22 / 43
22話 その頃勇者クレシーは
しおりを挟む
一方その頃ホルキス王国の王城の大広間では大きな動揺が走っていた。
クレシーの取り巻き達が心配そうにグリンダムからの報告を聞いていたのだった。
クレシーの取り巻きの一人に冒険者のマスタングという男がおり、そのマスタングが伝令に聞き返したのだった。
「大賢者ラズバー様が倒されただと!!」
「はいジャン・リヒターを始めとする竜にまたがる無能共によって大賢者ラズバー様が倒されてしまったとの事です。」
「それではグリンダムはどうなったのだ?」
「竜にまたがる無能共の手に落ちてしまったようです。グリンダムの冒険者のほとんどが竜またがる無能に味方してしまっているとの事。」
マスタングがテーブルに拳を叩きつけた。
「なんという事だ!!」
「大勇者クレシー様、これは一大事にございます。大賢者ラズバー様のご無念を晴らすためにも直ちにグリンダムの奴らに忠罰を与えるべきだと思われます。大勇者クレシー様、どうかご決断を。」
だが肝心の勇者クレシーはつまらなそうな顔をしていたのだった。
「馬鹿な事を言うな35号!!忠罰を与えろだと、なんでそんな事をしなくちゃならん。ラズバーが倒されただけだろうが!」
「よろしいのですか大勇者クレシー様。大賢者ラズバー様は大勇者クレシー様の朋友であり、魔王バルモールを倒した勇者パーティーの一人だったのです。大賢者ラズバー様を失ったのは大勇者クレシー様にとって大きな損失だと思うのですが?」
「ふん!!ラズバーごときの賢者などいくらでもいるわ!!いいかお前達は勘違いしているようだから、ちゃんと言っておくぞ!!ラズバーの奴がすごかったのではない!!ラズバーがこの大勇者クレシー様の部下だったからすごかったんだ!!」
「ラズバーがこれまで活躍できたのはラズバーの実力ではない!!この大勇者クレシー様の偉大さをラズバーに貸してやってただけだ。この大勇者クレシー様の名前があったからこそラズバーは活躍する事ができていたのだ。だからラズバーが無様に敗北してもそれは仕方がない事だ。なにせこの大勇者クレシー様がいなかったのだからな!!グリンダムの連中も竜にまたがるだけの無能共も好きにやらせておけばいい。」
「ですが大勇者クレシー様、竜にまたがる無能共を放置するのは危険ではありませんか。特に大賢者ラズバー様を捕縛したというジャン・リヒターはとても危険であると考えますが?」
「ふん、ジャン・リヒターにできる事など何もない。あんな竜にまたがるだけの無能に一体なにができるというのだ?ジャン・リヒターには何もできないのだ。今回の事はどうせマグレに決まっている。マグレでラズバーがたまたまやられてしまったのだ。ただそれだけの事だ。」
「では大勇者クレシー様、グリンダムの事は放置するという事でよろしいですか?」
クレシーが大声を張り上げる。
「何度も言わすな35号!!それでいい。」
「はっ。」
「そんな事よりもこの大勇者クレシー様が魔王バルモールを倒した記念日が2週間後に迫っておるのだぞ!!準備の方はどうなっている?」
べつの取り巻きがクレシーに尋ねた。
「はて?大勇者クレシー様が魔王バルモールを討伐されたのは確か8か月前だったはず、そうなると魔王討伐の記念日はもっと先になるのではありませんか?」
「馬鹿野郎!!いいかこの大勇者クレシー様の魔王バルモールの討伐は大きな偉業なのだ。1年に1回しか魔王の討伐を祝わないなんてそれはこの大陸にとって不幸以外の何物でもないだろうが!!!だから毎月祝う事に決めたんだよ!!」
「そうなのですか。」
「そうだ、だからクレシー様巨大銅像の製作を急がねばならんのだ。クレシー様巨大銅像の制作の方はどうなっている?」
「はっ、冒険者達を総動員してクレシー様巨大銅像の製作を進めておりますが、いかんせん人手が全然足りていない状態でして。」
クレシーが大声で怒鳴りつける。
「馬鹿者、冒険者の数を増やせばいいだろうが!!」
「はっ、それが。冒険者になってくれるように勧誘も積極的に行っておりますが、冒険者になる人間は少なくなってきており、なかなか冒険者の数を増やせずにおります。」
「全く使えない奴め。よしならこの大勇者クレシー様が直々に手本を見せてやろう。中央広場に行くぞ!!」
クレシーは取り巻きを引き連れて王都フェルニアの中心部にある王都中央広場に現れたのだった。
クレシーは中央広場にて冒険者の勧誘を始めたのだった。
クレシーは噴水前を通り過ぎようとした男性に声を掛けた。
「おい、貴様はこれからどこへいく?」
「はい、仕事が終わったので家に帰る途中ですけど。」
「なるほど、つまり暇という事だな。よしお前を冒険者にしてやる!!すぐにクレシー様巨大銅像の工事現場に迎え、分かったな!!」
「えっ、あのうどういう事でしょうか?」
「早く工事現場に迎えって言ってるだろうが!!」
「はい。」
その男性はクレシーにそう言われて慌てて走っていった。
するとクレシーはまた別の男性に声を掛けたのだった。
「おい、貴様どこへ行く?」
「えっ?大した用事ではないんですけど。クレシー様巨大銅像の工事現場に行く所です。」
するとクレシーは大声でその男性に怒鳴りつけた。
「それは大事な用事だろうが!!なにぼっさとしてるんだ!!はやく行け!!」
「はい!!」
クレシーがまた別の通行人の男性に尋ねた。
「おい、貴様どこに行く?」
「これから隣町まで商売をしにいく予定です。」
「なるほど、つまり暇という事だな。お前を冒険者にしてやる。すぐにクレシー様巨大銅像の工事現場に向かえ!!」
「えっ、あのうクレシー様、私はこれから商売をしに行かねばならないんですが?」
「早く工事現場に行けって言ってるだろうが!!ぶっ殺されたいのか!!」
その男性も慌てて走っていった。
「はい。」
クレシーがまた通りがかりの男性に尋ねた。
「おい貴様!!どこに行く?」
「えっ、大した用事じゃないんですが、クレシー様の装備品を磨きにいくだけです。」
「なんだと、それは大事な用事じゃないか!!モタモタしてないではやく行け!!」
「はい。」
「ふむ、まあこんな所か。この大勇者クレシー様の人望にかかれば冒険者を集めるなどたやすい事よ。優秀すぎるのもなかなか大変なものだな!はっはっはっ!!」
そして取り巻きたちにこう命令を出した。
「よしではこのまま王城に戻るぞ!!!いい事を思いついた。」
クレシーの取り巻き達が心配そうにグリンダムからの報告を聞いていたのだった。
クレシーの取り巻きの一人に冒険者のマスタングという男がおり、そのマスタングが伝令に聞き返したのだった。
「大賢者ラズバー様が倒されただと!!」
「はいジャン・リヒターを始めとする竜にまたがる無能共によって大賢者ラズバー様が倒されてしまったとの事です。」
「それではグリンダムはどうなったのだ?」
「竜にまたがる無能共の手に落ちてしまったようです。グリンダムの冒険者のほとんどが竜またがる無能に味方してしまっているとの事。」
マスタングがテーブルに拳を叩きつけた。
「なんという事だ!!」
「大勇者クレシー様、これは一大事にございます。大賢者ラズバー様のご無念を晴らすためにも直ちにグリンダムの奴らに忠罰を与えるべきだと思われます。大勇者クレシー様、どうかご決断を。」
だが肝心の勇者クレシーはつまらなそうな顔をしていたのだった。
「馬鹿な事を言うな35号!!忠罰を与えろだと、なんでそんな事をしなくちゃならん。ラズバーが倒されただけだろうが!」
「よろしいのですか大勇者クレシー様。大賢者ラズバー様は大勇者クレシー様の朋友であり、魔王バルモールを倒した勇者パーティーの一人だったのです。大賢者ラズバー様を失ったのは大勇者クレシー様にとって大きな損失だと思うのですが?」
「ふん!!ラズバーごときの賢者などいくらでもいるわ!!いいかお前達は勘違いしているようだから、ちゃんと言っておくぞ!!ラズバーの奴がすごかったのではない!!ラズバーがこの大勇者クレシー様の部下だったからすごかったんだ!!」
「ラズバーがこれまで活躍できたのはラズバーの実力ではない!!この大勇者クレシー様の偉大さをラズバーに貸してやってただけだ。この大勇者クレシー様の名前があったからこそラズバーは活躍する事ができていたのだ。だからラズバーが無様に敗北してもそれは仕方がない事だ。なにせこの大勇者クレシー様がいなかったのだからな!!グリンダムの連中も竜にまたがるだけの無能共も好きにやらせておけばいい。」
「ですが大勇者クレシー様、竜にまたがる無能共を放置するのは危険ではありませんか。特に大賢者ラズバー様を捕縛したというジャン・リヒターはとても危険であると考えますが?」
