソっ…頭と顔面が痛い」

 掠れた声。その声を聞く耳も遠い。視界も悪い。くらくらと目眩めまいもする。

 火傷は治りが遅いんだ。痛いし、嫌になる。

 なんだっけ?なにがあった?

 僕は・・・?

 確か、ローレルとり合って・・・?

 ああ、記憶が飛んでる。繋がらない。

 次に見たら、絶対殺す。けど・・・

「今は、いつだ? そして、ここは?」

 戻って来た感覚で、辺りを見渡す。

 見覚えの無い場所。

 なにかの会場。

 潮の匂い。そして、一定の揺れと波の音。

 船の中か?なんで僕は、こんな場所にいる?

 そして、僕を警戒するようにナイフを構え、怪我でもしたのか、額を押さえている女がいる。

 その女から、胸糞の悪くなるローレルと、他種族の混ざった匂い。そして、僅かに漂っている、アークの匂い・・・・・・

 もしかして、これ・・のせいか?
 僕は、無意識にこれを追ってここへ・・・?

「ねぇ、君はなに?」

 その女の目の前に移動して、聞く。

「っ!?」

 ひるがえそうとしたナイフを持つ腕を掴んで止める。

「アレク様っ!?」

 叫んだのは、床に座り込む人魚。

 アレク?この女の名前か?

 その顔を隠すのは、額を押さえる手と長いプラチナブロンド。金のような、銀のような淡い色の髪。

「?」

 とても、見覚えのある色彩。そして・・・

「・・・君、混血だよね?」

 ローレルの匂い。混血。淡い月色の髪。女。

「顔を、見せろ」

 額を押さえる手を顔から引き剥がして、下からその顔を覗き込んだ。

「っ!?」

 あらわになったのは、翡翠・・に浮かぶ銀の瞳孔。

「・・・え? なん、で・・・?」

 僕は、これ・・色違い・・・を知っている。

 に浮かぶ銀の瞳孔。

 僕は、この顔・・・を知っている。

 幼いながらも、挑むように僕を見上げた顔。

 僕は、この匂いを知っている。

 道理で、アークの匂いがするワケだ。

 だってこれ・・は、昔アークが血を与えた・・・・・・・・・混血のガキなんだから。
 そしてその後、僕が血を与えた・・・・・・・んだから。

 アークと僕の血が、混ざった匂い。

 僕は、この混血を知っている。

「あ、ははっ・・・ハ、ハハハハハハハハっ!? 凄いっ!? 凄いよ、ローレルっ!? 本当に驚いたっ!? 絶対殺したと思っていたのに、まだ生きてたっ!? ずっと君を、僕から隠してたんだねっ!」

 あのとき、僕が壊したローレルの娘っ!!!

 なぜか、自然と吊り上がる口元。

 驚きと共に広がる、楽しい気分。

 ゴクリと、喉が鳴る。

「な、にをっ……」

 けれど、僕を睨む翡翠・・の瞳には、なぜか僕を知っている様子が見えない。

「? あれ? 覚えてないの? 僕のこと。あんなに痛め付けてやったのに・・・?」

 なんだろう・・・
 こう、そこはかとなく・・・
 胸がざわつくような・・・?

「クッ……」

 白い手が、額の方へ行こうとするのを阻止。

「ああ・・・もしかして、あのとき・・・・みたいに、また・・記憶が飛んでたりする?」

 それなら、納得だ。

「あ、の…と、き…?」
「やっぱり、覚えてないんだ?」

 ナイフを持つ腕を軽く引く。と、

「ぅ、ぐぁっ!?」

 ゴキン! 鈍い音を起ててその肩が外れ、だらりと力無く腕が垂れてカランとナイフが床に落ちた。

「相変わらず脆いな? 君は」
「アレク様っ!?!?」

 上がった悲鳴は、なぜか人魚のもの。

「アレク、か・・・君って、そんな名前だったんだね。知らなかったよ」

 それは、昔より幼くはないが、見慣れた・・・・苦痛に喘ぐ顔。変わったことと言えば、赤くない瞳・・・・・と、幼女から成長したことくらいだろうか?

「初めて逢ったときも、こうして・・・」
「放っ、触るなっ!?」

 蒼白な顔へ手を伸ばした。嫌がって逃げようとすることを、許さなかった。

「嫌っ、ヤだっ!?」

 震える声と、恐怖に見開く瞳を無視して・・・

「っ! ぃ、ゃ・・・ゃ、めて・・・」

 額へと手をかざし・・・

いやあァぁァあぁぁぁっ!?!?!?」

 絶叫を上げ、厭がって怯える君の、その本性を無理矢理引きり出して・・・それ・・を砕いた。

「僕は、君を壊したんだ」

 死に掛けの君に僕の血を与えたことで、自分の名前もわからなくなる程に壊れて、瞳の色が赤くなったから。

「ねぇ、思い出したかな?」

 そんな君に、気紛れに名前を付けたんだ。

「ルチル」

 赤を意味する言葉名前を。

※※※※※※※※※※※※※※※

「っ! この声はっ!? あっちかっ!?」

 アルゥラも、この船にいたのかっ!?

 そして一体、なにが起きているんだっ!?

「クソっ!? 早く行かないとっ!?」

__________

 寝ぼけイリヤ、漸くお目覚めです。
 寝ぼけてた方が色々とマシですが・・・

 ルチルは印欧語で赤を意味するそうです。

 そして次回、アルの正体を明かします。
 もう判っている方は、いつまで引っ張るんだよ?と思っていることでしょうが、もう少しお待ちください。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

魔物が棲む森に捨てられた私を拾ったのは、私を捨てた王子がいる国の騎士様だった件について。

imu
ファンタジー
病院の帰り道、歩くのもやっとな状態の私、花宮 凛羽 21歳。 今にも倒れそうな体に鞭を打ち、家まで15分の道を歩いていた。 あぁ、タクシーにすればよかったと、後悔し始めた時。 「—っ⁉︎」 私の体は、眩い光に包まれた。 次に目覚めた時、そこは、 「どこ…、ここ……。」 何故かずぶ濡れな私と、きらびやかな人達がいる世界でした。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

処理中です...