虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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「おう! それでさ、お前ら休みなにして過ごすん?」
「……いつも通り、寮で過ごすつもりだが」
「ええっ!? グレイ先輩、おうち帰らないんですかっ?」
「帰る……までの諸々の経費が勿体ないからな」
「寂しくないですか?」

 心配そうにリールを見るエリオット。

「……いや、ばあ様とは手紙のやり取りをしているから特には」

 リールはエリオットの顔から視線を逸らしつつ答える。まだ、面と向かっては話せないらしい。いい加減慣れればいいのに。

「んあ? ばーちゃんだけ? 他の家族は?」
「ああ、うちは……所謂いわゆる、没落貴族でな。血縁上のクソ親父が商売女に入れあげた挙げ句、質の悪い輩に借金をして蒸発。母はその後に俺を身籠っていると気付いて、俺を産む前に離籍。産んだ後は、厄介払いだとばあ様に俺を渡して、自分は金持ちの後妻になったのだとか。そしてばあ様は屋敷や爵位を売って、借金を返済。貴族子女の家庭教師をしながら俺を育ててくれたんだ」
「うわっ、なんか壮絶ー」
「だから、ばあ様もばあ様で忙しい。俺が学園寮に入ったのと同時に、今まで住んでいたアパートを引き払って、貴族の屋敷に住み込みで働いている。だから、帰らないというよりは、帰る家が無いと言った方が正確だ。ばあ様に会うなら、住み込みの貴族の屋敷付近に宿を取らんといけんからな」

 リールが必死になって勉強するワケがこれか・・・

 そして、没落貴族だったとは。まぁ、なにげにリールって、マナーに卒が無いんだよね。所作も割と綺麗だし。おばあ様が貴族子女の家庭教師をしているって話だから、確りとしつけられたのかも。

「卒業後はどうするんだ?」
「……一応、アパートを借りて、またばあ様と一緒に暮らすつもりではいるが……ばあ様次第と言ったところだ」
「そうか」
「お前も苦労してたんだなー」
「俺というよりは、苦労したのはばあ様なんだが……」
「な、な、もしかしてさ、リールが女の子が苦手なのってそこら辺が理由だったりするん?」
「……ばあ様から、女には注意しろと口酸っぱく言われている」
「なるほどなー」

 そりゃあ、身内に女性関係でしくじった人がいればねぇ? 

「ふぇ~こっちの学校にも、家庭環境が複雑な人がいるんですね~」
「うむ。そのようだな」
「あ、なんか冷静」
「だろうな。どこぞの物語のような人生を送るような奴が知り合いにいるんだ。俺程度の家庭環境の奴なんざ、大して珍しくもないだろう」
「物語のような人生を送る人、ですか?」
「ああ、どこぞの王族が知り合いにいると聞いた」
「あ、それってもしかしてキアン先輩のことですかっ? キアン先輩、どこでなにしてるんでしょうね~? 元気だといいんですけど」
「エリオット」
「はい、なんですか? ハウウェル先輩」
「奴の名前を呼ぶのはやめろ。どこから湧いて出て来るかわからない」
「そんな、キアン先輩は虫じゃないんですから~」
「呼んだか? とか言ってふらっと現れては、人の食料をごっそり奪って行くような奴だし」
「まあ、神出鬼没な奴ではあるな」
「え? なにそれ、面白そう!」
「面白くない面白くない」

__________


 リールの事情も割とハード。

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