生贄姫巫女と土地神

えりー

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戦の開始

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土に手を付け紬は祈った。
手をついたところから地響きが聞こえてきた。
村へ向けての攻撃を始めた。
地震を起こし村を破壊した。
村から叫び声や泣き声などが聞こえてくるが怒り狂っている紬の耳には届かない。
「美濃と交わったおかげで生気をたくさんもらったからな・・・」
力がとめどなく溢れてくる。
森から離れても体が軽い。
以前より強くなっている自分の力に驚きつつも地震を起こし続ける。
そうして村を見てみると建物一つ残っていなかった。
人々の倒れた姿が見えた。
「こんなもので復讐は終わらせない!」
その時だった背後に人の気配を感じた。
「誰だ!?」
しゃらんっと音を立て男は杖を紬に向けた。
(あの杖・・・術者か!?)
「お前が俺の結界を破って美濃を村に戻したのか!?」
「ええ、その通りです」
銀髪を後ろで一つにまとめて、瞳が赤い男がそう答えた。
気配は人間だがそれだけじゃない・・・。
どこか人間離れしている何かを紬は感じた。
「お前、まさか妖と人間の子か?」
「そうですが何か?」
男は飄々と答えた。
「何故、村を守ろうとする?」
「報酬を貰っているのです。姫巫女を連れ戻し、土地神を倒すという契約をしていまして」
赤い瞳が煌いた。
「私の名は柊(ひいらぎ)と申します」
「名などでもいい!!」
「彼女の足の腱を斬ったのもお前か!?」
紬は柊を睨んだ。
「ええ、逃げられると厄介ですからね。もう何の力も無いようなので雨乞いの生贄になってもらうつもりです」
「そんなことはさせない!!」
2人の睨み合いが続く。
最初に動いたのは柊だった。
シャランっと杖を振り下ろし五芒星を描き何かを呟き始めた。
すると青く光る鋭く太い針が幾重も飛んできた。
咄嗟に紬はカッっと紫色の光の結界を張り針を除けた。
力の差は歴然だった。
どう見ても優勢なのは神である紬の方だった。
「俺の力を吸収するつもりか?」
「はい、もっと強くならなくてはいけないので」
(なるほど・・・だから美濃は逃げろと言ったのか・・・)
「半妖の分際で!」
「・・・その呼ばれ方一番頭に来ます」
こめかみに青筋を立て柊は怒りを露わにした。
怒っているのは紬も一緒だった。
怒りを露わにした二人の戦いは凄まじいものだった。
少しでも柊は攻撃の手を休めない。
「しつこい!!」
山から大量の水を呼び寄せ柊に向かい水で作った槍で攻撃した。
槍は柊の腹に穴をあけ命中した。
柊の口から大量の血が溢れ出す。
「人間として死にたいか?妖として死にたいか?」
そう言い柊に近づいた時だった。
急に体の自由が利かなくなった。
紬は驚いた。
「半妖ごときが出来る技じゃないな・・・」
頬に汗が流れ落ちる。
足元を見ると柊は自らの血で陣を作りまんまと紬は罠にはまったのだった。
「あなた以外の神を殺して力を奪ってきました」
柊の傷はもう塞がっている。
「生贄の儀式の方が優先なのであなたはそこで見ているといい」
「やめろ・・・美濃にはもう何の力もないんだろう!?」
「そうですが、”姫巫女”の称号を持つ彼女が適任なんです」
そう言うとにっこりと穏やかに笑った。
柊には”殺人”については何の抵抗も無いようだった。
「ここから出せ!!」
今、柊の作った結界の中に閉じ込められていた。
透明の壁に囲まれて身動きが取れない。
「それは出来ませんねぇ。精々愛しい娘が贄になるところを見ていてください」
「貴様!!」
ドンっと透明な壁を叩いた。
「あなたの相手は後でじっくりして差し上げます」
「たかが日照りごときで美濃を贄にする気か!?」
「村の依頼ですから、私の意思ではありませんよ」
そう言い残し美濃のいる座敷牢へ柊は向かい始めた。
必死に柊の結界を破ろうと力を使ってみるが、全て自分に跳ね返ってくる。
傷だらけになりながら透明な結界の壁を叩いた。
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