40 / 61
やっぱりオレは、この人が好きだ。
しおりを挟む
「・・・リーシュは、精神的に少しおかしくて…コルドちゃんを、虐待してたんです。それがいつからなのかは、コルドちゃんにもわからないくらいで…あたしが気付いたのは五年前。リーシュが、自分の部屋でコルドちゃんの首を絞めているのを見て、止めたんです。それから、気を付けてはいたんですけど・・・」
ぎゅっと、オレの手を握るローズねーちゃん。大丈夫、という意味を籠めて、ねーちゃんの手の甲を軽く叩く。
頷いたねーちゃんが、また口を開く。
「数ヵ月後、リーシュがいきなり狂ったように笑い出して…コルドちゃんを殺した。自分はこれからどうすればいい?なにでこの鬱憤を晴らせばいいのかと叫んで…それから、息をしてないコルドちゃんを見付けて介抱していたあたしに、コルドちゃんを返せと殴りかかって来て・・・彼女は、そのときの騒動が原因で、女将さんに追い出されました」
初めて聞く下りもあったが・・・
人一人殺しかけておいて、自分の鬱憤はなにで晴らせばいいのか?とは、壮絶な程に自分勝手で自己中心的。本当に怖過ぎる女だ。
余談だが、そのときの介抱が人工呼吸。
リーシュが言っていた、ローズがオレにキスをして…というのが、このこと。それがオレのファーストキスだったりする。
ローズねーちゃんには後で謝られたが、そんなのとんでもない。息が止まっていたんだから、的確な処置だ。不可抗力。感謝に尽きる。
まあ、意味もわかっていなかったが・・・
そしてこれは、まだいなかったスノウ以外の兄妹が全員知っている。まあ、どこまで知っているかは、確認したことないけど・・・
「それはまた・・・」
薄味な顔が盛大に引きつる。
あの女の異常さにドン引いているようだ。
「…リーシュは、どうなりましたか?」
ローズねーちゃんがライを真っ直ぐ見詰める。
「…殺人未遂及び、傷害罪で逮捕されたようです。けれど、阿片中毒でまともな取り調べが困難な状態だと聞きました」
「っ…阿片…」
「!」
阿片っ!?もしかして…いや、もしかしなくても、お薬がどうのって言っていたのは・・・
あの女、本っ気でヤバ過ぎ!
オレをヤク漬けにする気満々だったのかっ!?
「…………」
恐ろしい。恐ろし過ぎる。異常者め・・・
思わずねーちゃんの手を強く握る。
「コルドちゃん…大丈夫よ」
そっとねーちゃんの手が頬に添えられ、
「もう大丈夫だから。大丈夫なの」
額にそっと落ちる柔らかい唇に、目を閉じる。
「リーシュの言うことなんて、全部全部間違ってる。コルドちゃんは可哀想なんかじゃないし、コルドちゃんを好きな人はいっぱいいるわ。ホリィちゃん、ステラちゃん、スノウちゃん。ウェンとレイニーは素直じゃないけど、ね?無論、あたしも。コルドちゃんが好きよ?大好き」
ロザンナの柔らかい声。
あの女の、甘ったるくて爛れそうな程に熱い、強烈な猛毒は強くて・・・まだじくじくと胸が痛むけど、やっぱりオレは、この人が好きだ。
ローズが…ロザンナが殺されなくて、どうにか助けることができて、本当によかった。
つぅと水滴が頬を滑り、ぽたりと落ちた。
「コルドちゃん…」
目元が優しく拭われる。
「……っ」
ぐっと涙を拭い、熱っぽい手を取る。
『ロザンナ姉ちゃんが助かって、本当によかった。目を覚ましてくれて嬉しい。生きててくれて、ありがとう。大好き』
「っ…ありがとう…コルドちゃんっ…」
ぎゅっと抱き締められる。
なんていうか、ガラじゃないことを言った。かなり、恥ずかしい。顔熱いし・・・
「・・・」
「あたしもっ、コルドちゃん大好きっ!」
