433 / 673
378
しおりを挟む「おう! それでさ、お前ら休みなにして過ごすん?」
「……いつも通り、寮で過ごすつもりだが」
「ええっ!? グレイ先輩、おうち帰らないんですかっ?」
「帰る……までの諸々の経費が勿体ないからな」
「寂しくないですか?」
心配そうにリールを見るエリオット。
「……いや、ばあ様とは手紙のやり取りをしているから特には」
リールはエリオットの顔から視線を逸らしつつ答える。まだ、面と向かっては話せないらしい。いい加減慣れればいいのに。
「んあ? ばーちゃんだけ? 他の家族は?」
「ああ、うちは……所謂、没落貴族でな。血縁上のクソ親父が商売女に入れあげた挙げ句、質の悪い輩に借金をして蒸発。母はその後に俺を身籠っていると気付いて、俺を産む前に離籍。産んだ後は、厄介払いだとばあ様に俺を渡して、自分は金持ちの後妻になったのだとか。そしてばあ様は屋敷や爵位を売って、借金を返済。貴族子女の家庭教師をしながら俺を育ててくれたんだ」
「うわっ、なんか壮絶ー」
「だから、ばあ様もばあ様で忙しい。俺が学園寮に入ったのと同時に、今まで住んでいたアパートを引き払って、貴族の屋敷に住み込みで働いている。だから、帰らないというよりは、帰る家が無いと言った方が正確だ。ばあ様に会うなら、住み込みの貴族の屋敷付近に宿を取らんといけんからな」
リールが必死になって勉強するワケがこれか・・・
そして、没落貴族だったとは。まぁ、なにげにリールって、マナーに卒が無いんだよね。所作も割と綺麗だし。おばあ様が貴族子女の家庭教師をしているって話だから、確りと躾られたのかも。
「卒業後はどうするんだ?」
「……一応、アパートを借りて、またばあ様と一緒に暮らすつもりではいるが……ばあ様次第と言ったところだ」
「そうか」
「お前も苦労してたんだなー」
「俺というよりは、苦労したのはばあ様なんだが……」
「な、な、もしかしてさ、リールが女の子が苦手なのってそこら辺が理由だったりするん?」
「……ばあ様から、女には注意しろと口酸っぱく言われている」
「なるほどなー」
そりゃあ、身内に女性関係でしくじった人がいればねぇ?
「ふぇ~こっちの学校にも、家庭環境が複雑な人がいるんですね~」
「うむ。そのようだな」
「あ、なんか冷静」
「だろうな。どこぞの物語のような人生を送るような奴が知り合いにいるんだ。俺程度の家庭環境の奴なんざ、大して珍しくもないだろう」
「物語のような人生を送る人、ですか?」
「ああ、どこぞの王族が知り合いにいると聞いた」
「あ、それってもしかしてキアン先輩のことですかっ? キアン先輩、どこでなにしてるんでしょうね~? 元気だといいんですけど」
「エリオット」
「はい、なんですか? ハウウェル先輩」
「奴の名前を呼ぶのはやめろ。どこから湧いて出て来るかわからない」
「そんな、キアン先輩は虫じゃないんですから~」
「呼んだか? とか言ってふらっと現れては、人の食料をごっそり奪って行くような奴だし」
「まあ、神出鬼没な奴ではあるな」
「え? なにそれ、面白そう!」
「面白くない面白くない」
__________
リールの事情も割とハード。
50
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【完結】私から全てを奪った妹は、地獄を見るようです。
凛 伊緒
恋愛
「サリーエ。すまないが、君との婚約を破棄させてもらう!」
リデイトリア公爵家が開催した、パーティー。
その最中、私の婚約者ガイディアス・リデイトリア様が他の貴族の方々の前でそう宣言した。
当然、注目は私達に向く。
ガイディアス様の隣には、私の実の妹がいた──
「私はシファナと共にありたい。」
「分かりました……どうぞお幸せに。私は先に帰らせていただきますわ。…失礼致します。」
(私からどれだけ奪えば、気が済むのだろう……。)
妹に宝石類を、服を、婚約者を……全てを奪われたサリーエ。
しかし彼女は、妹を最後まで責めなかった。
そんな地獄のような日々を送ってきたサリーエは、とある人との出会いにより、運命が大きく変わっていく。
それとは逆に、妹は──
※全11話構成です。
※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、ネタバレの嫌な方はコメント欄を見ないようにしていただければと思います……。
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
「お前との婚約はなかったことに」と言われたので、全財産持って逃げました
ほーみ
恋愛
その日、私は生まれて初めて「人間ってここまで自己中心的になれるんだ」と知った。
「レイナ・エルンスト。お前との婚約は、なかったことにしたい」
そう言ったのは、私の婚約者であり王太子であるエドワルド殿下だった。
「……は?」
まぬけな声が出た。無理もない。私は何の前触れもなく、突然、婚約を破棄されたのだから。
結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。
結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。
アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。
アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。
王家も我が家を馬鹿にしてますわよね
章槻雅希
ファンタジー
よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。
『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。
『婚約者を大好きな自分』を演じてきた侯爵令嬢、自立しろと言われたので、好き勝手に生きていくことにしました
皇 翼
恋愛
「リーシャ、君も俺にかまってばかりいないで、自分の趣味でも見つけて自立したらどうだ?正直、こうやって話しかけられるのはその――やめて欲しいんだ……周りの目もあるし、君なら分かるだろう?」
頭を急に鈍器で殴られたような感覚に陥る一言だった。
彼がチラリと見るのは周囲。2学年上の彼の教室の前であったというのが間違いだったのかもしれない。
この一言で彼女の人生は一変した――。
******
※タイトル少し変えました。
・暫く書いていなかったらかなり文体が変わってしまったので、書き直ししています。
・トラブル回避のため、完結まで感想欄は開きません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる