生贄姫巫女と土地神

えりー

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生気を分ける

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「美濃、お前いい匂いがするな」
「え?匂い?」
美濃を抱きしめたまま紬が言った。
「・・・生気を分けてもらってもいいか?」
紬は美濃の為に力を使い疲れていた。
美濃はどうやって分けるのかわからないが分けることが条件だったので承諾した。
「あの・・・どうやって生気を取るんですか?」
「ああ、美濃目をつぶれ」
美濃は言われた通り目を瞑った。
すると次の瞬間唇に何か柔らかいものが触れるのを感じた。
美濃は恐る恐る目を開いたすると紬の唇が自分の唇と触れ合っていることに気が付いた。
初めは触れるだけの口づけだったが徐々に深いものになっていった。
今では口腔内を犯すような巧みな紬の舌遣いに翻弄されていた。
「んん、ふぅ、はぁ・・・」
(苦しい)
酸素を求め美濃は喘いだ。
夢中になり貪っている自分に気付き紬は唇を離した。
つぅっと2人の混ざり合った唾液が糸を引いた。
その場に跪き動けなくなった美濃を小屋へ運んだ。
「悪い、少しのつもりが生気を貰いすぎたようだ。動けるか?」
「はい。大丈夫です」
(これで生気はとれたのだろうか・・・?)
自分が何をされたか分かってない美濃に口づけの説明をしてやった。
すると真っ赤になりそっぽを向いてしまった。
「・・・」
「怒ったのか?嫌だったか?」
「違います。驚いているだけです・・・」
(嫌じゃなかった・・・どうして?)
考えても分からないから紬に聞くことにした。
「嫌じゃなかったです。私は紬をお慕いしているということになるのでしょうか?」
「・・・わからん。だが、嫌じゃないのなら好都合だ」
嫌がられるだろうと思っていたのに美濃は嫌がってなかった。
それならこれからも口づけしても大丈夫だろう。
美濃は世間から隔離されて育ったと言っていた。
知らないことが沢山あるのだろう。
(もしかすると男女の関係についても知らないのだろうか?)
教えたほうがいいのだろうが話して警戒されても困る。
今のままが良いと紬は判断した。
「・・・美濃、料理は出来るのか?」
「いいえ?できません」
美濃はきっぱりと答えた。
「そうか、なら俺が教えてやる」
そう言い手招きをしまだ少し頬が赤い美濃に料理を教えることにした。

今日の美濃の昼食は焦げた魚と固い米だった・・・。
それでも美濃は楽し気に食事をしていた。
「・・・美味いか?」
「いいえ。美味しくはないですが作るのは楽しかったです。
美濃はにっこりと笑った。
「慣れれば今より美味い食事が出来るようになるぞ」
「本当ですか?」
「ああ、神は嘘はつかん」
そう言われ美濃は余計に嬉しくなった。
「あっ・・・」
美濃は急に震えだした。
「どうした美濃!?」
瞳を閉じその場に倒れてしまった。
遠ざかっていく意識の中で見た光景はこの山に村人が侵入してくるビジョンだった。
「近々この山に誰かが来ます・・・」
美濃は意識を失ってしまった。
「これが美濃の力か・・・体に負担がかかるんだな」
こんな純粋な娘を姫巫女として崇め、利用してきた村人が少し憎くなった。

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