生贄姫巫女と土地神

えりー

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美濃の行方

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頼まれごとを終わらせ小屋に帰るとそこに美濃の姿は無かった。
小屋には結界が無理やり破られた跡があった。
「・・・やられた・・・!」
(水が欲しかったのも本当だろうが・・・)
ある程度の術者なら弱った結界位簡単に破れるだろう。
「くそっ!!」
紬は床に手をつき瞳を閉じた。
すると結界が破られる瞬間と美濃が連れ去られる様子が見えた。
「守るって言ったのに・・・」
(悔やんでも仕方ない、村人が”禁忌の森”に入れないからと他所から術者を呼んだんだ)
「やってくれたな・・・裏切者は許さない!」
怒り狂った紬は村へ向かうことにした。
トキの元へすぐさま向かった。
本人は入らなくても他者を入れるのはもいけないことだ。
(術者か・・・面倒な者と関わらねばならない)
ザザッと木々の間を抜け村へ辿り着いた。
大きな座敷牢を見つけた。
そこには美濃が入れられていた。
「ちっ、鍵がかかってるのか」
鍵は何重にもかけられていた。
おまけに術までかけられていた。
紬の存在に気が付いた美濃が床を這いずりながら寄ってきた。
「紬!!逃げて」
「逃げる?何からだ?」
「術者からです!紬の力を利用しようとしています」
「・・・お前は顔色が悪いな。何があった?」
「足の腱を・・・斬られました・・・」
その言葉を聞き紬は自分の耳を疑った。
「な、んだと!?」
かすかに血の匂いがした。
よく見ると美濃の足首には包帯が巻かれていた。
手当てはされていてもこんな事をするだなんて信じられなかった。
「・・・痛むか?」
「はい・・・痛いです。もう一緒に歩いていけないと思うと悲しいです」
「俺が絶対に助ける!!」
(そしてまたあの穏やかな日々へ戻るんだ)
「はい」
美濃は泣き出した。
鉄格子を握り締め泣いていた。
その手を強く握り紬は言った。
「守るから!お前の心も体も・・・約束したのにこんな事になって申し訳ない」
「・・・でも術者の本当の狙いは紬です」
「それは分かった」
紬は村へ向かうことにした。
「出血がひどくなるからそこから動くなよ?」
「まさか村へ行くんですか!?危険です!!」
「俺のものに手を出した報いは受けてもらう」
そう言い残し紬は飛んだ。
後姿を見送ることしかできない美濃は紬の無事を祈った。
村は姫巫女が戻ったという事でお祭り騒ぎになっていた。
(美濃から自由を奪っておいて何とも思わないのか!?)
また逃げられないように足の腱まで斬って・・・。
村人も術者も許せないと思った。
今からこの場は戦場に変わる・・・。
俺が変えてやる!!
絶対に許さないー・・・。
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