「ふん、ジャン・リヒターにできる事など何もない。あんな竜にまたがるだけの無能に一体なにができるというのだ?ジャン・リヒターには何もできないのだ。今回の事はどうせマグレに決まっている。マグレでラズバーがたまたまやられてしまったのだ。ただそれだけの事だ。」
「では大勇者クレシー様、グリンダムの事は放置するという事でよろしいですか?」
クレシーが大声を張り上げる。
「何度も言わすな35号!!それでいい。」
「はっ。」
「そんな事よりもこの大勇者クレシー様が魔王バルモールを倒した記念日が2週間後に迫っておるのだぞ!!準備の方はどうなっている?」
べつの取り巻きがクレシーに尋ねた。
「はて?大勇者クレシー様が魔王バルモールを討伐されたのは確か8か月前だったはず、そうなると魔王討伐の記念日はもっと先になるのではありませんか?」
「馬鹿野郎!!いいかこの大勇者クレシー様の魔王バルモールの討伐は大きな偉業なのだ。1年に1回しか魔王の討伐を祝わないなんてそれはこの大陸にとって不幸以外の何物でもないだろうが!!!だから毎月祝う事に決めたんだよ!!」
「そうなのですか。」
「そうだ、だからクレシー様巨大銅像の製作を急がねばならんのだ。クレシー様巨大銅像の制作の方はどうなっている?」
「はっ、冒険者達を総動員してクレシー様巨大銅像の製作を進めておりますが、いかんせん人手が全然足りていない状態でして。」
クレシーが大声で怒鳴りつける。
「馬鹿者、冒険者の数を増やせばいいだろうが!!」
「はっ、それが。冒険者になってくれるように勧誘も積極的に行っておりますが、冒険者になる人間は少なくなってきており、なかなか冒険者の数を増やせずにおります。」
「全く使えない奴め。よしならこの大勇者クレシー様が直々に手本を見せてやろう。中央広場に行くぞ!!」
クレシーは取り巻きを引き連れて王都フェルニアの中心部にある王都中央広場に現れたのだった。
クレシーは中央広場にて冒険者の勧誘を始めたのだった。
クレシーは噴水前を通り過ぎようとした男性に声を掛けた。
「おい、貴様はこれからどこへいく?」
「はい、仕事が終わったので家に帰る途中ですけど。」
「なるほど、つまり暇という事だな。よしお前を冒険者にしてやる!!すぐにクレシー様巨大銅像の工事現場に迎え、分かったな!!」
「えっ、あのうどういう事でしょうか?」
「早く工事現場に迎えって言ってるだろうが!!」
「はい。」
その男性はクレシーにそう言われて慌てて走っていった。
するとクレシーはまた別の男性に声を掛けたのだった。
「おい、貴様どこへ行く?」
「えっ?大した用事ではないんですけど。クレシー様巨大銅像の工事現場に行く所です。」
するとクレシーは大声でその男性に怒鳴りつけた。
「それは大事な用事だろうが!!なにぼっさとしてるんだ!!はやく行け!!」
「はい!!」
クレシーがまた別の通行人の男性に尋ねた。
「おい、貴様どこに行く?」
「これから隣町まで商売をしにいく予定です。」
「なるほど、つまり暇という事だな。お前を冒険者にしてやる。すぐにクレシー様巨大銅像の工事現場に向かえ!!」
「えっ、あのうクレシー様、私はこれから商売をしに行かねばならないんですが?」
「早く工事現場に行けって言ってるだろうが!!ぶっ殺されたいのか!!」
その男性も慌てて走っていった。
「はい。」
クレシーがまた通りがかりの男性に尋ねた。
「おい貴様!!どこに行く?」
「えっ、大した用事じゃないんですが、クレシー様の装備品を磨きにいくだけです。」
「なんだと、それは大事な用事じゃないか!!モタモタしてないではやく行け!!」
「はい。」
「ふむ、まあこんな所か。この大勇者クレシー様の人望にかかれば冒険者を集めるなどたやすい事よ。優秀すぎるのもなかなか大変なものだな!はっはっはっ!!」
そして取り巻きたちにこう命令を出した。
「よしではこのまま王城に戻るぞ!!!いい事を思いついた。」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
525
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる