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【変わっていく世界】
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・【変わっていく世界】
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天井と壁と扉と大きな部屋とお手洗いの部屋しかないながら、大きめの建物を作って、それを学校とした。
無機物を消すことができる、消石のおかげで、お手洗いを作ることは簡単だった。
その学校ではシューカさんや、他の宿屋の店員さんが週替わりで先生を務めている。
さらには今、学校には来ず、外で働いている人たちの魔法適性を見て、適材適所を見極めて、どんどん仕事をコンバートしていった。
勿論、僕のハートマークの魔法で、本当にやりたいことをメインに考えて。
学校では子供だけではなく、学びたい大人もやって来ていいことにして、礼儀や字を学んでいった。
また、食料の安定供給のため、土の魔法使いに手伝ってもらい、川を村の中に敷いてきて、さらに果樹園や野菜畑を作ることにした。
さらに植物の魔法使いが調子悪い日も安定して食料を手に入れられるようにと、保管庫である、雪室を作ることにした。
僕はとある人のところへ行き、頼みに行った。
「ノノちゃんのパパ、何もしなくてもできる仕事があります。是非、手伝って下さい」
そこで雪室の説明をした。
「雪室といって、大きな建物の中に雪を溜めこんで、それ全体を冷蔵庫とする施設です。冷石は値段が高くて全家庭分揃えることはまだ難しいので、雪室を作ってそこでみんなの食料を保存したいと思っています」
「じゃあ何だ、冷たくて涼しい部屋ができるということか?」
「その通りです。その雪の安定供給をして頂ければ、何もしないで、その部屋で涼んでいても構いません」
「最高じゃないか。いちいち雪の結晶を出してもすぐ溶けて大変だったんだ。そういう部屋があるのならば、それはいい話だな」
このような感じで、どんどん村人たちを巻き込んでいき、村を栄えさせていった。
気付いた時には、村は、この辺で一番有名で、一番住みやすい”街”になっていた。
そんなある日だった。
シューカさんと子供たちが学校で勉強をしている時に、山賊が学校を襲撃し、子供とシューカさんは人質に取られて、立て籠もられてしまったのだ。
山賊の要求は『億万長者になれるほどの金品を用意しろ』だった。
一旦作戦会議として、街の偉い人達はクラッチさんの家へ集まった。
僕とナッツさんもその会議に呼ばれた。
クラッチさんは言う。
「やはり確実なのは、この街の果物などを売って金品を用意することだと思います」
それに対して、血気盛んで若者のリーダーをしているが、特に今まで何も仕事をしてこなかったグルーさんが、
「いや! バトルだ! バトルするしかない!」
と叫んだ。
僕は一個完全に頭から抜けていたことが、そのまま抜け穴になってしまったことを悔いた。
「そうか……街を守るための軍隊を作るべきだったんだ……戦争なんてない世界から来たからその発想が無かった……」
それをナッツさんが制止する。
「ううん! 後悔は後でいい! 今は、今起きたことを一緒に考えよう!」
ナッツさんのおかげで一気に暗い気持ちになることが収まった。
そうだ、今、シューカさんと子供を救うための方法を考えよう。
グルーさんが言う。
「いっそのこと人質ごと倒せれば楽なんだがなぁ?」
それに今まで静かに話を聞いていた、教科書を作っている水の魔法使い・ユラシさんが激高した。
「そんなこと! 許されるわけがない! バカなことを! 言うな!」
しかしグルーさんは止まらない。
「アンタの力なら学校ごと水で覆うことも可能だろ? じゃあ全員それで窒息させればいい」
さすがにクラッチさんが止めに入る。
「バカなことを言うのは止めなさい。子供は街の宝。シューカさんも回復魔法を持っていて貴重な魔法使いです」
ここで僕は気になったことを言ってみた。
「ユラシさんは学校ごと水で覆うことはできるんですか?」
「できるが、しても、意味無いだろう」
「じゃあピンポイントで、人質以外を覆わせることはできますか?」
「それは、できない。そこまでの、精密射撃の腕は、無い」
それを聞いたグルーさんが嫌味ったらしく、
「使えねぇー!」
と叫んだ。
それを睨むユラシさん。
いや、でも、