少女めいた妖艶な美貌が泣き笑いに崩れる。
「・・・はぁ…」
・・・ま、いいか。大好きなローズねーちゃんが嬉しいなら、オレはそれでいいや。
ぎゅっと、オレの手を握るローズねーちゃん。大丈夫、という意味を籠めて、ねーちゃんの手の甲を軽く叩く。
頷いたねーちゃんが、また口を開く。
「数ヵ月後、リーシュがいきなり狂ったように笑い出して…コルドちゃんを殺した。自分はこれからどうすればいい?なにでこの鬱憤を晴らせばいいのかと叫んで…それから、息をしてないコルドちゃんを見付けて介抱していたあたしに、コルドちゃんを返せと殴りかかって来て・・・彼女は、そのときの騒動が原因で、女将さんに追い出されました」
初めて聞く下りもあったが・・・
人一人殺しかけておいて、自分の鬱憤はなにで晴らせばいいのか?とは、壮絶な程に自分勝手で自己中心的。本当に怖過ぎる女だ。
余談だが、そのときの介抱が人工呼吸。
リーシュが言っていた、ローズがオレにキスをして…というのが、このこと。それがオレのファーストキスだったりする。
ローズねーちゃんには後で謝られたが、そんなのとんでもない。息が止まっていたんだから、的確な処置だ。不可抗力。感謝に尽きる。
まあ、意味もわかっていなかったが・・・
そしてこれは、まだいなかったスノウ以外の兄妹が全員知っている。まあ、どこまで知っているかは、確認したことないけど・・・
「それはまた・・・」
薄味な顔が盛大に引きつる。
あの女の異常さにドン引いているようだ。
「…リーシュは、どうなりましたか?」
ローズねーちゃんがライを真っ直ぐ見詰める。
「…殺人未遂及び、傷害罪で逮捕されたようです。けれど、阿片中毒でまともな取り調べが困難な状態だと聞きました」
「っ…阿片…」
「!」
阿片っ!?もしかして…いや、もしかしなくても、お薬がどうのって言っていたのは・・・
あの女、本っ気でヤバ過ぎ!
オレをヤク漬けにする気満々だったのかっ!?
「…………」
恐ろしい。恐ろし過ぎる。異常者め・・・
思わずねーちゃんの手を強く握る。
「コルドちゃん…大丈夫よ」
そっとねーちゃんの手が頬に添えられ、
「もう大丈夫だから。大丈夫なの」
額にそっと落ちる柔らかい唇に、目を閉じる。
「リーシュの言うことなんて、全部全部間違ってる。コルドちゃんは可哀想なんかじゃないし、コルドちゃんを好きな人はいっぱいいるわ。ホリィちゃん、ステラちゃん、スノウちゃん。ウェンとレイニーは素直じゃないけど、ね?無論、あたしも。コルドちゃんが好きよ?大好き」
ロザンナの柔らかい声。
あの女の、甘ったるくて爛れそうな程に熱い、強烈な猛毒は強くて・・・まだじくじくと胸が痛むけど、やっぱりオレは、この人が好きだ。
ローズが…ロザンナが殺されなくて、どうにか助けることができて、本当によかった。
つぅと水滴が頬を滑り、ぽたりと落ちた。
「コルドちゃん…」
目元が優しく拭われる。
「……っ」
ぐっと涙を拭い、熱っぽい手を取る。
『ロザンナ姉ちゃんが助かって、本当によかった。目を覚ましてくれて嬉しい。生きててくれて、ありがとう。大好き』
「っ…ありがとう…コルドちゃんっ…」
ぎゅっと抱き締められる。
なんていうか、ガラじゃないことを言った。かなり、恥ずかしい。顔熱いし・・・
「・・・」
「あたしもっ、コルドちゃん大好きっ!」
少女めいた妖艶な美貌が泣き笑いに崩れる。
「・・・はぁ…」
・・・ま、いいか。大好きなローズねーちゃんが嬉しいなら、オレはそれでいいや。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる