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【別れ】
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・【別れ】
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次の日、話石で僕に城壁のほうから連絡があり、そっちへ直行すると、他国の警察官と門番が衝突していた。
門番は他国の警察官を門前払いしようしているし、他国の警察官はすぐさま中に入れてくれ、といった感じだった。
僕はまず他国の警察官に話を聞くことにした。
「一体どうしたのでしょうか」
「この街は我々の国の財宝を盗んだヤツを匿っているんだ!」
そう言うとすぐさま門番のグルーさんが、
「そんな悪人! この街にはいない! 帰ってくれ!」
と叫んだ。
グルーさんは続ける。
「そもそも昨日は近隣の住民が旅行でこの街を訪れただけだ! 宿屋とはちゃんと連携している! 間違いない!」
いやでも、と、ふと思った時に、ちょうどナッツさんが城壁にやって来ていた。
「タケルだ! 城壁にいるって聞いてきたけども本当にいた! やったぁ! 今日も一緒にいろんなところツッコミに行こう! 街を良くしよう! タケルのカウンターもそろそろだもんなぁ!」
そうニコニコしながら僕に言ってきたナッツさん。
そう言えば、ナッツさんの両親が宿屋を経ずに帰ってきている。
もしかすると……と思った刹那だった。
「コイツ! 顔が似てる! オマエが犯人か!」
そう言いながら他国の警察官がナッツさんのことを指差した。
何だか分からず、頭上に疑問符を浮かべているナッツさんへ、心苦しいが今の状況を説明した。
話を聞いたナッツさんは僕の腕を引っ張って走り出した。
「どうしたんですか!」
と聞いても無言で走るだけ。
他国の警察官の「待て!」という声は一気に遠のいた。
ナッツさんに引っ張られるまま、僕はナッツさんの家の前に着いた。
ナッツさんは扉を思い切り開けると、大きな声でこう言った。
「パパ! ママ! 財宝返してよ!」
ナッツさんの両親はすぐさま持ってきていたバッグを手に取り、パパのほうがこう言った。
「今から逃げるから黙っててほしい。これがあれば研究が捗るんだ」
そう言ってナッツさんの両親は家から出ようとしたが、ナッツさんが腕を広げて扉の前を塞ぎ、
「返したほうがいい!」
と叫んだ。
するとナッツさんのパパが、
「オマエは子供だから何も分かっていない」
と言いながらナッツさんをどかそうとしたので、僕は、
「いいえ、ナッツさんはちゃんと正しいことが分かっています。子供だからなんてバカな言葉で制止しないで下さい。僕とナッツさんは、いやナッツさんのおかげでこの街はこんなに大きくなりました。ナッツさんが正しい気持ちを持って、人に優しくしていったからこんなに大きな街が作れたんです。僕はナッツさんの正しさを尊重します」
ナッツさんのパパは苦虫を噛み潰したような顔をし、強行突破しようとすると、ナッツさんが両親のバッグを奪った。
「これは私とタケルで送り届けます!」
そう言うと、またナッツさんは僕の腕を引っ張り、そのまま城壁のほうへ走っていった。
僕はナッツさんの引っ張りに少しずつ慣れていっているので、ちょっとは速く走れるようになっていった。
ナッツさんの両親をグングン引き離し、すぐに城壁に着いた。
ナッツさんは頭を下げながら、
「申し訳御座いません! 私の両親が盗んでいました!」
その言葉に他国の警察官が、
「君の……両親が……」
と言うと、ナッツさんはそのまま、
「はい! 魔法の研究をしている両親が盗んだみたいです! 本当に申し訳御座いません! バッグの中、確認して下さい!」
他国の警察官がバッグを確認すると、ちゃんとその財宝が入っていたようだった。
他国の警察官は腕を組んで熟考。
ハートマークを見ると、赤と青の色が渦を巻いていた。
その末、他国の警察官はこう言った。
「まあ、財宝は戻ってきたし、君に免じて罪は問わないことにする。でも二度目は無いからね」
そう言って他国の警察官は帰って行った。
胸をなで下ろした僕とグルーさん、でもナッツさんは物悲しそうに俯いていた。
だから、
「ナッツさん、これから何をしていいか、何をしてはいけないか、ということをみんなで考えていきましょう。正しい手順を踏めば研究の許可が下りることもあるかもしれませんし。上手く話し合いで解決していきましょう」
するとナッツさんは僕に抱きついた。
ナッツさんはワンワンその場で泣いた。
少し時間が経って、僕から離れたナッツさんはこう言った。
「タケルはずっと傍に居てくれるよね……私、タケルがいないとダメだから……」
ふと自分の腕を見ると、カウンターが1万に達していた。
そうか、もうお別れの時なんだ。
だからナッツさんはそんなことを言っているのか。
「ナッツさん、らしくないですよ。大丈夫、ナッツさんはいつまでも明るいナッツさんとして生きていけますよ」
「無理だよ、タケルがいなくなったら無理だよ!」
「ナッツさん、僕はナッツさんのことが大切な存在だと思っています。でもやっぱり、僕は元の世界に戻ろうと思います。元の世界にも大切な人がいて。僕はきっと元の世界から逃げ出してこの世界にやって来たんです。なんとかこの世界では、みんなの助けもあって自分なりに生きることができました。でもまだ元の世界では全然で。元の世界からも逃げたくないなと思って」
ナッツさんはまた瞳に涙を溜め始めた。
でも僕は続ける。
「今までどうも有難うございました。本当に感謝しています。それでも僕は、元の世界に戻ります。元の世界も立派に生きていけるように、逃げずに頑張ります」
「そっか、そっかぁ、元に戻っちゃうんだぁ……悲しいなぁ……でも分かったよ。決めた。私はもっとすごい魔法使いになる。すごい魔法使いになって君の世界へ逢いに行くよ。約束する」
僕は少しずつまばゆい光に包まれ出した。
あぁ、本当に戻るんだ、戻ってしまうんだ、と思った。
でも良かった。
これで良かったんだ。
ナッツさんのハートマークは虹色に輝いていた。
不安も期待も交錯した、綺麗な虹色に。
きっとナッツさんは大魔法使いになって僕へ逢いに来てくれる。それを信じよう。
・【別れ】
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次の日、話石で僕に城壁のほうから連絡があり、そっちへ直行すると、他国の警察官と門番が衝突していた。
門番は他国の警察官を門前払いしようしているし、他国の警察官はすぐさま中に入れてくれ、といった感じだった。
僕はまず他国の警察官に話を聞くことにした。
「一体どうしたのでしょうか」
「この街は我々の国の財宝を盗んだヤツを匿っているんだ!」
そう言うとすぐさま門番のグルーさんが、
「そんな悪人! この街にはいない! 帰ってくれ!」
と叫んだ。
グルーさんは続ける。
「そもそも昨日は近隣の住民が旅行でこの街を訪れただけだ! 宿屋とはちゃんと連携している! 間違いない!」
いやでも、と、ふと思った時に、ちょうどナッツさんが城壁にやって来ていた。
「タケルだ! 城壁にいるって聞いてきたけども本当にいた! やったぁ! 今日も一緒にいろんなところツッコミに行こう! 街を良くしよう! タケルのカウンターもそろそろだもんなぁ!」
そうニコニコしながら僕に言ってきたナッツさん。
そう言えば、ナッツさんの両親が宿屋を経ずに帰ってきている。
もしかすると……と思った刹那だった。
「コイツ! 顔が似てる! オマエが犯人か!」
そう言いながら他国の警察官がナッツさんのことを指差した。
何だか分からず、頭上に疑問符を浮かべているナッツさんへ、心苦しいが今の状況を説明した。
話を聞いたナッツさんは僕の腕を引っ張って走り出した。
「どうしたんですか!」
と聞いても無言で走るだけ。
他国の警察官の「待て!」という声は一気に遠のいた。
ナッツさんに引っ張られるまま、僕はナッツさんの家の前に着いた。
ナッツさんは扉を思い切り開けると、大きな声でこう言った。
「パパ! ママ! 財宝返してよ!」
ナッツさんの両親はすぐさま持ってきていたバッグを手に取り、パパのほうがこう言った。
「今から逃げるから黙っててほしい。これがあれば研究が捗るんだ」
そう言ってナッツさんの両親は家から出ようとしたが、ナッツさんが腕を広げて扉の前を塞ぎ、
「返したほうがいい!」
と叫んだ。
するとナッツさんのパパが、
「オマエは子供だから何も分かっていない」
と言いながらナッツさんをどかそうとしたので、僕は、
「いいえ、ナッツさんはちゃんと正しいことが分かっています。子供だからなんてバカな言葉で制止しないで下さい。僕とナッツさんは、いやナッツさんのおかげでこの街はこんなに大きくなりました。ナッツさんが正しい気持ちを持って、人に優しくしていったからこんなに大きな街が作れたんです。僕はナッツさんの正しさを尊重します」
ナッツさんのパパは苦虫を噛み潰したような顔をし、強行突破しようとすると、ナッツさんが両親のバッグを奪った。
「これは私とタケルで送り届けます!」
そう言うと、またナッツさんは僕の腕を引っ張り、そのまま城壁のほうへ走っていった。
僕はナッツさんの引っ張りに少しずつ慣れていっているので、ちょっとは速く走れるようになっていった。
ナッツさんの両親をグングン引き離し、すぐに城壁に着いた。
ナッツさんは頭を下げながら、
「申し訳御座いません! 私の両親が盗んでいました!」
その言葉に他国の警察官が、
「君の……両親が……」
と言うと、ナッツさんはそのまま、
「はい! 魔法の研究をしている両親が盗んだみたいです! 本当に申し訳御座いません! バッグの中、確認して下さい!」
他国の警察官がバッグを確認すると、ちゃんとその財宝が入っていたようだった。
他国の警察官は腕を組んで熟考。
ハートマークを見ると、赤と青の色が渦を巻いていた。
その末、他国の警察官はこう言った。
「まあ、財宝は戻ってきたし、君に免じて罪は問わないことにする。でも二度目は無いからね」
そう言って他国の警察官は帰って行った。
胸をなで下ろした僕とグルーさん、でもナッツさんは物悲しそうに俯いていた。
だから、
「ナッツさん、これから何をしていいか、何をしてはいけないか、ということをみんなで考えていきましょう。正しい手順を踏めば研究の許可が下りることもあるかもしれませんし。上手く話し合いで解決していきましょう」
するとナッツさんは僕に抱きついた。
ナッツさんはワンワンその場で泣いた。
少し時間が経って、僕から離れたナッツさんはこう言った。
「タケルはずっと傍に居てくれるよね……私、タケルがいないとダメだから……」
ふと自分の腕を見ると、カウンターが1万に達していた。
そうか、もうお別れの時なんだ。
だからナッツさんはそんなことを言っているのか。
「ナッツさん、らしくないですよ。大丈夫、ナッツさんはいつまでも明るいナッツさんとして生きていけますよ」
「無理だよ、タケルがいなくなったら無理だよ!」
「ナッツさん、僕はナッツさんのことが大切な存在だと思っています。でもやっぱり、僕は元の世界に戻ろうと思います。元の世界にも大切な人がいて。僕はきっと元の世界から逃げ出してこの世界にやって来たんです。なんとかこの世界では、みんなの助けもあって自分なりに生きることができました。でもまだ元の世界では全然で。元の世界からも逃げたくないなと思って」
ナッツさんはまた瞳に涙を溜め始めた。
でも僕は続ける。
「今までどうも有難うございました。本当に感謝しています。それでも僕は、元の世界に戻ります。元の世界も立派に生きていけるように、逃げずに頑張ります」
「そっか、そっかぁ、元に戻っちゃうんだぁ……悲しいなぁ……でも分かったよ。決めた。私はもっとすごい魔法使いになる。すごい魔法使いになって君の世界へ逢いに行くよ。約束する」
僕は少しずつまばゆい光に包まれ出した。
あぁ、本当に戻るんだ、戻ってしまうんだ、と思った。
でも良かった。
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