25 / 35
悠里の過去
しおりを挟む
美優は最近どうしても気になることができた。
悠里が何者かだ。
いつもは温厚で優しい彼女。
結城から悠里が昔は彼の命を狙っていたことがあると聞いた。
詳しくは話してはもらえなかったが二人の主従関係が気になった。
今では悠里は生涯の忠誠を結城に誓っているらしい。
美優が知っているのはここまでだ。
(うーん。直接聞いてみようかな・・・でもなんて聞く?)
「美優様?どうかなさいましたか?」
「・・・あの、えっと。昔、結城様の命を狙っていたって話は本当なんですか?」
「!」
その話をした瞬間彼女の笑顔が凍るのを感じた。
「美優様・・・そのお話は結城王からお聞きに?」
「はい。世間話程度に聞きました」
(世間話では重たすぎる話だな・・・)
「そうですか。ついに知ってしまったんですね」
「・・・はい。何か事情があったんですか?」
きっと何か特別な事情があったに違いない。
美優はそう思っていた。
「いいえ。仕事だったんです」
悠里は軽く言ってのけた。
「仕事・・・暗殺者・・・みたいな?」
「はい。昔は暗殺業をしていました。収入がとても良くていい仕事でした」
「・・・」
(暗殺業をいい仕事って・・・!!やっぱり悠里さんは怖い人だったんだ)
「美優様には刺激の強いお話ですよね。すみません。美優様のいらした世界には暗殺業なんて無いですよね?」
「私のいた国にはありませんでしたけれど他の国にはあったかもしれません」
悠里はにっこり笑って美優に話しかけた。
「それで美優様は何が知りたいのですか?何でもお答えいたしますが・・・」
(ひぃー!!何でもは結構です。怖い~)
「私が知りたいのはどうして結城様を暗殺しようとしたのに今はお仕えしているかという事です」
「美優様は・・・元暗殺者が信用できませんか?」
悠里は少し悲しそうな表情をして俯いてしまった。
「いいえ!違います。単なる好奇心からです。怖いもの見たさというか・・・」
「そうでございますか」
安心したようにぱっと悠里は顔をあげた。
「そうですね・・・何からお話ししましょうか・・・まず依頼が来た時の事からお話ししますね」
「はい」
あれは今から10年前ー・・・
「今の国王を暗殺してほしい。報酬は言い値で払おう」
ある王族からの依頼だった。
「わかりました。今晩決行します」
悠里はにっこり笑いながらそう言った。
(今回のターゲットは15歳になったばかりの国王か・・・確かまだ即位したばかりだったはず)
(私が暗殺しなくても他の誰かに命を狙われるでしょうし私が苦しまないように一思いに殺してあげた方が幸せですよね・・・)
悠里はそんな事を考えながら夜になるのを待った。
暗殺は闇夜に紛れて行う。
警備をかいくぐり、王の寝室までやってきた。
「甘い警備ですこと」
寝室に鍵はかかっておらず簡単に侵入できた。
「・・・」
悠里は王が眠っているベッドへ近づいてみた。
ベッドの上の体に思い切り刃を突きたてた。
しかし手ごたえはなかった。
不思議に思い布団を這いで見るとそこには丸められた羽布団が入っているだけだった。
それに驚いていると天井から王が悠里めがけて剣を振りかざしながら降ってきた。
幸い急所は外れたものの悠里の足が使い物にならなくなった。
「足の腱を切られなかっただけありがたく思え」
勢いよく切られたため立ち上がることができない悠里の足に容赦なく短剣を両足に2本突き立てた。
「王に歯向かったんだこれくらいの責め苦どうってことないだろう」
「・・・王はお強いんですね」
「・・・そんなことはどうでもいい、それより言え!どこの王家の差し金だ!」
「それを言ったら私を消すんですよね?」
「・・・わからん」
「え?」
悠里は怪訝な顔をした。
「暗殺者は役に立つから生かしておいて使いたいところだが、歯向かうなら殺すしかない」
そう話す王の瞳はとても冷たいものだった。
「さぁ、お前はどうしたい?生きたいか?死にたいか?」
表情一つ変えず言って見せる15歳とは思えない王は怖かった。
「俺は今からお前以外の暗殺者にも狙われるだろう。それを覚悟の上で玉座に座っている。お前も死を覚悟して暗殺業をしているんだろう?」
「・・・ええ。命がけで暗殺業をしています」
「そうか」
王は短く答えた。
この王は・・・一体どういう人間なのだろう。
悠里は王に対して興味がわいた。
「結城王様、私は決めました。貴方に生涯忠誠を誓います」
「信じられんな。急に態度を変えるなんて、理由はなんだ?」
「王に興味がわきました。これからの貴方を見ていたい」
「ふん。それが理由か?」
「はい」
「では俺から信用を得ることのできる行いをしてこい」
「わかりました」
それから数日して足が少し癒えたころ、悠里は王暗殺を依頼してきた王家を皆殺しにしてきたのだった。
それを知った王は悠里を呼び出した。
そして悠里に問うた。
「本当に俺に仕えたいのか?」
「はい」
「わかった。では今日から侍女としてこの城で働いてもらう」
(え?侍女として?)
「暗殺者としてではなく?」
悠里が聞くと王はこう答えた。
「俺は争い事は好まない。今日から大人しく侍女として働け」
そう言うと王の部屋から追い出されてしまった。
「ますます興味が湧いてきましたわ」
そうして悠里は侍女として働くことになったのだった。
「・・・というわけでいまは侍女として美優様にお仕えしております」
「・・・何というか・・・壮絶な話でした。悠里さんはそれから暗殺業は引退されたんですよね!」
「ふふふふふ。さてどうでしょう?そこは秘密にしておきます」
「え?」
美優は目を見開いて驚いた。
(もしかして今も・・・)
そう考えて途中で考えることを止めた。
それ以上聞くと今みたいに仲良くできるか自信がなくなりそうだった・・・。
(生きている次元がちがいすぎる)
美優はそう思ってそれ以上深入りすることを止めた。
悠里が何者かだ。
いつもは温厚で優しい彼女。
結城から悠里が昔は彼の命を狙っていたことがあると聞いた。
詳しくは話してはもらえなかったが二人の主従関係が気になった。
今では悠里は生涯の忠誠を結城に誓っているらしい。
美優が知っているのはここまでだ。
(うーん。直接聞いてみようかな・・・でもなんて聞く?)
「美優様?どうかなさいましたか?」
「・・・あの、えっと。昔、結城様の命を狙っていたって話は本当なんですか?」
「!」
その話をした瞬間彼女の笑顔が凍るのを感じた。
「美優様・・・そのお話は結城王からお聞きに?」
「はい。世間話程度に聞きました」
(世間話では重たすぎる話だな・・・)
「そうですか。ついに知ってしまったんですね」
「・・・はい。何か事情があったんですか?」
きっと何か特別な事情があったに違いない。
美優はそう思っていた。
「いいえ。仕事だったんです」
悠里は軽く言ってのけた。
「仕事・・・暗殺者・・・みたいな?」
「はい。昔は暗殺業をしていました。収入がとても良くていい仕事でした」
「・・・」
(暗殺業をいい仕事って・・・!!やっぱり悠里さんは怖い人だったんだ)
「美優様には刺激の強いお話ですよね。すみません。美優様のいらした世界には暗殺業なんて無いですよね?」
「私のいた国にはありませんでしたけれど他の国にはあったかもしれません」
悠里はにっこり笑って美優に話しかけた。
「それで美優様は何が知りたいのですか?何でもお答えいたしますが・・・」
(ひぃー!!何でもは結構です。怖い~)
「私が知りたいのはどうして結城様を暗殺しようとしたのに今はお仕えしているかという事です」
「美優様は・・・元暗殺者が信用できませんか?」
悠里は少し悲しそうな表情をして俯いてしまった。
「いいえ!違います。単なる好奇心からです。怖いもの見たさというか・・・」
「そうでございますか」
安心したようにぱっと悠里は顔をあげた。
「そうですね・・・何からお話ししましょうか・・・まず依頼が来た時の事からお話ししますね」
「はい」
あれは今から10年前ー・・・
「今の国王を暗殺してほしい。報酬は言い値で払おう」
ある王族からの依頼だった。
「わかりました。今晩決行します」
悠里はにっこり笑いながらそう言った。
(今回のターゲットは15歳になったばかりの国王か・・・確かまだ即位したばかりだったはず)
(私が暗殺しなくても他の誰かに命を狙われるでしょうし私が苦しまないように一思いに殺してあげた方が幸せですよね・・・)
悠里はそんな事を考えながら夜になるのを待った。
暗殺は闇夜に紛れて行う。
警備をかいくぐり、王の寝室までやってきた。
「甘い警備ですこと」
寝室に鍵はかかっておらず簡単に侵入できた。
「・・・」
悠里は王が眠っているベッドへ近づいてみた。
ベッドの上の体に思い切り刃を突きたてた。
しかし手ごたえはなかった。
不思議に思い布団を這いで見るとそこには丸められた羽布団が入っているだけだった。
それに驚いていると天井から王が悠里めがけて剣を振りかざしながら降ってきた。
幸い急所は外れたものの悠里の足が使い物にならなくなった。
「足の腱を切られなかっただけありがたく思え」
勢いよく切られたため立ち上がることができない悠里の足に容赦なく短剣を両足に2本突き立てた。
「王に歯向かったんだこれくらいの責め苦どうってことないだろう」
「・・・王はお強いんですね」
「・・・そんなことはどうでもいい、それより言え!どこの王家の差し金だ!」
「それを言ったら私を消すんですよね?」
「・・・わからん」
「え?」
悠里は怪訝な顔をした。
「暗殺者は役に立つから生かしておいて使いたいところだが、歯向かうなら殺すしかない」
そう話す王の瞳はとても冷たいものだった。
「さぁ、お前はどうしたい?生きたいか?死にたいか?」
表情一つ変えず言って見せる15歳とは思えない王は怖かった。
「俺は今からお前以外の暗殺者にも狙われるだろう。それを覚悟の上で玉座に座っている。お前も死を覚悟して暗殺業をしているんだろう?」
「・・・ええ。命がけで暗殺業をしています」
「そうか」
王は短く答えた。
この王は・・・一体どういう人間なのだろう。
悠里は王に対して興味がわいた。
「結城王様、私は決めました。貴方に生涯忠誠を誓います」
「信じられんな。急に態度を変えるなんて、理由はなんだ?」
「王に興味がわきました。これからの貴方を見ていたい」
「ふん。それが理由か?」
「はい」
「では俺から信用を得ることのできる行いをしてこい」
「わかりました」
それから数日して足が少し癒えたころ、悠里は王暗殺を依頼してきた王家を皆殺しにしてきたのだった。
それを知った王は悠里を呼び出した。
そして悠里に問うた。
「本当に俺に仕えたいのか?」
「はい」
「わかった。では今日から侍女としてこの城で働いてもらう」
(え?侍女として?)
「暗殺者としてではなく?」
悠里が聞くと王はこう答えた。
「俺は争い事は好まない。今日から大人しく侍女として働け」
そう言うと王の部屋から追い出されてしまった。
「ますます興味が湧いてきましたわ」
そうして悠里は侍女として働くことになったのだった。
「・・・というわけでいまは侍女として美優様にお仕えしております」
「・・・何というか・・・壮絶な話でした。悠里さんはそれから暗殺業は引退されたんですよね!」
「ふふふふふ。さてどうでしょう?そこは秘密にしておきます」
「え?」
美優は目を見開いて驚いた。
(もしかして今も・・・)
そう考えて途中で考えることを止めた。
それ以上聞くと今みたいに仲良くできるか自信がなくなりそうだった・・・。
(生きている次元がちがいすぎる)
美優はそう思ってそれ以上深入りすることを止めた。
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
【完結】ペンギンの着ぐるみ姿で召喚されたら、可愛いもの好きな氷の王子様に溺愛されてます。
櫻野くるみ
恋愛
笠原由美は、総務部で働くごく普通の会社員だった。
ある日、会社のゆるキャラ、ペンギンのペンタンの着ぐるみが納品され、たまたま小柄な由美が試着したタイミングで棚が倒れ、下敷きになってしまう。
気付けば豪華な広間。
着飾る人々の中、ペンタンの着ぐるみ姿の由美。
どうやら、ペンギンの着ぐるみを着たまま、異世界に召喚されてしまったらしい。
え?この状況って、シュール過ぎない?
戸惑う由美だが、更に自分が王子の結婚相手として召喚されたことを知る。
現れた王子はイケメンだったが、冷たい雰囲気で、氷の王子様と呼ばれているらしい。
そんな怖そうな人の相手なんて無理!と思う由美だったが、王子はペンタンを着ている由美を見るなりメロメロになり!?
実は可愛いものに目がない王子様に溺愛されてしまうお話です。
完結しました。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です
氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。
英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。
兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした
鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、
幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。
アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。
すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。
☆他投稿サイトにも掲載しています。
☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる