生贄姫巫女と土地神

えりー

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(戯れに拾ったわけじゃない)
自分と似ていて放っておけなかった。
ただそれだけだった。
だが、紬は美濃に惹かれている自分に戸惑っていた。
生気を分けてもらうのと家事をしてもらう代わりに金を払う。
初めはそれだけの関係で良いと思った。
しかし、紬は美濃のことを知れば知るほど放っておけなくなってきた。
特別な感情が生まれているし、彼女は”孤独”の意味さえ理解していなかった。
そんな彼女に同情したのかもしれない。
もっとたくさんの事を彼女に教えてあげたいという思いが強くなった。

「美濃!」
「紬?どうしたんですか?」
「いいか?絶対にこの小屋から出るんじゃないぞ?」
真剣に言われ美濃は頷いた。
紬はふわりと宙に浮かびどこかへ行こうとしている。
「どこかへ行かれるんですか?」
「俺は何も食わなくても平気だがお前には食料が必要だろう?」
どうやら紬は食糧を調達しに行ってくれるようだ。
そう言うともの凄い速さで飛んで行ってしまった。
1人残された美濃は呆然とその姿を見送った。
「私の為に・・・何だか申し訳ないな・・・」
(本当にこれで良かったのかな)
でも他に方法は無かった・・・。
(こんなに紬に迷惑がかかるなんて思っていなかった)
「考えても仕方ない!!よし!洗濯しよう!!」
幸い今日は天気がいい。
美濃は幼い頃母に習った方法で洗濯を始めた。
もう母の記憶は薄れていて顔も覚えていない。
胸のあたりが痛んだ。
「?」
だが、美濃はその痛みが意味するものが何なのかもわからない。
母は美濃を引き渡すのを拒み、村から追放されたと聞いた。
生きていればいずれ会えるのだろうか・・・。
そんな考えが美濃の中に生まれたが村を追放された者の末路は死だ。
何処へ行っても厄介者扱いを受ける。
きっと生きてはいないだろう。
そう思うと涙が込み上げてきた。
もう何も考えたくないと思い頭を左右に振り考えるのをやめた。
日が高くなった頃紬が大きな荷物を持って戻ってきた。
「美濃、今帰ったぞ」
「お帰りなさい、紬」
紬は上機嫌で持ち帰った荷物を美濃に見せた。
剣や宝石、米、野菜や干し肉が荷物に入っていた。
「これで当分は大丈夫だろう?」
「あまりの量に驚いています・・・」
素直にそう言うと満足そうな表情を紬は浮かべて笑った。
その笑みは本当に嬉しそうなものだった。
「神様なのに剣を使うのですか?」
「これは護身用だ。人間がもし来た時に使う」
(そうか・・・追手が来るかもしれない・・・)
美濃の表情は固いものになった。
すると紬は美濃を抱きしめた。
「美濃の事は俺が絶対守るから安心していろ」
「はい」
その言葉を聞き美濃は安心した。
「あの・・・紬」
「何だ?」
「いつまでこうしているんですか?」
紬はずっと美濃を抱きしめたままだった。
「俺の気が済むまでだ。嫌なのか?」
「・・・嫌じゃないです。何だか安心します」
「そうか」
(美濃は人の温もりに飢えているのだろうか?男に抱きしめられていたら普通は危機感を抱くだろう)
紬は美濃を無意識に憐れんでいた。
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