「じゃあ毎日3回、この街の人間が山賊の元に食べ物を持っていきますけども、その時に服に文字を書いて子供たちに指示を書いて、音が鳴ったら息を止めてもらって、そのタイミングで水で覆う、ということはできますよね?」
「それだ!」
クラッチさんが大きな声で賛同した。
クラッチさんはアゴのあたりを触りながら、
「それならば最初に”文字”と書かれたシャツを着ていき、その”文字”に山賊が反応しなければ今度は指示をちゃんと書いた服を着て、シューカや子供に伝えればいい!」
「そうですね、一回様子を見てから行なうほうが確実ですね」
それに待ったを掛けたのがグルーさんだった。
「いや水で覆ったあと、一旦また水を全部無くすんだろ? ユラシの旦那が精密射撃はできないって言ってるから。ONとOFFしかないなら、すぐさま相手が状態を整えるんじゃねぇの?」
それを聞いたユラシさんは悔しそうに唇を噛んだ。
いやでも。
僕は案を言ってみた。
「じゃあノノちゃんのパパ、ダダさんに山賊についた水を氷漬けにしてもらいましょう」
分かってる。
これはノノちゃんのパパであるダダさんの協力を得なければできない作戦だ。
だからダダさんにまず頼み込みに行かないといけない。
でも、
「それはいいかもしれない。ダダさんの魔力はこの街随一だからな」
とクラッチさんが頷きながら、そう言った。
が、グルーさんが、
「ダダの旦那がやるはずないだろ? あの人はただただ涼みたいだけのヤツだ。もっと建設的な話し合いをしようや」
「いいえ、まず僕が交渉に行ってきます」
僕がそう言って立ち上がると、ナッツさんも立ち上がり、
「じゃあ私たちで行ってきます!」
僕とナッツさんはクラッチさんの家を後にして、雪室へ向かった。
雪室に着き、中に入ると、いつも通り雪室の中で寝袋に入って寝ているダダさんがいた。
ナッツさんはダダさんのお腹を優しく叩きながら、
「ダダさん! 起きて下さい! お願いがあります!」
するとダダさんは眠そうな目をこすりながら、目を覚まし、
「どうしたんだい、雪室の食料は好きに持っていっていいよ」
「そうじゃなくて! ダダさん! 山賊に人質を取られていることは知っていますよね!」
「それは勿論。でも食料は有り余るほどある。大丈夫、こっちは平和だよ」
上体を起こし、ボヤボヤと喋っているダダさん。
僕は早速本題に入った。
「ダダさん、山賊に反撃をする作戦でダダさんの魔法が必要不可欠なんです。助けてくれませんか?」
ダダさんはビックリし、一気に眠気が冷めたように立ち上がり、
「そんな! 俺が反撃なんて! そんな怖いことできるはずないじゃないか! そういうことが好きなヤツに任せろ!」
「いやでも氷の魔法を使えるのはダダさんしかいないんです。お願いします」
頭を下げた僕とナッツさん。
ダダさんは一言も発せず、その場で黙った。
だから僕はまた一言、喋り始めた。
「奇襲を仕掛けるので、ダダさんは水のついた山賊を凍らせるだけでいいんです。元々水があれば凍らせることも楽だと前に仰っていましたよね?」
「確かにそうだが……」
「働くよりも大変なことですが、この作戦にはダダさんの力が必要なんです。よろしくお願いします!」
「……あれか」
ポツリと呟いたダダさん。
僕は疑問符を浮かべながら、
「あれとは?」
と聞くと、
「その作戦が成功すればノノから褒められるかな……」
学校で人質になっている子供の中にノノちゃんはいない。
ノノちゃんは宿屋で働いていたからだ。
ダダさんは続ける。
「毎日毎日ノノは家で宿屋で楽しかったこと、頑張ったことを話してくる。その度に何だが俺も何かしなければと思うようになってきた。でも雪室の仕事もあるし、とか思って。いや雪室は別に大した仕事じゃない。毎日人と関わっているノノのほうが大変だ」
それに僕は異を唱えた。
「いいえ、人と関わるから大変ということでもないと思います。働くって。雪室を守る・管理するダダさんも立派に仕事をしていると思います。だからダダさんは何も負い目を感じる必要は無いんです。奇襲作戦にはダダさんの力が欲しいですが、何もしていないから頑張るんだという気持ちになる必要は一切無いです。ダダさんはしっかり働いています」
するとダダさんはハハッと笑ってから、こう言った。
「君は本当に面白い人間だな。このまま俺をダメ人間として扱って、無理やり奇襲作戦に参加させる方法だってあるのに。自分から言い出した流れだからそうしたって全然いいのに。分かったよ。俺はその奇襲作戦に参加する。ただし、凍らせるくだり、練習したいから何人か俺の練習に付き合わせてくれ」
「「ありがとうございます!」」
僕とナッツさんの言葉はユニゾンした。
ふと、ダダさんのハートマークを見ると、氷とは真逆の、決意に燃える炎が赤く光っていた。
・【変わっていく世界】
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天井と壁と扉と大きな部屋とお手洗いの部屋しかないながら、大きめの建物を作って、それを学校とした。
無機物を消すことができる、消石のおかげで、お手洗いを作ることは簡単だった。
その学校ではシューカさんや、他の宿屋の店員さんが週替わりで先生を務めている。
さらには今、学校には来ず、外で働いている人たちの魔法適性を見て、適材適所を見極めて、どんどん仕事をコンバートしていった。
勿論、僕のハートマークの魔法で、本当にやりたいことをメインに考えて。
学校では子供だけではなく、学びたい大人もやって来ていいことにして、礼儀や字を学んでいった。
また、食料の安定供給のため、土の魔法使いに手伝ってもらい、川を村の中に敷いてきて、さらに果樹園や野菜畑を作ることにした。
さらに植物の魔法使いが調子悪い日も安定して食料を手に入れられるようにと、保管庫である、雪室を作ることにした。
僕はとある人のところへ行き、頼みに行った。
「ノノちゃんのパパ、何もしなくてもできる仕事があります。是非、手伝って下さい」
そこで雪室の説明をした。
「雪室といって、大きな建物の中に雪を溜めこんで、それ全体を冷蔵庫とする施設です。冷石は値段が高くて全家庭分揃えることはまだ難しいので、雪室を作ってそこでみんなの食料を保存したいと思っています」
「じゃあ何だ、冷たくて涼しい部屋ができるということか?」
「その通りです。その雪の安定供給をして頂ければ、何もしないで、その部屋で涼んでいても構いません」
「最高じゃないか。いちいち雪の結晶を出してもすぐ溶けて大変だったんだ。そういう部屋があるのならば、それはいい話だな」
このような感じで、どんどん村人たちを巻き込んでいき、村を栄えさせていった。
気付いた時には、村は、この辺で一番有名で、一番住みやすい”街”になっていた。
そんなある日だった。
シューカさんと子供たちが学校で勉強をしている時に、山賊が学校を襲撃し、子供とシューカさんは人質に取られて、立て籠もられてしまったのだ。
山賊の要求は『億万長者になれるほどの金品を用意しろ』だった。
一旦作戦会議として、街の偉い人達はクラッチさんの家へ集まった。
僕とナッツさんもその会議に呼ばれた。
クラッチさんは言う。
「やはり確実なのは、この街の果物などを売って金品を用意することだと思います」
それに対して、血気盛んで若者のリーダーをしているが、特に今まで何も仕事をしてこなかったグルーさんが、
「いや! バトルだ! バトルするしかない!」
と叫んだ。
僕は一個完全に頭から抜けていたことが、そのまま抜け穴になってしまったことを悔いた。
「そうか……街を守るための軍隊を作るべきだったんだ……戦争なんてない世界から来たからその発想が無かった……」
それをナッツさんが制止する。
「ううん! 後悔は後でいい! 今は、今起きたことを一緒に考えよう!」
ナッツさんのおかげで一気に暗い気持ちになることが収まった。
そうだ、今、シューカさんと子供を救うための方法を考えよう。
グルーさんが言う。
「いっそのこと人質ごと倒せれば楽なんだがなぁ?」
それに今まで静かに話を聞いていた、教科書を作っている水の魔法使い・ユラシさんが激高した。
「そんなこと! 許されるわけがない! バカなことを! 言うな!」
しかしグルーさんは止まらない。
「アンタの力なら学校ごと水で覆うことも可能だろ? じゃあ全員それで窒息させればいい」
さすがにクラッチさんが止めに入る。
「バカなことを言うのは止めなさい。子供は街の宝。シューカさんも回復魔法を持っていて貴重な魔法使いです」
ここで僕は気になったことを言ってみた。
「ユラシさんは学校ごと水で覆うことはできるんですか?」
「できるが、しても、意味無いだろう」
「じゃあピンポイントで、人質以外を覆わせることはできますか?」
「それは、できない。そこまでの、精密射撃の腕は、無い」
それを聞いたグルーさんが嫌味ったらしく、
「使えねぇー!」
と叫んだ。
それを睨むユラシさん。
いや、でも、
「じゃあ毎日3回、この街の人間が山賊の元に食べ物を持っていきますけども、その時に服に文字を書いて子供たちに指示を書いて、音が鳴ったら息を止めてもらって、そのタイミングで水で覆う、ということはできますよね?」
「それだ!」
クラッチさんが大きな声で賛同した。
クラッチさんはアゴのあたりを触りながら、
「それならば最初に”文字”と書かれたシャツを着ていき、その”文字”に山賊が反応しなければ今度は指示をちゃんと書いた服を着て、シューカや子供に伝えればいい!」
「そうですね、一回様子を見てから行なうほうが確実ですね」
それに待ったを掛けたのがグルーさんだった。
「いや水で覆ったあと、一旦また水を全部無くすんだろ? ユラシの旦那が精密射撃はできないって言ってるから。ONとOFFしかないなら、すぐさま相手が状態を整えるんじゃねぇの?」
それを聞いたユラシさんは悔しそうに唇を噛んだ。
いやでも。
僕は案を言ってみた。
「じゃあノノちゃんのパパ、ダダさんに山賊についた水を氷漬けにしてもらいましょう」
分かってる。
これはノノちゃんのパパであるダダさんの協力を得なければできない作戦だ。
だからダダさんにまず頼み込みに行かないといけない。
でも、
「それはいいかもしれない。ダダさんの魔力はこの街随一だからな」
とクラッチさんが頷きながら、そう言った。
が、グルーさんが、
「ダダの旦那がやるはずないだろ? あの人はただただ涼みたいだけのヤツだ。もっと建設的な話し合いをしようや」
「いいえ、まず僕が交渉に行ってきます」
僕がそう言って立ち上がると、ナッツさんも立ち上がり、
「じゃあ私たちで行ってきます!」
僕とナッツさんはクラッチさんの家を後にして、雪室へ向かった。
雪室に着き、中に入ると、いつも通り雪室の中で寝袋に入って寝ているダダさんがいた。
ナッツさんはダダさんのお腹を優しく叩きながら、
「ダダさん! 起きて下さい! お願いがあります!」
するとダダさんは眠そうな目をこすりながら、目を覚まし、
「どうしたんだい、雪室の食料は好きに持っていっていいよ」
「そうじゃなくて! ダダさん! 山賊に人質を取られていることは知っていますよね!」
「それは勿論。でも食料は有り余るほどある。大丈夫、こっちは平和だよ」
上体を起こし、ボヤボヤと喋っているダダさん。
僕は早速本題に入った。
「ダダさん、山賊に反撃をする作戦でダダさんの魔法が必要不可欠なんです。助けてくれませんか?」
ダダさんはビックリし、一気に眠気が冷めたように立ち上がり、
「そんな! 俺が反撃なんて! そんな怖いことできるはずないじゃないか! そういうことが好きなヤツに任せろ!」
「いやでも氷の魔法を使えるのはダダさんしかいないんです。お願いします」
頭を下げた僕とナッツさん。
ダダさんは一言も発せず、その場で黙った。
だから僕はまた一言、喋り始めた。
「奇襲を仕掛けるので、ダダさんは水のついた山賊を凍らせるだけでいいんです。元々水があれば凍らせることも楽だと前に仰っていましたよね?」
「確かにそうだが……」
「働くよりも大変なことですが、この作戦にはダダさんの力が必要なんです。よろしくお願いします!」
「……あれか」
ポツリと呟いたダダさん。
僕は疑問符を浮かべながら、
「あれとは?」
と聞くと、
「その作戦が成功すればノノから褒められるかな……」
学校で人質になっている子供の中にノノちゃんはいない。
ノノちゃんは宿屋で働いていたからだ。
ダダさんは続ける。
「毎日毎日ノノは家で宿屋で楽しかったこと、頑張ったことを話してくる。その度に何だが俺も何かしなければと思うようになってきた。でも雪室の仕事もあるし、とか思って。いや雪室は別に大した仕事じゃない。毎日人と関わっているノノのほうが大変だ」
それに僕は異を唱えた。
「いいえ、人と関わるから大変ということでもないと思います。働くって。雪室を守る・管理するダダさんも立派に仕事をしていると思います。だからダダさんは何も負い目を感じる必要は無いんです。奇襲作戦にはダダさんの力が欲しいですが、何もしていないから頑張るんだという気持ちになる必要は一切無いです。ダダさんはしっかり働いています」
するとダダさんはハハッと笑ってから、こう言った。
「君は本当に面白い人間だな。このまま俺をダメ人間として扱って、無理やり奇襲作戦に参加させる方法だってあるのに。自分から言い出した流れだからそうしたって全然いいのに。分かったよ。俺はその奇襲作戦に参加する。ただし、凍らせるくだり、練習したいから何人か俺の練習に付き合わせてくれ」
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